東芝 HDDレコーダー D-BZ510 電源修理 おもちゃ修理ではありませんが、とある方から東芝製のHDDレコーダーの修理のお願いがありました。
今回は、その紹介記事となります。
便利な世の中になり、インターネットでたくさんの情報が入手できます。
今回の東芝製 HDDレコーダー D-BZ510の不具合に関してもネットには、多くの故障症状と修理方法が紹介をされております。
自分もかなりお世話になっておりますので、その一助になればと思います。
まず、2011年製ということもあり、メーカーでの修理受け付けは終了しておりますので、ご自身で修理をするか、家電専門の業者などへご依頼する手しかありません。また、オークションやフリマサイトでも、修理完了品が出品されております。
HDDなしの修理品も格安で出品されておりました。つまり、HDD以外の故障の場合、最悪その修理品を入手してHDDを換装してしまえば、ことは済んでしまうということです。
さて、今回のご相談は、お子様用に録画した番組を救出できないかというご要望とできれば元通りに稼働できればという優先順位でした。もちろんですが、HDDのデータを扱うため、修理作業に伴いデータの救出はもちろんですが、機種も復活できなくなるリスクも全て許容の上で依頼を受け付けました。
実機は、電源ボタンを押してもうんともすんともです。
早速ですが、事前の情報収集です。
・故障の症状・・・電源が入らない
・修理の目標レベル・・・HDDのデータ救出と機種の正常可動
ネットで検索すると、まぁーたくさんの修理事例が出てきます。
本機は、船井製のOEM品ということもあるのか、東芝メーカー以外のメーカー様でも多数に販売されたのでしょう。
電源が入らない症状以外にもWAIT表示から進まないという事例がほとんどです。恐らくは、同じ部品に関連した事象のようでした。
電源が入らない原因ですが、物理的な部品の破損の他にもケーブルやヒューズの断線もあります。
早速開封し目視確認しますが、念のため大事なHDDは、電源とSATAケーブルを外しておきます。
目視上は、特に問題はありませんでした。
電源基板上のレギュレーターなども無事です。ケーブルの断線もなさそうです。
で、ここでネットでの情報を整理します。
どうも電源が入らないという症状とWAITのまま進まない症状の原因は、どちらも電源基板にある3300uFの電解コンデンサの劣化が原因のようです。
恐らく、劣化が進行する程度によってどちらの事象になるか分かれるのでしょう。
電源基板を目視すると、2次側の平滑用の電解コンと分かるような位置にあり、シルクから、+15V, +5Vの2系統の電源をつくっていて、今回の3300uFは、+15V用の電解コンのようです。
タワーマンションのように立ち並ぶ3棟の電解コンデンサーが電源基板にあるのがすぐわかります。
電源系の不具合は、3300uFの電解コンが問題のようです。
明らかに膨らんで破裂でもして液漏れしてくれればはっきりするのですがね。。。
おもちゃの修理であれば、時間の余裕もあり回路を探ってみるのですが、今回は少し急ぐので電解コンで交換し改善の有無を確認します。
因みに、お隣さんの2200uFも交換しておきたいのですが、手持ち2200uFの電解コンの耐圧のある部品を持ち合わせておらず、今回は、3300uFのみとします。
実は、ネットで検索すると、HDDの容量アップ記事もあり、ご依頼者に相談をしたところ、録画番組を見終えたところか、メディアに焼き終わったところで、改めてHDDの容量アップに挑戦します。
基板のベタ面が広く普段の半田作業以上にあたためが必要でした。
無事交換を終えたところで、組みなおし確認します。
無事起動しました。
録画番組もばっちり観えています。
3300uFの電解コンですが、電源の整流時の平滑コンデンサーでしたが、電源回路については、こちらのサイトやこちらのサイト、こちらのサイトで詳しく回路と動作が紹介されております。
さて、次回は、HDDを1TBに換装します。→ 電源回路には、その他の不安材料が多く換装はお勧めしません。
本記事をご覧になられた別の方からの修理のご依頼記事もありました。
2023.3.9(木) 後日談1
その2年後、別箇所の電源回路の故障で、同機の修理の依頼があったので、回路を調べてみました。
3300uFは、2次側の+15V用平滑コンデンサーで、2200uFは、+5V用の平滑コンデンサーでした。どちらも2次側の電解コンデンサーでした。
因みに、1次側は、470uF 200Vのデカい電解コンデンサーが付いています。
さて、前述の電解コンデンサーを交換し、その後2年程無事ご使用になられておられたとのことでしたが、ある時電源が入らなくなったそうです。
平滑用の電解コンデンサーは、整流後に減圧された電源用のパスコン&平滑機能を担っておりますが、このコンデンサーには問題はありませんでした。
では、今回は、どの回路部分に問題が出ているかを回路を調べながら調査しました。
似た回路は、ネットに沢山ありますので、皆さんも調べてみてください。
流れとしては、ざっくり商用AC電源→ブリッジ整流→1次電解コン→変圧用トランス→2次電解コンで、1次側には、富士電機製の5640で、MOSFETでスイッチング制御されております。 こちらが参考になります。
で、フォトカプラもMOSFETも基板から外し単体で調べましたが大丈夫でした。
1次側にも、DC 150V程給電されております。
ですが、2次側に、誘導された電圧がまったく上がっておりません。
1次側の制御回路を調べます。
電源制御IC 5640のVccは上がっているのですが、Outからのスイッチ制御信号が出ていませんでした。オシロで見てみてもGNDに落ちたままです。
2次側からの変圧後の電圧をモニターしながらスイッチ制御するはずなのですが、1次側が、150V程まで上がったままです。
5640が故障して全く制御できていないため、2次側の過電圧保護が働いている可能性もあります。5640の電源制御IC故障という新たな故障も起きてしまっているようです。
本機は、動作中に突然電源が落ちたりや、ブルーレイディスクにダビング開始したとたん電源が落ちたりと、突入電流に対する電源設計が弱いような感じがします。
頻度の高い、Waitのまま起動できない故障で電解コンデンサーを交換しても、次々と新たな故障が出てくるような懸念も多いように思います。従いまして、3300uFの電解コンデンサーの交換は、一時的なHDDに保存されたデータの救出ためだけと割り切った方がいいです。
依頼者様も一時的に稼働し始めたので、安心しきってしまい、大事な保存データのダビングを後回しにされていたそうです。
その数年後に修理不可能という事態になってしまったので、ご覧の皆様もくれぐれもご注意ください。
因みに、自分は、平滑用電解コンデンサーとは違う、電源が全く入らない同じような故障を2機種で経験しております。どちらもHDDの必要な動画や番組のダビングを行い、本機は修理不可能としました。 以上、後日談1でした。
2023.5.21 後日談2
後日談の第二弾です。
後日談1で電源制御IC故障と結論づけておりましたが、その後、故障原因の解析で原因が判明しました。
5640とは、パワー半導体で有名の富士電機製のFA5640NというICです。
後日談1では、このIC不良と結論づけて代替え用のFa5640Nを入手して交換してみたのですが、まったく改善しません。 調べておりましたら、原因がはっきりし無事修理も完了し稼働しました。詳細は、こちらの修理記事に掲載紹介をしております。 以上、後日談2でした。