オウム返しをするぬいぐるみです。
各社からいろいろなキャラクターで販売され、本体はどれも同じ筐体がOEM供給されていますね。
今回の依頼は、発声の音声に反応し、上下運動をするが、オウム返しの音声が出ていないということです。
スピーカーか導線の断線かと推測し診断を開始しました。
底面の結束バンドを外すと本体を取れ外せます。今回は、既に依頼者様側でぬいぐるみは脱がされておりましたので、新品の結束バンドははめておきます。
本体は、いつもの見るやつです。
構成もいたってシンプルで、基板に電池ボックスからの導線とスピーカー、マイクにモーターが繋がっています。
モーターは、モータードライバでドライブ制御されており、各チップ抵抗とパスコンがあります。
電源スイッチには、基板裏面に実装されている電解コン用のディスチャージ抵抗がGND側に付いており、さらにポリスイッチも付いています。
ポリスイッチはできれば、電池ボックスの渡り電極間が良かったですが、電池ボックスの電極の仕様で渡り配線に仕込めなかったようです。
既にマイクの音声に反応しているということは判明しているので、ささッとスピーカーのチェックと導線の導通を確認します。
DCで計測してもおおよそ8Ωをさします。ボイスコイルは無事のようです。
スピーカー導線も断線がありません。
( ,,`・ω・´)ンンン?
予想が外れましてね。
では、オシロでスピーカーの出力をモニターします。
COBパッケージから直で両端子ともドライブされているのでBTL構成のようです。
オシロで反応させた際の挙動をみると、通常時は若干の揺らぎがありますが、マイクの反応があるとGNDに綺麗にピタッと貼り付きます。
何か反応はしておりますが、出力信号らしきものはありません。
IC内部の音声ドライバーは反応していそうですが、まとも出力できていません。
単純なワイヤーボンディングの断線ではなく、どうもICのIOセルの故障のようです。
多分IOセル内のプルアップかプルダウンの制御が故障していそうです。
ここまでの解析で基板上COB内のIC故障(IOセル)と結論付けました。
さてさて、ものまねぬいぐるみは、前述のとおりいろいろな代物が、たくさん市場に出ています。
Aliexpressでもハムスターやサメなど、OEM供給された本体に多種多様のぬいぐるみを被せて販売されています。
しかも、激安です。
数百円でぬいぐるみも購入できます。
また、実装された基板のみも販売されており、これも数百円です。
もう、ぬいぐるみも基板も同じような値段帯で売っています。
この手の機能であれば、大好きな8pinの1チップマイコンと低容量のフラッシュメモリか容量の大きいFlashを積んだマイコンで、周辺回路にADCとPWMがあれば、同じものを作れてしまいます。音質も8pinの256諧調でもいいです。
マイクで拾った音声をADでサンプリングしPWMで再生できるように変換しフラッシュに書き込み、おおよそ数秒後にサンプリング周期を速めにしてPWMで音声を再生させてあげればいいです。音質を求めないのであれば、これでOK牧場です。
ですが、換装できる基板が数百円であれば、もろもろの機能を実装した基板を作成するより、コストがずっーっと抑えることができます。
左が以前に購入したオウム返し基板です。送料込みでも200円程です。
基板サイズもネジ穴の位置も同じ規格サイズで、ほぼポン付けで換装できます。
ほらぴったりです。
その他にギアボックスのモーターのピニオンギアも割れていましたので交換します。
結束バンドで底面を留めて修理完了です。
カラスにお名前も付いており、今回無事に修理もできましたので、楽しんでもらえればいいですね。
このたびはすぐに治療していただきありがとうございます。
親切に動画まで送っていただきありがとうございます。
元気に治って妻とともに喜んでます。
2人と1羽で車で出かけてました。あっちこっちに一緒に行っていたので思い入れがありました。
無事に退院できたのもDr瀧下さんのおかげです。
感謝しております。ありがとうございました🙇♂️
~依頼者様のご感想より~