トイザらス RCオフローダー 受信IC故障 基板換装修理

地域のおもちゃ病院で担当した案件をご紹介します。

トイザらス RCオフローダーという現在でもオンラインショップで取り扱いのある商品です。

1500円程で購入できます。

操作ができないということで持ち込みがありました。

会場で診断できるのは、検波器で電波がアンテナから送信されているかという点と電源回りの給電やモーターなどの駆動系の故障くらいでしょうかね。

それ以上の診断が必要になった場合は、測定器など必要なので入院扱いになります。

当日は激込みで開場時間終了ギリギリでの持ち込みということもあり、即入院扱いになりました。

持ち帰り調べてみると、受信IC刻印にMX1208RX2とあるので、よくある27MHzのTX2/RX2プロトコルのラジコンでした。

このMX1208RX2は、ICのみでの流通はなく恐らくOEM供給のみのようですね。1チップのICで検波した電波の増幅とデコード、そしてデコードされた信号でモーターを駆動するモータードライバの機能を1チップに集約しています。

まず、送信機と受信機の故障切り分けをします。

既に検波機で電波の発出は確認できていますが、正常な電波なのかなどまでは分からないので、以下のように調べます。

  • 別TX2/RX2 27MHzの基板で通信確認
  • オシロでアンテナの波形を目視確認

このような事態のためにTX2/RX2プロトコルの送受信基板のセットを別に持っております。その基板との通信ができているかでざっくり送受信のどちらに問題があるのか切り分けできます。

因みに、基板セットは通販で購入できますので、27MHzと40MHzを1セットづつ持っておくと便利です。

さて調べてみると、受信機側が機能していないことが分かりました。

裏を取るためオシロで送信機のアンテナから送信電波の波形を確認します。

各種のコマンド調べましたが、画像は前進時の波形で問題なくプロトコルも正常です。

ここで送信機は白と判明しました。

念のため、送信機で検証用の受信基板で正常に受信できていることは別途確認しておきます。

さて、受信基板を眺めます。

狭いスペースに1枚の基板のみあります。

前進後退と左折右折の制御を行っています。

超再生の検波回路とIC 1チップのみの回路構成です。刻印をみるとMX1208RX2でMX1208というモータードライバICにRX2の機能を集約したのでしょうね。

ではまず、検波回路の波形を確認しますが、ICのアンプ出力端子を探します。

RX2の推奨回路はネットで検索すると直ぐ仕様書が出てくるので、その回路を基に基板の回路を見比べVO端子を探し当てます。

まま大変でしたがVO端子は、5pinでした。

この5ピンにリード線を付けて波形をオシロで確認します。

おおお、正常に受信されたコマンドが増幅されてICのVOから出力されております。

この時点でIC内のアンプ回路までの経路ではコマンドが届いていることになります。

この先が機能していないようです。

1チップ化されているので、内部配線か何かの故障でデコード回路の出力がモータードライバに伝播していないようです。もちろんですが、モーター出力はどんなことしてもうんともすんともです。

簡素な回路なのでここまで調べればIC故障と判断してもよさそうですね。

もちろんですが、前述の通り、MX1208RX2チップ単体は流通していないさそうなので、代替え案を検討します。

マイコンとモータードライバで検波以外の回路を換装しようかと思ったのですが、このラジコン筐体のスペースがこの基板サイズぴったりギリギリで設計されているんですよね。

なので、現状の基板以外の部品を追加で取り付けることがほぼ不可能です。

手持ちの受信基板はサイズはやや大きく基板加工でもしないとハマりません。

うーん、困った。2cm * 4cmの基板サイズで丸ごと作り直すのか思案していたら、ふと、そういえば、検証基板を購入した際もいろいろな基板も販売されていたなと思いだしました。

そうです。

この基板もこのまま売っているのです。

しかも、換装した際の部品や資材代の総額よりも安く済んでしまいます。

国内の通販サイトでは高めですが、Aliexpressでは250円程で購入できました。しかも送信機セットです。なので、受信機基板単体では、125円程かと。

マイコン+モータードライバ換装だと、配線材やユニバーサル基板など含めても総額が超えてしまうでしょうね。※故障したICを調べていると、同じ実装済み基板がヒットしたりします。しかも、IC個別の価格よりも安かったりします。何かもうあマイコンで換装するということはコストが高くなる可能性があるのでしょうね。

外形もネジ穴位置も同じです。ただリビジョンが更新されており実装部品の一部が更新されております。モーターの極性は、あらかじめテスターなりで確認しておくと動作確認で、『あら?逆に付けていた』なんてこともなく済ませることができます。