イワヤ製のぬいぐるみは、今まで多くを診てきました。
誤って踏んずけたり、腰を下ろして上に座ってしまったりで、だいたい足が骨折します。ほんと多いです。
骨折処置の多くはぬぐるみを剥いで骨接ぎをしますが、ぬいぐるみの剥ぎ取りと裁縫がなかなか面倒な作業なのです。非常に作業コストのかさむ商品です。
さて、今回のご依頼は、過去に骨折し地域のおもちゃドクターに骨接ぎを2本してもらったが、再度、その2本+新たに1本が骨折したそうです。
早速状況を確認しましょう。
三本の足が曲がるか完全に折れておりますし、なんと下顎も頭蓋骨と位置がずれてしまっております。
内部の状況を確認するため、ぬいぐるみを剥ぎます。頭蓋骨のはめ込みもあるので、縫い目に沿って切り開きます。
前回の修理の跡があります。骨折の箇所をアルミのカバーで覆い、さらに骨内部をパテで固め最後にネジで固定するという処置がなされております。前任のドクター様の処置になります。
残念ですが、再度骨折した際の衝撃で折角の修理箇所がボロボロに砕けてしまっております。さらに、ネジを緩めたか新たなネジを追加したかでネジが飛び出ております。
さらに、頭部を確認します。
頭が完全に取れており横にずれており、内部の骨格も割れて、一部のパーツもなくなっております。そのために首を縦に振る際に鳴る笛も鳴らなくなっております。
悲しいかなですが、ここまで破損が酷い場合は、修理はもうできません。安らかに眠りについてもらうことになろうかと思いますが、宅配おもちゃ病院では、そう簡単にはあきらめません。
骨接ぎにおいては、破損部分の再接着は面積が極小のため無理です。足を新たに作成するか新品と交換します。3Dプリンタで該当パーツを作成してもいいんでしょうけど、材質の問題で軟質に作成できません。これは、プラリペアも同様です。また、そもそも製品の形状設計や設備の問題もあります。頭蓋骨内部の破損も考えると、移植置き換えが、コスト的にも良いと判断しました。
実は、依頼時に市販がまだなされていることはお聞きしていたのですが、お子様が、たいへんお気に入りのぬいぐるみだそうなので、移殖で頑張ります!
ぬいぐるみのカバーを分離して本体を入れ替えるのですが、この本体の取り出しが、殊の外たいへんでした。ついでに、皮を揉み洗いもしておきます。
新品も同様に着ぐるみを外します。
因みに、ホットボンドで、下顎、上顎が強固に接着されているのですが、頭蓋骨をそのまま流用しはめ込めればと思ったのですが、微妙に設計変更されており、構造が異なっておりました。そのままのはめ込みができません。
ドライヤーで暖めながら少しづつ剥がしていきます。
はめこみは、剥ぎ取りの逆なのですが、上下の顎をきれいに接着するため、素早い作業が必要です。
無事着せ替えが完了できましたら、仕上げは、縫い合わせです。
お洗濯のおかげで真白にでき、動きも無事蘇生できました。なかなか大変な作業でしたが、お気に入りのぬいぐるみが復活したことで、お子様が喜んでくれたらと思います。
こんばんは、無事に猫ちゃん帰宅しました。元気になったマリリンとの再会、家族で大喜びしました。歩けなかった猫ちゃんが元気に歩く姿に感動しました。綺麗にお風呂に入れて頂けて、ふわふわ真っ白に!複雑な手術を引き受けてくださりありがとうございました、どこにお願いしても歩けずにもう寿命かなぁ…と諦めかけていましたが、瀧下さんにお預けして本当に良かったです。入院中もこまめに進行状況を教えてくださり、様子もわかり安心して猫ちゃんの帰りを待つことができました。診断書もご丁寧にありがとうございました^_^
~ご依頼者様のご感想より~