人感センサー 鳥の置物 修理

鳥の置物

人感センサー 鳥の置物 修理

タカラ製の鳥の置物なのですが、商品名が分からないので、鳥の置物ということにします。この商品は、人感センサーが付いており付近に近づくとさえずり音をスピーカーから流し、鳥本体も上下と首振りをします。

ご依頼者様から、電源を入れるとずーっと鳴き続ける時もあれば、鳴かない時もあって、スピーカーのボリュームをいじると鳴きだしたりと動作不安定だったそうです。

当医院に到着してから状況を確認したら、やはり電源を入れるとと鳴きっぱなしの状態でした。ボリュームをいじるも変化はありません。

次に、本体を分解しさらに解析を続けます。ですが、基板を本体から取り外した時点でなんと!人感センサーの動作が正常にになってしまいました。特段何か処置した訳でもないのですが、それ以降以前のような、鳴きっぱなしもしくは、鳴かないという症状にならなかったので、人感センサーについての不具合解析は終了することとしました。※基板間の導線の半田面が、他のリード線と接触していて、例えば人感センサーの反応側の信号が入りっぱなしになっていたのかもいうぐらいしか思いつきません。

人感センサーの不具合に区切りがついたので、次は鳥本体の方をみます。先の人感センサーの不具合があった際は、鳥の動作も一切していなかったのですが、人感センサーが復活した途端、モーターの駆動が戻りました。ですが、鳥自体の動作が以前していません。調べてみると、内蔵のピニオンギアが経年によって劣化し割れております。

ピニオンギア割れ
ピニオンギア割れ

飴色に変色し摘まむだけで粉々になってしまっています。また、このピニオンギアは、モーター側についているウォームギアから直接駆動を受ける機構になっており、溝の規格もサイズも専用でどう修理すべきか悩みます。

代替えギヤセット

そもそも使用されているモーターのシャフト径が、0.5mmと一般に入手しやすいギアが使えないという難題があります。できるかどうかわかりませんでしたが、ご依頼者様に許可を得てΦ=1.9mmの手持ちギアセットで何とか組み上げました。一番の難題は、モーターのシャフト径が、Φ=0.5mmのところ、Φ=1.9mmのウォームギアを接着剤で固定したところです。しかも、このシャフトの長さも2mm足らずで、接着できたとしても、その強度がどのくらいあるのかという点とまた、シャフト径に差があるので、ウォームギアの中心にうまく接着できるかという難題を可決する必要がありました。

恐らく、このレベルの難題は通常は、同じギアが無い限りは不可能なのでしょう。因みに、3Dプリンターでの製作は、ギアのモジュールが、小さすぎてコピーも製作も不可能ですね。外形サイズで出力して手作業で溝を切るようなことでもしないとまず無理でしょう。ということで、何とか無事人感センサーと鳥の動きまで修復できました。


昨日、退院してきた6個のおもちゃたちと無事に再会を果たすことができました。

新幹線、蒸気機関車、飛行機は、静態保存から復活を遂げた様に見違えり、 鳥の置物は、まるで魔法がかかった様にこれまで以上に 軽やかにさえずってくれるようになりました。

黒いSLと緑の新幹線、鳥の置物は特に思い出が強く大手術だった様で、 確かな技術で治療を行ってくださった滝下名医には感謝の気持ちでいっぱいです。 入院が長期に渡ってしまい、他の患者様をお待たせする形になってしまいすみません 。

また、初診時に当方が全盲視覚障がい者である旨をお話したところ、 カルテや部品代などの詳細を、本来は紙面で提示するところ、 読みやすいようにとテキストデータとしてメールに添付してお知らせしてくださった 先生のご配慮に大変感銘を受けました。

お忙しい中、終始とても丁寧に治療経過なども共有してくださり、 本当に本当にありがとうございました。

滝下名医に再び命を吹き込んでいただいたおもちゃたちを、 これからも大切にして遊んでいこうと思います。

コロナなどで大変な時期ですが、どうかこれからもお身体をご慈愛くださり、 ご活躍されることをお祈りいたします。

~ご依頼者様のご感想より~