ナイトライダー USBシガーソケット充電器
玩具ではありませんが、有料での修理のご依頼がありましたので、修理記事としてご紹介します。※残念ながら修理は不可能でした。
アメリカのドラマだと思うのですが、ナイト2000という車に乗ってなんかしているドラマだと思います。※すみません、よく知りません。
その車には、人工知能的なシステムが組み込まれていて、キット(KITT)と呼ばれ、主人公の相棒となり悪を懲らしめる正義の味方(!?)だと思います。^^;
今回の商品は、その車の電飾を捩ったのだと思いますが、車のシガーソケットに差し込んで、エンジンを掛けた際の効果音や電飾効果と上部の押しボタンで11種類の音声も楽しめるとのことです。もちろんですが、商品がUSB充電器で側面に1.0Aの口が2ポート実装されています。
さてさて、故障の症状は、エンジンの起動時およびボタンの操作でも音が出ないとのことです。
車載用の電飾ですが、安定化電源で12Vを印加しますが、故障対策で安全のため電流は、300mAでリミットを掛けておきます。
早速動作確認をしてみると、筐体周辺のLEDは点灯しますが、起動時の効果音も押しボタンへの反応もありません。
押しボタンの接触も導通状況も問題ありません。
因みに、正常時の動作は、YouTubeに動作時の動画上げて居られる方の動画を確認しました。
仮面ライダーのベルトもそうですが、ファンにはたまらないのはないでしょうか。
※””私はナイト2000だ”、”異常な振動を察知した”etc…トーキングウッディのようだというと怒られるのかも。。。
本題ではありませんが、周辺のLEDが1個点灯していないので、半田付けし直したら点灯するようにはなりました。
さてさて、どうしたもんかと悩んでおりました。
全くのウンスンであれば、シガ―ソケットのヒューズ切れや断線を疑いますが、部分的なLEDは点灯しております。
ここで基板上の電源回路を整理します。本機の機能を大きく分けると3ブロックとなります。
- 常時点灯LED・・・5V系
- 音声や電飾制御・・・3.3V系(シーケンス制御マイコン COBパッケージ)
- USB充電・・・5V系(VBUS)
この状態で電源の供給状態を確認すると、自動車の12V電源を2系統に減圧しながら分岐されておりました。
と!ここで、基板中央部のCOBに供給されている5.0Vを3.3Vに減圧している、LDOが異常加熱しております。型番は、ME6208Aです。
早速電圧を測ってみると、VINは、5.0V印加されておりますが、VOUTは、1.2V程しか出ていません。
おおお!
制御マイコン用の3.3Vが上がっていないばかりかLDOがチンチンになっています。
ユメルの時同様にLDOの故障で3.3Vの給電ができなくなっていそうですね。
原因はこれだ!(と思っていました。この時は。)
USB充電側の5.0Vでは、CP1504なる給電ICで12Vから減圧された電源が正常に給電されておりました。
ではでは、3.3Vの給電を正常にすれば動作するんじゃね的に考えていました。
異常加熱のLDOは、ME6208AでVINのMaxが18Vまで印加できる高耐圧仕様です。
ですが、今手持ちは、XC6206AとME6211Aの2種しかありません。このどちらもVINが、6V程度の仕様となるので、安易に交換はできません。そこで、回路図を起こしてみました。
既にこたえを記入しちゃっておりますが、ME6208Aの役目は、CP1504で減圧された5.0vを3.3Vにさらに減圧するためでした。従いまして、VINのMaxは、6.5V程度でも十分なので、XC6206Aで仮試験をしてみます。因みに、安全のために電流は300mAで制限を掛けます。
早速、XC6206Aに交換をしてみると、挙動が変わりました。うんともすんともではありますが、安定化電源の電流が制限されました。過電流が流れていたようで検知し電流を制限しています。LDOの異常加熱はなくなりました。
先の6208Aが異常加熱していた際は、130mA程流れていたのですが、XC6206Aに交換した場合、主電源の電流が300mA以上にまで増えたことになります。
おおおと直ぐさま電源を落とし追加の確認を考えます。
交換したLDOが、適切でなかったのかもしれので、それならば3.3VをGND共有で別途外部から安定化電源で給電することにしました。こんな時2系統ある安定化電源が役立ちます。
ですが、やはり電流制限でリミットが掛かります。
この症状は、3.3Vを単独で印加しても変化ありませんでした。
ここで再度整理します。おなじみのひとりブレスト。
- 主電源12Vを与えて電流制限が起きる。
- LDO後の3.3Vを別経路で与えても電流制限が起きる。
- 3.3Vのみを単独で与えても電流制限が起きる。
- 若干だがCOBが暖かくなっていた。
恐らく、届いた時点で既にCOB内のICには電流リークのパスが存在しており、このリークがそもそもの原因であった。
この電流リークが原因で、3.3Vを生成し給電するLDOにも負荷がかかり、直ぐ破損したが、故障モードが内部で高インピーダンスになったため、主電源の過電流は抑えられ、代わりにLDOは異常加熱をしていた。→当初観測した事象
XC6206Aに交換すると、LDO内の高インピーダンス状態は解消され3.3Vは給電されるようになったが、COB内の電流リークはそのままなので、今度はCOB側が過熱され始めた。
という経緯と推測しました。
どちらにせよ、基板上のLDOからの給電でも外部からの給電でも過電流という事態なので、どちらにも共通するCOB内の電流リークなのでしょう。
もうこうなると手足も出せませんので、残念ながらCOB内の電流リークによる故障で修理不可能と判断せざるを得ないです。
USBポートの充電機能は使用できるので、異常加熱のLDOは除去しておきます。