ウルトラマンネクサス エボルトラスター 不具合現象原因解析

エボルトラスター

ウルトラマンネクサス エボルトラスター 不具合現象原因解析


無事に動作確認出来、元通りの状態に戻っており、非常に満足しております。

また、電池の容量不足という、そもそも修理に出すようなものでもないトラブルにも関わらず丁寧に対応いただき大変感謝しております。

非常にご丁寧な対応と連日に渡り動画もお送りいただきこちらも状況がつぶさにわかりましたので、大変わかりやすかったです。

~依頼者様のご感想より~

ウルトラマンネクサスの多分アイテムと思われます、エボルトラスターという商品の修理依頼がありました。

さて、このエボルトラスターとは、ウルトラマンのベータカプセルのような変身用のアイテムなのか、はたまた攻撃用の武器なのかは分かりませんが、たいへん人気のある商品のようです。

因みに、この商品は中国で販売されている中国版の商品のようですが、YouTubeに動作状況をアップされている方も居られます。

さて、今回の不具合の症状とは、効果音と電飾の動作がどうもオカシイとのことです。

症状を動画で見せていただいたのですが、動作中に再起動を繰り返しているかのようです。

不具合動作

指が太くてスイッチをONにできません。( ̄▽ ̄;

LEDの電飾も暗く、効果音も途中で繰り返しているのか、発振しているのかという感じですね。

この手の効果音の不具合は、電源起因の再起動の線が強いです。

早速電池の容量をチェックしましょう。

ハンディテスターで容量を確認します。

電池容量

やはり!一個のボタン電池の容量が半分になっており、これがどうも原因で効果音とLEDの電飾が一斉に稼働した際に、起動電流が大量にながれ電圧降下が起こりシステムICが再起動してしまったのでしょうね。

ということで、別のボタン電池で動作確認をしてみます。

新電池稼働確認

おおお!

全然違うではありませんか!

電池ですね、原因だ。

ということで、今回はボタン電池の電圧低下が原因でした!めでたしめでたし、、、。

と、問屋はそうは簡単に卸しません!

だって、依頼者様は、新品のボタン電池を入れて発送したってことなのです。

また、追加情報として、依頼者様のところで不具合を観測した際は、別のボタン電池だったそうです。依頼に際し新品のボタン電池を用意してくださったそうです。

これって、黙って見過ごせん。

はっきり原因を解析しないと、実は他の原因だったのかもしれないのです。

おもちゃ病院あるあるで、依頼者様のお手元にお返しした時に何故か再発してしまう事態になります。

ここで疑問を整理します。

新品のボタン電池なのに、輸送中に何で1個のボタン電池が、約半分にまで電圧が減ってしまったのか?

実は、送付いただいた際の梱包の状態を確認します。

電池の梱包状態

ジッパーの付いたビニール袋に裸でボタン電池が入れられています。画像の状態であれば、プラス極同士が接してはいますが、これといった不具合は起きないです。

ですが、この状態は、画像撮影のために揃えただけであって、実は届いた際は、ボタン電池の極性は絶縁処理されておらず、例えば、隣のボタン電池のプラス極とマイナス極が、ボタン電池の極に接しショートが発生していたらどうでしょうか?

前述のボタン電池画像の2番目のボタン電池のプラス極が、3番目のボタン電池のプラス極とマイナス極をショートさせ過電流を流し続けていたら、どうでしょう?

3番目のボタン電池の容量が熱に変わり電流が流れ続け次第に電圧も低下します。

これが、恐らく今回の症状の原因だったかと推測されます。

では、依頼者様のところで起きた不具合の原因は何だったのかというと、これも恐らく依頼者様のお手元にあるボタン電池も電圧が低くなっていると予想されます。

こればかりは、調べようがありませんが、電池チェッカーをお譲りすることで今後は、電池の容量を自身で確認できるようになりました。

1次報告として、依頼者様へ以上を報告し、さて返送の準備をしようかとしておりました。

依頼者様が、電池チェッカーをご希望とのことで、電圧の測り方を撮影しようかと測ったところで事件は起きました。

びっくりです。

ボタン電池計測

電池チェッカーでボタン電池の容量を測ると、なんと!

低下していた電圧が、復帰しているのです。

先の計測から約6時間間が開いています。

ボタン電池容量際計測

なんと!完全に新品ではありませんが、約半分にまで落ち込んでいた容量が、かなり復活しています。

緑領域

これも考察をせねばなりません。

当初の動作確認は、届いて直ぐの稼働確認だったのですが、実はプラスマイナスのショートが継続して起こっており、その直後位に動作確認をしたのではないかと推測しています。

また、実は北日本は、寒波が引き続き到来しており、当日も-5℃の中を荷物が保管されていたのも手伝って起電力もかなり落ちていたと思われます。

もうここまでボタン電池の電圧が復活してしまうと、もう正常に稼働し先の再起動を繰り返すような症状は発生しないと思われます。

電池復活稼働テスト

ほら、もう不具合は起きないです。

だって、電圧が正常なんだもん。

もう仕方ないので、この状態で原因はボタン電池の容量低下として返送してしまうのは、絶対だめです。

安易に片づけてなりません。

ボタン電池での再現ができないのであれば、安定化電源で再現実験をして確証をとります。

電流は、300mAまでリミットを掛けておいて、電圧を4.5Vから徐々に低下させてみます。

300mAのリミットなので、電流容量は十分ですが、2.0Vを切ったあたりから起動できなくなり再起動を繰り返しはじめました。

起動音が、前述の電圧が落ちた際に似たような再起動を繰り返す音になっております。

電池の容量低下で、起動不良=再起動を繰り返す現象は、ほぼ間違いないですね!

ここまでやってやっと安心して返送できそうです。

ボタン電池を梱包する際は、絶縁処理をしましょうという点と、おもちゃに挿入する電池は、容量低下を計測できるよう電池チェッカーを準備しましょうという2点となります。

ダメ押しで引き続き二日間このボタン電池で同じ同確認を行い問題ありませんでした。