背中の紐が途中で止まってしまっていて引っ張れないし、元にも戻らない。発声ももちろんしないといったご依頼でした。
当医院では、タカラトミー製のトーキングウッディの修理を過去にも行っておりますが、そのほとんどが紐の引きバネの折れです。
過去に撮影した紐を引き模様の動画をご覧ください。
本来の引きバネを引くといった動作ではなく、ねじるという動作で紐を巻いています。そのため、金属疲労でそのうちバネが破断します。
これは、宿命というか必然となる故障ですね。
今回の故障も同じくバネの破断でした。
ちょうどバネの中央で真っ二つに折れています。
ですが、今回の破断箇所が悪かったです。先かお尻のどちらかに寄っていてくれれば止めのリングを作り直し再度稼働させることもできるのですが、中央での破断となると、バネとしての強度と導通電極としての役目が果たせるか不明でした。
仕方ないので、より状態によい画像の向かって右側のバネで再構築します。
一応、状態のより良い方を選んだのですが、やはりバネとしてと電極して機能するかどうかは、実装してみて確認します。
やはりバネの幅が足りませんでした。
元々電極の抑えは、バネ本体に接触し軸ごと抑えているのですが、電極は、バネから伸びたリングと軸のみに接触だけとなります。
紐を引っ張ることで導通する回路は、このバネを通して回路が成り立っているので、
因みに、導通回路の経路としては軸は無関係です。
右電極端子→バネのリングと本体→ボビンに仕込まれた電極→回転電極→左電極端子
といった流れです。
また、ボビンに仕込まれた電極は、紐が巻かれると沈み込み右側の回転電極を離れ接触しません。紐が引かれると、沈んでいた電極が浮き上がり右側の回転電極と接触できるようになるというメカニズムです。
なので、紐を引っ張る際は、最後まで引き切ることが最重要で、強く引くとか速く引くとかは全くの無関係です。
接触が悪く発声に失敗すると、強く速くひきがちですよね。特にお子様の場合は、強く引っ張ったしまいます。これが、このバネの破断の原因になるので、”ゆっくりと最後まで引き終わる”が鉄則です!
さて、修理に話しを戻します。この状態で組み込み発声するかどうか確認します。
よさそうですね。
残ったバネもお返しし、今後いつかまたバネは折れるので、その際に残ったバネの方で再構築してあげれば、また遊べそうです。
ですが、このバネ折れの補修方法は再検討が必要です。
サイズ的な新品は探せてもバネ定数や弾性定数などの力学的に同じバネを探すとなると大変です。しかも玩具修理に耐え得るような価格でないといけません。