デジタル版のプレイメイトの修理依頼がありました。
カード表裏の再生は問題なくできるのですが、裏面のマイク録音ができないそうです。
両面版のデジタルプレイメイトでは、裏面のみですが、録音モードでカードの音声と一緒に自身の発音を録音し、先生+生徒モードで再生確認できます。
矢印のノブをマイク録音モードにして録音しても録音中点灯するはずのLEDも点灯せず、もちろんですが、先生+生徒モードでその録音して音声も再生されないないそうです。
過去にマイクで録音できない症状を診たことがあります。
その際は、外付けマイクのコンデンサーマイクが故障しており外付けマイクで録音しても音声が拾えない故障で、かつ本体側のマイク端子のジャックの切り替えバネが故障し常時外付けマイク側が有効になっていたという故障でした。
そのため、どんなことをしても無音でしか録音できませんでした。
ここで整理すると、マイクで録音すると録音の最中は、LEDが点灯します。
ですが、今回のプレイメイトでは、録音中でもLEDが点灯しません。
正常であれば以下のように録音中は、LEDが点灯します。
この事から、マイク側やプラグ切替のジャックなどの故障ではなく、そもそも録音モードになっていないため録音ができていないようです。
実は、届いて状態を目視確認すると、何やら怪しい状態でした。
カード差し込むスリットのカバーがズレて外れています。
このモード切替ノブを回転させると、何か擦れているような抵抗感があります。
さらに横から見ると斜めになっています。
黄色矢印の箇所に白濁した点があります。
この箇所には、モード切替のセレクター部品のセレーション軸があります。
以上から、落下などの強い衝撃でセレクター部品の軸が曲がってかつ軸が押され矢印ノブを突き破ろうとしたようです。
ハハーン、このモード切り替えが、先生モードに固定されているので、録音できなくなっているかもしれません。
常時先生モードに固定されているので、どんなことしてもカードを再生するのみとなります。
ではではと分解してセレクター部品の状態を確認しようと思います。
分解の経験があれば、ご存知かと思いますが開封にはこの矢印ノブを引き抜き軸を固定しているナットを外す必要があります。
以前の他の修理案件ですが、右側のセクターの軸がナットで締めてあります。
ですが、この矢印ノブが抜けないのです。(´・_・`)
どんなに引っ張っても抜けません。
たぶんセレーション軸が曲がってノブに食い込んでいます。
てこの原理でこじっても針金をノブの底面に回しても全然ダメです。
力ずくで抜くしかありません。
たぶん、ノブが割れます。
ちょっとやそっとの力加減ではありません。
クランプでノブを固定しハンマーなどで上方へ叩くなどしないとダメそうです。
そんな衝撃を与えると、接触不良を起こしているこのセレクターの状態がさらに悪化する懸念があります。
既に曲がっている軸がおれ、現状接触している先生モードの導通も不導通になりかもしれません。
さらに、基板に半田付けされている箇所にクラックが入るのも心配です。
依頼の機種は、QAカード対応の機種でこのタイプの機種では上位機種になります。
診断のために現状よりも状態を悪化されてしまっては勿体ないです。
録音するのなら、他の両面対応のプレイメイトでもできます。
依頼者へ、この状況を説明をしたところ、リスクを冒してまでもということで、今回の診断については中止となりました。
診断不可の結果となってしまい少し残念でしたが、大事に使いたいと思います。
ご丁寧にリスクの説明をしていただきましてありがとうございました。
今後も機会がありましたらぜひよろしくお願いいたします。
~依頼者のご感想より~