すみっコぐらし すみっコパッド ケーブル差し込み口 修理

すみっコパット

すみっコパッド USB 修理

最近ですが、すみっコぐらしというキャラクター製品の修理相談や依頼が急増しております。


USBコネクタ破損故障は、同じコネクタが実装された基板に交換をするという前提に修理を常時受け付けできるようになりました。お問い合わせフォームより種別を選択のうえ、お問い合わせください。

また、おもちゃドクター様におかれましては、販売条件はありますが、部品実装基板を販売しております。詳細は、こちらお問い合わせフォームより種別を通信販売で選択のうえ、お問い合わせください。


以前、パソコンの起動故障にて希望の期限内に修理が完遂できなかった案件マウスの断線修理などの修理経験があります。

今回は、同じキャラクターのタブレット版のモバイル端末の玩具の修理のご依頼となります。

故障箇所は、USBタイプCコネクタ本体のレセプタクル側の電極が破損してしまったため給電できなくなったしまったそうです。もちろんですが、データ通信もできません。

おおお!

中の電極の壁の両側が破損し電極も無残な状況となっていました。

お聞きすると、コネクタの接触が悪くグリグリとやってしまうことが多かったためとのことです。

ですが、少し疑念が残りました。

このUSBタイプCコネクタは、お馴染みのコネクタで最近ですと、PD用途にも広く使われるようになり、スマホやパソコンの給電やデータ伝送の主流コネクタになりつつありますよね。

USBタイプCコネクタの規格詳細については、こちらが参考になります。

そんなグリグリとやってしまうくらい接触って悪くはならないように感じたのですが、実はそれには理由がありました。これです。

コネクタ口

コネクタの口が、本体側面に面一になっておらず、奥まった内側の奥にコネクタが設置されております。分解した基板で確認すると分かります。

内部
コネクタ位置

画像の右下位置になるのですが、コネクタの口の位置が内部の奥まったところにあるので、差し込み時に位置が狂い一度ではさせないことや、挿せても浅い場合に再度挿しなおすなどやっておられたようです。こちらのユーザさんもご苦労をされているようですね。

さて、故障に話しを移します。

コネクタの破損は、他のおもちゃ病院やアマゾンのフィードバックでも拝見できる程、他の方々にも起こっている故障事案のようで、メーカーも修理対応をしていないようです。

コネクタの破損が多いのか、最近の販売製品には、やさしく取り扱う旨のシールが貼られていますね。

そもそもUSB給電ができなくとも乾電池でという運用もあるはずなのですが、このすみっコパットは、たいへんな食いしん坊で、新品の乾電池での連続稼働時間は、4時間だそうです。

┐( ̄へ ̄)┌」

省電力設計の限界だったのでしょうか、、、。

実は、乾電池の起動ですが、1本あたり、1.4V程に低下すると電池交換を促されたので、0.1V * 4本 = 0.4V程の消費で乾電池を交換せよとのことです。

┐( ̄へ ̄)┌」

なので、乾電池は、エネループなどのニッケル水素の充電池を使用した方が経済的ですね。

ニッケル水素の充電池は、ご存知の通り、1本あたり1.2Vなのですが、電流容量が多いのですが電池の残量が少なめに出ますが、起動もでき、そこそこ稼働もできるので、断然経済的ですね。

従いまして、すみっコパットの乾電池の容量モニターは、単に電圧だけをモニターしているのではなく、電流容量もモニターしているように思います。

製品レビューは、このぐらいにして修理に話しを戻します。

さて、破損したコネクタですが、破損はコネクタ部品のみで、基板側には影響がなかったので新品のコネクタに交換してあげればいいですね。まずは、破損コネクタを外すため付いている子基板を外して眺めます。

子基板
コネクタ

このコネクタは、16ピンタイプのコネクタで、インターネット上では他のおもちゃ病院でも換装作業をされております。

同じく任天堂のゲーム機スイッチのコネクタも良く破損するようで、YouTubeなどでは交換作業が動画で交換されております。因みに、すみっコパットは、技適対象製品ではないので、当医院で対応できます。

さて、USBタイプCコネクタは、信号線の16ピンとプラグシェルの足 4箇所が基板に半田付けされておりますので、リワーク用のヒートガンを使います。

業務でリワークしていた頃は、専用のリワークステーションを使っていたのですが、流石に個人では投資できないので、手持ちの手ごろなヒートガンでリワークしました。

手持ちのヒートガンは、温度管理ができないため、熱風を当てては離し、離しては当てるという作業を繰り返します。失敗すると、基板やパターンを壊してしまいます。

リワークあるあるですが、あたため最中に動かしてしまいパターンを剥がしてたり、そもそも熱風を当てすぎて温度があがりすぎて基板上のパターンが剥がれたりします。

過去の経験と事前練習は入念に行いコネクタを外しました。

カプトンテープで養生

カプトンテープで熱風を当てたくない箇所を覆います。

半田箇所には、半田付け用のペーストを盛っておきます。

無事外せた

コネクタの下に針金で台を作り自重で下から押し上げるようにしておきます。無事外せたのですが、すこしレジストを焦がしてしまいました。電極パターンではなく、プラグシェルの足の箇所だったので、電気的な影響はなく済みました。

次回までに腕を上げるか、温度管理できるヒートガンと低温半田を使用しようと思います。

基板

焦げたペーストを除去しました。電極箇所は、綺麗に残っているので、このまま新品のUSBタイプCコネクタを取り付けることができます。

ですが、気になります。

このまま再度、同じくコネクタを付けたあげても、その内またコネクタを破損してしまい、元も子もないです。このUSBコネクタ付近の回路を調べました。

回路

USBタイプCのコネクタは、給電とパソコンとのデータ転送の役目を担っております。給電は、配線パターンとケーブルの太さに気を付けるとして、データ伝送について調べてみます。

付属のケーブルは、USB-AとUSB-Cのオス-オスとなっており、USB 2.0規格でした。

おおお!そうですか!

基板もD+とD-は、ESD保護チップを経由してJST SHコネクタのポストに繋がっています。

なんだ、転送速度や拡張性も考慮してUSBタイプCコネクタになっていたのかと思ったのですが、USB 2.0での接続で十分でした。

であれば、破損しやすい元のUSBタイプCに戻すのではなく、扱いやすいUSBタイプAのレセプタクル(デバイス側なので)に換装し位置も本体に面一にしようと思います。

設置場所

ちょうど、コネクタケーブルのつまむ箇所が収まるスペースがあり、サイズスペース的にUSBタイプAのサイズぴったりなのです。

次にコネクタの接続と固定方法を検討します。

先の回路図の通り、A7-B7は、D-で、A6-B6は、D+でしたので、ESD保護チップUL26の足に半田付けします。VBUSとGNDは、SHコネクタの足に半田付けすることにします。

さて、かなり悩んだのは、コネクタの固定方法です。

お子様が扱うので、抜き差しし易くなってもコネクタ自体を強固に固定しなければ、コネクタ自体もその内外れてしまいます。接着などの方法では、経年で直ぐ取れてしまいます。物理的に強固に固定する方法を考えました。

ちょうど、筐体のスペースの縁にコネクタを引っ掛けることができる箇所があるので、コネクタの固定用のツメがその位置にあるコネクタを探します。

USB-A レセプタクル

ちょうどよいコネクタが見つかりました。

固定

コネクタのツメを内側に折り曲げ、かつ銅板で覆い半田付けします。

固定

これで物理的に筐体の縁が破損でもしなければコネクタは容易に抜けません。

子基板の高さ調整もあるのでいろいろ位置調整は必要ですが、なんとか収まりました。

配線

最後に最大の難関データ通信の検証と給電の検証をします。

高速系の信号用基板の設計経験があれば、この方法は、配線のスタブのためにEyeが小さくなります。また、スタブの長さによって、反射波が戻ってきます。

スタブ配線長で約1.5cmあります。本来は、TDRオシロを使って信号波形の評価でもすべきですが、そんな設備は個人では無理です。TDRオシロは、業務でも使っておりましたが、テクトロさんやアジレントなどの機種になると、目が飛び出るほどですよね。

なので、実際にパソコンでデータ通信をしてみます。

動画のようにカメラで撮影します。

撮影後パソコンに接続し画像をコピペします。ちょうど、隣にあったエルモを撮影しました。

エクスプローラー画面

無事転送できました。複数枚の転送も無事確認できました。

もちろんですが、パソコンやUSB ACアダプターからの給電も無事確認できました。

差し込んだ状態
コネクタ口

コネクタの収まりは、スペースに隙間ができるので2mmのプラバンとブチルタイプの強力両面テープを挟んでおります。

コネクタの取り外しから、別タイプのコネクタへの換装と動作確認など、かなり大変な案件ではありましたが、無事修理もでき今後も安心してコネクタの抜き差しができると思います。


もう直らないと思って諦めていた時に、こちらのブログを拝見してずっと依頼できる日を待っておりました。

こんなにも早く、迅速に対応していただき、更に使いやすいようにアダプタまで変換してくださりありがとうございました。

祖父母からのクリスマスにもらったプレゼントだったのでどうにか修理したいという気持ちもありましたので、本当に感謝しております。

これからはより一層気をつけて壊さないようにしたいと思います。

~依頼者様のご感想より~

トーキングウッディ バネ折れ修理

トーキングウッディ

地域の外来勤務しているおもちゃ病院でのヘルプ対応となります。

ウッディ修理は、お馴染みになった感じですね。

既に前任のドクターよりバネ折れの症状が出ている旨は伺っていたので、過去の修理事例にもあるように折れたバネを除去し残ったバネで新規に折れたバネ部分を再構築します。

さて、内部を拝見します。

負極断線

おや?電池ボックスの負極も取れていますね。恐らく、前任ドクターの作業中に取れてしまったのでしょう。半田しておきます。

電池ボックスの電極途中にヒューズも仕込まれております。

本体モジュールをぬいぐるみから取り出すために背中の輪を外しますが、瞬間接着剤で紐が固定されております。

今まで修理したウッディは、だいたい輪に直接結びつけられていたのですが、今回のウッディは、紐が発声モジュールの中に引き込まれないように手前で一回、固結びされここも瞬間接着剤で固定されています。

今まで作業時は、紐が引き込まれないようにピンセットで挟んでいたのですが、この方がとても便利です。今後は、このように少し手前で一回、固結びしておこうと思います。

バネの状況を確認します。

折れたバネ

真っ二つに折れていました。いつものように残ったバネ部分で破損部分を再建します。

再建

こんな感じでいいでしょう。早速取り付けます。

以前は、紐が引き込まれないようにピンセットで固定しながら巻いていたのですが、まず、固結びしている紐が止まるまでボビンに紐を巻きます。

巻方向には注意してください。

次にボビンが緩まないように指で固定しながら再建したバネをネジ止めします。かなり作業性が向上します。

さて、以下の動画のように紐を引くたびにこのバネにが、いろいろな力がかかり、やはりその内、金属疲労で折れるのは、時間の問題で必然的と思われます。

また、今回は、電池ボックスの負極も再半田したので、ついでに電源スイッチの配線回路も調べておきました。

2極3投式のスライドスイッチが使われており、OFF時は、コンデンサーを300Ωでディスチャージしており、日本語と英語の切り替えには、MODE信号をVDDにPull up接続するようになっておりました。

電源スイッチ

スイッチの詳しい用語は、こちらが参考になります。

問題なさそうですね。


DX超合金魂 超電磁ロボ コン・バトラーV バトルマリン効果音 修理

バトルマリン

DX超合金魂 超電磁ロボ コン・バトラーV 修理

今回の修理内容の前に少し、商品について触れておきましょう。

バンダイスピリットから2017年に発売された商品です。こちらで紹介されております。既に玩具の域を超えている感ハンパない感じです。

シリーズ化もされており、ボルテスVやマジンガーZ、グレートマジンガーなどもあります。

ネットの記事によると、時代時代で合体の精度やプロポーションや効果音などの電飾系も追加され進化を続けているようにみえます。

同じような商品として、コンプリート セレクション モディフィケーションの仮面ライダー1号変身ベルトも当医院に修理のご依頼がありますが、同じくバンダイから発売されております。

まさしく、放送当時少年であった方々には、たまらない商品だと思います。

当医院に修理のご依頼の方からは、皆様それぞれも思い出や思いが込められており、当医院としてもできる限りで、ご協力できるようと心掛けております。

話をコンバトラーVに戻すと、5機が合体しロボットになるわけですが、今回のご依頼は、脚部のバトルマリンと呼ばれる機体の不具合となります。

ご依頼当初の不具合としては、以下の3点となります。

  1. 左足膝関節がグラグラしている
  2. バトルマリンの合体待機音がボタンを押しても鳴らない
  3. バトルマリンとバトルクラフトとの合体時の合体音も鳴らない

さて、ご相談の当初から、当商品は、ご依頼主様が大事にされておられた商品であり、また、修理作業での破損や傷などの懸念もありましたので、事前に修理方針について合意をさせていただきました。

ご希望としては、不具合箇所の修理はして欲しいのだが、筐体を割ったり切ったりすることはしたくないとのことです。そもそもネジ穴自体も画像から分からなかったので、分解も難しいかもしれない懸念をお伝えすると、膝裏と脚部カバーを外すとネジ穴があるという情報を得ました。であれば、分解の可能性が見えてきましたので、以下の方針で受付をさせていただきました。終始作業は、傷破損に十分に気を付けて必要があるので、常に気を張った作業の連続でした。

  • 切ったり、割ったりしないと筐体の分解が難しい場合は、修理不可能と判断する
  • ネジあけなどで支柱の破損が懸念される場合も修理不可能と判断する

当初の添付画像からも、筐体設計の精度の高さが見られ、固定用のネジ穴が見当たりませんでした。全てカバー内やぱっと見分からないような箇所に固定用のネジ穴になるよう徹底的な設計がされております。※このこだわりには、恐れ入りました。

正面
裏面

ね!すごいでしょう。表面にも裏面にも脚部のネジ穴がないんです。

まず左足の膝関節のグラグラを診ます。

膝関節

この黄色い関節部品で腿とひざ下を連結しているのですが、ぐらぐらは、腿の内部で起きておりました。感触から腿内部にこの黄色い部品の回転軸が入っており、ポリキャップか軸受けの損傷でぐらぐらしているようです。

ですが、この腿の開封が難しいです。

腿カバー

腿の部分は、金属の2つ筐体に挟まれるように膝の関節が仕込まれており、それらを覆いかぶさるようにしてプラスチック製のカバーが裏面側に掛けられております。金属製の筐体同士は、バトルマリンの羽の隙間から覗くと支柱あるのは分かるので、カバー内部でネジ止めされており、そのネジ類を隠すためにプラスチック製のカバーが掛けられているのだと分かります。

では、このカバーを破損させずに綺麗に外せるかです。

つなぎ目をマイナスドライバーでこじると、カバーをの端が割れそうです。というか、割れますね。

バトルマリンの羽の隙間からこじれるか覗いてみます。

厳しい

どこかで、筐体金属側にツメで固定されているんだろうけど、無理にこじるとツメが折れますね。綺麗には外せそうにありません。

腹をくくって隙間からマイナスドライバーで押し上げて、ツメが折れるバキバキ音がしそうです。

つなぎ目をこじると端が割れるが、バトルマリンの羽の隙間からこじった場合は、ツメが折れるだけでも済みそうですが、折れたツメは元には戻せませんから、カバー自体を接着固定することになろうかと思います。※実際は、そう簡単にはいかないでしょう。

膝関節について、ご依頼様と相談をした結果、カバーを割ってまでもというご意向ではなかったので、膝関節のグラグラは見送ることになりました。

では、次に脚部の効果音の修理に移ります。

まず、LR41 ボタン電池 3個による電子回路であるので、症状からすると、内部配線の断線、スピーカーの故障、電源スイッチの接触不良などあります。

では、分解前に動いているかどうかを確認するため、外部電源による消費電流を計測してみます。

電流測定

全く流れておりません。

スピーカーの故障などであれば、音がでないだけなので、メロディICなどは生きているだろうから、電流はある程度流れると予想されますが、まったく流れません。uAオーダーの揺らぎ位はありますので、注意してくださいね。IC不良か電源スイッチ不良の線が強くなってきました。

では、開封作業に移ります。ネジ穴の一つ目は、脚部のカバー内に仕込まれております。ここを外すと膝の黄色いカバーとその周辺の赤いリングが取れます。

膝のネジ

次にバトルマリンの合体待機音用のボタン電池を入れる際のカバーを外すと、まずネジ2箇所があります。

ですが、この2つのネジを外しても分解できません。

かなり悩みました。隙間から覗くと足首の辺りにネジの支柱が見えます。

そうです!足首のあたり、つまり踝の内側に隠しネジが仕込まれております。

ネジ

この3つのネジは外してようやく分解できます。ですが、無理にこじってはいけません。傷が付いたりや割れます。

電子回路

やっと見えましたね。では、早速スピーカーを確認します。

で、ここで気付きます。基板が外れません。というか、バトルマリンの黄色い羽を収納するパーツが基板の上に接着されており基板を外せないです。

接着面

ここが接着されており基板を外すには接着面を外さないといけません。うーん、バトルマリンの羽の収納庫なので、位置合わせが大事なのでしょう。

接着面を剥がさずに作業をします。

スピーカーチェック

8Ωのスピーカーですね。断線はなさそうです。次に電源スイッチを確認したところ、まったく導通できておりませんでした。電源スイッチの接触不良がありました。

基板が外せないので、外部からスイッチの接触に接点復活剤をスプレーして、ON/OFFをコキコキしたところ、ビックリするくらい回復しましまた。これで基板端へ電源が供給できましたが、依然うんともすんともです。

次に、バトルマリンの合体待機音用のプッシュボタンを診ます。

外せない羽収納とボタン接点

ボタンは、基板裏側にあり、よくある導電性のパターンに押しボタンの接点で導通させるタイプです。本来であれば、分解し接点を掃除したいのですが、基板が外せませんので、横からクリーナーと接点復活剤を吹いてこちらもON/OFFを繰り返してみます。

かなり接点が汚れているらしく、1,2回の洗浄では復活しません。

ゴムのボタンカバーをピンセットでめくり、洗浄と復活時を数回交互に入れてみると、徐々に接触が復活しはじめました。ですが、まぁまぁ強く押さないと反応しません。

既に数回いろいろなスプレーを吹いてしまったので、脚部内部が汚れてしまいました。しかも拭きとれません。

うーん、基板も外せないし実用的に復活できるレベルが限界のようです。

次に、バトルクラフトとの合体時の効果音についてです。

検知スイッチ

バトルクラフトとの合体を検知するためのスイッチが、底面にあります。このレバーが合体時押し込まれ検知反応しますが、このスイッチもON時に導通しておりません。

おやおや、スイッチというスイッチ全てが接触不良とは不思議です。

依然、アンパンマン おしゃべりものしり図鑑のタッチペンの電源スイッチ接触に関する考察記事をスタッフブログにアップしました。

こちらのスイッチメーカーの使用上の注意として、電気的な接触面は常に稼働させ、物理的に接点をこすりつけることで常にあたらしい金属面で接することで導通を保つとあります。

今回のご依頼様にお聞きしたところ、約4年半の間、合体したままの状態で保管していたそうです。合点がいきました。長期間、接点のそのままであったため、表面に酸化膜が広がり接触不良がおきたのでしょうね。ですが、それ以外にも問題がありました。

検知スイッチ位置

検知スイッチに接点復活剤をスプレーしてこれもON/OFFを繰り返してコキコキすると、接触が復活しました。また、このコキコキの間に脆くなっていた半田も取れてしまい再半田もしました。これが良くなかったです。

画像奥側の電極ですが、半田を盛ってしまうと、筐体に仕込んだ際に隙間に触れてしまい、要らぬ応力がかかり接触しなくなります。手前のネジを絞めると途端にスイッチが反応しなくなります。おやおや、、、。

半田付け

持った半田を少なめにしたところ回復したのですが、今度はケーブルの引き回しの応力で接触の感度が悪くなります。おやおや、、、。

うーん、困った、、、。

この影響も恐らくは、長期間合体のまま保管していたので、検知スイッチ的には常にONの状態だったと思われます。そうです、接点のバネに力が掛かったまま、約4年半です。

バネは折れてはいないようなのですが、変に内部で曲がってしまっているのかもしれません。

画像からも直ぐわかりますが、この検知スイッチは、このコンバトラーV用に専用設計されており、筐体にすっぽり入り、電極の位置、導線の引き出し位置なども調整されております。

現状のスイッチを何とか復活させる以外になさそうですな。

そこで、先の半田の盛り方と導線の引き回しに注意してネジ止めのネジの締めも組み立てながら反応を探り組み立てました。

当初は、それと知らず組み立てて、あれ!?反応しなくなったぞ!と焦りまくりました。

それでも、十分に効果音を楽しめるレベルまでには持っていけました。

合体待機音が清流が流れるような音で、合体音はシャキーンとカッコイイ音がします。

因みに、合体待機音を鳴らしながら合体させると、合体待機音は停止します。このあたりのシーケンス設計も大丈夫ですね。

さてさて、どのおもちゃでも同じですが、電気系スイッチの接触不良は、一時的に改善しても直ぐ再発するのも多くあります。

そこで、二両日様子見をし、問題の再発がなければスイッチ接触系の修理は完了としました。

で、ここで終わりません。

組み立てて直している最中に、気づかなかった新たな不具合2点を発見してしまいました。

  1. 右脚の股関節がグラグラしている
  2. 左脚の股関節の前後位置がズレている
股関節

右脚を左右に開く際ですが、こちらも内部の軸回りが破損しているらしくグラグラしています。また、その反対側の左脚もよく見ると垂直から少しずれています。

ズレ

こちらのズレは、軸受けが破損したか何かでその破片が噛んでいるようです。このズレからビクとも動きません。さてさて、どちらの修理も先の腿裏とお尻のカバーを外す必要があります。

カバー

綺麗なプロポーションやネジ穴を隠すためにいろいろな策を講じ完成度を高めておりますが、一方でこのような開封の限界にもなっております。

これらのカバーを破損を前提に開封もできるのですが、それでは折角ここまで良い状態をキープした努力がもったいなく、ご依頼様としては、とても修理を切望をされておりましたが、破損を前提にしてまでの作業は、流石にお勧めしませんでした。

このプログをご覧の方々へ、カバーを綺麗に外せる策をご存知の方は、是非画像付きで教えて頂けるとうれしいです。

※因みに、本製品は、オークションやフリマ市場では、価格が市販価格以上に高騰しておりますので、お試しにジャンク品を安く入手してカバーを外すテストもできませんでした。(*´Д`)

合体待機音および合体音の確認も二両日経過も問題ありませんでしたので、今回の修理はこの時点で完了をさせていただきました。

修理の道半ば感は否めませんが、大事なお品物を取り扱うという案件ですので、これが当医院でご提供できる技量の限界かと思います。


この度は迅速、且つご丁寧にご対応頂きまして、誠に有り難うございました。

困難だったにも拘わらず、しっかりと修理して頂いて、本当に嬉しく思います。

手元に返ってきた玩具が、元通りの状態に直っていることを確認し、童心に返って喜んで弄りました。

また、診断や修理の状況も、細かくお知らせして頂いたので、とても安心してお任せすることができました。

また機会がございましたら、お世話になりたく思います。 瀧下様は最高に腕が良い、信頼できるドクター様でございます!

~依頼様のご感想より~

イワヤ あかちゃんシリーズ 修理

二匹の猫

イワヤ あかちゃんシリーズ 修理

イワヤ製 あかちゃんシリーズの2匹の猫の修理依頼がありました。

どちらも、お子様が、落下をさせてしまい、その衝撃で動かなくなってしまったそうです。では、それぞれについて修理内容をご紹介します。

あかちゃんスコティッシュ

あかちゃんスコティッシュ

スコティッシュフォールドを模したあかちゃん猫です。※当初は、トラ猫だと思ってました。^^;

落下後、まったくうんともすんともになってしまったそうです。

受け取り後に電池を挿入し電源を入れても、やはりうんともすんともな状態です。ピクっともしません。電池ボックスの断線かもと推測し開封して内部を確認します。

電池ボックスの断線などを疑っていましたので、配線経路を確認したのですが、問題ありませんでした。電源スイッチの接触の線も懸念したのですが、ON時の導通も問題ありませんでした。

因みに、下図の通りで電源スイッチの導通とモーター側への回路は別々なので、導通のチェックはとても簡単にできます。

開封し前脚の隙間から覗くと電源ON時、モーターのピニオンギアが少しピクっとします。これは、電気系は問題ないが、ギア系で何か起きていそうですね。

前脚の脱臼

前脚の脱臼を発見しました。幸いに骨折までには至っておりませんでしたが、軸から前脚がズレており回転できなくなっておりました。正常な位置に前脚を戻すと無事稼働するようになりました。

落下の衝撃は、この脱臼を起こしていたんですね。

縫製作業

開封した縫い目を縫い直し修理完了です。

まぁ、歩き方が可愛らしい猫ちゃんですな。


次に、あかちゃんブリティッシュです。

ブリティッシュショートヘアを模した猫のぬいぐるみです。

ブリティッシュショートヘア

症状としては、本体の稼働はするのですが、落下させてから首振りとフイゴも鳴らなくなったそうです。首は、動かした感触では、もうぐらぐらなので関節が折れたと予想されます。

では開封して首回りを確認します。頭を外すので、首回りをぐるっと開きます。

故障の原因は、2点ありました。

  1. 頭蓋骨と連結するツメの根本折れ
  2. 首振りをする小クランクのクランクピン折れ
骨折
クランクピン折れ

どちらも落下時の衝撃で折れたと思われます。

次いでにですが、フイゴの笛部のホットボンドも剥離しています。鳴るにはなりますが心配なので弾性のボンドで接着しております。

剥離
接着固定

さて、首の骨折ですが、頭蓋骨の振りを司るツメの根本が折れていますね。単純な接着では、また直ぐ折れると思います。

根本折れ
破損箇所

強度を保ちつつ補修方法をどうすべきか悩みました。

破損部分を確認するとコの字のように肉の中抜きがされております。そこで、足の骨折などでも補修をしているワイヤーによる固定を行い中抜きされた空洞部にはプラリペア材を充填し強度をあげたいと思います。コンクリートの鉄筋のような感じです。

まず折れたツメに縦方向にピンバイスで穴をあけ、ワイヤーを通し結わえてまずは固定します。

穴あけ
ワイヤー通し

頭部下方向から上方向へぐるっと通します。

ワイヤー通し
プラリペア充填

最後に結わえ付けた部分を折り曲げエポキシ接着剤を盛って緩まないようにしておきます。

当初は、日本おもちゃ病院協会の方にご相談をしたところ、破損部位を3Dプリンターで製作いただけたのですが、先に本補修作業が完了しておりましたので、首振り稼働試験にて強度不足などによる破損が再度おきた場合の保険として取っておきました。

最終的には、この補修方法で1週間の稼働試験で問題は起きませんでした。首振りの補修についてここで一旦クローズとします。

次に首振りができない原因の小クランクの補修です。

補修方法の検討から最終的修理完了まで時間を要しました。

まず、こちらも日本おもちゃ病院協会にて、犬用の小クランクを3Dプリンターで製作した部品があるとのことだったので、まずその部材が猫にも流用できるかと思い相談をさせていただきました。犬用を入手できたのですが、事情をお伝えしたところ、猫用を新たに製作いただけました。

左:破損 右:3Dプリンター品

挿入軸も2mmの角軸でほぼそのまま使えるレベルの精度高く製作いただけました。

余談になりますが、くすぐりエルモのピニオンギアもそうなのですが、このような部材を製作いただけるには、とても助かります。

個人で3Dプリンターを使用する場合、精度を求めなければ設備自体は、かなりお安く購入できますが、原材料代、後掃除などで使用するIPA代などなど、1部品を製作に必要なコストが高くなります。従いましては、協会での3Dプリンターの破損部品の提供の運用は、一度に多数の部品を製造することによってランニングコストと消耗品のコストを大きくさげることができますので、理にかなった運用と思います。

以前、自身で設計したパーツを外注に出そうと見積もりを取ったこともあるのですが、玩具修理では適用できない程の価格になってしまいました。

さて、修理に話しを戻します。

実際に挿入して稼働試験をします。

この小クランクは、以前犬を修理した際に容易に抜けてしまうことがあったので、今回も弾性の接着剤で固定しておきます。

さて、この状態で稼働をしてみます。

弾性の接着を軸内部と軸の両側に薄く塗ってしばらく放置します。

さらに押し込みます
はみ出る接着剤

ここで注意が必要ですが、塗った接着剤が多いとあふれてその側にはみ出てきます。

そのはみ出た接着剤が、稼働部分に付いてしまうと動作不良を起こすので、押し込みと同時にはみ出た部分はピンセットで取り除きます。

固定

最終的には、画像のような感じで固定できれば良いです。

稼働テスト

無事首振りもできるようになりました。ただ、この時は、そう思っていました、、、。

稼働試験は、頭部を装着し、実際に首振りとフイゴも吹かせて負荷を与えつつ動作を見ながらぬいぐるみを縫い上げます。

縫い合わせをしながら、すこしづつ動作もさせ、そろそろ縫い合わせも終わりかけていた頃に首振りがしなくなりました。首振り動作が遅くなったと思ったら首振りがとまりました。

あ”-!犬の時と一緒だー!と心の中で叫びつつ、終わり掛けていた縫い合わせを再度解くことになりました。チーン、( ̄▽ ̄);

軸折れ

もう少し稼働試験を縫い合わせる前にしておけばよかったのでしょうね。

もしかすると、ぬいぐるみの頭部を縫い合わせたことによる加重がさらに掛かったのが原因かもしれません。次回からは、裸の状態での稼働試験とぬいぐるみを着せた状態での稼働試験は、十分にやっておこうと思いますが、縫い合わせて後となると、本当にショックが大きいですよね。

話を戻します。

破損した部分を観察します。

軸折れ

2mmの角軸が折れておりました。2mmですとやはり強度的に耐ええなかったと思われます。で、さてどのように補修しましょうか、、、。また悩みました。

試行錯誤します。

犬用のクランクが手元にありましたので、流用できるか知らべてみたのですが、ギアボックス内の仕様も異なり流用はできませんでした。

犬用クランク

犬用の小クランクは、軸に対してネジ止めするので、猫の軸にもネジ止めできるかどうか調べてみました。軸の端をハマるように削り軸中心に0.5mmのドリルで穴をあけネジ止めをしてみました。

ネジで固定はできますが、稼働は無理でしょう。食い込んでいる部位が小さいためクランク部が空回りします。

ここで思わぬ良いことがありました。2mm角の軸にネジをねじ込んでいたので、折れた軸が綺麗に抜けました。この通りです。

軸抜き

そこで、別の案を考えました。

元々残っていた小クランクは、クランクのピンが折れただけなので、今回製作いただいた小クランクの頭部を合わせこんで接着してみようと思います。

ニコイチ

高さ的にも限界があるので、ギリギリのラインまでルーターで研摩します。そんで、二つをエポキシ接着剤で貼り合わせます。

ニコイチ

で、今回は今後の検討のため、型取りくんでこのパーツの方を取っておきました。

装着
隙間から覗く
外装への干渉

首振り時の干渉もないことを確認しつつ、評価計画を練ります。

懸念されるのは、この貼り合わせも強度的に大丈夫かです。異種部材を貼り合わせているので、稼働試験は入念に行います。

まず、ぬいぐるみを着せない裸の状態で、1週間毎日稼働停止稼働停止という加重の特にかかる動作をさせます。

特にフイゴを吹いた後、収縮したバネを開放する際のショックを毎回おこさせて振動を与えます。

無事、1週間の期間で稼働をしてくれました。以下動画ように感じです。

次にぬいぐるみを着せた状態でさらに稼働試験を行います。

3日間、一連の動作を行い再発もなく無事完了できました。

試行錯誤を繰り返し、約ひと月ほどお預りすることになりましたが、何とか稼働してお返しできるまで補修できました。

今後末永くこの稼働が続いてくれるよう祈るばかりです。


この度は修理して頂きありがとうございました。

元通り動いていて子供も喜んでおります。

またおもちゃが壊れた際は利用させて頂きたいほど満足しております。

直して頂いたおもちゃは、大事に遊んでいきたいと思っております。

ご丁寧な対応ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

CSM版 仮面ライダー1号変身ベルト 液漏れ断線修理

CSM 仮面ライダー1号 変身ベルト

CSM版 仮面ライダー1号変身ベルト 液漏れ断線修理

本品は、仮面ライダー1号 生誕35周年を記念してバンダイから限定発売された、超豪華!本革仕様で番組の設定にできる限り近づけた音と光の効果が再現された変身ベルトとのことです。※ネット情報より

さて、実は2022年に今度は、生誕50周年を記念して、先の仮面ライダー1号と2号の両方を楽しめる変身ベルトが発売されるそうです。既に予約も完了しており、2022年6月に発送予定とのこと。

こちらを参照。

販売ホームページ。

生誕35周年版もネットでは、もう入手困難で販売額もかなりの高額商品です。

私は、タイムリーで観ていた現役世代ではないので、その人気ぶりは分からないのですが、昨今、庵野監督による『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』映画のニュースを拝見すると、当時の人気がどんなにすごかったのかと想像できますね。

次は、生誕60周年でしょうかね。。。

さて、今回のご依頼は、生誕35周年版をご自宅で保管されておられたようで、電池ボックスに乾電池を入れたままにし、それで液漏れを起こし電池ボックス内の配線が断線してしまったとのことです。

当初は、ご自身で配線を交換したまではいいのですが、電池ボックスの正極と負極がどちらの配線か不明なため修理のご依頼がありました。

正しい選択と思います。正極と負極を間違えると、電子回路側の破損に影響しますので、液漏れの修理でよいところを修理不可能となる可能性があります。

位置確認

一応、分解前に本体の上下位置関係と左右の電池ボックスと電源スイッチとスピーカーボックスの位置関係を後で間違わないように覚えておきましょう。

断線の半田付け自体はサクッと終わってしまいますので、せっかく遠くから往復の送料をご負担いただいているので、諸々ふくめてオーバホールします。

まず、腐食は電池ボックス内の電極に広く影響しておりますので、メンテナンスします。当初は、腐食のある電極は丸ごと新品に交換するつもりでしたが、あいにく電極のサイズが合わずで、今回は電極を取り外し錆取りと研摩を徹底的にしました。

サイズあわない
錆取り

液漏れの粉も残っており、表面的な錆も残っておりますので、ざっと粉取りと錆取りをしておきます。次にどうしても取れない錆はルーターのワイヤーブラシで研摩します。

ワイヤーブラシ研摩

腐食によるニッケルメッキも完全には取れていなので、特にバネと付け根の接続部分を入念に研摩しておきます。これで一先ずは安心でしょう。

腐食で錆びてしまった配線は、コネクター直後でカットされ、代わりに市販の導線を半田付けされたところから、バトンタッチしました。

電池ボックスの配線

電池ボックスの配線は、基板側を調べて正極と府負極が正しいことを確認します。当初から付いているコネクターは、こちら。

電源コネクター

コネクターの配線の被覆に赤ラインがあります。今回の製品では、赤ライン側が正極側配線ですが、製造ロットによって違うかもしれませんので、大事なお品物であれば、基板側も確認しましょう。

回路図

この時点で一応組み立て前の動作確認をしておきます。

電飾効果確認

問題ありませんね。ただ、何分に製造から年月も経っておりますので、各箇所のグリスも新しくしておきます。

ギアボックスのグリス

ギアボックス以外にもモータの軸にも高粘度のグリスを吹いておきます。

起動時などギア擦れなどのノイズも多かったのですが、これでかなり静音になりました。

いつ見てもこの電飾効果は抜群ですね。



作動も問題ありませんでした。
ありがとうございます。

~依頼者様のご感想より~

トーキングウッディ 紐修理

ウッディ

トーキングウッディ 紐修理

当医院の修理記事をご覧になられたとのことで修理のご依頼がありました。今回のウッディは、初期の英語バージョンで20年前に購入されてそうです。

故障の状況は、引っ張る背中の紐が元に戻らず、おしゃべりもせずで、その状態でかなりの期間保管していたそうです。

電池ボックスも外せないそうで、中の乾電池もそのままということでした。

早速拝見しましょう。

電池ボックス

初期のウッディは、電池ボックスを発声モジュールが別々になっております。

で、電池ボックスは、腰のマジックテープの裏に仕込まれいるのですが、これがまぁ、きっついです。チューブから練り粉でも押し出すような感じで電池ボックスを押し出さないと引き出せません。電池ボックスのケーブルも断線させる恐れがあるので、ケーブルには気を付けてください。

電池ボックス

やっと引き出せました。次に発声モジュールの状況を確認するので、開腹します。

回復

発声モジュールは、この縫い目の奥に仕込まれいるので、糸を切って回復します。背中の紐は、プラスチック製の輪に縛られているので、事前に外しておきます。

アセトン

紐はプラスチック製の輪に一旦しばれて固結びされています。さらに、外れないようにシアノアクリレート系の瞬間接着剤で固められています。

固くて外せないからと言って切ってしまってはいけません。紐が短くなりますので、アセトンで柔らかくして外します。

出てきました

発声モジュールと電池ボックスが、ウッディから外せました。

ではでは、紐の状況を確認します。

内部

( ,,`・ω・´)ンンン?

紐どこだ?

あった!

黄色い丸枠に紐の端があります。

本来は、巻き取りようのボビンに固定されているはずですが、ボビンから取れて筐体外側ケースの穴に引っかかっていますね。

こんな感じ

紐は、端を固結びして真鍮の輪で抜けないようかしめてボビンに止めてあったようです。

でボビンの状況は?

ボビン

止めてあったろう穴が割れていますね。それで紐が抜けてしまったのですね。ですが、こんなにもボビンが変形し破損するって、結構強く引っ張っていたのかもしれません。

後に説明しますが、紐は強くとか速くとか引っ張る必要は全くありません。

ボビンに取り付けてある電極同士が回転によって接触することで発声しますので、強さとか速さとかは無関係です。

ですが、どう修理しましょうかね?

破損したボビンを修復するには、強度的にも紐が抜けないような耐性が必要です。

銅板を側面に貼って穴をあけて取り付け強度を増しましょうか、、、、

といろいろ見ていたら、あっさり解決しました。

反対側にも穴

画像のとおり、抜け取れた穴の対面側に同じ穴がもう一つ空いています。

実は、同じ初期側のウッディの過去の修理記事を確認しておりましたら、過去の修理では、もともと対面側の穴に紐が固定されているのを発見しました。

製造時期でどの穴に固定するかは違うのでしょうね。

事なきを得て紐は無事に再度固定することができました。

因みに、破損した側の穴は、幸いにバネを引っかけるツメには影響がなく、割れた部分は単に紐を巻き取るだけの役割しかないので、そのままでも大丈夫でした。

どのウッディでも同じですが、バネを巻きながらボビンを筐体に収めるのは、毎回苦労します。巻いて収めようとして外れバネが開いての繰り返しで数回四苦八苦しました。

次に、電池ボックスを確認します。

電池ボックスをウッディから抜き取りできないということで、長期間そのままだったとのことです。恐らくは、内部で乾電池の液漏れが出ていると予想していたのですが、予想に反し無事でした。挿入されていた乾電池は、内部抵抗が大きくなっており、電流を流せなくなってはおりました。

壁が厚い

ですが、なぜか単四の乾電池を仕切る壁が厚くはめ込めません。

購入当時から挿入されていた、単四の乾電池はすっぽり入るのですが、新品の単四の乾電池はきつすぎて入りません。仕方ないので、壁をルーターで削りました。

また、負極のバネのカシメ部分がゆるゆるになっていましたので、半田付けして固定もしておきました。

半田付け

では、修理作業も大詰めですね。

裁縫

発声モジュールを再度お腹に収め開いた部分をぬっておきます。

紐固定

紐は、再度結んで瞬間接着剤で固定しておき、発声モジュールも紐の穴とウッディの背中の穴位置を合わせて位置調整します。

修理完了

以上で、修理完了となります。

初期オリジナル英語版の発声となります。


受け取ってすぐに乾電池を入れたのですが、スムーズに入れる事が出来ました。 20数年ぶりにウッディがお喋りしている姿を見て感動致しました。

子供達も喜んでいて、一緒に寝たいと言って取り合いをしていました。

元に戻らないだろうと諦めかけていた所に瀧下様のホームページに行き着き、この様になおして頂いて本当に感謝です。ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

トミカ 3way オートやまみち どうろセット 電池ボックス電極腐食修理

3WAY オートやまみち どうろセット

トミカ 3way オートやまみち どうろセット 電池ボックス電極腐食修理

今回の記事も、地域のおもちゃ病院にて外来担当した修理内容の共有となります。

トミカのこの手のシリーズには、やまみちドライブのようにミニカーを高所にあげるベルトコンベヤーがあります。今回のオートやまみち どうろセットも同じように高所へミニカーを上げるベルトコンベヤーとなります。

実は、やまみちドライブのピニオンギア割れも来院されていたのですが、他のドクター様の引継ぎをさせてもらいました。

さて、3way オートやまみち どうろセット ですが、電池ボックスの電極が液漏れで腐食し導通不良と電極が折れて脱落して動作しないという症状です。

腐食

トミカシリーズの液漏れ修理のご経験があれば分かるかと思いますが、正極は、ニッケルメッキの銅板が、筐体の壁にリベット付けされております。負極は、スプリングタイプではなく、板バネタイプの負極が、正極同様にリベット止めされております。

電極連結

電極の渡りの連結には、ヒューズが付いています。

負極側は、リベットの穴箇所に電池の出し入れによる金属疲労で穴部分で折れて電極部が取れています。

さて、修理方針を検討します。

錆びた電極をそのまま修復するか、丸ごと新品に交換するの選択になります。丸ごと新品の電極に交換する場合、手持ちの電極は、単三乾電池用しかなく、このオートやまみち どうろセットは、単二型の乾電池なので、電極としてはサイズが小さいです。後述の画像右に映っている電極サイズを参照。

しかも、電池ボックスに仕込むには、電極の加工も必要になり、加工後に縁に接着固定する必要もあります。

うーん、それでも、いいちゃ、いいんですが、修理をするという意気込みとしては、できれば元の形に近い状態に修復したいですね。

ということで、現状の腐食した電極は、隅々まで錆を落としきり、折れた電極も強度を保ったまま修復することにしました。ただし、腐食がかなり進んでしまった電極は、錆を落としても強度が弱くなるような場合は、電極を新品に交換しましょう。

取り外し

固定してあるリベットは、ルーターで頭を削り取り電極を外します。錆は、全て綺麗に研摩します。

折れた電極もM3のナットを電極に丸ごと半田付けして固定してしまい、電極もろともにネジ止めしてしまいます。

こんな感じのイメージ

さて、リベットで固定していた穴止めは、M3のネジを使用します。

ここで注意です。

半田付けは、銅の電極相手なので、熱容量の大きいコテを用意します100Wあれば十分です。さらに、M3のナットは、鉄製を選んでください。ステンレス製では半田が付きません。

M3ナットの半田付け
折れた電極

穴部分で折れてしまった電極もM3ナットを半田付けして固定してしまいます。

再度の注意ですが、100Wのコテを使用するので、固定台、作業用の手袋など火傷にはくれぐれも注意してください。導線の半田付けとは訳が違って、かなりの高温が必要です。

最終的には、リベットの穴をM3のネジで止めますが、市販のなべネジや皿ネジでは、ネジの頭が、リベットの穴から頭が飛び出てしまい乾電池に干渉しますので、超低頭ネジを使います。

超低頭ネジ

M3 x 6mmあれば十分です。これでリベット穴のくぼみにすっぽり収まって乾電池にも干渉しません。

ネジ止め

ネジは緩まないようにロックタイト648でネジ止めしておきます。嫌気用なので、もたもたしていると、早々にくっついてしまうので、てきぱきとネジ止めします。

電極修復

完璧に修復できました。強度も問題ありません。

あえて言うのなら、研摩して銅が抜きだしになった電極は、ニッケルを再メッキできればなおいいですね。

廃液処理など不要なお手軽版はこちらで購入できます。

さて、本題の電池ボックスの修理で無事稼働できるまで修復できました。

今回は、時間もあったのでベルトコンベヤーの滑車にグリスを塗布し、ギアボックス内のモーターもオーバホールします。

ギアボックス

おや!?誰かに外された形跡があるね。。。

ない!

( ,,`・ω・´)ンンン?

ノイズ取り用のコンデンサーが外されているし。まぁ理由は、置いといてコンデンサーは、手持ちの0.1uFのセラミックのコンデンサーを付けておきましょう。

コミテータ

酷いわけではありませんが、グリスが黒くなっているので、パーツクリーナーで洗浄しタミヤのモリブデンの接点グリスと塗布しておきます。

いい感じに静音化できました。

以上、組み立てて修理完了です。


小学館 はじめてずかん 1000 電源スイッチ修理

小学館 はじめてずかん 1000 電源スイッチ修理

地域のおもちゃ病院にて外来勤務での修理案件となります。本体開封にあたり、共有すべき情報がありますので、記事にて共有させていただきます。

アンパンマンのおしゃべりいっぱいシリーズのタッチペン同様にGrid on putの絵柄にペンでタッチをして読み上げてくれる教材となります。

今回のご依頼は、電源スイッチの入りが不安定とのことでした。特に冬の寒くなったりすると電源が正常に入る確率が低下するそうです。

ということで、電源スイッチ回りを確認すべく開封を試みました。

今回の共有情報は、この開封方法についてです。

地域のおもちゃ病院は、開院時間が限られておりますので、当日受け付け後に素早く当日中の修理の可能かどうかを診断しないといけません。当日の時間制限は、2時間でした。

さて、電源スイッチの状況を確認し、できれば接点復活剤での改善があるかどうかまでは診たいと思います。本体の開封に挑戦したのですが、この開封がとても大変でした。

入院扱いでもあれば、インターネットで情報を収集する、時間的かつ心理的余裕があったのですが、持ち主様と対面しながらなので、何とか開封できないかと四苦八苦しておりました。

結論から申し上げますと、隠しネジが2本とその蓋のツメが強固に挿入されております。この隠しネジの有無とその場所、および隠し蓋のツメの情報を事前に知らないと筐体の支柱を折ってしまいます。自分も支柱の1本と隠し蓋のツメを折ってしまいました。持ち主様を目の前にして作業しておりましたので、中々開封できない事情をご説明し最悪筐体を割ってでも開封してもよいという事前承諾をもらっていたのですが、やはり隠しネジの所在を知らずに予想もできなかった点について猛省しておりました。

ということで、当ホームページをご覧のドクター含め皆様に共有をさせていただきます。

ペン

ペン本体は、上部にスピーカー、中央に電池ボックスの蓋、下部の先にイメージセンサーの入光口があります。

まず、外観ではネジらしき穴は無いので、電池ボックスの蓋を外します。そうすると、2本のネジがありますので、そのネジを外します。ですが、筐体の周囲のツメを順に外していってもペン先が外れません。ここで無理やりこじると隠しネジの支柱がバキバキと音をたてて折れます。

診察の当日は、約30分ほどこじっている際に”バキ”っと音がし、何か割れました。後のこれはな時の支柱の1本で、後に接着しておきました。

当時の作業としては、完全には本体を開封できないので、ある程度開くスピーカー上部の隙間から、接点復活スプレーのノズル先を差し込みオルタネイトスイッチの上部に吹き付け、ON/OFFを繰り返してみました。ですが、10回に1,2回の頻度で電源ONが失敗します。やはり、スイッチ内部に何か異物でもあるのかもしれないので、完全に開封しスイッチ本体を確認したかったです。

ですが、いろいろやっても開封しないので、恐らくは、ペン先の周囲が強固に接着されていると思い込み、当日の作業は断念し入院扱いとしました。

この判断は吉とでました。ここでさらにこじっていたら、隠しネジの支柱2本とも折れていたと思います。

帰宅後、インターネットで情報を探ってみると、何とこちらのページで隠しネジがあること掲載されておりました。ページ発見した際は、何か変な疲労度がどっと出ました。

早速自分もページに記載されている隠し蓋のツメに注意しながらも開封に挑戦しました。結論は、開封はできたのですが、隠し蓋の先のツメは、圧入されており、どのみち折れてしまいます。

蓋のツメ

蓋をはめると、ツメが筐体に引っかかるだけではなく、ツメの支柱の後ろにある突起でよりツメが食い込むように設定されており容易に蓋が外れなくなっています。蓋の設計としては、100点ですね。ですが、修理をする立場からは、そこまでしなくても、、、。

折れたツメ

この折れたツメは、小手先の接着では先の画像のとおり、強固に食い込むように設計されているので、また直ぐ接着面で折れてしまいます。

この類のペンは、今回以外の故障も今後発生するでしょうから、ここで元通りのツメに戻すと、再度開封する際にツメを折ることになります。なので、折れたツメの周囲に強力タイプの薄型両面テープで固定すれば、今後も安心して用意に蓋を開けることができますので、両面テープでの固定をお勧めします。

蓋を開けることすらしないで済むように、隠しネジの穴をピンバイスで開けてしまってもいいと思います。もし、これから開封をする方は、ツメを折ることもないし、隠し蓋をいちいち外すことも不要になりますので、それが一番かと思います。これでやっと内部にアクセスできるようになりました。

電源スイッチ

ロック付き、オルタネイトスイッチですが、目視では異常ありません。スイッチ内部の接点に錆か異物かがあり接触を妨げているようです。受け付けをした会場から帰宅し再度動作を診るまで約6時間、若干電源ONの成功率があがっているようでした。ですが、やはり失敗もしております。この状態でさらに接点復活スプレーを吹いてみましたが、改善しません。

そこで、フラックスクリーナーで一旦スイッチ全体を流し吹き込んだ接点復活剤もろとも洗浄します。

すると、おや!?不思議に完全に回復しました。何か溶剤で溶けるような異物が、接点に付着していたようです。

さて、この時点での修理作業は、以上となりますが、この手の接触不良は、よく再発します。

できれば、新品のスイッチに交換できればいいのですが、手持ちのオルタネイトスイッチは、高さサイズが違うため使えません。

インターネットの修理記事からも、使用されてるスイッチは、接触不良を起こしやすいようなので、返却直前に再度失敗の頻度を確認し、使用に耐ええないような場合は、交換できるスイッチを探し交換を行うか、基板上で電源ON側に回路を短絡し電池の挿入で電源ONを代替えしていただくかという選択になりそうです。

P.S

起動確認を複数回やっていると、起動時のアナウンス文句がなんか頭に残ります。

『♪タッチペンで音が効けるはじめて図鑑 1000』


2023.4.5

隠しネジの蓋をツメを折らずに簡単に外せる動画がアップされております。こちら


2024.6.29

一部リンク切れを修正しました。

また、まったくの別の記事になりますが、こちらの修理記事で紹介されている事象について考察してみました。

紹介されたことばずかんのタッチペンですが、音が出ないとのことでスピーカーを交換されたという記事です。

オシロにて、スピーカーに印加されている信号を観測し、何らかの信号は出ているが、スピーカーからは音声が出ていないところまでは納得できました。

ちゃんと信号解析をされております。

ですが、、、何故か圧電素子に交換しちゃっています。(´・_・`)

製品に実装されているスピーカーは、コイル型のスピーカーです。

このスピーカーを圧電素子に交換して音量が小さくなったということですが、前田のクラッカーです。音声の再生方式が違います。頑張ってオペアンプを噛ませて増幅しておられますが、圧電素子についてお詳しくなかったようですね。

圧電効果を利用してセラミックと電極板とを振動させています。等価回路では、コンデンサーです。電子メロディなどの電子音やブザーならまだしも人間の声を再生する場合は、かなり音質が劣化します。記事の再生音もとても残念な感じです。

圧電素子に交換すると音質はもとより音量が小さくなります。スピーカーチェッカーで圧電素子をチェックする場合、端子間に抵抗を挿入する意味がそこにあります。

そもそも元々がコイル式のスピーカーだったのなら電流駆動なので、コイル式のスピーカーに交換すべきですが、記事のように同じスピーカーが手に入らないもしくはサイズ的に厳しく、やむなく圧電素子に交換するのであれば、電極間に抵抗を噛ませてください。


仮面ライダーW スカルメモリ スピーカー交換

変身ベルトとスカルメモリ

仮面ライダーW スカルメモリ スピーカー交換

今年3月に東北と北海道を襲った地震にて、棚から落下してしまい、それから音が鳴らなくなってしまったそうです。

落下の衝撃となると、導線の半田取れ、スピーカーの破損、基板の割れなどなどですが、外観的には、これといった損傷はありません。

早速ですが、状況を確認します。このスカルメモリは、ベルトがに差しこむことによって、仕込まれた突起が、スカルメモリ側のプッシュスイッチを押します。

スイッチをしてもうんともすんともです。ですが、電池ボックスが何か変です。

ここ変

ご依頼者様がご自身で開封された際に電極を誤挿入していたそうです。この状態では、ボタン電池の+-がショート状態になるので、たいへん危険です。正常な状態に戻します。

次に懸念のスピーカーを確認します。おおお!

コーンがぱっかり剥がれておりますね。原因は、これですね!

スピーカーは、Φ=27mmですので、早速交換します。

無事、音が出るようになりました。

しかし、衝撃でここまで綺麗にコーンが剥がれたのは、はじめてみました。

カッコイイ効果音ですね。動作も問題ありません。

以上で修理完了です。


このまま治らないかと思っていましたが修理を依頼して本当に良かったです。

ありがとうございました‼︎

~依頼者様のご感想より~

ねぇアンパンマン! おしゃべりDX 腐食電極交換 修理

ねぇアンパンマン! おしゃべりDX

ねぇアンパンマン! おしゃべりDX 腐食電極交換 修理

このおもちゃは、かなり以前に、横浜のおもちゃ病院で一度拝見した記憶があります。手の黄色い手の中に基板に付いたタッチセンサーが仕込まれており、当時は、このセンサーでタッチを検知するんだーと記憶しておりました。

さて、今回のご依頼は、電池ボックスの電極の腐食で起動不良を起こし、ご依頼主様のお住まいの近隣のおもちゃ病院で一旦修理をしてもらったそうです。しかし、数か月ほどで再度動かなくなってしまい、昨今のコロナの影響でおもちゃ病院も開かれないままで、お困りとのことでした。という経緯ですが、前振りはこのぐらいにして早速拝見します。

既に、ご依頼の際に腐食箇所の画像は拝見しておりました。

正極側腐食
負極側腐食

先のおもちゃ病院様では、当日の作業も限られていたらしく、腐食部の研摩のみで一旦、うごくところまで対応されたそうです。

正極の腐食を見ると、かなりの腐食なので、恐らくヤスリで錆を落としたのだと思いますが、また錆があがってしまったようですね。

でもですね、正極の画像を拝見すると、研摩は軽くサッとした程度にしか見えないですね。いくら患者さんの多いとか、研摩のスキルとか無いとか、いろいろあるとは思いますが、ドクター様であれば、再発しないようにできれば念入りに研摩をしてもらいたいですね。表面的な錆取りでは、時間をおくと再度腐食が広がるので、以下を徹底したいです。

  • 電極を外し錆を落としきる。
  • 錆が酷ければ、電極を交換する。

さて、今回は、電極を外し新品の電極に交換しますが、これがとてもとてもたいへんでした。

まず、電池ボックスを含む本体をアンパンマンのお尻から引っ張りだします。

本体

本体は、結束バンドで固定されているので、布を切らないようにカットします。

ここで、重要な注意事項があります。この本体には取り付け方向があります。電池ボックスの蓋が背中方向になるのが正解です。というのも、起き上がっていることなどを検知する傾斜センサーが本体内部にあり傾斜センサーの方向が違うと起き上がっていることが検知できません。例えば、寝かせ動作をさせても、寝かせ動作をしてくれません。ご注意ください。

結束バンド

結束バンドは、300mmで足りました。

コネクター

アンパンマン側のセンサーとは、コネクターで繋がっているのですが、このコネクターもかなり固いので、本体側を開けツメを押しながらこじった方が取りやすいです。導線をひっぱると断線の危険性があるので、慎重に行ってください。

ヒューズ

電池ボックスの渡りには、ヒューズが取り付けたあります。今回は、切れてはおりませんでした。電源のプラス赤とマイナス黒を外して電池ボックスを取り外します。

ここでやっと、電極の交換ができますが、電池ボックスの腐食以外にSoC側の起動で問題が出ていないかチェックします。

SoC

おおお!アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんでお馴染みのnuvoton製のSoCがお目見えです。外部電池に接続し起動してみます。

起動テスト

ひとまず無事、起動音が聞こえました。良好そうです。

次いで、センサーのテストをします。『なかよしタッチモード』なる各センサーに触れて遊ぶモードがあるので、それでテストします。ですが、頭のセンサーだけが、反応しません。

頭センサー

頭以外のセンサーは、プラスチック製の筐体に入れられており、頭センサーだけがぬいぐるみの皮の下にあります。

( ,,`・ω・´)ンンン?

センサーの故障か、配線の断線か、はたまたその両方か。。。

コネクター

このコネクターの根本もなんか怪しいかもしれない。。。

どの配線がどのセンサーに対応しているかを調べてみました。

このセンサーのセンスのメカニズムは、他のおもちゃでよくある圧電素子での振動を検知するのではなく、SoCのADCで配線の電位をループしながら観測しており、手を近づけるなどの静電気で電位が変化すると手で触れたと認識するようです。

取り扱い説明書には、起動時に手足などのセンサーに触れながら電源を入れないでとあるので、電源投入時に初期値を取得し、その初期値からの変位を観測していると思います。

コネクター対応図

頭センサーは、オレンジの配線です。もし、断線だった場合も考え、頭センサーを取り出し、導通確認をしないといけません。

頭センサーは、頭頂部に仕込まれており、縫い目を開いて確認しないといけませんので、ご依頼者様に開頭の承諾をいただきます。その間に電池ボックス側の修理を進めておきます。

電極間の抵抗値

電池ボックスの各電極の抵抗値を確認します。

やはり、錆の酷い端の正極端子は、まったく導通しておりませんでした。その他の導通は問題ありませんでしたが、腐食のあった正極に対応する負極の電極も交換します。

ですが、正極の錆で電極が膨らみツメが取れません。いっくら引っ張っても裏から押してもビクともしません。そこで、CRCを吹いてツメが引っかかっている電池ボックスの縁を小さいマイナスドライバーでこじり広げました。そうすると、やっとこさ取れました。

ぬおおお!錆びた正極

液漏れは、3本の電池の端だったらしく、負極側に錆びが出ていたので、どちらも交換します。

この手の交換は、サクサクと行ってしまいます。

正極側と負極側

正極側と負極側を間違わないようにマスキングテープでメモを貼っておきます。

頭センサー以外の動作確認は、無事できているので、本体は、アンパンマンのお尻に入れて結束バンドで絞めておきます。

さて、懸案の頭センサーですが、開頭の承諾が得られたので、早速開頭します。

頭センサー

頭センサーは、頭頂部の十字に縫い合わされた箇所の裏に金属製シートをオレンジの配線と端子がカシメられております。

まず、断線を疑ったのですが、断線もなく、この金属シートに触れると良好に反応します。

ヤナ予感します。

もしかすると、観測しているADCの変位の数値ですが、設計時のマージン不足で、経年劣化などで金属部分の抵抗値が変化し、手で触れたと認識する閾値を超えることがなくなったのかもです。

この金属に触れると100%良好に反応しますが、ぬいぐるみの配下に仕込むと、静電気の影響が薄れ、また金属シートの経年劣化で抵抗値も上がり、変位の閾値を超えることができなくなったようです。

縫い目は開いたままでの反応も手のひらでなら反応したり、指先は反応しなかったりと不安定です。

ウーン、困りました。

元の通りの感度に修理するのはSoCのプログラムの定数を変更でもしないかぎり不可能でしょう。試しに、アルミ製の針金を内部で金属シートに触れるようにしこみ感度をみました。

めちゃくちゃ感度いいです。

自分がおじさんだからなのか、手の静電気が帯電しづらいのか、、、。

針金で代用する案も含め頭センサーについて、ご依頼者様に相談したところ、やはりお子様が遊ばれる玩具なので、金属むき出しは危険かもしれないとのことで、頭センサーの感度修復は、お見送りになりました。材料代の負担がネックになりますが、導電性の縫い糸でも改善するかもしれないので、次回同様な案件があった場合の宿題にしたいと思います。

元気100倍!アンパンマンですね!

以上で、今回の修理作業は完了です。


娘が早く早く!と待ちわびていたようで、抱きしめておりました。

 電池を入れて動作確認も無事で私が頭を触れると反応してくれました。(娘は反応しませんでしたが) 娘がアンパンマンの為に作ったネックレスを首にかけてずっと抱きしめております。

ここまで丁寧なお仕事をしていただき本当に心より感謝しております。

おもちゃは子供にとって、とても大切な友達です。親とは違った関係性があります。

私にとってもこんなに大事に遊んでくれるアンパンマンが動かなくなり、切ない気持ちになっていました。

どこか、おもちゃの病院はないかインターネットで探していて、宅配おもちゃ病院の瀧下様を知りました。

藁にもすがる気持ちでメールを送らせていただきました。

 半年ぐらいかかるかと思っていたので娘にもアンパンマンが治るなら我慢できるかなと話していました。

こんなに早く元気になって戻ってきてくれるとは思いませんでしたので本当にとても嬉しいです。

瀧下様、ありがとうございました。

できるだけおもちゃを壊れないように気を付けたいと思いますが、また今後もお世話になるかもしれません。

~依頼様のご確認より~