STARTWARS gigapets 起動不良 修理不可

Gigapets

STARTWARS gigapets 起動不良 修理不可

購入後しばらく保管され開封したところ、初期設定が進まないという症状でご依頼がありました。

たまごっちのような育成型のおもちゃかとは思いますが、R2D2なので育成ではなさそう…。

早速症状を確認します。

まず、届いてからボタン電池を挿入したところ、ウンスン状態でした。背面のリセットスイッチを押す(このリセットスイッチが硬いんだ。。)と初期設定画面になり、ピッピッと音が鳴り続けます。表面の押しボタンも無反応でピッピッと音が鳴り続けます。

初期設定

この時は、何が起きているのか分からなかったのですが、後々で再起動を繰り返していることが分かりました。

表面の押しボタンに無反応のようなので、分解しボタンの接点を確認します。

接点の清掃

ボタンと液晶のゴム接点の金パットを綿棒とアルコールで洗浄してみると、表面の汚れは取れましたが、目視では接触不良になるとまでの致命的な汚れは確認できませんでした。

因みに、液晶のゴム接点についてですが、こちらでコネクターが紹介されております。商品名としては、『異方導電性ゴムコネクター』と呼ばれているそうです。

話しはそれますが、半導体の設計・開発でSoCの評価・検査治具に取り付けるソケットで大変お世話になったことがあります。接触圧を掛けると埋め込まれた電極が接触し導通が取れます。このすごいところは、AC特性が非常によいので、高速I/Fの選別治具にも使用できる点でした。

話しを戻します。さて、接点をお掃除して組み立て直しても症状は改善しませんでした。次に、回路的な故障を探るため基板上に目をやります。

インダクタとクリスタルと電源用の電解コンデンサーが目に入ります。

実装部品

アンパンマン おしゃべりせいかつずかんでよく逝っているクリスタルを念のため確認します。※起動動作はしているので、動いてはいると思いますが、念のため。

ブレブレ

画面がぶれていますが、32kHzで振幅しております。

と、ここでいろいろ調べながらいじっていると、起動し始めました。

押しボタンも反応し時計や名前などの初期設定もクリアし動き始めました。

動いたー!

その時の動作確認動画です。

実は、この時点で復活しと、糠喜びしていたのですが、復活はしておりませんでした。TT

というのも、原因を突き止めてもいおらず、作業していたら自然に回復した時ってだいたい、直っていないんですよね。この経験から実はかなり怪しく思っており、電池を抜いて数時間おいた時点で再稼働させて改めて確認しました。

電池を抜き、それから半日経過。。。

起動してみると、ピッピッと音が鳴り続ける現象が再発し、ボタンも無反応になっております。やはり、予想は的中しました。

ここで整理します。

  • ボタンに無反応なのは接点の接触問題ではなかった。
  • 何らかの拍子に動作し始めても、ボタンを抜き時間を置くと不具合が再発する。
  • 電池の容量が問題ではない。

次に基板上で目にした電解コンデンサーを疑ってみます。

ピッピッと鳴る症状が、もし再起動を繰り返しているようならば、電源系の故障で、電源の補償用のパスコンである電解コンデンサーを交換してみることにしました。ですが、症状は改善されず、電解コンデンサーの犯人説は否定されました。

交換前
交換後

うーん手づまりです。

ところで、何らかの拍子に動き始める点が気になっていたので、もしかすると、電気の導通をしばらく続けると、COB内部が暖まり不具合が解消されていったのかもしれません。このCOB内部が暖まる点については、半導体IC開発の経験から、ICパッケージのモールド樹脂が、経年か温度変化で膨張か収縮し配線材の接触を妨げる現象は過去の開発業務で経験があります。多いところでは、剥離によってボンディングワイヤーが切れる症状ですが、モールドしてるので、金パットから薄く剥がれるような感じです。そうです、電源を入れ暖気が済むとカツカツで離れていた接触が、しっかり接触するようになったのかもしれません。もしこの端子がクリスタルや電池のの端子だった場合は、初期設定から進まないというのは、再起動を繰り返していたという現象で説明がつきます。

そこで、先の『ピッピッと音が鳴り続ける』状態のまま放置してみます。

すると、、、

約2分ほどでピッピッという音が終息し押しボタンが不安定なりも反応し始めました。

そうです、前述の動いたを勘違いしていたのは、暖気のおかげで正常に動き出したように見えていたようです。一度暖気が済んだ場合は、電池を入れ替えても正常に起動するようになりました。

どうもCOB内部で事が起きているようです。

既に思いつく点は調査しておりますので、COB内部の犯人説が有力として成す術なく修理不可能としてお返ししました。

現状は、暖気によって動き始めますが、剥離が原因だった場合は、症状は進行する懸念もあります。