小学館 はじめてずかん 1000 電源スイッチ修理

小学館 はじめてずかん 1000 電源スイッチ修理

地域のおもちゃ病院にて外来勤務での修理案件となります。本体開封にあたり、共有すべき情報がありますので、記事にて共有させていただきます。

アンパンマンのおしゃべりいっぱいシリーズのタッチペン同様にGrid on putの絵柄にペンでタッチをして読み上げてくれる教材となります。

今回のご依頼は、電源スイッチの入りが不安定とのことでした。特に冬の寒くなったりすると電源が正常に入る確率が低下するそうです。

ということで、電源スイッチ回りを確認すべく開封を試みました。

今回の共有情報は、この開封方法についてです。

地域のおもちゃ病院は、開院時間が限られておりますので、当日受け付け後に素早く当日中の修理の可能かどうかを診断しないといけません。当日の時間制限は、2時間でした。

さて、電源スイッチの状況を確認し、できれば接点復活剤での改善があるかどうかまでは診たいと思います。本体の開封に挑戦したのですが、この開封がとても大変でした。

入院扱いでもあれば、インターネットで情報を収集する、時間的かつ心理的余裕があったのですが、持ち主様と対面しながらなので、何とか開封できないかと四苦八苦しておりました。

結論から申し上げますと、隠しネジが2本とその蓋のツメが強固に挿入されております。この隠しネジの有無とその場所、および隠し蓋のツメの情報を事前に知らないと筐体の支柱を折ってしまいます。自分も支柱の1本と隠し蓋のツメを折ってしまいました。持ち主様を目の前にして作業しておりましたので、中々開封できない事情をご説明し最悪筐体を割ってでも開封してもよいという事前承諾をもらっていたのですが、やはり隠しネジの所在を知らずに予想もできなかった点について猛省しておりました。

ということで、当ホームページをご覧のドクター含め皆様に共有をさせていただきます。

ペン

ペン本体は、上部にスピーカー、中央に電池ボックスの蓋、下部の先にイメージセンサーの入光口があります。

まず、外観ではネジらしき穴は無いので、電池ボックスの蓋を外します。そうすると、2本のネジがありますので、そのネジを外します。ですが、筐体の周囲のツメを順に外していってもペン先が外れません。ここで無理やりこじると隠しネジの支柱がバキバキと音をたてて折れます。

診察の当日は、約30分ほどこじっている際に”バキ”っと音がし、何か割れました。後のこれはな時の支柱の1本で、後に接着しておきました。

当時の作業としては、完全には本体を開封できないので、ある程度開くスピーカー上部の隙間から、接点復活スプレーのノズル先を差し込みオルタネイトスイッチの上部に吹き付け、ON/OFFを繰り返してみました。ですが、10回に1,2回の頻度で電源ONが失敗します。やはり、スイッチ内部に何か異物でもあるのかもしれないので、完全に開封しスイッチ本体を確認したかったです。

ですが、いろいろやっても開封しないので、恐らくは、ペン先の周囲が強固に接着されていると思い込み、当日の作業は断念し入院扱いとしました。

この判断は吉とでました。ここでさらにこじっていたら、隠しネジの支柱2本とも折れていたと思います。

帰宅後、インターネットで情報を探ってみると、何とこちらのページで隠しネジがあること掲載されておりました。ページ発見した際は、何か変な疲労度がどっと出ました。

早速自分もページに記載されている隠し蓋のツメに注意しながらも開封に挑戦しました。結論は、開封はできたのですが、隠し蓋の先のツメは、圧入されており、どのみち折れてしまいます。

蓋のツメ

蓋をはめると、ツメが筐体に引っかかるだけではなく、ツメの支柱の後ろにある突起でよりツメが食い込むように設定されており容易に蓋が外れなくなっています。蓋の設計としては、100点ですね。ですが、修理をする立場からは、そこまでしなくても、、、。

折れたツメ

この折れたツメは、小手先の接着では先の画像のとおり、強固に食い込むように設計されているので、また直ぐ接着面で折れてしまいます。

この類のペンは、今回以外の故障も今後発生するでしょうから、ここで元通りのツメに戻すと、再度開封する際にツメを折ることになります。なので、折れたツメの周囲に強力タイプの薄型両面テープで固定すれば、今後も安心して用意に蓋を開けることができますので、両面テープでの固定をお勧めします。

蓋を開けることすらしないで済むように、隠しネジの穴をピンバイスで開けてしまってもいいと思います。もし、これから開封をする方は、ツメを折ることもないし、隠し蓋をいちいち外すことも不要になりますので、それが一番かと思います。これでやっと内部にアクセスできるようになりました。

電源スイッチ

ロック付き、オルタネイトスイッチですが、目視では異常ありません。スイッチ内部の接点に錆か異物かがあり接触を妨げているようです。受け付けをした会場から帰宅し再度動作を診るまで約6時間、若干電源ONの成功率があがっているようでした。ですが、やはり失敗もしております。この状態でさらに接点復活スプレーを吹いてみましたが、改善しません。

そこで、フラックスクリーナーで一旦スイッチ全体を流し吹き込んだ接点復活剤もろとも洗浄します。

すると、おや!?不思議に完全に回復しました。何か溶剤で溶けるような異物が、接点に付着していたようです。

さて、この時点での修理作業は、以上となりますが、この手の接触不良は、よく再発します。

できれば、新品のスイッチに交換できればいいのですが、手持ちのオルタネイトスイッチは、高さサイズが違うため使えません。

インターネットの修理記事からも、使用されてるスイッチは、接触不良を起こしやすいようなので、返却直前に再度失敗の頻度を確認し、使用に耐ええないような場合は、交換できるスイッチを探し交換を行うか、基板上で電源ON側に回路を短絡し電池の挿入で電源ONを代替えしていただくかという選択になりそうです。

P.S

起動確認を複数回やっていると、起動時のアナウンス文句がなんか頭に残ります。

『♪タッチペンで音が効けるはじめて図鑑 1000』


2023.4.5

隠しネジの蓋をツメを折らずに簡単に外せる動画がアップされております。こちら


2024.6.29

一部リンク切れを修正しました。

また、まったくの別の記事になりますが、こちらの修理記事で紹介されている事象について考察してみました。

紹介されたことばずかんのタッチペンですが、音が出ないとのことでスピーカーを交換されたという記事です。

オシロにて、スピーカーに印加されている信号を観測し、何らかの信号は出ているが、スピーカーからは音声が出ていないところまでは納得できました。

ちゃんと信号解析をされております。

ですが、、、何故か圧電素子に交換しちゃっています。(´・_・`)

製品に実装されているスピーカーは、コイル型のスピーカーです。

このスピーカーを圧電素子に交換して音量が小さくなったということですが、前田のクラッカーです。音声の再生方式が違います。頑張ってオペアンプを噛ませて増幅しておられますが、圧電素子についてお詳しくなかったようですね。

圧電効果を利用してセラミックと電極板とを振動させています。等価回路では、コンデンサーです。電子メロディなどの電子音やブザーならまだしも人間の声を再生する場合は、かなり音質が劣化します。記事の再生音もとても残念な感じです。

圧電素子に交換すると音質はもとより音量が小さくなります。スピーカーチェッカーで圧電素子をチェックする場合、端子間に抵抗を挿入する意味がそこにあります。

そもそも元々がコイル式のスピーカーだったのなら電流駆動なので、コイル式のスピーカーに交換すべきですが、記事のように同じスピーカーが手に入らないもしくはサイズ的に厳しく、やむなく圧電素子に交換するのであれば、電極間に抵抗を噛ませてください。