TAKARA マーメイドメロディーぴちぴちピッチオルゴールメーカーCuteBlue 修理

オルゴールメーカー

TAKARA マーメイドメロディーぴちぴちピッチオルゴールメーカーCuteBlue 修理

長期間、乾電池を入れたままで保管し液漏れを起こしていたそうです。

ご近所のおもちゃ病院に依頼されたそうですが、液漏れで基板がダメになっているので、修理不可能と返されたとのことでご依頼がありました。

他院にて一度修理不可能と診断されたそうですが、過去の修理事例でも経験があるのですが、手に負えない代物だと、詳しく診断せずにCOB不良とか基板不良とか、それらしい専門用語を使って返却してしまったかもと心配しています。※『私には修理不可能だが、他のおもちゃ病院に相談してみてください。』と伝えるだけでいいのに。

前任のドクターがそうでないことを祈りつつでは、診断を開始しましょう。

液漏れ

電池ボックスの液漏れはよくあるような液漏れなので最後に取っておきます。給電は、直接導線に給電して動作確認します。

ディスク

このオルゴールメーカーは、付属の穴の沢山空いたディスクに好きなメロディーが鳴るようにピンを差立てます。

ピン立て

因みに、一番外側は音階ではなく半音上げなので、半音上げる時に音階と同時に立てておきます。

そのピンが、本体にある押しボタンを押下して音色を奏でるというおもちゃで、右側にある手回しのノブでディスクを回します。

なので、メロディーの再生スピードは、手回しのスピードとなります。

押しボタン

各音階が鳴るタイミングで3つの内のどれかのLEDも連動して光ります。

では、本体を開封します。

本体下部

液漏れの影響で、電池ボックスの渡りと負極の導線、手回しのスイッチの根本に粉が吹いております。導線は交換しておき、手回しノブのスイッチの粉は綺麗に除去し再半田しておきます。

次に制御基板を確認します。

制御基板

こちらは綺麗ですね。基板には、セラミックのヒューズとセラミック発振子、電解コンデンサーが実装されています。では、パターン面を確認します。

基板

まぁ、汚れはありますが、液漏れの影響はなさそうですね。

※前任のドクター様は、何を診断されたのでしょう???COBと電子回路をみて早々に断念したのでしょうか?

この状態で電源の導線から給電して診ます。

やはりうんともすんともです。押しボタンにも手回しのノブにも無反応です。

先の実装部品で、クリスタルが気になるのでオシロで波形確認をします。

早速ですが、発振していないことが判明しました。指でつまんでみると、グラグラしているようです。動かしていると、起動メロディがなったりもします。

セラミック発振子
紛らわしいZ文字

印刷の文字が、非常に紛らわしいのですが、2.0MHzの発振子です。Zは、恐らくメーカーの識別用の文字ですね。※Z2.0って、最初22.0MHzと勘違いしていました。

再半田

で、早速再半田してみますと、無事に起動メロディーもなり、ディスクのピンにも快調に反応します。

ほらね!

快調!快調!直った!直った!と喜んでおりました。この時は、、、。

とりあえず状況を依頼者様に報告し了承の上、残る電池ボックスの液漏れを直して返却という心づもりで翌日を迎え、再度起動してみると、、、

なんとー!

うんともすんともです。ガーン。😨

なんで?!┐( ̄へ ̄)┌」

いろいろ考えていると、イヤな予感がします。

裏を取るべく分解しクリスタルを再半田します。

無事、起動メロディが鳴るようになりました。音階の押しボタンにも反応します。

もしかして、COB内のPLL回路のボンディングワイヤーが、カツカツで断線しているか、そもそもセラミック発振子側の接触不良がどちらかが起きており、半田コテの熱で膨張接触と冷却断線を繰り返しているようです。

切り分けが難しいので、交換ができるセラミック発振子を入手します。

といっても、国内では入手できないので、いつもの海外より注文してひと月程待ちます。

部品除去
交換セラミック発振子

約ひと月後に無事届き早速交換します。

実装

原因の切り分けのためだけですが、部品交換を行います。

というのも、PLL回路のパターンに半田コテを当てると、発振子もボンディングワイヤーのどちらにも同等に熱が伝わってしまうので、ここわ一つづつ潰していきます。

で、早速交換を行うと、やはり無事に起動しメロディーを奏でます。

で、時間をおきます。じっくり冷めるまで数時間置きます。

因みに、この時期の青森の朝晩は、寒くなってきております。

翌朝、同じように電池を入れ起動確認すると、なんと!

うんともすんともです。残念。。。( ̄▽ ̄;

数分、悲しみに暮れていると、今度は自然に起動し始めました。

先の再半田だけの時は、何をしてもうんともすんともから改善はしなかったのですが、時間を置くと起動できるようになりました。

セラミック発振子の故障は、ほぼ間違いないのですが、他の故障も複合的に発生していそうです。ここは、確実に一つづつ潰していきます。

部品発注の間、約ひと月あったのですが、電源SWの接触が悪化しております。

到着当初は、接点復活スプレーを吹いておいてのですが、時間を置くと接触が悪くなって、電源ONにしても雑音交じりになり、恐らくチャタリングのようにONとOFFが瞬時に繰り返されているようなので、電源SWを交換します。

電源SW

次に、基板に実装されている電解コンデンサーが気になります。ここも要因から排除するため、新品の電解コンデンサーに交換しておきます。

電解コンデンサー

この交換作業を行い、数時間置きました。

で、再度起動確認をすると、今度は起動時に”キキキ”というノイズを発するようになりました。電源ON/OFFを繰り返すと無事に起動しだしたりします。何らかのアクションで起動はするようになりました。

もう、最後に残すは基板上の素子の半田を全て溶かしなおししてみます。

過去にたまごっちでも経験済みです。基板上の目視では分からないクラックや腐食には交換あります。

半田汚れ
2MHz

念のため発振子の発振も確認します。

すると、不具合が綺麗さっぱり消えました。

不具合は、不思議なように消えました。

なんと、一番効果のあったのが、基板上の半田を溶かしなおしでした。

でも、騙されないように、この状態で十分に時間をおき冷まします。

このような起動確認を分解した状態で数日繰り返します。

約四日間、一日二回づつ時間間隔を十分に開けて繰り返し起動確認すると、無事問題なく起動します。時々、電源ON時にノイズ混じりになりますが、電源の入れなおしたりで無事起動します。

良好そうですね。

では、液漏れの電池ボックスの対処を行い、筐体に組み込み再度動作数日確認をします。

電極洗浄
再固定
液漏れ修理

組み立てた状態でも問題ありませんね。

いやー、長かったです。対処療法でしたが、懸念される原因を一つづつ潰していかないとイケませんでした。特に厄介だったのは、熱を当てると復活する点で、いちいち冷まさないと本当に解消されたのかが分からない点でした。


我が家でも問題なく動いてくれました。

感動です!

逐一詳しい状況の連絡メール、写真、動画をくださり、安心して預けて待っていられました。

又、こまめに動作確認をしてくださり、あまりの丁寧な対応に感謝しきりでした。

一時は諦めたおもちゃ達ですが、思い切って瀧下様にお願いして本当に良かったと心から思います。

特にオルゴールメーカーは、治療困難だったと思います。

諦めず最後まで手を尽くしてくださり、無事復活して戻って来れたので孫の代まで大切にしていきたいと思います。

この度は本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~