いずみ書房トーキングリピーターDX メモリカードカバースイッチ故障

いずみ書房トーキングリピーターDX メモリカードカバースイッチ故障

今回のご依頼は、カードをさし込んでも、ヒツジの声しかしないとのことで修理のご依頼がありました。当医院での修理実績は、ほとんどない機種なのですが、早速診察します。

まず、『ヒツジの声』とは何ぞやですが、このトーキングリピーターDXは、何らかのエラーが生じた際は、登録されている数種の鳴き声や音を発し使用者に警告します。

『ヒツジの声』は、以下のように再生できないメモリーカードが入っている場合とのことです。

本機で再生できないメモリーカードが入っ ている状態で、リピートカードを入れたと き。 本機で再生できないメモリーカードが入っ ている状態で、リピートボタンを押したと き

~取り扱い説明書より~

うーん、でも原因はまだ分かりませんね。早速本体を診てみましょう。

まず、到着した状態でリピートカードをさし込むと、なんと『ネコの声』がします。

あれ!?ヒツジの声だったはずだけど、、、。

メモリーカードは、本体裏面のカバー内にあります。開いてみると、メモリカードが若干ズレておりました。おおおこれが原因ですね。メモリカードがズレており、入っていない状態と認識したらしいです。

メモリカード

ん?だけど、輸送時の振動でズレてしまったのかもと思い一旦そのままにしておりましたが、実はこれは問題になります。詳細は、後述で。

カード検知スイッチ

以前修理した際は、カードの検知スイッチが故障していたのですが、今回は正常にカードの挿入は検知しています。

ちょっと原因が分からない、、、いろいろ試していた最中に糸口を見つけました。メモリカードの裏蓋が開いたままの状態でリピートカードをさし込むと『イヌの声』がするはずなのですが、『ヒツジの声』がしました。おかしいですね。

スイッチの固着

原因はメモリカードカバーのスイッチが固着しており、常時閉じて状態になっておりました。この状態では、本体側は、たとえカバーが開いていたとしても、閉じていると誤認します。これは問題になりかねません。というのも、下記取り扱い説明書の抜粋の通り、『警告音が鳴り終わる前に、メモリーカードを抜くと、中のデータが破損する危険があります。』とあります。

つまりですが、不用意にメモリカードの抜き差しすると、データアクセス中であった場合は、メモリカードのデータの破損の危険性があるので、メモリカードの蓋に開閉のスイッチを取り付け、開いている場合は、『イヌの声』で警告し、また本体の制御プログラムもメモリカードへのアクセスを行わないように制御していると思われます。ですが、今回のようにカバースイッチの固着し常時閉じている側へスタックした場合はどうでしょう。

常時カバーが閉じていると制御プログラムは誤認するので、使用者がメモリカードを抜き差しした際もメモリカードへのアクセスが起きてしまう可能性があります。そうなると、取り扱い説明書の通りですが、データが破損していまいます。

ここで原因と結果が一致しました。

メモリカードカバーの開閉スイッチが閉じる側への固着したため、制御プログラムは常時、カバーが閉じていると誤認します。使用者がカバーを開けメモリカードを抜き差ししようとした際に、本来であれば、カバー開いているので、メモリカードへのアクセスは起きるはずありませんが、運悪くそのタイミングでメモリカードの何らかのアクセスが起き、アクセスの最中にユーザにてメモリカードの抜き差し行われてしまったようです。その結果、メモリカードのデータが破損してしまったという流れです。

スイッチの固着を改善し正常に検知できるようにすると、カバーが開いている状態では正常に『イヌの声』がします。ですが、カバーを閉じると『ヒツジの声』のままなので、やはりメモリカードのデータが破損してる可能性が高いです。

ご依頼者様へ本件をお知らせし替えのメモリカードはないか問い合わせし、代わりのメモリカードを送付いただきました。故障原因の予想も当たり、無事リピートカードを認識し再生確認ができました。

半田浮き

さて問題であったカバーの開閉検知スイッチは、カバーが閉じている状態で長く保管されるため、スイッチの電極に負荷がかかります。画像の通り、電極のランドの半田にクラックが入り浮いておりまた。幸いに断線とまではなっておりませんでした。また、スイッチを固定するプラスイッチの補強カバーもぐらついています。

滑り改善
正常状態

スイッチ固着をシリコンスプレーで改善しプラスチックカバーのぐらつきを補強するため、エポキシで固定柱を固定しました。これでしばらくは、大丈夫と思いますが、やはり懸念も残ります。そこで、ご依頼者様へカバーを開けてメモリカードを抜き差しする際は必ず、電池もしくはACアダプターを先に抜いてからメモリカードの交換を行うようお願いしました。

次に、当初発見したメモリカードが、若干抜けていた症状です。これも動作中に誤ってメモリカードがソケットから抜けてしまう危険性があります。恐らくは、メモリカードのソケットのぐらつきなのでしょうが、修理の術がありません。

そこで、カバー裏面に薄いスポンジを張り付けることで、カバー内の隙間を埋め万一メモリカードがソケットから抜きズレることを抑制することにしました。

カバー裏のスポンジ

今回は、スイッチの固着でメモリカードのデータが破損した事象でしたが、原因も分かり修理完了です。