DWE アナログプレイメイト ゴムベルト再修理
こちらの記事でアップしておりました、アナログ版のプレイメイトですが、返送後に突然動かなくなる旨の連絡があり、原因究明と対策を行いました。今回は、その内容についての記事となります。
突然カードを通そうとすると、カードが自走しなくなってしまうそうです。
カードをゴムローラーで挟んで駆動する形式のプレーヤーは、数多くの修理経験がありますが、過去に交換したゴムベルトが切れてしまった例があります。さて、早速再度送りなおしていただき拝見しました。
本体内部を拝見しましたが、目視上はこれといった不具合は見つかりません。
では、実際にカードで稼働をさせてみて、突然止まるような事象は起こるか確認します。
動き自体は、修理当初の動作確認時と同じく問題ありません。想定内です。
このレベルで不具合が出てしまっては、当初の修理の内容に疑念が出てしまいます。
そこで、不具合が生じた詳しい状況をヒアリングしました。
すると、数時間の連続稼働後にカードが動かなくなってしまったとのことです。ということで、試験用にトークアロンカードを50枚程、追加で借用し連続稼働をさせました。
10分、20分とカード再生を連続させます。すると、30分経つか経たないかというところで、突然カードが、動かなくなりました。本当に突然動かなくなりました。
しめた!と思い、そのままの状態で開封し駆動する機構回りを確認します。
なんとも、モーターは回転しますが、プーリーを回転できなく空回りするようになります。
この症状は、しばらく時間をおくと、再度正常に回り始め、そのまま稼働を連続させると再発するという症状です。
実は、DWE製のアナログ版プレイメイトは、修理実績は数件しかなく、この手のノウハウの蓄積が乏しいのが実情だったりします。
空回りしていたゴムベルトも、実寸サイズを計測して交換していたのですが、やはりこちらの修理記事のとおり、ベルトのテンション(張り)を考慮して実寸の80%サイズで張るのがベストとあります。念のため張りは気にしていたのですが、何分、容易に手に入らないゴムベルトですので、入手可能なベルトにて動作確認を行っていたのが仇となったようです。
グリスも黒くなっております。
さて、原因はほぼ突き止めれたので、対策を打ちます。
プーリー軸には、より耐圧性能のある極圧タイプに交換をします。プーリーが回転できなくなったのは、グリスの粘度が熱や圧によって変化したせいかもしれません。当初塗布したシリコングリスは、-50℃~250℃までの耐熱性があったのですが、金属同士の摩耗なので、他のグリスで検証してみます。
また、ゴムベルトも規定サイズの80%のベルトを発注します。もちろんですが、国内では入手できませんので、海外より入手します。
この2点を調整し再度不具合が生じるか確認します。
連続稼働1時間でも、先の空回りの問題なく回転を継続できました。
恐らく、ベルトサイズの選定が問題の9割でグリスは、問題の1割にも満たないように思います。
ただ、これはあくまでも当医院での検証結果ですので、ご依頼様へ返送し動作をみてもらうことにしておりますが、再発してももう打開策がありません。原因不明の不具合ということで、事象が起きた際は、しばらく時間をおいてから再度使用するなどの運用面でのお願いをしておきました。