アナログ プレイメイト 発振ノイズ 修理

プレイメイト

アナログ プレイメイト 発振ノイズ 修理

DWE製のプレイメイトは、アナログ、デジタルと両カードプレーヤーを修理してきましたが、新デザインのアナログプレーヤーの修理は初となります。

旧デザインのアナログプレーヤーの修理実績は数件あるのですが、新デザインの修理は初めてです。

旧デザインのプレーヤーは、可変抵抗で音量調整できたのですが、新デザインになってから、音量の調整が2段階のみとなりました。ソニー製のトーキンカードプレーヤーCP-1000のようです。その後のデジタル版のプレイメイトでは、可変抵抗のボリュームに戻りました。

2段階の音量調整は、どのメーカーでも不評だったのでしょうね。。。

さて、今回のご依頼は、中古で購入したアナログプレイメイトだが、購入後しばらくは問題なく使えていたが、ある時から音量大に切り替えると、大きな機械音がして使い物にならないということです。ダメ元でもと切望をされて居られたので、頑張って修理に挑みます。

電池ボックスには、液漏れの腐食があるので、ACアダプターでの使用を前提としている旨をうかがっていました。腐食もまとめて修理もしましょう。

負極腐食
正極腐食

届いて直ぐの状態で動作確認してみると、やはり酷いノイズです。

音量大側に切り替えると、カードを再生しているいないに関わらず、ノイズが出ており、過去の経験からアンプ部からの発振ノイズのように感じました。

磁気ヘッドをずらし固定して何も触れないようにしていてもノイズが出ます。

音量を小側にするとパタッとやみます。こんな感じです。

ノイズ

ゴムローラーも回転しているので、物理的に何かに干渉した擦れ音かもと思ったのですが、動作確認のとおり、ボリュームの切り替えでノイズが発します。

そこで、基板を眺めボリュームの切り替え仕様と確認します。

このアナログプレイメイトは、音量大側のデフォルトの音量設定となっており、小側に切り替えると、カーボン抵抗にてパワーアンプ入力前の音源信号がGNDに接続され振幅が絞られるという回路仕様です。

ここでこの手の回路に詳しい人なら気付くかと思いますが、発振ノイズであれば、信号経路の定数が変化してフィルター定数が変化し発振してしまったのかもと推測できます。

パワーアンプにサンヨー製のLA4145が搭載されており、データーシートからも外付けキャパシタの設定仕様が規定されております。

推奨回路
各キャパシタ

では、まず基板の眺めましょう。

とここで、基板の裏面に異変を発見します。

なんじゃこれ?

腐食?
腐食

実は、先の電池ボックスの液漏れですが、ちょうど基板の裏側に位置しており、前オーナー様が液漏れをされその腐食の影響が基板に現れたようです。

でも、しかし酷いですね。ブクブク沼の泡のようです。

目視で懸念される配線に断線など出ていないをチェックしたところ、とりあえず断線や大きな抵抗成分は発生していませんでした。

一応念のためクリーナーで腐食部分を洗浄してみると心持ち綺麗になったかな位にはなります。

とここで、動作確認を再度行ってみると、あらびっくり音量大側でもノイズが綺麗に消えているではありませんか。

いろいろ調べてみたのですが、もうノイズが出そうにもなくなりました。

依頼者の方にも確認をしたのですが、一時的にノイズが消えても再度現れるとのことは分かっているが、では再度ノイズの再発するような時間的な情報も無いとのことです。

困りました。このままでは、ノイズをもう再現できなくなりますので、以降は、ノイズの発生原因を発信ノイズと推測し対策を考えます。

まず、回路上の腐食箇所は、できる範囲で研摩し腐食を取り除きます。腐食の進行に備えて迂回配線を別途施しておきます。

この腐食によるノイズ発生の可能性は低いと思われますが、腐食をそのままにはできませんので、対策を講じます。

次に、プリアンプ、パワーアンプのフィードバック、デカップリング用や電源回路中のパスコン用の電解コンデンサーを一式丸ごと交換します。

これは、旧デザインのプレイメイトでも周辺の電解コンデンサーの劣化で音が出ないもしくは起動時にノイズが乗るなどの故障経験があったので、やはりコンデンサーの容量抜けが何かしらの遠因になっているものと推測しました。

ここまで補修作業を行い、しばらく連続稼働させ、先のノイズが再発した場合は、対処療法にはなりますが、音量大側の音量切替を無効にしたいと思います。

では、作業にかかります。

まず、基板上の電解コンデンサー全数を交換します。

電解コンデンサー

極性はもちろんですが、部品選定にて耐圧なども十分許容範囲であることを確認します。

次に配線作業にかかります。

腐食配線補修

腐食にみられたパターンをルーターにて研摩し表面を綺麗にします。

研摩しすぎるとパターンをめくってしまうので、あくまでも腐食を剥がす程度です。

レジストも剥がれパターンがむき出しになるので、半田の薄くのせておきます。

次に、該当配線全てで導線による迂回配線をします。これでしばらくは腐食による断線を大丈夫と思います。

迂回配線

ここで基板を組みつけ連続稼働再生確認をします。

しばらく稼働確認をしましたが、ノイズの再発もなくしばらく稼働できました。

ノイズ対策としては、以上で完了とし最後に電池ボックスの腐食研摩しておきます。


90年代のプレイメイトでしたが、ノイズ音がすっかり無くなり母子とも喜んでおります。

治った事も嬉しいのですが、何よりご丁寧な仕事ぶりに脱帽です。

原因から提案までとても丁寧に対応してくださいました。

大事に使わせていただきます。誠にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~