ラジコン ヘリコプター 充電コネクタ修理

充電コネクタ修理

小型ラジコンヘリコプターの充電コネクタ取れに関する修理を行いました。同様の修理方法についてお困りな先生方へ情報共有させて頂きます。

画像中央部OFF文字の横に四角い抜き穴があります。

当初は、画像下部にあるUSB充電ケーブルのコネクタのメス側が表面実装のパーツにて存在していたのですが、抜き差しの反復で取れてしまい、メス側のコネクタパーツも紛失してしまったとのことでした。

本品を修理するにあたり下記の点を注意します。

  1. 最優先として安全に充電ができるようにする。
  2. 充電事故が起きないようにする。
  3. 本体のバランスを崩さないようにする。

リチウムイオン充電池の充電コネクタの故障ですので、換装でしたとしても正極、負極の逆さしやショートの危険性があります。紛失した該当のコネクタは、その型番も不明です。例え、型番が分かったとしてもパーツのみで購入できるか、できたとしてもかなり高額になるのでは意味がありません。

そこで、画像のテールルーターの下にケーブルで引き出されたピンヘッドをエポキシで固定しました。正極と負極を逆さしできないようオスメスを交互に入れ替えております。

元々、重心が前方にあったため、前のめり気味で操縦が出来なかったので、後方にコネクタを配置することでバランスがよくなりました。


パイルトルネード アクションピストン 修理

バンダイ製 パイルトルネードの修理依頼です。特救指令ソルブレインというヒーローものの武器らしいです。『守るものは命、救うのは心』 特救指令ソルブレイン とありました。※おもちゃドクターをしていますが、この手の情報には疎くすみません。

この武器には、3つのランチャーモードがあるらしく箱の絵柄でいうと、金色の砲身二つがいろいろが動きをするようです。パトライトは回りますが、そのランチャーモードと呼ばれるピストンアクションが動かなくなったとのことです。

早速ですが、引き金を引くとパトライトは光り回りますが、砲身はうんともすんともでした。幸いに内部でモーターの駆動音はしているので、ギヤか何かが外れたかしたのでしょう。

まずは、分解です。

隠しネジ
ステッカー

分解に際し困ったことが出てきました。上部の稼働蓋の青いステッカー下に隠しネジと本体上部に広面積な銀色のステッカーがあり、分解の妨げになっております。

隠しネジは、きれいに剥がせなければ、ネジ穴に沿って穴を開ける許可と、銀色のステッカーは、つなぎ目に沿って切り込みを入れる許可を頂きました。無理に剥がして破損をするより切り込み程度なら目立たたず安心です。

青いステッカーは、目立つ場所なので、ステッカー全体を温めてゆっくり剥がすことに成功しましたので、穴を開けずにすみました。

さて、原因は、ピストン運動用のギアを駆動するトルクギアが縦割れを起こし横ずれをおこしておりました。そのため、ギアの噛み合わせもズレてしまっていました。

ズレ
縦割れ

修理の方針ですが、汎用的な替えの部材がないので、まずは割れ部分は接着をします。

ですが、このピストン運動を見たことがある人は、すぐ理解できるかと思いますが、激しい振動で市販の接着剤を使用した接着程度では、すぐまたズレるか割れが酷くなると思われます。

過去にゼンマイのギアの縦割れで使用経験のある嫌気系の強力接着剤を使用します。また、再ズレを抑制するため太いアルミ針金で残りのシャフト部分をぐるぐる巻きにしてズレないようにしました。

針金の巻き方を間違えると他のギアに干渉するため、隙間の程度を見つつ巻きます。

干渉確認

以上の補修で無事、三つのランチャーモードが復活しました。

しかし、筐体を含めやはり経年的な劣化もあります。ギアの縦割れのようにギア欠けの発生も懸念されますので、以降は大事に保管されてはと思いました。


今回も無償で玩具の修理をして頂き、ありがとうございました 玩具に問題はなく、元気に動作しております 今回修理が大変な依頼をしてしまい、大変申し訳ありませんでした 本当に感謝しております

~ご依頼者様のご感想より~

ディズニー ミストファン 扇風機 モーター修理

スティッチのミストが出る扇風機

電源を入れてみると、少しンビクっと動くがそれきりな状況とのことで修理のご依頼がありました。保管のためしばらく時間が経過しているとのこと。

この手の不具合は、モーター内のグリスの固着に遭遇することが多いです。以前も壁掛け時計のカラクリ用モーターが動かないことがあり、少し手で回してみると動いたり、競馬のゲーム機でもRE-130モーター内のグリスがこびりついていてモーターが、うんともすんともだった経験があります。さて、モーターを分解し内部を拝見すると、案の定、モーター内のグリスが焦げこびりついていますね。

グリスの劣化

コミテータもブラシも銅の酸化膜も見受けられたので、表面をそっと研磨し、ブラシ用のグリスを添付しておきました。

※よく、グリスの固化などの対処方法として、高い電圧を一度かけるようなことを耳にしますが、不具合の根を断つためには、オーバホールがよいと思います。

さて、消費電流も計測すると、単三乾電池2本で、800mA程流れるようになり、扇風機も勢いよく回りだしました。

別件ですが、分解作業の中でモーターとは別に乾電池の液漏れによる負極側の腐食が広がっているのが発見され電池ボックスの電極の半田や導線が弱く所々切れてしまいました。作業ついでに、導線回路と電源スイッチのオーバホールしました。

腐食
配線の総換装
かなりパワフルな扇風機

動作確認も修理し組み立てし修理作業完了です。

きれいになりました

ディズニーリゾートでは、この霧吹き付きの扇風機が夏期間のマストアイテムのようで、扇風機を回転させながら、下の霧吹きをシューッとやると、霧状の水が冷却効果を高めてくれます。

ただ、パークに行った当日に動かないことが判明すると、とても残念なので、事前に動作確認をしてみてくださいね。


この度は、大変助かりました。無事に到着し受け取りました。

細かな作業や、どの部品がどうなっているのかと言う事は全く素人で詳しくは分からないので、原因が分かり動くようになり、ありがたく思っております。

それに送らせて頂いた時の状態に比べると綺麗になって帰ってきた感じがありましたので、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからの時期には大変役に立ちそうです。大切に使用をしていきたいと思っております。

この度は、本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~


ユメル 電源 レギュレータ 故障 修理

ユメルくん

当医院では、初めてのタカラトミー製のユメルくんです。非常に愛らしいお人形ですね。新型のユメルくんで設定データ保持用のボタン電池型ではなく、電気二重層コンデンサにて、電池交換までの6分間をカバーするという仕様になっておりました。

さて、ご依頼は、ある日突然電池交換以降、初期設定フェーズから先に進まないなくなってしまったとのことです。※ご購入してからメーカ様の保証期間が過ぎてしまわれたとのことで、たいへんお困りとのことでした。

私自身、ユメルくんを過去に修理した経験がなかったため、まずは取り扱い方法からの勉強も合わせての修理作業開始です。

実は、先行予約修理案件が多数ですぐ拝見できなかったため、お問い合わせ頂いてから、約1ヶ月お待ちいただきました。実は、この待ち期間が故障原因を探る糸口になりました。詳しくは、後述。

届いてすぐ不具合症状の再現確認をすべくと思いましたが、まずは使用になられていた乾電池の容量の確認です。

乾電池の容量不足

ユメルくんに挿入されていた単二乾電池4本に内、3本がほぼ完全に放電状態(数十mV)でした。

★これ、不思議です。

ここまで、放電する事態は、滅多にありません。とういうか回路の中で短絡でもされていたかのような残量状態です。この残量が、故障原因を突き止める糸口にもなりました。

ご依頼者様には、送付前に新品の乾電池での動作確認も依頼していたので、この富士通製の乾電池は、新品であったはずで、受け取りまでの 約1ヶ月でここまで電圧の降下を起こしていたのです。何かありそうな匂いがプンプンします。

ユメルの取り扱い説明書には、新品のアルカリ乾電池で、一日約40分の使用を想定すると約2か月は持つとのことなのに、この減りようは異常ですね。ご依頼者様は、パナソニック製の新品のアルカリ乾電池(EVOLTA)を別に同封頂いておりましたので、早速ですが、新品の乾電池にて動作させてみると、なんと!普通に動くじゃないですか、、、。単に、電池が消耗していたのか、、、。ということで、この新品の乾電池で様子見をします。初期設定を行い、就寝と起床時の動作を確認します。※因みに、故障解析の中で、初期設定の操作がうまくなり最後まで聞かずとも設定を進めることができるようになりました。

翌朝、起床午前6時にユメルくんの前で待っておりましたら、普通に『おはよう!』と起きようとしましたが、瞼が少し動いたとたん止まり何か起きたのかと左手ボタンを押してみたら、初期化されており最初の設定フェーズになっておりました。

おや!?おや!?電池の容量不足が原因ぽくないぞ。

その後、再度動作確認をすると、初期設定が完了できる時もあれば、瞼の開閉のとたんリセットされてしまう事象が出てきました。お問い合わせ頂いた症状と合致します。

しかし、何とも不可思議なのは、不具合の再現率が低いのです。10回に2回という2割の確率でしか、不具合は再現されません。故障解析では、一番厄介な症状ですね。しかも、当初新品の乾電池の容量も、前日6.0Vあったのは、翌朝には、5.3Vまで低下していました。ほとんど寝ていたはずなのに、この電圧降下はやはり異常です。

ここで新たな糸口が発見できました。解析の時間が経過するにつれて故障の再現率が格段アップしました。およそ8割の確率で初期設定が進まない症状が現れるようになりました。また、この段階で、瞼の開閉を制御するモーターが駆動するタイミングが、初期化されるタイミングを同じことが確認できました。

ここまでまとめると、

  1. 電池の消耗が非常に激しい。ユメルがお休みであった、9時間の間でも6.0V→5.3Vと0.7Vの低下があった。
  2. 初期化される不具合は、かならず初期設定時に動作する瞼の開閉動作(モーターの動作)とリンクしている。
  3. 新品の乾電池では、無事初期設定が完了したが、翌朝の起床時の瞼の開閉時に初期化されてしまっている。
  4. 解析時間が経つにつれて故障症状の再現性が高くなっている。

さらに、同時に基板上の不具合や配線の断線も確認しました。

メイン基板

基板は、2枚構成で、COB搭載のメイン基板とプッシュSWがある子基板です。目視上は、断線も腐食等もなくこれといった不具合は発見できませんでした。

Q5の電源レギュレータ、電解コン2本と電気二重層コンデンサ、振動センサーとシリアルのFlashメモリ、C8 瞼用のHブリッジのモータードライバ、COB構成、その他もろもろです。

ここでふと、過去にラジコンを自作した際の経験を思い出しました。モータードライバを搭載しモーター制御すると、必ず回転の起動時に起動(突入)電流が、一気にながれて瞬時に大きな電圧降下をおこします。ラジコンの受信機と制御マイコンの電源とモーターおよびモータードライバの電源を共通化すると、起動時に必ず起動電流によって電圧降下を起こしてしまって、制御マイコンがリセットされる事態に遭遇します。昇圧回路を挿入するなりで電源のバッファ機能を追加しリセットの時間を回避した経験があります。

今回のユメルくんも瞼の動作開始時に起動電流によって瞬時に大きな電圧降下を起こしてしまってCOBのVDDが、大きい電圧降下を瞬時に起こし、パワーダウンを検知した電源保護回路がリセットしたものだという仮説をたて調査再開しました。

電源回路まわりを図面に起こすべく調査をしている最中に有力が症状を観測できました。Q5の電源レギュレータが、異常発熱しております。チンチンではありませんが、指でさわれるぎりぎりの熱さです。しかも、レギュレート電圧を計ってみると異常値(5.52V)をさしていました。この異常電源は、モータードライバはもとよりCOB側へも配られておりました。仮説の裏付け通りになってきました。

電源回りの回路

刻印の6206Aから検索する、トレックスとMicroOne 微盟電子のデータシートがヒットし確認すると、下段刻印からどうも3.3V用の三端子のレギュレータでVin ~6.0VでVout 3.3V, Ioutが、200mAもしくは300mAという代物のようです。※Ioutの最大定格は、500mAとありました。発熱といい、Voutの異常値といいこのレギュレータが、原因の一部であることはどうも間違いなさそうです。

さて、原因を切り分けと、前述のまとめの内容とこの電源レギュレータの異常とを関連付けるために”ひとりブレスト”をしてみました。

ホワイトボード

正常時は、電源のレギュレータは、モータードライバ向けの電流バッファ的な役割を果たしており、起動電流が発生してもバッファ機能が働きCOBがリセットするまでの電圧降下はしなかった。しかし、電源のレギュレータが、故障していまい乾電池の電源がほぼ貫通した状態では、バッファ機能が失われ、瞼の開閉の度にCOBがリセットしてしまうという不具合のメカニズムととらえました。

レギュレータの不良モードとしては、データシートのブロック図から、電流制限のPch-MOSが常時ON状態で、ON抵抗分の電圧降下のため、6.0V → 5.52Vであろうと推測しました。データシートでも、3.3V レギュレータ時の入出力電圧差が、Max 680mVなので、まぁ妥当な差なんだろうと思います。また、発熱の原因もCMOSのプロセスなので、ジャンクション系のリークでもここまで流れないだろうから、差動オペアンプの中間電位用の分圧抵抗が、年次劣化の経過的に異常値になってしまいVoutからVssまでのパスが出来ていたのでしょう。※しかしですが、民生品向けの半導体なので信頼性テスト(Life試験)的なこともしてると思いますが。。。

ということで、電源レギュレータの故障により内部に電流のパスが生成され、常時大きな貫通電流が流れていたため、発熱と乾電池の消耗を招いたと思われます。前述の1ヶ月の待ち期間で富士通製の乾電池の底が尽き、新品の乾電池(パワフルなEVOLTA)では、モーターの起動電流の補償がぎりぎりでき初回の設定は成功できた。しかし、乾電池を消費し電圧が落ち込むと、モーターの起動電流をカバーできなくなり、故障症状の再現率があがったと思われます。

実は、 電源のレギュレータを外した際に手持ちの安定化電源で、2系統のVinとVoutを別々に供給して様子をみたのですが、安定化電源ぐらいでは、補償速度が間に合わないのか、故障症状が改善されず、電源のレギュレータパーツの他に、モータードライバやモーター自体の故障も想定をしておりました。

確認の作戦としては、まず電源レギュレータの交換で状況確認する。改善できなければ、モータードライバも換装交換し状況を確認するという段取りです。 オシロでCOBの瞬停の瞬間を捕えようと思いましたが、何分電源信号の配線を発見できずでした。

モーター自体は、消費電流も異常値をさしておらず、そもそも市販の汎用品でなく、本体を開封して内部を観察も難しいカシメタイプでしたので、優先順位を落としておりました。

早速ですが、 電源レギュレータ 6206A(SOT-89)は、同じパッケージでピン配も同じ上位IC(ME6211A)が、見つかったので、それで代替えしました。前述の絵の通りです。

正常時は、3.3Vが共有されていたであろうモータードライバ NY9M005Aですが、VDDの規格MAXが、~5.5V。最大定格も6.0Vなので、恐らく故障はしていないだろうと思いましたが、念のため代替えのICを探しました。しかし、6pinのSOT23が、見つかりません。やむなく、SOP8を探しピッチ変換基板で対応しようという作戦です。

電源レギュレータ ME6211Aへの換装で無事動作が元にもどりました。初期設定も就寝も起床も普段の行いもよいユメルが復活しました。瞼もパチパチさせお歌も上手にうたってくれます。ということで、モータードライバへの影響はなかったようですね。

不具合の原因追及まで少々時間要してしまいましたが、無事修理を終えお返しできるようになりました。

P.S 念のためモータには、104の積セラを追加しときました。三端子レギュレータのVinとVoutのコンデンサですが、基板上にはシルクが施されていますが、実装はされておらず、何ともコスト削減でしょうかね。

マミートーク 修理

マミートークとFlashカード

当医院では、お馴染みになりつつある、マミートーク社のマミートークです。

最近、トークボックスという鳥の頭のようなデザインのペンとは、名前が違うことが今更ながら判明しました。

赤い球体があるのは、マミートーク。鳥の頭のようなハンマーのような形状のは、トークボックスというようです。起動時の発声音でも聞き分けることができます。

マミートーク:Ha~i!, Let’s go play with mommy talk.(※幼い女の子の声)

トークボックス:Hi!, Let’s go play with talk box.(※大人の女性の声)

さて、余談は、このくらいにして修理です。

電源投入後、起動しないというよくある事例です。充電台にセットしても、”ぷち、ぷち,,,”と何やらノイズは発しはしますが、起動はしません。

実は、この現象ですが、トークボックスでは、純正ACアダプター(4.2V)を接続すると、起動に必要な電圧、電流が確保されているので、充電池が逝かれていても動作はするのですが、マミートークの場合、充電台での供給電圧が、3V後半から4V前半位で少し揺れているためでした。(その理由は、後述。)

充電方法

充電台の内部の調査は、行っていないのですが、LEDの点灯動作から、本体セット時に充電池の有無と電圧/電流確認などを行っているようです。充電池がセットされている場合は、残量確認後に充電開始、充電池がセットされていない場合は、OFFという動作をしているのでしょう。そのため、充電台にセットしただけでは、先程の充電状況の確認電圧では、起動すらできずで、まして今回のような保護回路がロック状態(後述)で充電できない場合は、動作の確認のしようがないです。

開封し内部を確認すると、リチウム電池の保護回路、恐らく長期間保管のため、保護電圧以下に電圧が低下したため、保護回路のロック機能が働いているためと思われます。

過放電か保護電圧の閾値を下回ったか、はたまた保護回路の故障か、そもそもリチウムイオン充電池の寿命なのかの確認は、リチウム電池の分解など必要になるため、危険性を考え行わず、他の修理事案同様に市販同規格電池の交換を行いました。

※本件は、当医院の宿題とし、ロック解除にて対応できる場合は、以降ロック解除にて修理を提供できるか検討中です。

付属純正の充電台とACアダプターにて、動作と充電確認を行い修理完了としました。

修理完了

当医院では、本品充電方法、使用時のご注意を紙面にて取り交わしておりますので、くれぐれも誤った使用にはご注意ください。専門知識や経験も必要になるため、ご自身での交換は、決して行わないでください。※本ホームページの注意事項にも掲載しております。

本修理時に、ネットを調べて判明したのですが、ネットオークションやフリマでは、付属純正のACアダプターを無くしたせいか、プラグの口があえば他のACアダプターを流用しているケースが散見されます。リチウム電池の充電においては、規定の電圧以上の充電は危険ですので、くれぐれも安易に使用することはしないでください。※別件ですが、Li-ion充電専用アダプターと充電機能を持たない単純なAC-DC変換アダプターは、全くの別物ですので、ご注意ください。


久しぶりに使おうと出して来たら、全く動かず、慌てました。
販売元は倒産、中古品も見当たらず…。
ネットで探し当てたおもちゃドクター瀧下さんに、藁をもすがる思いでお願いいたしました。
正直、ネットでのやり取りに不安はありましたが、過去の事例等のやり取りを拝見し、信頼出来ると確信し、お任せしました。
診断内容をメールくださったり、途中経過を報告してくださったりと、ボランティアでは申し訳ないほどの細やかさで対応くださいました。
難しい修理だったようですが、誠実に、確実に向き合ってくださり、感謝しかありません。
依頼が殺到するのも頷けます。
お仕事ぶり、本当に感激しました。ありがとうございました。

~ご依頼者さまのご感想より~

リラックマ スピーカー 断線修理

リラックマ スピーカー

本商品は、リラックマのぬいぐるみの中に仕込まれたアンプで両足裏のスピーカーを鳴らすという商品です。D8227(東芝 TA8227Pのコピー品でしょうか、、、データシートもそっくり)という2chのオーディオアンプを通して外部入力のステレオ音を増幅再生する仕組みです。

大切にしまわれていたとのことですが、音の再生ができなくなったとのことでご依頼がありました。電源不具合、入出力線の断線、回路の不具合などなどありそうですね。

早速ですが、電源系を確認します。電源は、ACアダプターとUSBからの2系統のケーブルが用意されています。どちらを接続しても動作しません。まずは、ACアダプターから調べます。

無負荷ACアダプター出力

規格は、DC 9V出力ですが、無負荷の状態での計測ですので、高めに表示されます。とりあえず、電圧は出ていそうですね。次に、内部回路までの経路でちゃんと、この電圧が伝播しているか確認します。

アンプ回路

上記画像の基板向かって上側の黄色と白がGND。赤がVccです。この電圧を計測すると、なんと電圧がきておりません。故障は、この間の断線ぽいですね。

ACアダプターの受け(メス)コネクタ

基板には、ACアダプターのオス側がささるコネクタケーブルが付いていて、どうもこの根が怪しいです。ピーピーチェッカで導通を確認すると、指で曲げると断線、戻すと導通するという、典型的な金属疲労の断線っぽいですね。

GND断線

ケーブルの断線箇所を探すのは、一苦労です。まち針をクリップで挟み被覆の上から辿り刺してみて箇所を特定します。ぽっきり折れていました。

基板

5cmほどケーブルは、短くなりますが、無事修理完了です。因みに、アンプ基板のケースをぬいぐるみ本体裏に入れるのですが、スペースが狭く難儀しました。

入れにくい

丁寧に修理をしてくださったおかけで、元通り音がきれいに出るようになったのを確認し感激しました。

メーカーに問い合わせるも古い商品で修理不能と言われ、近所の電気屋さんに聞いてみるとおもちゃは無理との回答、大手のおもちゃ屋さんも修理は受け付けていないとのことで諦めかけていた時、インターネットで瀧下さんのブログを見つけました。

すぐに連絡をくださり、安心してお任せできる方だと思いました。
お忙しい中、修理も返送も早くて驚きました。

以前、修理を試みた私の兄が瀧下さんのブログを見て「修理実績見たけど、とても素人では出来ない。恐れいりました」と申しておりました。

同封のカルテを読んで、これからは箱にしまいこまず日常的に使用したいと思います。本当にありがとうございました。

また何かありましたら瀧下さんにお願いしたいと思います。人を幸せにするこの素晴らしいお仕事を、どうぞ今後も続けて頂きたいです。

~ご依頼者さま ご感想より~

こえマネワンちゃん モーター修理

こえマネワンちゃん

こえマネワンちゃんという、発声した声を真似て高い声で返してくれるぬいぐるみです。

基板自体の電子回路の故障は、基板換装で対応できます。こちらの記事で紹介をしております。

オウム返しの機能は、正常なのですが、それに伴った上下にゆれる震動動作が動かなくなったとのことで修理のご依頼です。

以前も同じようなお猿さんのぬいぐるみを修理しましたが、断線やモーター不良の線と推測し調査開始です。

なんと!接着!

ぬいぐるみ下部の結束バンドを外し内部の本体を取り外す際に難航しました。結束バンドは、消耗品としてカットしてしまえばいいのでしょうけど、下記理由から再利用したいためきれいに外そうと試みました。

この手のぬいぐるみの結束バンドは、結合部分が小さくバンドが長いタイプ(25cm)なので、入手性が悪いです。ご近所のホームセンターや100均の物で、25cmを探すと大体結合部分が大きすぎて縫いつけができないため、できればきれいに外しそのまま流用したいと思ったのですが、なんと!結合部分が接着されており、結局カットして外しました。

修理完了後の結束バンドの締め付けについては、結合部分の小さい短いバンドを3本連結し締め付けました。

内部のモジュール
モジュール内部

さて、内部の状況はというと、 目視レベルでは、断線など不具合は見当たりませんでした。マイクにスピーカーに制御基板にポリスイッチとモーター振動のモジュールです。早速、発声テストを行いモーター側に電圧が印加されてるか確認します。

印加電圧

電圧の印加自体はされているようなのですが、モーターはうんともすんともですね。原因は、どうもモーター側のようです。分解し内部を確認すると、カーボンでびっしりでした。

ブラシの焼損

実は、分解前にピニオンギアを手で回してみたのですが、大きな回転抵抗があったので、かなりあやしい状況でした。整理しまとめると、以下2点が主因のようです。

  • モーターの回転に大きな抵抗が生じている。
  • ブラシが焦げ片方の先が無くなって短くなっている。
ブラシの焼損

モーターが回転しなくなった理由は、ブラシが短くなりコミテーターに接触できなくなったためなのでしょうが、そもそも焼損自体の原因も見えてきました。

シャフト穴

緑のカバー部品ですが、シャフトを差し込む穴が、なぜか小さくそこで回転に大きな抵抗が出ていました。この抵抗は、指で回してもそこそこあるので、ブラシ→コミテータへ大きな電流が流れ熱となり焦げたという流れでしょう。ご依頼者さまからも故障する寸前に乾電池が異常に熱くなっていたと報告を受けていたので、つじつまが合います。

さて、修理方針です。 シャフトの穴は、ルーターにて研磨を行い穴サイズの拡張を行い抵抗を取り払います。 モーターは、筐体こそはマブチさんの130モーターに類似していますが、動作時の電流もトルクも異なっていますので、ブラシの交換で対応します。※手持ち130モーターでは、回転すらできなかったので、コイルが低電流、高トルク向けに設計されているのでしょう。

動作時の電流値
ブラシの交換

コミテータの清掃とブラシの交換ならびに接点グリスの付加で修理完了です。

修理完了

と、ここまで書いておいて気づいたのですが、電池ボックスにポリスイッチ(650mA)が付いているのに、今回の過大電流における保護機能は、有効に働いてくれなかったみたいですね。モーターの起動電流を考えると、650mAも致し方ないような気もします。


この度は、大変お忙しい中、お世話になりまして、どうもありがとうございました。こんなに早く治して頂いて、無事戻って来て感謝いっぱいです。この子(こえマネワンちゃん)は、亡き愛犬の代わりに可愛がってたもので、家族も喜んでいます。

治療の際は、どこの部分がどうおかしいかったのかとか、親切、丁寧に書いて頂いたり、治った動画まで添付して頂きありがとうございました。ボランティアでこの様な素晴らしい活動をされているということで感銘を受けています。

これからも、お身体に気をつけて活動を続けて下さい。本当にありがとうございました。

~ご依頼者さまのご感想より~

1/144 R/C フルファンクション ジェットモグラ 修理

ジェットモグラ

タカラ製 1/144 R/C フルファンクション ジェットモグラの修理依頼です。

今回も前回同様に、補修パーツとして、4体と牽引車 1体が同封されており、この5体をもって、1体のジェットモグラを完成させるといった要件となります。

さてでは、届いたパーツを確認します。

5体の補修パーツ

組み上げるために必要なキーパーツとして、替えのきかない以下2点があります。

  • 制御基板(専用設計基板)
  • Ni-MH充電池(規格サイズの流通なし)

早速ですが、5体の内訳を調査してリスト化しました。

OK/NG判定

特に、本製品は、発売から数十年が経過しているので、Ni-MHのバッテリーは、ほぼ100%液漏れを起こしており使用不可能でした。制御基板は、かろうじてモグラ部と本体の1枚づつが生きておりました。

液漏れ

液漏れによって導線はもちろんですが、スイッチや基板へ腐食が広がっておりました。

基板の腐食

基板の半田面に腐食が広がると、断線したリード線の再半田も不可能になり、かなり厄介です。

今回のご依頼は、補修パーツの調査&リスト作成の時点で修理不可能という判断をくださねばなりませんでしたが、そもそも本製品の設計思想に言及すると、バッテリーが交換仕様となっていないため、腐食によるダメージで修復は無理がケースがほとんどと思います。※これは、例え新品の未開封製品でも、内蔵のバッテリーが液漏れを起こすので、ダメージが大きいことを指しています。

非常に残念ではありますが、1/144 R/C フルファンクション ジェットモグラの修復をお考えの方は、修理不可能と思った方がよろしいかと思います。

アンパンマン たのしくレッスン! いっしょに ステージ ミュージックショー 修理

アンパンマン たのしくレッスン! いっしょにステージミュージックショーの修理依頼です。電源を入れても無反応ということでしたが、動作を確認します。

LED暗い

まず、電源のスライドスイッチを入れますが、電極の錆かスライドがきつめです。点灯するLEDも暗いです。何かが起きているようです。案の定、LEDが点灯する以外は、うんともすんともです。

考えられる不具合は、以下のあたりでしょうか。

  • 電池ボックス、基板間の断線もしくは線路の抵抗値変化
  • スライドスイッチの接触不良もしくは線路の抵抗値変化
  • 線路半田不良
  • メイン制御ICの動作不良(クリスタル不良、電源断もしくは異常)

早速、開封して電源周りをチェックです。電池および電池ボックス端での電圧チェックは、問題なし。次に基板端の電圧を確認します。

基板構成は、制御ICが乗るCOB子基板と鍵盤が乗る大きなメイン基板の2枚構成です。メイン基板端での電圧は、問題なし。※因みに、安全設計のためポリスイッチが搭載されております。では、COB子基板を確認します。

クリスタルの発振状態

COB子基板上は、シンプルでCOBとクリスタル部品のみ搭載されております。クリスタルの発振を確認します。問題なさそうです。次に供給電圧を確認します。

COB子基板端の電圧は、2V程度に降下しております。2Vが正規の電圧なのか確認します。電池ボックスは、単三乾電池が4本なので、6V→2Vへのレギュレートが、正規の仕様なのか確認します。

COB子基板端での電圧

回路経路を確認しましたが、途中に電圧レギュレータなどの電圧制御回路がなく、チップ抵抗のみを介して電源が供給されております。では、そのチップ抵抗端(COB側)での電圧を計測します。

チップ抵抗端電圧

あら? 同じ配線経路ですが、こちらは、5Vを指しております。従って、プリント基板の配線経路上で電圧降下を起こしております。経路を確認すると、パターンの腐食を発見しました。この腐食分の抵抗成分で電圧降下を起こしていたようです。※ここで、電源LEDが暗くなっていたことの説明がつきました。

腐食部分

拡大めがねで経路を追うと上図U1のシルク上に腐食部分が見えます。※ピンセットでこじっているので、傷あります。液体をこぼしたわけでもないので、うーん、製造過程で不純物でも混入してしまったのでしょうか。。。

さて、この配線を再建するため、リード線にてCOBのVDD端と先のチップ抵抗端を結線します。結線を行い電源を投入すると、ドキンちゃんが、何やら無音のなか動き出しました。???まだ、何かおかしい箇所がありそうです。

ドキンちゃんの動き以外を注意深く観察すると、鍵盤の押下に対する鍵盤LEDの点灯が見られるので、どうも音以外の動作は問題なさそうだが、何故か音が出ていないようです。ということで、COBへの電源ラインで腐食があったので、音関係の配線のラインも確認します。

本製品は、左右にスピーカーが搭載されておりステレオ音を楽しめます。基板をスピーカー端子からの配線を逆に辿るとオペアンプ(TDA2822)にたどり着きます。では、このオペアンプの電源を確認します。データシートによると、2pinがVccですね。案の定、計測をしても電圧が印加されておりませんので、音声の増幅がされていないようです。回路を解析すると、2TYと刻印がされているS8550のチップトランジスタにたどり着きます。COB基板のP25端子を制御端子としてベース制御しエミッタの電源をコレクタ側のTDA2822に供給制御しておりました。図にすると以下のような感じです。

断線箇所

2TYのチップトランジスタにて、TDA2822の電源を制御しているので、2TYのコレクタとTDA2822のVcc間の配線を確認します。

断線部分

ありました、R22のシルクの上に断線部分がありました。こちらの配線を再建します。

再配線

以上、2箇所の再配線を行い動作を確認します。無事、音声も動作も確認できました。

前述で、ドキンちゃんのみが動作していると記載しましたが、本体を裏返して動作をみていたためでした。正常に表に返して動作をみると、アンパンマンもバイキンマンも動作しました。※アンパンマン、バイキンマンは、下から突き上げるカラクリ機構のため、裏返しでは動作していないようにみえるためでした。

ジュースなどをこぼした場合、浸水による腐食で、抵抗値変化や断線は過去に経験がありますが、その形跡もないまま、腐食と断線があらわれるとなると、製造段階での不純物の混入で腐食が後で進行したケースかなと考察しました。

鍵盤および各所のボタンも埃で接触不良が出ておりましたので、清掃して修理完了です。


祖母からもらった大事なピアノでしたので子供も大変喜んでこれからも大事に使ってくれそうです。
修理も迅速に丁寧にしていただき
大変感謝しております。
ありがとうございました。

~ご依頼者さま ご感想より~

犬のぬいぐるみ 複雑骨折 修理

犬のぬいぐるみ

後ろ足の骨折ということでご依頼がありました。ですが、調べてみると、損傷が激しく修理の策を練らねばなりません。

破損パーツ
  • 後ろ足の骨折
  • 尻尾の根の複雑骨折
  • 下腹部電池ボックスつめの折れ
  • 腰周りの割れ箇所多数
  • 股関節シャフトの曲がり

さて、骨折に関しては、定石のワイヤー固定とエポキシでの固着でいきます。

尻尾の根の接骨は、破損パーツが細かいので、できる限りの骨接ぎで稼動するか五分五分といったところでしょうか。

電池ボックスのつめの折れもワイヤーで骨接ぎ接着。シャフトの曲がりを戻してとなります。

最後に、腰周りの複雑骨折は、動作に支障が起きそうな箇所をワイヤー固定してこちらも接着固定します。

尻尾の根
後ろ足骨折
シャフト曲がり
腰周り(右)
腰周り(左)

全ての骨接ぎ箇所の骨接ぎとエポキシでの固定を終え動作確認を行い、無事また歩けるようになりました。※久しぶりの難治案件を修理でき、個人的にも達成感がありました。


この度はお世話になりました。
昨日無事に届き、動くようになったおもちゃを見て子供たち大喜びでした。
特に犬のおもちゃはすぐに縫製をし、電池をいれると末っ子がすごく嬉しそうにしていました。
ありがとうございます。
細かな進捗や動画があり安心して
預けることができました。

~ご依頼さま ご感想より~