タカラ RCジェットモグラ 液漏れ修理

サンダーバードに登場するジェットモグラのラジコンの修理依頼です。※自分は、サンダーバードをよく知らないのですが、でかいドリルが先端に付いた本体、地底を穴を開けながら突き進む、何らかのマシンなのでしょう。80年代に発売された、まだタカラとトミーが合併する以前の商品のようです。

昭和レトロ風な操縦用の送信機が付いており、本体下部のキャタピラ(以降、シャーシ)を操作するコントローラと本体上部のモグラ部を操作するコントローラが、それぞれ分離できて別々に操縦にできるようになっています。シャーシは、27MHzの無線操作で、モグラ部は、赤外線による無線操作となります。

さて、依頼内容としては、たいへん思い入れのある本品ですが、本体内蔵のニッケル水素電池が液漏れを起しており、全く動かないそうです。

ご依頼者様は、既に自力での修復を試みられ(そして、断念!?されたのか、、、)数台分の中古パーツを収集されて居られ、それら一式も同封の上でのご依頼でした。

★何としても修復をしたかったのという熱意が伝わってきます。こちらも気合が入ります。

さて、状態を把握するため、まずはシャーシ部の調査に着手しました。

画像からは、分かりづらいですが、ニッケル水素電池からの液漏れが、メイン基板と配線の全体に及んでおり、特にPCB基板の端子、ランドの半田部分の腐食が酷く半田コテで修復も不可能な状態でした。

  • 半田上の酸化層によって300℃程度温度では、容易に半田が溶解してくれない。同じくPCB基板上のランドの銅層も腐食のため、剥がれや欠損が発生。
  • 配線の心線にも腐食が伝わり半田がのりません。というか、容易に折れてしまいます。
  • 電源スイッチも下記の通り内部腐食し代替えの同サイズのスイッチも手持ちがないため、スイッチの分解清掃を実施。

腐食基板も同封の使えそうな基板を目視で選別し半田ランドの清掃と配線の全交換を行いました。ここまで腐食は酷い場合は、通常修理不可能として、ごめんなさいをするのですが、ご依頼者様の意向に応えたくがんばりました。配線は、以下備忘録として図面を作成しました。

これで、無事シャーシ部の換装が完了と思いきや、左chのキャタピラの動作がなんかおかしい。回転が遅い。調べてみると、アンテナ線が弛んでギアに接触しておりましたので、調整。以上にてシャーシ部分の修理は、ほぼ完了なのですが、他の本体からの移植が問題だったのか、底辺のネジを普通に締めるとギア軸への負荷をなり回転が遅くなる事態になりました。ネジの締め圧の微調整も必要な事態でした。

ここまでの作業に延べ時間で12時間ほどを費やしており、かなりの疲労でしたが、次なるモグラ部の修理作業に取り掛かります。

こちらも液漏れによりPCB基板および配線、スイッチ一式が腐食状態。

シャーシ部同様にPC基板を良品と交換し配線を全交換を実施しました。電源スイッチもご覧の通り腐食が酷くこちらも清掃。

 

基盤の換装に際し、目視レベルにて使用できそうな基板であっても素子パーツが故障している事態に遭遇し困り果てておりました。

半田表面に腐食は発生しているが、動作自体はできそうな基板を探しました。腐食した端子は使用できないため、接続された他のランドを探し出し配線しました。かなりの疲労となりました。

最後にモグラ部再度のキャタピラですが、用意いただいたキャタピラの半数が、切れて使用できない状態で、残りも何とか装着できるレベルではあるが、ギラによる駆動は、できない状況でした。この点は、修復不可能ということで、今回の修理は、完了としました。

今回は、補修パーツが、豊富が用意できていたことと、私自身のチャレンジも含めがんばった結果、何とかほぼ動作するまで修復できました。

通常では、腐食基板は復活できないことがほとんどですので、くれぐれも液漏れには気を付けていただくことが、長く遊べる秘訣ですね。


【ご依頼者様のお声】

難しい修理だったと思います。
ありがとうございました。
ドクターには、2度目の修理依頼です。
修理内容等、きちんとご連絡いただき安心と信頼を感じる修理対応。
大切にしたいおもちゃだからこそお任せできます。
感謝の言葉しかありません。
今後ともお願いできれば幸いです。