アンパンマン おしゃべりものしり図鑑シリーズのタッチペンの修理のご依頼です。
電池を交換しても電源が入らなくなってしまったそうです。当医院でも過去に数件の修理を行っておりますが、電源が入らない原因のほとんどが、電源スイッチの腐食が原因でした。
おもちゃドクター様におかれても、同じように電源スイッチの腐食で交換をされたご経験があったかと思います。
今回は、同時期に2件のご依頼があり、どちらも同じ電源スイッチの電極腐食でしたので、後の記事にて原因を少し考察してみたいと思います。
さて、まず1件目のご依頼は、電源が入ったり、入らなかったりするが、入らない時の方が多いそうです。
お送りいただき、早速確認してみました。
ON時の電極間の抵抗もまぁまぁ―ありますね。成功率も6割でした。
一度失敗すると、もうその後は電源が入らなくなりました。連続性もあります。
開封し、電源スイッチを交換します。
本体内部には、電池からの腐食もなく目視上は問題ありません。
さて、この電源スイッチですが、筐体のカバーがGNDに半田付けされており、取り外すのが、ママ大変です。半田を盛り一気に引き抜かなければ、コテの熱で基板のパターンやスルーホールがやられてしまいます。
温度制御のできないコテを使用していると、熱は上がりっぱなしになるので、この点も要注意です。そこで、自分は、コテの温度は350℃で半田を盛り、卓上の万力で基板を固定しながら一気に引き抜いております。
HAKKOのステーションタイプを使用しているのですが、最近、GootのPX-280という温度制御およびスリープ機能付きの半田コテが発売され、狙っているのですが、品切れで購入できない状況です。
因みに、交換用の電源スイッチですが、ツマミの長さがいろいろあります。この、ものしり図鑑用のタッチペンは、4mmとなります。
また、以前に筐体側のスイッチカバーの滑りが悪く起動不良を修理した経験もあるので、スイッチの接点にて、接点復活剤をスライドする箇所には、シリコンスプレーを吹いておきます。
で、肝心の起動確認を再度行います。
無事、反復のON/OFF確認で100%成功しました。
絵本の絵柄への反応も良好です。以上で修理完了です。
最後に、今回の電源スライドスイッチの故障原因を考察してみました。記事は、こちらのスタッフブログです。
このたび、アンパマンおしゃべり図鑑のペンの修理をお願いしました。
この図鑑はとてもよくできており、バースデーに買って重宝していたのですが、1年ほどでペンが使えなくなりました。
いつもなら、音が出なくなっても電池を交換すれば復活するので「ママ、すごーい」と息子から尊敬されていましたが、もう我が力ではどうにもできず…いろいろ調べてメーカーでは修理不可とわかり、悲しくなっていたところにおもちゃ病院の存在を知りました。
私の確認不足が多く、送付時にかなりご迷惑をおかけしてしまいましたが、修理はとても早く、動作確認動画まであげてもらい、こんなに丁寧で迅速なご対応をいただけて、感謝の気持ちでいっぱいです!
息子もアンパマンの復活をとても喜んでおり、「おじちゃんになおしてもらったー!」と喜んでおります。
おもちゃはこどもにとって宝物であり、ものを大切にする気持ちを学んで欲しい。
今回のことで、改めてそう思いました。本当にありがとうございました。
~ご依頼様のご感想より~