外来勤務をしているおもちゃ病院にて、アンパンマン わくわくクレーンゲームの修理のヘルプ要請があり、対応を行った。
無事修理完了をしたが、備忘録としてギアボックスの情報を掲載する。※因みに、今回修理にあたったクレーンゲームは、以前修理したクレーンゲームからバージョンが変わっておりました。製造コストなどの削減のためか構造が簡素化されております。
修理の依頼内容は、バケットを上げ下げする鎖が切れてしまったとのことだったが、鎖の接続修理後に正常に動作しなくなったとのことで、修理のヘルプ要請を受けた。
正常に動かない症状とは、電源投入後にスタートするクレーンの規定位置に戻る際にバケットが垂れ下がったままになり、以降上げ下げもできなくなっていた。
修理は、ギアボックスを分解し、巻き上げ下げを行うプーリーおよびギアを解析した。原因は大きく2つあった。
- 分解した際にギアボックス上面のスリットに出ているギアがスリットに接触しており、その接触抵抗によって、内部のトルクギアが滑っていた。
- バケットを開くプーリー②(後述参照)に接続される止めストッパのはまり具合が不味く、ギアが回転できなくなっていた。そのため、こちらの要因でも内部のトルクギアが滑っていた。
接触していたギアは、位置調整を行い、止めストッパは、はまり具合を微調整することによって無事終了完了した。
さて、本投稿では、この修理の際にギアボックス内部を解析し、どのような仕様になっているか資料化した。備忘録として掲載する。
まず、クレーンの動きを明確にするため、軸方向を以下のとおりに定義する。
おもちゃの正面から向かって3D軸をそれぞれ、X/Y/Z軸で以降では呼ぶこととする。クレーンの移動方向とギア位置図の通り、移動に寄与するギア位置は、図の場所にある。次にギアボックス内部を説明する。クレーンのギアボックスは、全部の三層の構成からなり、本投稿では、最上面を上面、次の層を1層、次の層を2層と呼ぶ。それぞれのギアボックスの層内は、役目の異なるモーターとギアが内蔵されており、単に分解するだけでも、手ごわい内容となっている。
ギヤボックスの内部は、リード線の引き回しが極端に短く、またギアボックスを開けるには、短いリード線に接続されたモーターも持ち上がるため、その反動でギア部品が、バラバラになってしまうことが多々ありました。作業を行っていると、そのリード線の半田付けが取れてしまうなど、もうイヤになってしまい、くじけそうになるが、あきらめずに何度もチャレンジしました。
上面部分の情報としては、ギアボックス内部に通っているリード線の色を明記した。
ギアボックス1層目
1層目は、モーターからの動力の伝わる経路とバケットの開閉および上げ下げについての情報を図ギアボックス1層目に記載している。本修理も、バケットの開閉と上げ下げ部分に負荷がかかり、前段のトルクギアで動力がなくなってしまっておりました。分解の際もこの点に注意してみるとよいと思います。ギアボックス2層目は、X/Y軸移動用のギアとモーターとなります。
2層目は、X/Y軸の移動用のギヤがぎっしりです。