おやすみホームシアター メンテナンス修理

2台のおやすみホームシアター

今回のご依頼は、2台のおやすみホームシアターから選りすぐりの部品を取りまとめ、1台のベストな状態のおやすみホームシアターを完成させるというご依頼です。※末永く1台を使い続けたいとのご要望でした。

さて、このおやすみホームシアターは、TOMY社がタカラ社と合弁する以前の古い機種となります。過去に修理の実績もありませんが、まずは内部の構造から解析します。

まずは、それぞれの状態ですが、トップ画像向かって左のおやすみホームシアターは、電源を入れてもうんともすんともな状態です。向かって右のおやすみホームシアターは、一応は動作するが、ノイズが酷いとのことです。

※キーパーツが、動作不良でかつ代替えが効かない場合を除いて、できれば2台とも綺麗に直したいというモチベーションで臨みます。

その1.動作機の詳細調査

電源投入するとカセットの画像も投影され回転し音楽も鳴ります。ですが、やはりスピーカーの音割れやモーターの駆動音が大きいので、おやすみというよりは、うるさいかなぁという感じです。音割れの原因を探るべく分解しスピーカーとみてみると、よごれやほこりもそうですが、コーンもところどころうねっていました。

音割れスピーカー

Φ50mmでジャストサイズではありませんが、手持ちの同規格のスピーカーで鳴らしてみると、これがまぁ綺麗に再生されます。スピーカーコーンの吸湿など経年劣化も相まって音声不良になってしまったのでしょう。

純正スピーカーの直径は、Φ57mmですが、このおやすみホームシアターは、スピーカーの抑えが付いているので、Φ50mmの手持ちスピーカーも取り付けできました。新規の部材を取り寄せると送料なりかかってしまうのですが、ご依頼者様にご相談したところ、音質を重視されるとのことで、直径純正サイズΦ57mmを別途調達し聞き比べをしました。

Φ57mm新旧スピーカー

聞き比べたスピーカーは、以下のとおりです。

  1. Φ50mm 8Ω 8W品
  2. Φ57mm 8Ω 1W品
  3. Φ57mm 8Ω 0.5W品(純正規格:音割れノイズ品)

出力が異なるので、同じボリュームでも音量が違ってくることは、分かっておりますので、比較は、音質のみということで聞き比べて頂いた結果、 Φ57mm 8Ω 1W品 となりました。スピーカーは、新品の Φ57mm 8Ω 1W品 で換装することになりました。電子音を聴くわけですから、ある程度の見切りをつけてもいいと思います。

次にモーターの駆動音ですが、内部を分解しオーバホールをします。

焦げグリス

古く焦げたグリスを取り除き、コミテータ―とブラシの接触点の清掃と研摩をおこないました。コミテータの溝と焦げたグリスの相乗効果で接点に不具合が出ていそうですね。

オーバホール

コミテータの研摩をし過ぎると破損するので注意が必要です。また、カーボンの除去には、フラックスクリーナーがとてもよく聴きました。ブラシ用のグリスを負荷して視聴します。※モーターを視聴するっていうのもあれですが、、、。

ノイズ視聴

オーバホール後のモーターは、新品と間違える位の静音が達成できました。別途新品のモーター交換という手もありますが、この手のモーターは、トルクや動作規格を調べないと交換ができなく、外形の見た目が同じでも市販のマブチモーターなどと交換をしてしまうと、速度が違ってしまうので、この点も要注意です。恐らく、カセットの絵柄の回転速度が速くなるように思います。

さて、スピーカーの音割れとモーターの駆動ノイズは改善できそうです。動作機をベスト機として、ある程度目標のレベルで完成できそうです。

その2.不具合機の詳細調査

不具合機は、うんともすんともなので、開封して調べてみると、電源用のプッシュスイッチの接触不良でした。試行的に短絡させ電源を投入すると、無事起動し音楽も流れました。しかも、なんと!こちらの方が静音で状態が良いです。電源のプッシュスイッチが早くに故障したため、稼働時間が短いのでしょうね。

プッシュスイッチ交換

その他の部材も動作機同様にモーターのオーバホールメンテナンス、スピーカーの交換を行えば、不具合機も生き返りますね。

さて、以上をまとめ修理方針を決めます。

  • 代替えのきかないキーパーツの不具合はない。
  • モーターのオーバホールで静音にできる。
  • スピーカーは、純正サイズのΦ57mmを注文し交換。
  • プッシュスイッチもすべて新品に交換。

また、部材パーツの交換以外にも、以下のメンテナンスを実施します。

  • ギアボックスの古いグリス除去し新しくグリスを付加。
  • ゴム系のプーリーやローラーは、アルコールで洗浄掃除。
  • 光学系レンズもアルコールで洗浄掃除。
  • 本体内の埃もお掃除と筐体もアルコールで洗浄。
  • ビリケン球を新品に交換。
  • LED球の使用可否を確認するため試行的に実験
ギアボックス
光学系お掃除

2台のおやすみホームシアターは、無事動作できるようになりました。できる限りの静音も達成でき、これで末永くまたご使用ができると思います。

球の焦げ

ビリケン球も使用時間が長くなると黒くなってしまい交換にて、明るく鮮やかさが戻りました。球が古くなると見えていなかったで、球の交換後に不具合かもと思い込んでしまったのですが、旧を新品にし輝度があがるとレンズのスリットも見えるようになります。

レンズのスリット

以上で、当医院で提供できるメンテナンスおよび修理は以上となります。

ビリケン球と同じ規格のLED球の交換テストも行いましたが、指向角狭いLEDは、スポット的に対象を強く照らすような場合には良いですが、広い角度に明るく光って欲しい時には向きませんでした。そのため、投影中央に黒いムラが現れ調整ネジでも消すことができずでした。また、輝度も明るすぎて色合いも白く眠りにつくには、ビリケン球の温かみのある色合いはよいと思います。※LED球への交換は、耐久テストもしておりませんので、自己責任でとなります。

今回の修理メンテナンスは、個人的な達成感が非常に高くおやすみホームシアターも製品購入時の状態に近くできたように思います。ご依頼者様におかれましても、末永くご使用になられたらと思います。

グレンラガン フィギュア 足首関節 破損 修理

グレンラガン

『天元突破グレンラガン』というアニメに登場するロボットのキャラクターのようです。なんと凛々しいポーズでかっこいいですね。

お持ち主様がとても大事なされていたフィギュアの右足首の関節が割れてしまい、その修理のご依頼となります。

以前、コンバトラーVの肩関節の修理記事をご覧になられたとのことでご依頼を決意されたとのこと、気合をいれていきましょう。

まずは、破損の関節を確認します。

全体図
破損足首

足首は、金属製の関節と樹脂製のボールジョインで構成されており、樹脂製のボールジョイン側が真っ二つにわれてしまったようです。

画像からではわからないのですが、実際の大きさは、とても小さなパーツで、コンバトラーVの肩関節修理などで適用した0.5mm穴を開けてワイヤーを通しエポキシで固定する手法は使えないことが早々に分かりました。

また、以前他のフィギュアの関節破損で修理をした件は、プラリペアで関節パーツ自体を複製したこともあります。ですが、今回の破損関節は、金属のスプリングピンを中心に持つタイプでした。恐らく製造の段階は、樹脂パーツを金属パーツに軸中心でアライメントを取りスプリングピンを押し込むのですが、このピンが外れないため、複製しても軸を通すことができません。

さて、いろいろ思案した結果、関節部を新規に作成することにしました。

作戦としては、スプリングピンの稼働部分は、1mmの銅板でピンをぐるっと囲み加工し、ボールジョイント部分は、ボールのサイズに合う受け側の市販パーツを購入し、先の銅板加工した部分をエポキシで接着するという作戦です。以前樹脂製の関節だった部分を金属にしているので、稼働はゆるゆるになっていまいますが、ご了承をいただきました。

銅板とボールジョイント
接着加工
後ろ

しかしですが、もともとのパーツの高さと新規パーツの高さが、若干高くなってしまい立位時にちょっと斜めっております。

右足首が高い
後ろから

関節を元に戻すことが優先課題でしたので、見た目などは、ご依頼者に了承を得て修理完了としました。

接着剤を使用して関節などの小さなパーツを作成する場合、ボールジョイントのはめ込みや稼働試験中に再度割れてしまうことや接着面が取れてしまうことが多く、冷や冷やしながらテストしました。

無事稼働テストまで良好でしたので、ほっと一安心してお返しができます。

※アニメのキャラクターは、勉強するようにします。

元気なピカチュウ 分解方法

元気なピカチュウ

最近、勤務医をしている地域のおもちゃ病院にて、TOMY製の『元気なピカチュウ』のヘルプ要請をいただきました。

本体内部を確認したいが、ソフビ筐体内部の本体が取り出せないとのこと。

ソフビの着ぐるみ

このピカチュウは、着ぐるみのようにソフビの皮の中に動作をする本体が設置されております。

底辺の電池ボックスから開封を試みると、両手と頭部の角が障害になり本体が底辺から抜けないことが、直ぐわかります。

ヘルプ要請を頂いた先生からも、分解にはソフビの皮を割く必要があるかもと相談を受けておりました。

自分も最初は、悩みましたが、おもちゃの製造段階を考えると、ソフビの皮に後から本体を挿入する以外に製造方法はないと決断しました。

では、両手と角は、本体挿入後に装着したはずなので、外して本体を抜くことができると確信していました。

両手と角を外した状態

注意深く内部を観察し、隙間に指を入れそれらしい差込口を発見できましたので、後は運に任せて、力ずくでずらすとツメが外れてくれました。こういった、運に任せるのも必要なんだと思います。

取り外しにお困りのドクターの皆様への共有となります。

フラッシュキング 肩関節 軸折れ 修理

フラッシュキング

お恥ずかしながら、フラッシュキングを知らなく調べてみると、1986年から1987年に放送された、スーパー戦隊シリーズ「超新星フラッシュマン」に登場する巨大ロボとのことです。テレビ放送したヒーローもののキャラクターが玩具として発売されるといったのでしょう。確か、似たような構成内容のヒーローものが、手を変え品を変えで連続して放送されたような、、、。

さて、余談はこのぐらいにして、ご依頼の内容は、左肩関節の軸が折れてしまい、ご自身で接着を試みたのだが、失敗してしまいお困りとのことです。

合体模様
軸折れ拡大図

この肩関節は、ロボ自体が合体変形するための一部分の機能も担っており、左足からにょきっと出ています。分解して中を拝見すると、腕をカクカクと回すために山を切った軸受けが、ばねを介して軸とねじ止めされます。また、ご依頼者様が、瞬間接着剤でこの軸の接着を試みた時に折れた軸と軸受けもろともくっついてしまい、目的の軸自体は接着できなかったようです。

経験上この手の折れに接着はNGですね。接着面積に対し強度が足りなくしかも回転する際のカクカクの振動にも耐えうる修復方法を検討せねばなりません。

折れた軸と根本
折れた軸のサイズ計測

折れた軸を調べてみるとバネを抑えるタッピングネジの穴が貫通しております。また、折れた根本の方にもくぼみがあり底に新たなネジをねじ込むことができそうです。

つまり、通常はバネを抑えるためだけのネジだったのですが、長いネジを用意してバネも軸も一緒に固定してもらおうという作成です。軸の中抜き穴は、Φ2.1mmでしたので、M2.6が使えそうです。手持ちにM2.6の皿ネジがあったのですが、バネを抑えるためにM3のワッシャを噛ませました。

こんな感じ
ぴったり
良い感じ

実は、ご依頼者様から届いた際、折れた軸にタッピングネジがそのままねじ込まれただけで、あったであろうバネが付いて無かったのです。お聞きすると、最初からバネはなかったそうで、ただ普通に回転させていたそうです。( ̄▽ ̄;

なので、いっそのこと、紛失したバネも見つけてまとめて修理をすることにしました。

まず、軸の折れた左肩は、まず軸を直して、当初あったであろうバネは、右肩から移植します。なぜかというと、ネジをねじ込む際、前述のくぼみが浅く強度に不安がありました。そこで、嫌気系の金属向けの強力接着剤をネジを軸受けの根本に付加して強度を増そうという作戦でして、どうしても先にこの作戦の成果を確認したくバネが直ぐ必要でした。右肩からまずは移植し修理の強度を確認し、大丈夫そうだったら、もう片方のバネを別注して用意することにしました。

無事強度も確認できましたので、左肩は完了としはずした右肩のバネを探し出し注文することにしました。

バネサイズ
別注ばね

ぴったりサイズではありませんが、近いサイズのバネをみつけ待つこと3週間。ペンチでサイズが合うように微調整し、外した右肩に再装着して、今回の修理は終了としました。

フラッシュキング

ひと昔であれば、このような部材の入手はたいへん困難で、ひとつ間違えば工場への特注で高額になろうかと思います。インターネットの時代に感謝です。

BABY GUNG くまのぬいぐるみ ネジ外し

くまのぬいぐるみ

今回のご依頼は、電池ボックスの蓋をとめるネジの頭の溝が、ドライバーでの締めか開封時に削れてなくなったしまい蓋が開けられなくなったとのことです。

ネジの頭の溝が削れてしまう事象は、たまごっちでよくご依頼をいただきますが、基本は、適切なサイズのドライバーで強く押してゆっくり回すです。ですが、今回のくまのぬいぐるみでは、残念ながら、それが通用しませんでした。では、状況を確認しましょう。

溝の状況
拡大

もう、ネジだったのかも分からないくらい溝がなくなっております。

ドライバー各種

使用するドライバーには、サイズの表記があります。

プラスドライバーNo.0No.1No.2No.3
ネジのサイズ1.4mm~2.6mm2.0mm~2.6mm3.0mm~5.0mm5.1mm~8.0mm

また、ドライバー先端の形状にも多種ありますので、適切にサイズと形状を選びながらの作業になります。さて、試しに若干でもドライバーでの回転に抵抗が残っているか確認すると、ほんの少し、ほんとーに少しだけネジを回せるだけの溝の残りがありましたので、かなりというか、手のひらが真っ赤になるくらいドライバーを強く押しつけて回すと少しですが、回ります。

しめた!

と思い回わしました。手のひらがかなり腫れて痛いですが、およそ10分ほど、強く押しながらずらし回しておりましたが、もう限界に近くなりました。残り少ない溝が削れてなくなりそうです。

困りました。これでは開封はできないのですが、強く押してゆっくり回す戦法以外の策は、筐体の加工などになるので、しばし悩みました。もしかすると受け側で何か起きていると思い本体側を開封することにしました。

ですが、本体側のネジの溝も実は、こじった形跡があり、開封するのにも苦労はしました。

こちらのタッピングネジも溝が削れております

もう、はじめからそうすればよかったのですが、開封するとネジの受けのナットは緩んではいたのですが、かなりきつく、しかもネジが長いので、かなり回さないとネジはとれません。これでは、ネジの溝もなくなりますね。

さて、しばし悩みましたが、溝の残りがあるうちは、回してみようと覚悟を決め、継続した結果、30分ほど格闘し無事外すことができました。手は真っ赤っかです。

開封成功

蓋のネジは、外れ止め付きのネジでサイズは、M2.6です。こちらのネジは、外れ止め付きではありませんが、通常のネジの手持ちがありますので、それで交換します。しかし、本体側のタッピングネジは、手持ちがありません。

サイズを計測すると、こちらもM2.6です。M3より小さいネジって店頭在庫がなかなかないんですよね。。。しかも、タッピングだし。

インターネットで検索すると以下のように総額が高額になるので悩みました。

地方は、送料もかかり、100本も要らないのに数本でも買えない、、、トホホホ。

ということで、ダメ元で近所のホームセンターに寄ってみると、案の定在庫は置いてなく、ふと横をみると、なべ型ではなく、皿型がありました。しかも、セットで200円程度でした。長さは、若干長いのですが、これで部品代を削減することができます。

電池ボックスの止めネジ用のナットは、キャップが取れていましたのでエポキシで接着固定します。

ナット止め接着

皿ネジなので、若干見た目に違和感がありますが、ここは、ご依頼様にネジ在庫の関係でと了承を得て 無事に交換作業を終えました。

ネジ換装

ありがとうございました!
出産祝いに親族からもらったぬいぐるみで、0歳児のとき、泣く娘をあやすのによく動かしていました。電池切れになり、ネジを開けようとした時にネジ穴がすでにがたがたの多角形のような形になっておりびっくりしました。
自力で開けようと、ネットで調べて輪ゴムや接着剤を使用してみたのですが、余計にネジ穴を広げたような気がします。
他に直す方法はないかと、検索してみたのですがうまく見つからず、半年ほど放置していていました。この度瀧下様のブログを拝読し、お願いしようとご依頼をさせて頂きました。
修理実績を読ませて頂き、大変ご苦労をおかけしたとのことで恐縮です。
到着したぬいぐるみを動かしてみせると、娘は楽しそうにくまのおしゃべりを真似してくれました。
以前動いていたとき娘はまだあかちゃんで、ぬいぐるみの動きを眺めていただけだったので、娘の成長のほどを感じることができました。
これも瀧下様が修理してくださったおかげです。
重ね重ねありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん DX タッチペン 修理

DX版

ここ3日以内にアンパンマンのタッチペンの修理依頼が続きました。今回は、DX版の修理依頼です。

電源投入すると電源LEDは点灯するが、まったくメロディが流れないということです。

過去の経験では、絵本につよくタッチすることによってセンサーモジュールの半田にクラックが入り剥がれてしまうケースです。

さて、今回はどうでしょうか?

赤外線送出チェック

音声は流れませんが、イメージセンサー向けの赤外線は送出されているようです。電源も供給されているようです。

おお、一縷の望みはありそうですね。半田剥がれの半田付けは、本当に心労します。

となると、今度は、出口の経路に問題ありでしょうか?

では、本体を開封します。

イメージセンサーモジュール

半田剥がれはなさそうです。では他は、、、

スピーカーの断線

やはり出口のスピーカーの断線でした。再半田にて無事起動音声と絵本の画像認識も無事確認がとれました。

このタッチペンは、お子様がお生まれになり、その後約7年間眠っていたそうです。第2子のご誕生で再度活躍の場ができたです。

修理も完了しましたので、これから活躍してもらうことを祈りつつ終了です。


さっそく喜んで子供が遊んでいます。迅速で丁寧な対応、ありがとうございました‼️ 助かりました。

~ご依頼者様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん Super DX タッチペン 修理

タッチペン

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん Super DX タッチペン 修理

今回のご依頼は、電源投入後、起動メロディは正常に流れるが絵本へのタッチでは無反応とのことです。

因みに、このセガトイズ製のシリーズは、以前にも二度程修理をしており、全てにおいてバージョンが異なっておりました。

その他多くの修理案件を記事にしておりますので、修理実績一覧もしくは下部の検索窓から『アンパンマン ことばずかん』で検索してみてください。

どこがどう違うのかまでは流石にわかりません。

さて、タッチ操作で無反応とのことなので、以前にも経験のあった半田剥がれではないかと推測し開封します。お子様が絵本に強くタッチしてしまうそうで、先端のカバーが割れて破損しております。

先端の割れ

さて、開封ですが、このタッチペン最新版では特殊ネジが使用されております。

▲の特殊ネジ

開封には、TA2.0サイズの▲型の特殊ネジドライバーが必要です。

さて開封をしてみると、センサーモジュールの半田剥がれではなくソケット抜けでした。

最新版では、ソケット化されてるんですね。ある意味よかった、、、。半田剥がれのはんだ付けは、とても心労するんですよね。

ソケット外れ

ただしかし、センサーモジュールの先端カバーも破損しておりますので、このままハメても恐らくすぐにまたソケットから外れます。やはり強くタッチしがちですよね。

そこで、ホットボンドで固定しておきました。これでしばらくは、安心でしょう。

ホットボンドで固定
赤外線送出テスト

自作の赤外線センサーに照射すると無事赤LEDが点灯します。絵本でのタッチ動作確認も無事復活し、これにて修理完了としました。

開封に使用した特殊ネジ用のドライバービットは、こちらで購入できます。


ペンを斜めにして指すと音が鳴らない時があるようで、音が鳴らないと強めに叩いてしまうので、注意しながら壊れないように大事に使っていきたいと思っております。
メールでのご連絡も詳細にいただいておりましたし、すぐに作業に取り掛かっていただき、迅速で正確なご対応に本当に感謝しております。

~ご依頼者様の感想より~

もっとおりこうおやすみユメル 音声不具合 修理

ユメル

先日修理依頼のありました、ユメルくんとはバージョンに異なるユメルくんの修理依頼となります。

先にお伝えしますが、当医院での診断の結果修理不可能という決断に至りました。他医院の先生向けに情報共有をさせていただきます。

故障の症状は、乾電池とボタン電池の交換後に発声の音声がとても小さくなり音割れしているかのようになり、まったく聴き取れなくなってしまったとのことです。他の動作は問題ないとのこと。

届いてすぐ電源投入し音割れを確認しましたが、ご依頼内容の通り、耳をそばだてないと聞こえないくらい小さくしかもノイズが入り交じり雑音だらけでした。スピーカーの不具合かもと推測を立て開封します。

ですが、このユメルくん先のユメルくんとは異なり開封がとてもたいへんです。スピーカーは、頭部に中にありその頭部も縫い合わされた顔面の表層を縫い目に沿って糸を切り開く必要があります。しかも、切り開けても頭部をネジを外すには、胴体も開封しなければならないという代物になります。

開頭手術

さて、無事開封できたところでスピーカーを検査しますが、まったく動作に問題ありませんでした。( ̄▽ ̄);

手持ちの検査器においても再生音がきれいに聞こえ、インピーダンスをマルチメータで計測しても32オームを表示します。

スピーカー

では、次に音声の再生回路を回路図に起こします。

音声回路の再生&増幅回路

COBから出力をRCフィルタを通し、NPN 8050トランジスタで増幅するというおもちゃでよくみる回路構成です。

スピーカーに問題がないので、COBから出力を耳とオシロスコープで確認します。

8050に印加されているベース信号を手持ちのクリスタルイヤホンで聞いていますと、ノイズもなくきれいなユメル君の声が聞こえます。COBの出力も問題ないのかと高をくくっていたら、オシロ波形で問題が分かりました。

音声波形

ベースへ印加するバイアス電圧が、0.456Vと低すぎます。クリスタルイヤホンは、感度がいいので辛うじて聞こえたんだろうと思いますがコイル式イヤホンでは、聞こえなかったのかもと思います。

このベース電圧では、8050の閾値を超えることはできないので、 ベース電流も流せずで音声の増幅もできないと思います。

Vpp振幅

また振幅もPeak-to-Peakで0.488Vとこちらもまた小さいです。先のノイズは、恐らくPeak付近で0.6Vを超えたりするだろうから、8050がスイッチONし音声に連動した波形上側のプチプチノイズを出していたのでしょう。

なら、8050 NPN トランジスタの特性変化も疑い、基板から取り外して検査しても問題ありませんでした。

トランジスタ検査器
バイアスグラフ

通常は、Vin-Voutの関係グラフのトランジスタの直線領域を使って増幅しますが、バイアスがシフトしてしまったので、振幅が取れなくなります。

まとめると、COBからの音声出力信号が、何らかの原因で小さくなっており、8050では増幅できなくなっている。COBの仕様が分からないのですが、IOの劣化不良が懸念されます。IO回路のESD保護ダイオードにリークが発生し、IOLH, VOLHの特性が悪くなりフルスイングできなくなっているのではないでしょうか。※玩具向けなので、信頼性的な検査も設計も恐らくしていないのでしょう。

さて、通常ですとここでCOB不良として修理不可能で終了となるのですが、先の微小振幅の波形を何とか増幅できないかと検討してみました。

要件は、以下

  • ユメル内蔵の電池ボックス 6Vで駆動できる方法
  • 数百円から掛かっても1000円程度で実現できる方法
  • 筐体のスペースの制約からIC1個と周辺パーツで構成できること

ですが、手持ちのオペアンプも限りがありますので、3回路を試行しました。

LM358

LM358

LM386

LM386(データシートの推奨回路)

結論は、どちらも実用レベルでの増幅は不可能でした。やはり入力レベルが低すぎてまずは前段で電圧をもちあげないとだめですね。

最後に、ダメ元でS8050をダーリントンで構成しましたが、閾値を超えないのでこちらもだめでした。ということで、残念ではありますが、修理不可能として返却をさせていただきました。

ソフビのお人形 足股関節破損修理

ソフビのお人形

経年劣化で割れが生じ片足が取れてしまったとのことです。ご依頼者様のお母様が大事になされておられるとのことで修理にも気合が入ります。

さて、状況を確認します。

割れ

足股関節部分で回転させるためのはめ込み部分が完全に割れて取れておりました。

以前に修理した形跡があり、糸で内側を縫い合わせ最後に接着しておりました。

ご依頼者様のご要望としては、できれば元通りにして欲しいが、難しければ座位にて接着固定して欲しいとのことでした。

割れ部分を拝見すると、非常に接着面積が狭いのと、足を回転させるだけの強度も確保せねばなりません。もちろん外れないことが大前提です。

以前の修理方法を自分も踏襲しますが、今回は強度をいかに確保するかが鍵となります。ソフビも懸念劣化で非常に脆くなっております。

前処理として、以前の修理痕に付着している接着剤の残りをルーターできれいに削り取ります。

ワイヤー固定

そして、割れ部分を合わせこみ内側にワイヤーを通す穴をあけます。ルーターを使い1mmのドリル歯で複数個所あけます。そこに、0.5mmのステンレス線を個別に通します。

ぐるぐる巻きに通してもいいですが、一か所が何らかの原因で切れた場合、全体にその影響が及ぶのをさけるため、全て個別に巻きます。

擦れる部分

本体と擦れる部分にもワイヤーが露出しないよう注意します。おそらく、前回の修理の際、縫い糸を使用したようなのですが、この擦れる部分に露出してしまったようで、摩擦で糸が切れていたようです。

接着固定

最後に弾性のエポキシで割れ部分とワイヤー全体を覆うように接着します。ソフビですので、弾性接着剤でないと、固化後にとれる危険性があります。

はめこみ

接着剤が完全に固まる前にはめ込みを完了し後は接着剤の固着を待つのみです。

約1時間ほどで固化は完了しますが、実用強度を確認するため、翌日までそのまま固定し回転強度を確認すると、無事また回転できるよう接着もできました。

立位、座位共に問題なく修理できました。

およそ50年前の商品ということで、材質上の劣化も進んでおりますので、ご依頼者様には、そっとやさしくお取り扱いをお願いして作業完了としました。


お手数お掛けしました。 ありがとうございました。

このお人形は私が7、8才の時にお誕生日に買ってもらった物です。

そんな私も62才になりますので50年以上前のものです。

一人っ子だった私にこのお人形を買ってもらった2年後位にお人形にそっくりな弟が生まれました。

両親は大変喜び、弟も経緯を聞いているので、母にもしもの時があっても、家宝として一生大切にすると言ってます。

本当にありがとうございました。

~ご依頼者様の感想より~

ソノシート人形 断線修理

ソノシート人形

本体内部にソノシートのレコードと再生機構が内蔵されているお人形の修理依頼です。

購入したのは、50年程前で故障し発声しなくなってから既に40年程経過しているとのことです。※私よりも年上のお姉さんですね。気合を入れてがんばります。

ご依頼の方におかれましては、たいへん思い入れのあるお人形ということで、なんとしても修理をしお声を届けたいと思います。

以前、同様の製品の発生モジュールを修理した経験がありましたので、恐らく同じモジュールが内蔵されているのではないかと思い本体を開封します。

発声モジュール

まさしくビンゴでした。以前のシングルCDサイズのソノシートに、女の子の声が録音されており、モーターでソノシートを回転し針と振動板で声が聞こえるというメカニズムです。

今回の不具合は、複合的にあったのですが、モーターのグリスの固着と回路に銅板が多様されておりその錆で導通が取れなくなっておりました。また、ソノシート用のターンテーブルを回転するゴムベルトも劣化しておりますので、新品に交換します。

モーターのオーバーホール

モーターは、マブチ製の140型です。固着したグリスを取り除き焦げた接点で磨き、コミテータに専用のグリスを付加しました。

錆断線

電池ボックス内に蓋が正常にしまっていることを感知するための機構があり、その接点に銅板が使用されております。経年から錆があがっており接触がとれておりませんでした。ルータで磨きます。

また、同様に再生速度を調整するスライダがあり、スライダのツマミをスライドさせると、抵抗を持った配線上をツマミの銅板が移動して回路上の抵抗を調整できる機構もあります。 銅板に錆があがっておりこちらも導通が取れておりませんでした。ですが、この銅板は容易にはずせないため、接点回復剤で接点のみ回復し錆による抵抗値が残ってしまったので、スライダを最小にしてのご使用をお願いしました。

再生針

肝心の針は、まだ使用できそうなので、表面の汚れと錆をおとします。

以上で無事に発生を確認できました。およそ20通りのおしゃべりを聞くことができました。ご依頼者様には、今後も安心してお声を聴いてもらえるように、再生音声を録音しCDにして差し上げました。


この度は私の大切なお人形を修理して下さり、心よりありがとうございました。

あの人形は今から約50年くらい前、亡き父から買って貰った大切な大切なものです。背中にソノシートが入っていて、おへそを押すと何通りも言葉を喋るのです。吃音のあった私の、大切な友だちでした。 毎日遊んでいたのですが、40年くらい前から、話さなくなりました。すごく困ったのですが、両親には申し訳無くて言えなかった事を覚えています。

大切な友だちでしたから、嫁ぐ時には一緒に来ました。 長い間声を聞くのは諦めておりましたが、今春父が亡くなり、寂しくて再び声が聞きたくなり修理して下さるかたを探しておりました。

ありがたいことに瀧下様にご縁をいただき、40年くらいぶりに声を聞くことができました。声を聞き、ボロボロと涙が出てきました。

本当に本当に感謝しております。しかも大変短期間にご修理いただき、重ねて御礼申し上げます。

一層大切にいたします。

世の中には、こんなに親切なかたがいらっしゃると、驚き同時に感謝です。ご恩は決して忘れません。

~ご依頼者様のご感想より~