アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX イメージ認識IC 電極腐食 修理
3年ほど前に購入しらSuperDXのタッチペンですが、電源を入れると、起動音声はするのですが、絵本の絵柄にタッチしても反応をしなくなったとのことです。
小さなお子様が居られ、ペン先を舐めてしまったのが、原因かもということでした。※このような有力が情報は、修理に大いに役立ちます。
早速ですが、拝見します。
起動自体がしない場合は、電池ボックスの液漏れ腐食やクリスタルや電解コンデンサーの故障が考えられ、前面LEDは点灯するが、起動音声はもちろん、絵柄への反応もない場合は、スピーカーの故障など考えられます。
今回は、起動音声は正常にしているので、回路の画処理系の問題かと推測されます。
因みに、セガトイズ様では修理受け付けを行っておらず、以前近隣のおもちゃ病院に修理をお願いしたそうなのですが、そちらの病院では、直せなかったとのことです。
届いてすぐに動作確認をしましたが、電池ボックスの液漏れもなく、起動時の音声も正常に流れます。絵柄への反応はしません。分解して内部を確認します。
こちらのSuperDXは、2019年の購入とのことでしたので、内部構成が、かなり集積化されシンプルなっております。基板には、novotonの制御LSIがあり、イメージセンサーモジュール側には、センサーのCMOSイメージセンサーと画認識LSIがあり、3チップ構成のようです。
基板とイメージセンサーモジュールが、4線式フラットケーブルで接続されており、Vcc, GNDを信号線2本です。novotonの仕様一覧には、外部I/FにSPIとUARTと記載があります。信号線をオシロで観測すると、どうも信号線2本は、恐らくSPIのCLKとMOSIのような挙動を示しておりました。
さてさて、故障解析ですが、まず赤外線LEDの点灯をスマホのカメラで確認しました。無事点滅しております。
次に、2本の信号線も信号観測します。
以前、同じSuperDXを修理した際の正常時の波形があるので、同じ波形が観測されるか確認します。過去の修理実績の波形は、こちら。
オシロのchが違うので、上下の位置は違いますが、同じ波形が観測できました。CLKの立ち上がりでキャプチャーしています。
この波形後は、2線と信号が固定化しもうんともすんともになるので、チップ間のハンドシェイクを開始(波形のとおり)したが、イメージセンサーモジュール側が反応しなかったので、成立しなかったようで、そのため画認識できず、もちろんですが、絵柄への反応もしないというわけです。
ということで、基板側の動作は、問題なさそうで、赤外線LEDも点滅しているところまで確認できました。※一応ですが、赤外線LEDは、LEDチェッカーで正常品(850nm品)と比べて目視確認もしました。
点灯具合は、ほぼ同じで、表面の濁りのため明瞭さは低いですが、赤外線なので、問題にはならないでしょう。
さて、問題の切り分けで、どうもイメージセンサーモジュール側にあるのですが、LSIが、一個実装されております。
眺めておりますと、原因が判明しました。
こまった時は、基板を眺めるに限ります。
ご依頼様からの申告で、お子様が舐めてしまったとのことなので、ペン先の方のCMOSイメージセンサー入光カバーの汚れを確認してはいたのですが、腐食の影響は、裏側のICに出ていました。
電極に腐食が出ております。パッケージの外側だと、電源/GND端子の可能性が高いので、この腐食により電源が正常に与えられていなかったようです。
フラックスクリーナーで腐食を取り除くと無事絵柄への認識をするようになりました。
子供たちにまたアンパンマンタッチペンで遊ばせるのがとても楽しみです。
ありがとうございました。
~ご依頼者様のご感想より~