すみっコパッドの修理依頼がありました。
起動し液晶も無事描画できるのですが、タッチ操作ができないとのことです。
よくある、タッチパネルの割れではないそうです。
以前、マジカルスマートノートという商品でタッチパネルの割れは無いがタッチ操作がおかしいという依頼があり、その時はタッチパネルの故障でパネルの交換で修理できました。
タッチパネル自体の故障であればパネルの交換が必要になります。
では、診断を開始しましょう!
届いてすぐタッチ操作を確認しましたが、まったく無反応です。
まずは、タッチパネルの故障かどうかの切り分けをしましょう。
分解しFPCケーブルをコネクタから外します。
在庫の液晶とタッチパネルが引っ付いた液晶モジュールに交換してタッチ操作ができるか確認します。
あら!?
タッチ操作ができません。
これは、タッチパネルの故障ではなくタッチパネルからの信号を処理する処理系に問題ありそうです。
この抵抗式のタッチパネルは、4線式でタッチペンで画面を押すと各層間の抵抗値が変化し位置を認識します。
では、タッチパネルからの配線経路を確認します。
FPCケーブル上でタッチパネルの端子が半田付けされているので、そのポイントからの導通を確認します。
電解コンデンサーの固定シリコンのシールの下にタッチパネルの配線があります。
R38とR39の2線の配線はプルダウンされております。
いづれもVIAを介してICに直に入力されております。
基板上のチップ部品は、いづれも問題ありません。
タッチパネル上をタッチペン押し込むと、配線間の抵抗値が変化しますので、タッチパネルから入力信号は問題なさそうです。
チップ部品の半田付け部とQFP ICの該当の足も半田を溶かしなおししてみました。
当初は、電解コンデンサーを固定していたシリコンのシールが、チップ抵抗部品を壊していたのかもと思ったのですが、配線および回路にも問題ありません。
これらの信号が直にICに印加され制御処理されております。
IC内の処理系の不具合では、仕様書もない状況では修理が難しいです。
これ以上の解析もできませんので、依頼者と相談し基板の移植にて対応をすることになりました。
幸運なことに、ちょうどUSB給電基板の実装検査用の同じすみっコパッドがあるので、そのすみっコパッドから基板のみを移植します。
因みに、USB給電基板の実装検査には、タッチ操作する必要がなく、USBから給電起動さえすればよいです。
筐体のデートコードを確認すると、製造時期は、2ヶ月しか差がないので、そのまま移植できそうです。
基板のリビジョンも同じですね。
ただ、残念ながら、それまで撮影していた写真や集めたデータは移動できませんので、初期化が前提となります。では、ささっと組み立てて動作確認します。
今回は、基板の移植交換となってしまいましたが、またこれからもいっぱい遊んでもらえると思います。
迅速で丁寧なご対応に心より感謝申し上げます。
修理していただいたすみっコパッドを子どもに渡したところ、とても喜んで夢中になって遊んでおります。
おかげさまで、大切なおもちゃをこれからも大事に使い続けることができます。
また何かお世話になることがございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。
~依頼者のご感想より~