トイストーリー ウッディ ひも検知スイッチ修理

ウッディ

トイストーリー ウッディ 紐検知スイッチ修理

今回は、地元で外来勤務しているおもちゃ病院でのヘルプ修理事例のご紹介です。

おなじみ、トイストーリーのウッディ2体です。どちらも紐の引っ張りで声を発しないのは同じですが、片方は、引っ張った紐が元にも戻らないという故障です。

まず、1体目から。

本体をぬいぐるみから出してのぞき込むと何やら衝撃的な光景がチラ見できます。

バネがなんかヤバそう

紐を巻き戻すボビンのバネが、何やらやらしてそうです。ヤナ予感します。

なんじゃこりゃ

ネジ止めのネジはちゃんとついているのにバネだけが外れているのはなんで???しかも、逆側の検知スイッチも取り付けがなんか変だよね???

※恐らくですが、バネとスイッチの取り付けは、前任ドクターの付け間違いでしょうか。。。

絡まってる

さて、正常な元の状態に戻したいのですが、なんと絡まっています。金属のバネが変にからまったのと解くのって、とても大変。しかも小さくでどうなっているのかを拡大鏡越しに覗きながらの作業です。( ̄▽ ̄;

接触不良

さぁ、ここから本業の修理です。元の状態に戻しても検知しません。ピーピーチェッカーで接触を確認しても導通していません。反応が無かった当初の故障は、これが原因でしょう。

ピントズレていますが、ボビン側の接点と接触していません。

曲げ回復
接触回復

接触点を曲げを少し加えて接触を回復します。ここでの注意は、ボビンの紐が巻き付いていない状態で接点を確認します。つまり、このウッディは、紐を完全に引っ張った時に初めて接点が導通し検知するというメカニズムです。画像かもわかるように、ボビンには可変の電極があり、紐が巻かれた状態では、軸の中心方向に移動し接触しないように設計されています。

これで修理完了を思いきや最後の難関です。解かれたバネを巻いて固定するのですが、結構たいへんです。

軸をズラし巻いていると、思わぬところで軸が外れてバラバラになります。これは、慣れがひつようです。

スピーカー線の接触

また、組み立て時にスピーカーのケーブルがボビンに干渉するので、奥に引っ込むように押し込んで組み上げます。でということろで、修理完了です。


2体目は、紐の引っ張りに反応しない以外に紐が戻らないという症状です。

原因は、直ぐ分かりました。

バネがーーー!

巻き戻し用のバネがなんと途中から折れて切れているではありませんか!

実は、このバネ、スイッチの導通経路の役目も担っているので、折れていると導通しません。折れて切れたバネ自体は修理不可能なので、残された画像でいう右側の残存バネが多い方で修理します。

まぁ、このぐらい短くなってからといって問題にはならないレベルだったので、ペンチでボビンに留める部分を曲げて再生しました。※画像は撮影していませんでした。

2体目は、これ以外の故障はなかったので、これにて修理完了です。

2体ともなのですが、紐についているプラスチックの輪を外す際、かなりたいへんです。ひもが簡単に解けないようように接着剤で固着しているので、簡単に解けないんですよね。

以上で、トイストーリー ウッディの修理事案の紹介でした。

ファービー2 スイッチ破損修理

ファービー2

ファービー2 スイッチ破損補修

ファービー2というタカラトミー製の会話をするぬいぐるみの修理のご依頼です。分解や故障修理に関しての情報共有となります。

まず、このファービー2というぬいぐるみの修理経験がないため、事前に分解や仕組みを勉強しておきます。ユメル同様に仕草や会話旨のセンサーが体内ぬ埋め込まれており、さわったり、横にしたり、会話で話かけることで反応してくれるというものです。

さて、故障の症状は、会話の音声が出てこないということで、その他の動きについては問題なしだそうです。スピーカー故障と高を括っておりましたら、思わぬトラップが多く、とても大変でしたので、おもちゃドクターの先生様向けにも是非情報を共有させていただきます。

まず電源を入れますが、目と口が動きますが、音がやはり出ていません。早速ですが、分解をと思いますが、ぬいぐるみの皮を剥ぐ作業が必要ですが、とにかく大変でした。

以下Twitterの記事がとても参考になります。

https://twitter.com/pityfontana/status/1320332241235423233

まず、両足先を取り外しますが、最初の難関です。この足非常に脆いです。指でを強めにつまむだけで割れます。▲の特殊ネジのサイズは、2mmです。無い人は、こちらで購入ください。

ここで強く回してはいけません。そうすると、バキバキと割れます。実は、ファービー2が届いた時点で既に内部で破損しており▲ドライバーで回してもくるくる空回りしておりました。指で裏を探ると何やら回っているではないですか。。。あーあー割れているとすぐ分かります。割れるとこうなってしまいます。

粉々

瞬間接着剤で仮固定をしてエポキシでかっちかちに固めます。

エポキシ

注意点としては、エポキシを盛る側は、本体側に盛るしかありません。足先側は、足先がすっぽりはまるので、エポキシを盛ってしまうとその足先がハマらなくなります。

さて、次にぬぐるみの皮はぎに移ります。

ストッパー

縫い合わせに沿って開封しますが、構造上お尻から背中にかけての縫い合わせの糸を切って開きます。そうすると、底面に固定用アクリルの底面の枠がストッパー6箇所で止まっています。!!!このストッパー、とても厄介です。!!!

twitterの情報によると、強めに引っ張るととありますが、そのまま強く引っ張ると筐体が割れるかストッパーが破損します。自分は、ストッパーが破損してしまいました。

もげたストッパー

画像のとおりストッパーは、溝に押し込むと内部で開き用意に引き抜けないようになっています。自分の場合は、ツメの片方が避けてしまいました。

上部にストッパーを外す方法としては、硬く細長いマイナスドライバーで内部で開いているだろうツメ側に差し込み引っ張るしかありません。それでも易しくはありません。

皆さんのご成功をお祈り申し上げます。

6箇所のストッパーの内、4箇所については、この方法で抜くしかありませんが、奥の2箇所は、手前にスライドさせると、筐体のつなぎ目である割れ目でうまく外すことができます。自分はそうしました。

ストッパー6箇所が、何とか外れたところでスピーカーの位置を探ります。スピーカーの位置は、お腹の位置の奥にありますが、ここで衝撃的な光景を目にします。お腹にあったはずのスイッチがボロボロです。というか、最初は何か分かりませんでした。

スピーカーの位置

さらにスピーカーと取り外すために本体も外します。

顔のネジ

上部の目と口もアクリルの枠が取り付けてあります。目の間にネジがあり固定されています。穴の隙間からプラスドライバーを差し込んで外します。次に裏面を外す際に、次なるトラップがあります。

首回りのネジ穴

裏面の首回りのネジですが、非常に硬いです。そんで、力ずくで回すとここも割れます。

( ̄▽ ̄;はい、自分も割ってしまいました。というか、外すには割るしかありません。

エポキシで盛る
エポキシで盛る裏側

首回りのネジ穴ですが、エポキシで盛って固着させるにはさせるんですが、ネジ穴なので、強度が必要です。あなをあけてワイヤを通して固定することも考えましたが、ネジ穴側にそのスペースがありません。さて、どうやって固定しようかと思案しましたが、ここは逆にエポキシが固化する手前でネジ止めしてしまってそのまま諸共固着することにしました。なので、最後の組み上げ時に対処します。

耳の糸に気を付けてね

この時の注意点としては、耳を稼働させる糸は挟めないようにしてください。接着剤に付いてしまうと耳が動かなくなってしまいます。

無事本体が外せたところでスピーカーを調べます。

こんな感じ

お腹のスイッチの作業に戻ります。

twitterの記事のとおり、緑のプラスチックも非常に脆いです。この破損の状況は、恐らくお腹のスイッチを押しても反応が無いか鈍いかで強めにスイッチを押してしまったのだろうと思います。そのために、スイッチの抑えであるすだれ状の棒が全て折れてしまったようです。

( ̄▽ ̄; どうしようかと悩みつつスピーカーを調べて気を紛らわします。

スピーカーの土台

ファービー君は、お腹を触ってあげると、もっと触って!という、かなりのMっけたっぷりで、その時にお腹を前に膨らませます。その動きは、この土台を内部のモーターで前後させます。そのシャフトがハマるツメも折れています。おおお!

左:故障スピーカー(40mm 32Ω、0.25W)、右:交換スピーカー(36mm 8Ω, 0.5W)

故障したスピーカーを調べましたが、ボイスコイルの断線が原因でした。指で少し押し込んであげると、一瞬ですが導通し音が出ます。が、手持ちの交換スピーカーは、右側のしかありません。スピーカーチェッカーレベルで音量を比べると、やはり音量が小さくなってしまいます。インピーダンスでは、1/4で、出力で2倍ですが、後述のお腹スイッチの補修のため、スペース的に、薄型のスピーカーしか搭載できませんので、ご了承をいただきました。理由は、後述。

ここで少し整理します。

お腹のスイッチを押すという動きを反復することでスイッチの土台が破損し、その反復の影響がスピーカーにも及びます。スピーカーのコーンを押し込むことで、ボイスコイルを金属疲労させ断線させ、裏面の抑えの折れという流れかと思われます。

さて、懸案のお腹のスイッチをどうしましょう。。。ここまでに丸一日かかりました。

お腹のスイッチを他のプッシュスイッチで代替えしてもいいのですが、そうすると押した際にカチカチと音がします。音のしない、検知スイッチなどを使うと逆にぬいぐるみの皮に触れただけでも反応してしまい、四六時中ファービー君は、もっと触ってーと笑ってしまいます。

※作業中にバキバキと筐体を割ってしまった際には、精神的にかなり心労したので、お風呂に入って策を練ります。♨

でもやはり、何とかしてスイッチを再建することにしました。できれば、元通りがいいですよね。策は、銅板で土台を作り緑の枠に接着固定します。スイッチの接触端子は、銅板の上に固定します。

銅板再建
表面
裏面

何とかはまりそうです。端子のバネは、M2のネジで固定しました。そのため、ナット側がスピーカー側に出っ張ってしまいます。そうです、ここで先の交換スピーカーの厚さが影響します。厚さのあるスピーカーに交換すると、このナットにコーンが干渉し音に影響します。

ギリOK

スピーカーを組み付けて動作確認します。

組み上げ完了

ぬいぐるみの皮を元に戻して確認すると、スイッチの反応の良好です。スピーカーの音量も使用には影響は少なそうです。

最後に足も元に戻して最終確認し修理完了です。

今回のファービー2は、かなりの難治でありました。分解開封がたいへんでした。脆くなった筐体が次々と割れてしまいます。お腹のスイッチも再建には方策から検討する必要もありました。ですが、動作確認をすると、この愛らしいしぐさや会話が、人気の秘密なのだと分かりました。※寝ると、いびきもかきます。^^


アンパンマン よみかきカラーキッズタブレットDX タッチパネル修理

アンパンマン よみかきタブレットDX

アンパンマン よみかきタブレットDX タッチパネル修理

タッチパネルの反応が悪くなったとのことで修理のご相談がありました。今回の記事は、修理不可能であったご紹介となります。

ご依頼者様は、事前にメーカー様に修理の相談をされたそうですが、メーカーでは修理の受け付けをされていないとのことでお困りとのことでご依頼を受け付けしました。

さて、タッチパネルの状況を確認します。

タッチパネルのずれ

ペン先と反応ポイントが画像の通りズレています。しかも、反応の領域が狭く上下左右の端は、完全に無反応という始末です。

タッチパネル

タッチパネルは、画面とドライバーICが裏面内にあり、基板のコネクタと接続するフレキとでアセンブリされたモジュールとして組付けてあります。

フレキ
裏面

さて、修理の可否を検討します。フレキを含め換装が現実的ですが、換装には、ジャンク品からの移殖か、本モジュール品を同じ構成でアセンブリでもしないといけません。

がしかし、現状は、ズレはしていますが、残されたその他の機能が生きているので、モジュールの分解は大きなリスクを伴います。移殖できる換装部品がないか、いろいろ検索検討しましたが、やはり、そんなに都合よく入手できるわけがありませんでした。フリマやオークションでもジャンク品は見つからず、動作品も数千円という価格を考えると、もう手はなさそうです。

今回は、残念ですが修理不可能ということでご依頼者様にはご了承いただきました。


仮面ライダー1号 変身ベルト 電源ケーブル断線修理

仮面ライダー1号 変身ベルト

仮面ライダー1号 変身ベルト 電源ケーブル断線修理

今回のご依頼は、中古市場にて故障品として購入されたコンプリートセレクション 仮面ライダー1号 変身ベルトです。

注意同時事項修理をお断りするおもちゃでお約束いただいておりますが、故障品と知りつつ購入されたおもちゃということで、当初はそのまま飾っておくつもりだったとのことですが、やはり実物を見てしまうと動作しているところも見たくなったしまったそうです。そのような状況をお知らせをいただいておりましたので、今回は、有料にてということで修理を承りました。

うんともすんとも

故障の症状は、まったく反応せず、うんともすんともな状態でした。モーターが回ったり、LEDがついたりは、過去に故障の症状として、よくあるのですが、効果音すら鳴らないのは、初めてでした。早速開封してみます。

綺麗に断線

故障品を前提ということでしたが、開封してみると原因は、直ぐ判明しました。電池ボックスの電源ケーブルが取れています。しかも、ケーブルを固定していたであろうホットボンドも綺麗に除去されています。前の持ち主さんが、開封しているようですね。この断線でみただけで、修理の作業はしなかったのでしょうか、、、。

ケーブル断線の端を目視すると、芯線が腐食して真っ黒です。おおお、電池の液漏れでよくあるケースですが、よく見ると電池ボックスの電極は綺麗です。(@_@)????

んんん?なんか不可思議な点が多いですが、電源ケーブル以外の故障もないか調べてみましたが、別経路で電源を供給すると無事正常動作をしましたので、故障の原因は、この電源ケーブルの断線ですね。

腐食電源ケーブル

この手の腐食は、かなり厄介で、かなり深部まで浸食しているようなので、コネクタ端までケーブルを交換します。

根本をカットして被覆

コネクタの根本をカットして代替えケーブルに半田付けし被覆します。

被覆完了

次に元々まとめてさらに被覆をかぶせます。

被覆まとめ
電池ボックスのケーブル固定

ベルトを巻き付けた場合、ケーブルが動くとそのまま応力が半田付け部分にかかるので全てホットボンドで固定します。

完成

組み立て前に動作を確認し、組み立て後も最終確認を行い修理完了です。

さて、ここでこの記事をご覧の皆さんにお伝えします。

本機のようなCOB(IC)搭載の電子回路の分解修理は、特に電源回りなど扱いに注意が必要です。先の記事のようにICの破壊を誘発する恐れがありますので、安易に開封し作業を行うと、とどめを刺してしまいます。他のおもちゃ病院さんの修理記事でも電源ショートでのIC故障記事を拝見しています。

本記事を元に作業を行って故障が悪化した場合も如何なる責任も負いませんので、自己責任で行ってください。

※故障個所の対処を紹介している記事もいろいろ見受けられますが、どれも作業ミスによる注意喚起を行っておらず、折角の返信ベルトが台無しになってしまいます。皆さん、ご注意を。


届いたベルトを作動させたところ、動画どうりで感無量でした。

今回、瀧下様にお願いして本当に良かったと思います。

これからもベルトを大切にしていこうと思っております。今回は、本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

アンパンマンおしゃべりいっぱいNEWことばずかんDX ペンスイッチ交換

アンパンマンおしゃべりいっぱいNEWことばずかんDX ペンスイッチ交換

こちらの記事を参照され同じ故障とのことでご依頼がありました。

日本語と英語の言語を切り替えるスライドスイッチの摘まみ部分が非常に弱く直ぐ折れてしまいます。

つまみ折れ

絵柄への反応は、無事とのことなのでスライドスイッチの交換のみということで作業に着手します。

交換スイッチ

このスライドスイッチは、表面実装タイプなので、綺麗に取り外しにはそれ何りの剥がしのテクニックかホットガンなどが必要ですが、そもそも壊れているので、綺麗に取り外す必要な不要なのでペンチなりで摘まんでコテで暖め取り外します。因みに、交換のスライドスイッチは、ボスありタイプです。

交換完了

子供たちも直ったことに大変喜んでおります! 早速、楽しそうに遊んでおります! 今回は迅速に対応していただき、またとても丁寧に修理をしていただき、大変感謝しております。 ありがとうございました!

~ご依頼者様のご感想より~

スカルメモリ スイッチ接触修理

スカルメモリ CSM版

スカルメモリ スイッチ接触修理

スカルメモリという別にあるベルトに装着すると各種効果音と先頭のLEDが点灯するものです。今回のご依頼は、2点です。

  1. スピーカーの音量とDX版と同じようにしてほしい
  2. 装着時の反応が不安定

さて、まず1.についてですが、比較用としてDX版もご提示いただきました。確かに、装着時の効果音が心持ち大きいです。部品の製造誤差ともいえない有意差のようです。分解し調べてみましたが、部品や基板レベルでは不具合箇所はなさそうです。

実は、ETERNALというスカルメモリもお預かりしており、こちらの音量も小さいとのことで聞き比べてみるとやはりCSM版を同じ音量です。ですが、なんか変です。音量が小さい故障であれば、小さいなりでも若干の差があってもよさそうなのですが、ほぼ同じ音量です。

であれば、DX版の方が音量が大きくなる故障なのかもしれません、、、。分解し回路を比べてみると原因は判明しました。

DX版の制限抵抗(4.7Ω)
CSM版の制限抵抗(27Ω)
ETERNALの制限抵抗(27Ω)

DX版のチップ抵抗の表面が剥がれていますが、計測し4.7Ωであることがわかりました。ということで、スピーカーの音量差は、故障ではなく元々の製品仕様の差でした。やはりDX版といことで音量も大きくしていたのですかね。。。

次にベルトへの装着時の反応が不安定であった症状は、検知スイッチの接触不良が原因でした。画像を撮り忘れていたので、活字のみですが、接点をフラックスリムーバーで掃除をして接点回復剤を吹きスイッチを稼働させてみると、無事回復し不安定な接触も解消されました。


今回直らなかった物もありましたが、細かく見てくださったり、修理できない理由をしっかり説明してくださったので、納得して返却してもらいました。点数も多く面倒な物ばかりでしたが、対応していただきありがとうございました 。

~ご依頼様のご感想より~

コンプリートセレクション 仮面ライダー1号変身ベルト タイフーンCOB不良

仮面ライダー1号変身ベルト

コンプリートセレクション 仮面ライダー1号変身ベルト タイフーンCOB不良

まだまだ人気の仮面ライダー1号変身ベルトです。新品未使用をご入手されたとのことですが、LEDが光らないということです。以前、LEDが光らない事案で修理実績の記事を参照しご依頼されたとのことです。

まず、状況を確認します。LEDが光らないとのことでしたが、タイフーン中央部のみが光るという事象でした。

以前の修理記事では、モーターが市販品に交換をされており、回転力不足によりLED点灯の同期が取れずという原因でしたので、全く点灯していなかったのですが、今回は中央部のみ点灯という新しい症状となります。

まずは、駆動系を確認します。

純正モーター

モーターも交換されておらず純正のままです。ブラシも念のためカーボンを除去しメンテナンスしておきます。

コミテータ
研摩清掃

ここで再度動作確認をしますが、症状は改善しませんでしたので、回転数を調整しLEDの点灯に変化が現れるかチェックします。

モーターへの供給電圧と電流を微調整し回転数を上げ下げしてみました。症状は、変わりましたが、不安定要素が出てきました。テストを重ねると全く点灯しません。ご依頼様の症状と同じになりました。いろいろ試すと、初回の動作では、タイフーン中央部のみ点灯しますが、次第に全く点灯しなくなり、電源と落とし配線を外すと再度中央部のみ点灯し始めます。うーん、不可思議な現象です。どうも、機構ブロックの不具合ではなく、LED点灯制御側に問題がありそうです。

同期用赤外線LED

一応念のため同期用の赤外線LEDが無事照射しているかチェックしました。赤外線チェッカーで確認してみましたが、変身の効果音に連動してLD1とLD2が、順に点灯→消灯しています。恐らく赤外線LEDは大丈夫そうです。

さて、タイフーンの構造体を分解します。

受光LEDと回転体

タイフーンの裏側ですが、回転体の軸が、電源の供給路になっており、軸が正極でその奥に負極の軸があります。また、同期用のLED受光素子が、先程のLD1とLD2と対応するような位置で取り付けたあります。

過去にご自身で分解され、組み立て時にこの軸電極をショートさせたまま組み上げ、動作しないとご依頼のあった事例がありました。こちら

ご自身での作業は大きなリスクがありますので、くれぐれも作業を行わない方がいいと思います。

表面

表面の分解は、難儀しました。タイフーンのプロペアの外し方が分からなかったのですが、プロペア中央のダミープラスネジをこじると外れてプロペアを止めてあるネジ4本が出てきます。さてさて、ここから故障原因を探ります。厳密には、電源を与えながら回転体の赤外線受光素子に同期用の赤外線を照射しなければならないのですが、解析用なので常時照射し変化を確認します。

当初は、回転軸と電源供給用のバネの接触不良も疑ったのですが、問題ありませんでした。

最初の起動では、内側から1,2個のLEDのみ点灯、点滅してパターンを描いているようでしたが、やはり再度テストすると、光らなくなります。かといって電源を外して再度印加して再度テストすると、全て正常に光り出したりします。同じテストでも非常に不安定です。

ここまでで、プリント基板上の配線の断線や駆動素子の部分的な破損の線がなくなりました。

点灯の回路構成は、COB内にあると思われるICで、受光した赤外線の同期に従い、並んだフルカラーLEDの配色とタイミングを制御します。駆動は、チップトランジスタと電流制限抵抗が基板上に並んでいます。複雑でもない回路構成であるので、この不安定な症状の原因を探る術がもうありません。残すは、COB内のLED用のIOのドライブ能力が過渡的な劣化途中にあることしか浮かびません。

前の持ち主の方が、修理をご自身で行うなどで、IO端子に誤って電源などを印加しIOのドライブ能力を劣化を加速させたのかもしれません。

非常に残念ですが、今回の症状は、COB内の制御ICの不良という結論となりました。

やはり製品仕様もそうですが、今回のような回転体のテストを行う場合は、それ相応の解析治具も必要で、メーカー様の不良解析センターでもないおもちゃ病院での対応の限界と思われます。


今回直らなかった物もありましたが、細かく見てくださったり、修理できない理由をしっかり説明してくださったので、納得して返却してもらいました。

点数も多く面倒な物ばかりでしたが、対応していただきありがとうございました 。

~ご依頼者様のご感想より~