トーマスの目覚まし時計 基板腐食修理不可

機関車トーマスの目覚まし時計の修理依頼がありました。

時計も目覚まし機能のどちらも故障していて断線もあるということでの依頼でした。

経年劣化などで断線起因かと思い診断を開始しましたが、残念ながら修理不可能でした。

電池ボックスの蓋を開けてみると、乾電池からの液漏れ痕を電極の腐食が分かります。

このレベルでの液漏れであれば挿入してあった乾電池の液漏れの粉まみれであったかと思います。既に断線ということもお聞きしていたのですが、断線も液漏れのよる導線の腐食起因でしょうね。

スピーカーの断線や電池ボックス負極の断線が出ています。

幸いスピーカーは無事でした。

この目覚まし時計は、時計のムーブメントと目覚まし時の音楽の演奏は別々の基板で実装されております。

目覚まし時計のムーブメントを分解したことあれば、ご存知かと思いますが、目覚まし時計のムーブメントには時計の目覚まし時のスイッチ機能が付いています。

通常時はGNDに接地されているのですが、設定の目覚ましの時間になると接点が切れて接地が解除されます。

その端子が、時計のムーブメントから出ており、目覚ましの音楽を鳴らす基板に接続されております

こちらへの導線にも電池ボックスからの腐食が導線から伝い腐食が広がっております。

ということは、時計のムーブメントも危険です。

予想通りでした。

時計のムーブメントの端子にも腐食が広がっております。

というか、基板の配線も全滅です。

液漏れ恐るべし!!

ムーブメントの基板の腐食がかなり酷く修復不可能なレベルです。

盛り上がったレジストや半田の腐食を綺麗にしてもあちこちで配線が剥がれます。

しかも、COB内のICから出ている配線もレジストとの界面で断線が生じているという始末です。

これはもう致命的な症状があちこちで起きています。

最終的な判断を確認するため、時計のムーブメントの状況を確認します。

時計のムーブメントが修理できなければその他を修理できても最終的には修理不可能となりますからね。

では、時計のムーブメントを確認します。

時計のムーブメントは、単三乾電池1本で可動できるように1本分の電池ボックスのムーブメント内に用意されているのですが、前述の目覚まし時の音楽の演奏機能も実装するので、外付けの電池ボックス側に電極の配線が引き出され配線されておりました。

肝心の基板の状態は、、、、

配線はもう全滅状態です。

秒針だけでも動かうか確認するため、1.5Vの電源ラインを探し出し断線した箇所のレジストを剥がしリード線で引き出し給電してみます。

とりあえず、クリスタル32.768kHzも交換はしておきます。

※因みに、皆さんなぜ時計系のクリスタルに32.768kHzのクリスタルが使われているのか分かります?答えは、32768Hzを1/2逓倍していくと秒になるからですね。

方々への腐食の伝搬が酷く、秒針を刻むコイルの端子もボロボロです。

何とかVccとGND位置を割り出しレジストを剥ぎ端子を半田付けし給電します。

また、コイルの接点も腐食でボロボロなので導線で接続します。

オシロでコイルに印加されているパルスを確認すると、秒針を刻むパルスが出てきました。

ICは何かしら動き出しました。

ですが、黄色丸枠の秒針のギアが回転しません。

コイルの鉄心の磁極が変化しギアに取り付けてある円筒の磁石が1秒1秒刻むのですが、うんともすんともです。

パルスが出ているのに、ギアが回転しない原因は、そもそも磁石のギアの磁力が変化してしまったとかコイルの断線でしょうかね。

いづれにしても基板の腐食の補修がそもそも難しいので時計のムーブメントの修理は不可能であるので最終的な判断として修理不可能としました。

今回は液漏れした乾電池からの腐食が導線を伝い基板をダメにする事態でした。

やはり長期間保管時の乾電池の抜き取りは徹底が必要とあらためて感じました。