ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム粘着事例
今回は、修理不可能になってしまう事例を紹介します。
CP-1000という機種では稀なのですが、カードをスライドさせるゴムローラーが経年で溶解し磁気ヘッドに粘着します。その影響で磁気ヘッドコア部(アモルファス)に浸食し正常に磁気を拾えなくなります。
既に依頼者様で分解しこの事態を目視しておられたので、『修理の見込みはあるのか?』というご相談からありました。
スタッフブログに掲載のCP-33機種における修理不可能な事例を同じく溶解したゴムローラーが磁気ヘッドに粘着した場合、その多くは修理不可でした。まともに磁気が拾えなくなっています。
では、今回の事態を画像で確認しましょう。
既にボロボロになったゴムローラーは除去されたのですが、その様も容易に想像できる事態ですね。
CP-33という機種でこの症状が多いのですが、CP-1000では2例目です。
推測ですが、一度メーカー様に修理にだされ、ゴムローラーを交換したのだが、その時のゴムローラーの素材が製造当初から変更になっており、CP-33と同じ素材のゴムローラーに交換されていたのかもと予想しました。
では、肝心の磁気ヘッドを確認しましょう。
おおお!すごいですね。
かっちこちに固化し粘着しています。
で、ここで無理に剥がすとダメージが大きくなってしまうんで、慎重かつ丁寧にそっと剥がしていきます。
できるだけ慎重に剥がしたのですが、ヘッドのコアも損傷を受けていますね。当初の予想通りいなりそうです。
この状態で、ゴムベルトとゴムローラーを交換し再生確認をしましたが、まったく音が拾えておりません。微かに再生音が聞こえる程度です。
手前が今回のご依頼のCP-1000で奥が、当医院のCP-1100です。
また、アンプ回路やスピーカーなどの故障で音が小さくなっているかもということもあり得るので、当医院で用意している検査治具に磁気ヘッドのみを接続して音を鳴らしてみます。
やはり、同じようにまったく磁気が拾えていませんね。
アンプ回路にも故障があり、起動時と停止時にピューンという鳴りがでます。パワーアンプ回値のコンデンサーにも何か劣化が出ていそうです。
今回は、経年によるゴムローラーの溶解で磁気ヘッドにゴムが粘着した場合の影響についての記事でした。残念ながら修理不可能となりましたが、数十年経過しているので、致し方ないのかもしれません。