DWE アナログ プレイメイト 修理

DWE アナログ プレイメイト

DWE アナログ プレイメイト 修理

近隣のおもちゃ病院へ修理を依頼されたそうなのですが、平ゴムベルトの持ち合わせがないため修理できなかったとのことです。ご自身で、この平ゴムベルトをインターネットでお探しになられ、当医院の修理記事を発見されたそうです。

平ゴムの入手のため仕様のご相談があったのですが、情報の開示は難しく、そこで当医院で修理を承ることになりました。

※他のカードプレーヤーでも、交換部品の材質や寸法、入手先、または部品を個別に譲ってほしいという、ご相談をいただくことがありますが、恐れいりますが、それはできません。有料となりますが、当医院で修理を承っております。

では、早速状況を確認します。

既に平ゴムが切れているとのことなので、開封して確認します。

あら?

いきなりですが、このスプリングが、なんで電池ボックスのに入っているの?このスプリングは、手で持つ取っ手のところに入っているはずなんですが、、、

ゴムローラー

プレイメイト用のゴムローラーは、交換部品がないので、表面の掃除と固化が激しくなければ表見を荒いペーパーでざらつかせます。

アルコールで洗浄

表面をアルコールで洗浄するだけでも、まぁまぁ摩擦は回復するのですが、また直ぐ汚れて滑ってしまいます。

左:テカリゴムローラー  右:ざらつかせたゴムローラー

本来であれば、新品のゴムローラーで交換すべきなのですが、部品代がかなり高額になります。

ソニー製のカードプレーヤーですと、修理案件がある程度あるので、在庫確保し準備もできますが、DWEのプレイメイトとなると、受注案件数も少ないため在庫を持つのはリスクを伴います。そのため、個別案件毎に発注となると、部品代がかなり高額になります。

そこで、まだカードをスライドできるだけの摩擦を確保できそうな場合は、表面のメンテナンスでご了承をいただいております。ただ、固化が進行し、どのようにメンテナンスしてもカードをスライドできない場合は、ゴムローラーの交換などを検討せねばなりません。懸案事項として宿題となります。

さて、修理に話を戻します。粛々と内部を確認します。

輪ゴム

輪ゴムがついていますね。お聞きしたところ、修理をお願いしたおもちゃ病院で取り付けたようです。輪ゴムは、何度も言いますが、溶解し粘着のうえ、プラスチックのプーリーの場合、溶かしてしますので、取り付け厳禁です。

粘着ゴム

あら?

おもちゃ病院の担当ドクター様は、元々ついていた溶けた平ゴムのお掃除もなさらなかったのですね。接着剤のように強固に付着しておりました。

粘着ゴム

ですが、もっともダメなことが発見されました。

金属球がない

分解された際に、本当は、このプーリーの軸の上に金属球が、位置決めのため付いているのですが、無くなっております。分解時に取れたはずみで紛失したか、そもそも金属球がこんなところについているのも、想像できずに組みつけしなかったのかもしれません。

たぶんこういう不備は、数をこなさないと再発するような人為的ミスなのでしょうね。

金属球
金属球

この金属球は、本来は上図のようについております。※グリスに埋もれておりますが、この金属球が、カバーに接触し平ゴムベルトの位置決めをしております。

金属球が無いと、回転時に上下にふらつくか、平ゴムベルトが外れてしまうかもしれません。

無いものは仕方ないので、在庫の金属球を取り付けておきます。

故障個所の調査を進めます。

ピンチローラー

ピンチローラー類も表面をアルコールで拭いて、軸にシリコンスプレーを拭いておきます。アナログ プレイメイトには、カード再生時の正回転用と録音時の録音用、カードをリピート再生するためにカードを戻す逆回転用が裏面にあります。

ピンチローラー
逆回転用ピンチローラー

逆回転用のピンチローラーですが、画像からも劣化が激しく、カードを戻す際の駆動力が弱くなっております。こちらも、新品部品への交換もできなく、表面をアルコールで拭いて綺麗にしておくくらいになります。ただ、逆回転機能は、再生し終わった際にカード再度スタート位置に戻す巻き戻しのような機能なので、どうしても滑って戻せない場合は、一旦カードおn抜き再度再生していただくようにお願いしました。

擦れる機構部の金属部分には、グリーススプレーを拭いておきます。

経年でケーブル類を固定するテープも粘着き剥がれいますので、カプトンテープで固定しておきます。

ケーブル固定

また、結束バンドも劣化しておりますので、全て交換しておきます。

ケーブル固定

ここで、電源用のパスコンに異常を発見しました。

電源パスコン

主に電源補償用とノイズ取りのパスコンですが、膨らみが出ております。いづれ破裂して液漏れしますね。ですが、10000uFは手持ちがないので、発注して交換します。

粛々を部品類をお掃除します。粘着したゴムも綺麗に取り除きます。

金属部品類

粘着したゴムは、ほんとうに除去が大変です。

綺麗に除去

ゴムローラーの取り付けは、特に録音側のピンチローラー軸の取り付けには、注意が必要です。フライホイールの内径にピンチローラーが密着し、しかも上下位置の位置合わせを正確にやらないと、フライホイールの内側に干渉して、酷いノイズを発します。

逆回転用ピンチローラー軸の位置合わせ

電池ボックスの内カバーは、両面テープで固定しておきます。電池ボックスの正極も半田付けが取れてしまっていましたので、半田付けしておきます。

電池ボックスの内カバー
正極取れ

全て組み上げて、ACアダプターおよび乾電池で動作確認をします。

溶解した粘着ゴムの除去と内部のお掃除、ゴムローラーのメンテナンスや各所の補修と今回のプレイメイトは、まぁまぁな作業料となりましたが、再びカードが再生できるようになりました。


(他院にて、)一度は部品が無くなおらないと言われましたが、瀧下様のホームページにたどり着き、修理していただくことができて本当によかったです。

数十年ぶりにカードを通し、音が出るのをみて、家族みんなで喜んでいます。

子供と遊ぶのがとても楽しみです。 (カードに録音された私の小さい頃の声も聞くことができました)

逐一、とても丁寧に状況を知らせてくださったので、安心してお願いすることができました。

本当にありがとうございました。大切に使いたいと思います。

~ご依頼者様のご感想より~