カードキャプチャさくらというアニメで使用されている封印の杖の修理のご依頼でした。
正常であれば、電源投入後、振動を検知すると、『レリーズ! なんじの…』というキメ台詞と一緒にLEDが点滅します。しかし、電源を投入しても、うんともすんとも状態です。
さて、分解して断線なり破損なりを調べようとしたんですが、分解で少し難航しました。というのも、見当たるネジを外してもカバーがいっこうに外せないのです。理由は、隠しネジが両サイドの目のシールの下にあります。
両目は、透明なカバーの下にあり、しかもキラキラ反射するシルバーのシールの下なので、知らないと、力技を外そうしてカバーを割ってしまいそうです。順番としては、以下の通りです。
- 両目の位置にあるピンクの透明なカバーをこじって外す。小さいマイナスドライバーがあると便利です。
- 反射シールを折り目が付かないようにそっとピンセットではがす。
- その下に片目あたり三つのネジが出てきますので、外す。
こちらのネジは、白い羽パーツの後ろに隠れておりドライバーでは外しづらいです。白い羽パーツは、裏面で固定されているので、外せません。従ってこの状態で小さなドライバーで外すほかありません。
さて、無事カバーを全て外せたところで、内部の確認です。
初回の調査では、外観的な問題は見当たらず、断線も破損もなさそうでした。上図中央の振動センサーの故障も疑いリード線で短絡など試行してみたが変化が観測されず、、、さらに解析すべく全ての基板を筐体から外しました。電源スイッチの接触のやや不良がありましたので、電源スイッチを分離し故障の切り分けをしました。ですが、やはりうんともすんともです。
試行錯誤の結果、この振動センサーが故障していることが判明しました。というのも、制御ICの仕様上、センサーは、ノーマリ・オープンの状態で電源をONしないと正常に起動しない仕様でした。センサーをノーマリ・クローズの状態(リード線で短絡など)で起動すると、うんともすんともの状態のままとなります。
つまり、正常な状態では、振動センサーが、ノーマリ・オープンで電源が投入されると、次の振動センサーの感知(オープン→クローズ)で反応が開始します。しかし、振動センサーが故障し、クローズの状態にならないようなオープンの固定化故障の場合は、以降の反応が一切観測できません。※ここで、リード線でセンサーの端子を短絡してみると、発声が始まるので、センサーの故障を気づくでしょう。
さて、交換のセンサーですが、おもちゃの使用上は、振動の検知が目的ですが、厳密には傾斜センサーとなります。ノーマリ時の仕様に適合する手持ちセンサーと交換します。
注意点としては、センサーの仕様書をよく確認し、通常の杖の傾斜の角度、振る動作で与える振動の関係でセンサーの足の極に気をつけなければなりません。内蔵ボールの接点が、上になるようノーマリ・オープンで取り付けないいけません。でないと、ノーマリ・クローズでの電源投入となってしまい、正常に動作しません。
センサーの交換も完了し無事動作確認も取れました。