ソニーカードリピーターCP-55 音程調整
今回は、ソニーカードリピーターCP-55 2台の修理依頼がございました。以前、同じCP-55の修理を行った1台と新たな1台の合計2台の修理となります。
以前、ご依頼を受け修理行ったこちらのCP-55ですが、再生速度を下げることで音程を下げて欲しいという要望でした。
音程ですが、もちろん製造メーカー様は、出荷時にテストされ出荷されておりますが、経年でやはり幾分のずれが出てきます。ですが、今回は、持ち主様のご要望でご希望の音階にまで調整を試みました。
私には、絶対音階がございませんので、調整具合は、動画でご確認頂きながらで調整を行います。
さて、本機CP-55もそうですが、ソニー製カードプレーヤーに使われているモーターは、回転速度が制御できるモーターが使用されているので、調整し速度を早くも遅くもできます。
通常、他の修理案件でもカードのテスト再生で、やはり速度が遅くなっていることがあるので、速度調整はしますが、如何せん当医院には、テストカードがありません。
オープンリールやカセットデッキですが、再生速度を記録された音声の周波数を測定器で試験する、テストテープが存在するのですが、カードプレーヤーでは、測定できる程長く再生できる長いカードか、永遠ループするカード!?のようなものがあるのかもしれません。
当医院では、耳で再生音を確認し音程を調整しておりますが、在庫しており新品の機種と比べてみたり、再生音低の高低のズレがわかりやすいカードを使用しております。※なので、動作確認動画では、早口ことばのカードと女優、声優でお馴染みの岸田今日子さんカードを利用しております。音程が狂うと、はっきりとその差を分かるためです。
さて今回はというと、再生速度を最低にしても、ご希望の音階には少し届きませんでしたが、ご依頼様にご了承をいただき、最低での再生速度で調整をさせていただきました。
次に新規に他のCP-55の修理のご依頼もありました。
こちらは、CP-55でよくあるカップリングコンデンサの容量抜けにて音量ツマミ最大でも音量が小さいとのことです。また、それに伴って、音量が最大なので、ノイズレベルも大きくなっているので、合わせて改善して欲しいというご要望です。
最後にですが、トーキングカードでのリピート再生時にカード前半が聞こえないとのことでした。これは、kumonシールのある機種は、専用カード用に設計されており、リピート用の録音時間が短いのです。残念ながら製品仕様ということ了承いただきました。以前ご依頼のあったCP-55は、kumonnシールの無い製品でしたので、リピート録音時間が、kumonシール版に比べ4倍長く録音できます。
搭載されたTi製のレコーダーチップの仕様では、外付けのDRAM容量は、256Bと1MBの2種取り付けられ、kumon版は、OKI製の256Bが搭載されています。シールの無い機種は、1MBが搭載されています。
因みに、基板上部にあるリード穴ですが、これは拡張用にDRAMがつけることができ、デフォルトでは、未搭載です。恐らく製品開発時に以後の拡張性に基板に用意していたのでしょう。XCASは、XCAS1からXCAS4まで用意されており、最大4つのDRAMを搭載し、4 フェーズまで対応できるようです。TIの仕様から。
また、いつものゴム系部品も交換を行いましたが、以前の持ち主様が、適正サイズのゴムベルトをお持ちでなかったのか、やむなくサイズ調整のためにカットし接着剤で固定しておられました。
それが、原因となり再生時にプーリーに接着面が差し掛かると、かなりの振動とノイズを発していました。もちろんですが、交換しました。最後にこちらの機種も再生時の音階を同じく最低速度で調整しました。
今回は、音階の調整ということをさせていただきましたが、絶対音感をお持ちの方は、やはりすごいなと実感して修理案件でした。
音階調整前の動作確認動画です。