アンパンマンおしゃべりいっぱいことばずかんプレミアム イメージセンサー故障修理不可
アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんシリーズは、今まで多くの修理を行ってきましたが、最新版のプレミアム版の修理依頼がありました。
愛知県の地域のおもちゃ病院からの転院の申し出があり、持ち主様に別途当医院を紹介していただき診断をすることになりました。
絵本の絵柄への反応がないという症状にて、赤外線LEDの点灯確認までは。地域のおもちゃ病院のドクター様が確認をなされ、以後を引き受けることになりました。
プレミアム版は、多言語対応以外にもマイクを実装しお子様の声を録音できたりと、機能アップが図られております。
電源投入後、起動音が正常になり言語切替も無事発声します。また、以前に録音されたお子様の声もボタンを押下すると流れました。
では、診断をします。
ネジは、SuperDX版と同じ三角ネジです。横にリセットボタンが付きましたよ。
ペン先のモジュールとは、SuperDX版と同じ4芯のフラットケーブルで接続されており、信号は、画像の左から、GND, SDA, SCK, Vccとなります。
信号の規格もSuperDXからの仕様と踏襲しているようですね。
さて、前任のドクター様で既に赤外線LEDのチェックはされておられるとのことでした。
点滅制御もなされているので、ペン先の画処理ICは起動していそうです。
では、ケーブルの信号が絵柄に対して反応しているのか確認します。
SCKとSDAを観測します。
SCKは、GNDに貼り付き、SDAはHiのままですね。
SCKのクロックに同期し、SDAが駆動されSCKのエッジでキャプチャーするという、まぁ取り分け特異が使用でもないですね。
さてさて、信号が貼り付いていますが、絵本の絵柄に対してはどうでしょうか。
SuperDX版ですが、絵柄に反応するとSCkがクロックしデータが転送されますが、全くのうんともすんともです。
絵柄に反応しませんね。
念のため、入光口に何か詰まっていないか確認しましたが、筒の奥にレンズの入光口が無事見えています。
ペン先には、イメージセンサーと画処理ICが基板に実装されております。赤外線LEDも制御できていそうなので、イメージセンサー側の故障の線が強そうですね。
ですが、SDAがHiに貼り付いているので、何からの動きはあったようです。
故障原因の切り分けのためペン先をフラットケーブルから外してみます。
するとどうでしょう、起動すらしなくなりました。
なるほど、メイン基板に実装されているnuvoton製の制御ICは、ペン先がつながっていることを起動時に認識していそうですね。
では、接続を元に戻し電源投入直後のハンドシェイクの波形を観察します。
1ch側:SCK
2ch側:SDA
これだけでは何とも言えませんが、Vccが印加されると、恐らくペン先の画処理ICから何かしらのIDを送出しており、そのIDを基板側のICで受診して起動するといった流れのようです。
ここまでまとめると、起動時にハンドシェイクが行われメイン基板の制御ICと通信はできているが、その後絵柄を近づけても信号に変化は起きます。
起動時のハンドシェイクはできるが、その他の機能が故障するような事態は考えにくいので、イメージセンサー側で画像と取り込めなくなっており、起動はするが、絵本にタッチしないままのような状態が続いているのでしょう。
メイン基板やペン先の基板なども目視確認を行い、ダメ元でICの足を再半田したり、フラックスクリーナーで綺麗にしたりとやってみましたが、いづれも改善しませんでした。
イメージセンサーの故障も多くはないとしても、相手は半導体なので、ショックやランダム性の故障もありえます。
おもちゃ病院での診断は、以上が限界点と判断し今回は修理不可能とさせていただきました。