ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 落下故障修理
昨年2020年秋にソニートーキングカードプレーヤーCP-1100の修理のご依頼のあった方より、再修理のご依頼がございました。といっても、一度修理した箇所の不具合というわけでなく、テーブルから落下させてしまい、それ以来トーキングカードの再生音が、途中で大きくなったり小さくなったり歪んだりし始めたそうです。
落下の衝撃で思い当たる点は、プーリーベルトが外れたかズレたか、ゴムローラーを回す軸が曲がったか何かと推測をし修理に着手します。
まずは、歪みの程度を確認します。
動画では、分かりづらいですが、再生音がカートの途中で歪んでおり一部では聞こえていない部分もあります。磁気ヘッドのアライメントが狂ったかのようなので、詳しく覗いてみると、磁気ヘッドとカードに大きな隙間ができています。
そういえば、同じような症状をCP-7000で修理したことがあります。フライホイール軸の軸受けが曲がっていた件です。その時は、ご依頼者様が、どのようなことで故障したのかをお聞きしていなかったので、原因不明として修理しておりましたが、今回の修理で原因がはっきりとしました。
結論としては、カードプレーヤーを落下させて強い衝撃を与えると、フライホイール軸の軸受けが曲がり磁気カードの再生音が歪んだり、小さくなったりするということがわかりました。
ぱっと見でも フライホイールが斜めになっていますね。
軸を確認します。
ゴムローラーを外してみるとよくわかりました。軸が外向きに広がっています。これでは、ゴムローラーを装着しても磁気ヘッドの上部に大きな隙間ができてしまい、再生音が小さくなってしまいます。次に外向きになっている原因を探ります。
軸受けとネジ止めの隙間ですが、向かって右側の方が広く開いています。正常であれば、どちらもキッチリを収まっているのですが、この軸受けの曲がりでフライホイール軸が外向きになってしまったのですね。
では、なんで軸受けが曲がったのかというと、フライホイールは、下記の画像のようにかなりの重量のある部品です。落下の衝撃で軸受けにも過大な力がかかり軸受けを曲げてしまったようです。
これで、他の機種でも原因不明だった、フライホイール軸受の曲がりの原因が判明しました。どの機種においても、落下などの衝撃にて軸受けが曲がってしまいます。これは、例え筐体に割れなどの破損がなくても内部に損傷を起こすという事例となります。
さて、修理ではですが、まず軸受けの曲がりをプライヤーで元に戻しますが、完全な垂直補正は手作業なので無理です。ここは、目視にはなりますが、可能な範囲で垂直に戻し、あとは磁気ヘッドモジュールのアライメントを取り直しできる限りで最良な再生ができるようにします。
心配はしていたのですが、フライホイール軸は、ゴムローラーが装着されており、そのゴムローラーは、磁気ヘッドモジュールにも接しています。強い衝撃は、ゴムローラーにもズレを起こしていたようです。その証拠にゴムローラーはもとより、磁気ヘッドモジュールの止めネジ穴も割れておりました。落下の衝撃が、いかほどに大きかったのかが分かります。ゴムローラーも再度交換します。
無事元のように再生できるようになりました。
今回の修理事例のまとめとしては、カードプレーヤーの落下は、フライホイール軸受けの曲がりを起こすので、くれぐれも注意が必要ということになります。