トーキング ウッディ ヒューズ切れ修理
タカラトミー製のトーキング ウッディです。
日本語と英語を切り替えることができるバージョンとなります。
背中の紐が取れてしまい、依頼者様自身で修理に挑んだそうなのですが発声できずということでご依頼がありました。
他の依頼案件では、引っ張った紐が戻らないケースが多く、その多くがボビンを巻き取るバネが破損したためです。
今回は、巻き取ることはできるのですが声が出ないということなので、早速ですが拝見しましょう。
実は、本体は既に外された状態で届きましたので、この状態で故障診断をします。
電池ボックスの電池を抜きますが、同封された乾電池はアルカリ乾電池で、電池ボックスに収められていた電池は、パナソニック製のエネループでした。
これ故障解析のために覚えておいてください。
因みに首側から覗くとこのようになっており紐巻きもできています。
ですが、電池ボックスの蓋のネジが開きません。
通常は、ネジを回すと蓋ごと外せるのですが内部のナットも一緒にクルクル回っています。
しかもネジの溝も潰れかけています。
仕方ないので本体をカパッと開いて外します。
まぁまぁ溝が削れて潰れていましたね。
この蓋を締める用途のネジはネジ山が途中まで切ってあり、山の無い部分はちょうど蓋の厚さ分ありくるくる空転するためのものです。
目視上、山に問題無さそうなのですが、恐らく主様が占める際に山がズレたまま強引にネットにねじ込んでしまい先端のネジ山が広がりナットに変に噛み込むようになったいたようです。
この状態でネジを回してしまったので、本体のナット受けの方にも削れが生じております。
ネジに噛んだままのナットがここでくるくる回っていました。
こうなるとネジを交換してもナット側がくるくる回ってしまうので、ナットを接着剤で固定します。六角形のネット受けが削れていますが、六角形の形こそ保っておりますので、弾性のエポキシ接着剤でナットがくるくるしない程度で固定します。
後の祭りでもあるのですが、次回同様のケースではプラリペアを充填して固定しようと思います。多分その方がより強度があるような気がします。
さて、ネットの抑えはこのようにして山の削れたネジも交換します。
M2.6 * 6mmのなべネジです。
通常のネジに交換すると蓋を開ける際にくるくる回し過ぎるとネジが外れてしますので、その点は依頼主様に注意事項といいうことでお伝えしておきました。
さて、電池ボックスの蓋はこれで良しです。
次に通電し動作確認をします。
紐を引っ張ってもうんともすんともです。
バネのスイッチの接点がうまく接触していない可能性もあるので、紐で引っ張るのではなくクリップの導線でバネスイッチの両極を短絡させて確認します。
これでもうんともすんともです。
と、電池ボックスを除くとアキシャルのヒューズが目に付きます。
おおお!
恐らくこれが切れたためでしょうかね???
とー!
そうだ、元々電池ボックスに収められていた電池はニッケル水素の充電池でした。
そうです!
玩具メーカー様も充電池は使用しないでくださいと銘打っているのは、このためでした。
900mA以上の大電流を流せるニッケル水素の充電池は、電子回路を破損してしまう危険性があるので、アルカリ乾電池の使用を推奨しております。
今回は、保安部品であるヒューズが切れたことで発声しなくなっていたと推測されます。
やはり切れていました。
外部電源で直接印加すると無事発声しだしましたので、発声しない主因はこのヒューズ切れでしょう。
バネもバネスイッチも無事なので電池ボックス蓋のネジ交換とナット固定、ヒューズの交換で修理できそうです。
発声動作時の実測の電流量は、目視で約25mAです。
デジタルマルチメータなので、サンプリングの誤差や起動電流を考慮し500mAのヒューズとしました。ポリスイッチも検討しましたがスペース的に無理でした。
というか、アキシャル型のヒューズの入手性が悪く500mA以下で容易に入手できる経路が探せませんでした。
以前、たまごっちの修理の際も、この点宿題にしていたのですが今だ解決できずでした。
ではでは、ヒューズを交換し動作確認をしますが、ウッディは首のはめ込みがまぁまぁ大変なんですよね。
首のはめ込み部がむき出しになるように洋服もたくし上げます。
やっと入ったところでネジを絞めます。
次に紐の輪っか部に接着してある紐と解き洋服の穴に通します。
輪っかには一旦縛られてはおりますが、瞬間系の接着剤で固められているので、アセトンで湿らせ解きます。
これで組み立て完了です。
大丈夫ですね。これにて完了となります。
診断も素早く説明も丁寧で、ここに依頼して本当に良かったと思いました。 息子も大喜びです。
~依頼者様のご感想より~