本修理で使用している金属プレートですが、CADのイニシャルデータを作成しましたので、ご自身で修理できる方で、この金属プレートのみが欲しいという方は、通信販売のコーナーで受注制作の受け付けをしております。問い合わせフォームの通信販売にてご連絡ください。
CSM ディケイドライバー Ver2での故障あるあるのようなのですが、バックル開閉時の衝撃で軸部分が破損してしまったそうです。
破損してしまうと破損した側を開いても本体が回転しなくなってしまうという不具合となります。
お聞きすると以前までは有志の方が、補修パーツをインターネットで販売されておられたようですが、現在のその供給も停止しておられるようでということで、当医院に修理に依頼がありました。
このバックルを左右に引くとアーム部の先にある軸が中央の回転体を左右に引きたり閉じたりという回転させるというメカニズムです。
で、この開閉時の衝撃がすんごくてプラスチック製のアームの先に圧入されているアルミ製の軸の周辺にひびが入り破損します。
まずは、このように軸周辺にひびが入ります。
進行すると完全に破損します。
今回の依頼では、既に片方のアームの軸は破損しており、逆側のアームは、ひびが入っており破損するのも時間の問題という状態でした。
依頼者様において、完全に破損した側を接着剤で固定したのだが、衝撃ですぐにまた破損してしまうという事態でした。
後述の動画のように、開閉時の衝撃がかなりなので、破損した部品の接着では補修は不可能です。
さて、本症状は、CSM ディケイドライバーVer2では、よくある破損のようです。
そこで、当医院の修理においても、有志の方が販売されておられた同じような金属製のプレートを用意して強固に補強して修理することにしました。
実物から採寸しCAD図面に起こします。
コピー紙に1/1で印刷し切り抜き、破損部分にあてがい検証します。
数度のトライ&エラーで寸法出しができました。
綺麗に補強金属プレートも出来上がりました。
では、軸を圧入してはめ込みの合わせをします。
破損部を削ります。
また、はめ込みの周囲も若干の合わせ込みが必要なのでルーターで筐体側を整えながら合わせていきます。
コーナーの納まりが悪いのでルーターで削り拡張します。
また底面のL/R文字も削りフラットにします。
ピタッと治まるようにします。
良い感じです。
ただ、軸の固定方法に一考が必要でした。
まず、補強で設置した金属プレートは、母体の厚み対し偏った位置に張り付けるため軸の位置決めに注意が必要です。
また、アルミの軸径で穴をあけたのですが、ローレット部を圧入してもぐらぐらします。
まぁ、板厚から圧入のみで固定するのは少し無理がありますし、ローレットがアルミなので、そりゃ潰れます。
アルミ軸なので溶接もできませんので、金属同士を強固にくっつけるメタルロックで固定します。
ただ、後学のためですが、この軸の垂直だしが難しいです。
中央の回転体への軸はめ込みで垂直が出ていないとはめ込みができなくなります。
接着固定する場合は、垂直だしできる治具などを用意しないといけません。
この軸の垂直出しが大事です。
この開閉時の衝撃で軸が圧入されていた箇所でひびが入り破損するでしょうね。
以下の開閉動作確認からも、ガッシャン、ガッシャンとすごい衝撃なので、単純な接着ではむりなんでしょうね。
両側同時、右側のみ、左側のみでの稼働問題なさそうですが、元々の稼働時のスムーズさをよく知らないので、依頼者様には現状で了承をいただくことをお願いしました。