ベネッセ よみきかせ えいご えほん タッチペン 修理不可
アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんのように絵本の絵柄にペンでタッチして音声で読み上げてもらう教材となります。
ある日突然、プツンと読み込みがしなくなったそうです。では、状況を確認します。
起動音の『レッツ、エンジョイ ザ ストーリーブック』の起動音は正常のようですが、絵柄へのタッチの反応がありません。開封してみます。
おしゃべりいっぱいことばずかんのタッチペンのように基板上に制御ICとペン先に画像認識用のイメージセンサーのモジュールが搭載されております。
OIDのデコーダーは、48ピンのお馴染みのSONiX製ですが、型番まで控えるのを忘れていました。まず、基板上の液漏れ腐食や断線などの目視レベルでの不具合を確認しますが、これといった不具合はありませんでしたが、ぱっと見変色している部品があります。
後でわかったのですが、インダクタでした。一応壊れていないかのチェックのみ行います。
と、ここで思いもよらぬ事態に遭遇します。当初、このインダクタは電源用のパスコンと思い込み、おや?パスコンなのに導通成分があるぞ!もしかしてパスコンの短絡故障か?と調べはじめました。
周辺にもパスコンが実装されているのですが、どうも電源とGNDにリークがあって、OIDデコーダーICとイメージセンサーの電源が上がりきっていないことが判明しました。
この作業の中で、当初犯人を誤認していた当初のインダクタは、パスコンではないことが分かったのですが、その代わりの真犯人を突き止めることができました。
この基板ですが、それぞれの前段と後段で電源分離がなされております。基板の裏面を確認すると、R104シルクの隣りにJP1という半田ジャンパーがあるのが分かります。
R104は、主電源から送られる電源の電流制限用の抵抗でJP1で前段と後段を分離しております。実は、解析作業を行っていると、このR104が、過電流でかなり熱くなっております。ギリギリ手で触れるかどうかという感じです。実は、この電源端で計測しても明らかに電圧降下があり、どこかで電源GNDのリークが起きていることは間違いありませんでした。
電源の供給を安定化電源から十分な電流量で供給すると、一瞬ですが、画像の認識の声が出たので、電圧降下によるOIDデコーダーICとイメージセンサーの動作不良が原因で間違いないと思います。
しかし、困りました。電源GND間(以降、デングラ)のリークといっても表面実装されたチップ部品もあるし、どこから調べてたらいいものやらといろいろ考えていたのですが、良案も思い浮かばないので、電GND関係のパスコンを一つ一つづつ外してリークの改善があるか地道に確認しました。
結論から申しますと、関係する実装部品を取り払ってもリークは改善しませんでした。残るは、OIDデコーダーとイメージセンサーのみなのですが、リークはこのIC内で起きているようです。
能動部品やプリント基板のランダム系のデングラのリーク故障は、今まで経験したことがありません。バスタブの初期的な不良ならまだ考えられるのですが、OIDデコーダーやイメージセンサーIC内であれば、ランダム性のリーク故障は十分考えられるので、その線が強そうです。
既に、解析できる余地がないので、今回の修理不可能ということになりました。
取り外した実装部品を元に戻しますが、このまま乾電池を入れると、前述のR104がチンチンになるので、ご依頼様にご説明をしてJP1の半田は取り払って返却しました。