ソニーリピートカードプレーヤーCP-33 修理
ソニーリピートカードプレーヤーCP-33の修理依頼がございました。
内部のゴムベルトが溶解し粘着している点と電池ボックスの電極に腐食がある旨お聞きしておりました。
画像も事前に拝見できていたのですが、スタッフブログにも掲載しておりますが、CP-33は、そのほとんどで経年によるゴムローラーの加水分解でゴムがボロボロになり、保管中に継続して接している磁気ヘッドのコアを侵食します。この侵食で、磁気ヘッドの再生不良が、ご依頼の案件の半数で起きており修理不可能になるケースが多いです。
今回は、事前に撮影された画像を提示いただいたので、少なくともゴムローラー起因の磁気ヘッド不良の可能性は低いだろうと推測できました。
約20年前ということですが、ここまで立派に形を留めているゴムローラーをはじめて見ました。では、早速拝見します。
ゴムベルトが溶解しておりますね。
修理可否などを確認するためには少なくともゴムベルトをハメることができるまで綺麗に除去しないといけません。
他の機種もそうですが、ゴムが溶けた場合の洗浄には、エタノールが最適です。
過去の記事で灯油との比較を行いましたが、作業性に段違いに差がありました。
といっても、粘着したゴムを綺麗にしかも、再生音質に影響のないレベルまで綺麗にするのは、とても大変な作業です。
ゴムローラーは、目視では、表面にテカリと固化が見られますが、ひとまずこのままで作業を続けます。ゴムベルトを綺麗に取り付けないと動作確認もできませんし。
各所粘着したゴムを綺麗に除去しアルコールで洗浄します。
モーター用のプーリーとフライホイールの溝に入ったゴムをこそぎ落とします。
ここでやっと、作業料見積のために暫定動作確認ができます。
とりあえず綺麗にしたプーリーとフライホイールに交換用のゴムベルトを装着し暫定再生確認を行うと、無事カード再生ができました。前述のゴムローラーは、交換不要そうなので、依頼者様には、ゴムベルトのみ交換として了承をいただきました。
では、作業の了承も得られましたので、各所の洗浄とグリス交換等を行います。
途中のプーリーも溝に入ったゴムを取り除きアルコールで洗浄します。
また、CP-33のプーリーの稼働軸は、カシメられておりので取り外すことができません。従いまして、パーツクリーナーで古いグリスを軸をプーリーの隙間を含め綺麗にします。
本体内部もスイッチ部の接点含め綺麗にしておきます。もちろんですが、電気的な接点は接点回復スプレーを吹いて稼働させて接点を復活させます。
ここで、最終の動作確認をします。
あれ!?
wallというカードで滑りが出ています。当初の動作確認ではこのような滑りは出ていなかったのですうが、やはりゴムローラーの表面のテカリ固化は、数回程度の動作確認では、運よくカードも自走しますが、ゴムローラーも新品に交換が必要そうでした。
原因を調べてみると、wallカード裏面に凹みができており、その凹みを差し掛かるとスリップを起こしておりました。
トーキングカードは、製造から数十年が経過しており、当医院の修理のご依頼のある場合は、ほぼすべてのカードで何かしらの劣化があります。そのカードを再生できるレベルまでを修理理のクライテリアとしております。
他のゴムローラー交換済みのCP-1000では、滑りは起きませんが、この点を踏まえ、ご依頼様にご相談した結果、今回はゴムローラーの交換は不要ということでご指示をいただきました。もちろんですが、その場合は、劣化カードでの再生不良含め、今後の動作不良に関しては一切不問で大丈夫ともご承諾をいただけました。
ということで、今回はwallカードでもスリップ動作が残りましたが、残る電池ボックス電極の錆をルーターで研摩して修理完了とします。
ゴムローラーの加水分解もなく磁気ヘッドへの影響もありませんでしたので、カードにはよりますが再生できるまで修復できました。