ソニーリピートカードプレーヤーCP-33 ヘッド故障 修理不可
『ゴムベルトが切れている』という完結な修理依頼を受けました。1次診察で、詳細な故障状況のヒアリングをしたかったのですが、どうもメールでのやりとりに不慣れだったようなので、機種名のみお聞きして、あとはこちらで良きに計らうことにしました。
ゴムベルトが切れている以外のことは、全く分かりませんので、以下の点について調べたいと思います。
- モーターは、回っているか?
- 磁気ヘッドは、故障していないか?
- 電子回路(アンプ部、電源部etc…)は、故障していないか?
- スピーカーは、故障していないか?
特に、交換のできない専用部品は、市場で入手できないため、故障して使えない場合は、部品取り機からの移殖なども検討しなければなりません。
では、早速拝見します。
到着して直ぐ、ACアダプターで動作確認してみると、モーターが空回りしているのは、音で確認できました。ひとまず、モーターは回るっと。
ゴムベルトが切れているということなので、状況を拝見します。
ゴムベルトは、よくある故障の、溶解して切れていたのでしょうね。
あちこちに溶けたゴムが粘着しています。ゴムベルトの代替えに、おそらくマスキングテープらしいテープを細長く輪にしたものが挟まっていますね。
ここら辺は、綺麗に洗浄して代わりのゴムベルトに交換できます。
次に肝心の音声の再生系をチェックします。
まずは、磁気ヘッドです。
CP-55やCP-33では、よくあるのですが、経年でゴムローラーがボロボロになります。
長期保管の間、そのゴム部分は、磁気ヘッドに密着しています。
カードプレーヤーの仕様上、磁気ヘッドをゴムローラーに押し付けて挟まった磁気カードのテープの磁気を読み取るのですが、カードが挟まっていないとヘッドとゴムが密着したままとなります。
ゴムローラーはボロボロですね。
磁気ヘッドの状態を確認します。
アモルファスコアに解けたゴムが、浸食して表面にこびり付いています。ちなみに、取り外した際は、もっと表面全体にこびり付いており、IPAで拭きとってもこのレベルまでしか取り切れませんでした。
浸食したゴムで、磁気が読み取れないですね。当医院の他の稼働するCP-33に、この磁気ヘッドのみを交換して再生確認したところ、高音域が全く再生できなくなっており、全体的に、濁りこもったような音声になっています。
磁気ヘッドの再生は不可能なので、今回の修理のご依頼は、修理不可能ということになりました。
実は、CP-55やCP-33で、このような溶けたゴムの浸食で修理不可能になる機種が多く、当医院にも数台あります。表面を研磨し、なんとか磁気ヘッドを再生できないかと挑戦はしているのですが、失敗の連続で見た目で綺麗にできても、磁気を拾うという機能は、まったく別物なのだと思います。
ある程度の摩耗は、メーカー側も想定しているのでしょうが、粘着した異物を取り除くために研摩した場合は、想定が違うのでしょう。