ご自宅にあったゼンマイ式のオルゴールメリー修理のご依頼がありました。
主様も詳しい使用方法も分からないまま取り出し取り付けようと試みたがオルゴールも回らずでお困りとのことでした。
本体を吊り下げ下部にぶら下がっている紐を引くとゼンマイが巻かれオルゴールが鳴るという代物でした。
届いて直ぐ紐を引いてみると、回ったり何かに引っかかっているような感じで手で回してあげると勢い良く回ったりと動作がおかしいです。
吊り下げるフックも取れてしまったようで、主様で代用のリングを金具で差し込んでいたようです。
固定はセロテープで貼りつけているような感じです。
では分解して内部の不具合を解析します。
メリー本体は、カバーが画像の黄色いラインで接着固定されております。
当初はカッターナイフで切り開こうかと思っていたのですが、抉るだけで開くことが分かったので慎重に抉って開きます。強引に抉ると引き裂かれますので注意が必要です。
原因はすぐ分かりました。
主様で固定用に挿し込んだフックの金具が本体内部のオルゴールの軸のギアに噛み込んでおり回転できなくなっておりました。ということは、この金具は何かの流用品ということだったようです。
この金具を取り外すことで無事オルゴールが鳴りました。
では、このフックを修理することにします。
フックが刺さっていた穴はM3サイズでしたので、手持ちのM3のネジとナットで針金の輪っかを固定して吊り下げてみました。
NGでした。
このオルゴールは、吊り下げて飾りを回転させるための、それ相応のパワーがありました。
飾りを吊り下げた状態で回転させると飾りの重さによる抵抗の反動で、オルゴール本体が逆回転方向に力が掛かります。
そうです。
M3のネジが緩む方向に回ってしまい最悪落下してしまいます。
より強固に固定できる方法を模索します。
M3の穴があるので、付下げようのM3のネジが切られたフックを固定することにします。
画像のようなフックを代わりに取り付けます。
ですが、本体側の固定はどうすか悩みます。
小手先の固定方法では、オルゴールの反動ですぐ緩んで落下してしまいます。
そこで、1mm厚の銅板にM3のナットを溶接し底にねじ込んでみます。
ネジ込むだけでは心配なので、ダブルナットで本体を両側からねじ込み強固に固定します。
さらに、ネジには、ロックタイト648の嫌気系のはめ合い用の接着剤で固定しまいます。
ここまでやれば大丈夫でしょう。
M3のフックは、内部のオルゴールに干渉しないように8mmの長さにします。
鉄製なので半田で固定します。金属同士なのですが、温度は、400℃程度まで上げます。
この銅板を本体上部のRに沿うように曲げて弾性のエポキシで接着固定します。
このメリーの本体は厚紙製なんですよね。
フック側にもナットを入れておき、この厚紙を両側から締め上げ固定します。
固定は流石はめ合い用の接着剤なので強固でした。
いい感じですね。
オルゴールの応力にも負けずに固定できております。
外したカバーを再度接着固定して修理完了です。