DX妖怪ウォッチタイプ零式 メダル検知スイッチ 接触回復

DX妖怪ウォッチタイプ零式

DX妖怪ウォッチタイプ零式 メダル検知スイッチ 接触回復

妖怪メダルを正常に読み込まないというご依頼です。

ネット上でも他のおもちゃ病院での修理記事を拝見できますが、メダル裏の凹凸の並びと検知の順序を腕時計側の付いている4個のマイクロ検知スイッチで読み取るという仕様です。

また、時計のリングが左右に回転できるようになっており、それぞれ左側と右側への回転も同じ検知スイッチで検知しております。リング側の検知スイッチは問題ありませんでした。

導通チェック

分解しテスターのピーピーチェッカーでメダル検知側の導通を確認すると、4個の内2個が完全に不導通で2個が不安定でした。

結果

修理の作戦は、同型のマイクロスイッチの在庫がないので、現状での回復を試み、回復ができない場合は、部品を発注して交換という段取りです。ですが、この手のスイッチの接触は、接点復活スプレーで一時的に回復しても、翌日や数週間、数か月先に再発することがよくあるので、まず今回の修理に関しては、翌日の動作確認にて問題なければ、一旦クローズし、以後に再発した場合は、スイッチを発注し交換とします。

まずは、接点復活剤のスプレーで検知の回復に挑みます。

検知スイッチ

かなり改善しました。

驚くほど、先程の導通チェックとは比べものにならない位回復します。

スプレーで復活剤を流し込み、スイッチのON/OFFを数十回繰り返すと、完全に接触不良はなくなりました。※ついでに、時計のリングの回転側の検知スイッチにも接点復活剤をスプレーしておきました。

では、組み立てて再度動作をみます。

問題なさそうですね。

実は、接点復活剤のスプレーをした直後だったためか、11枚のメダルの内、2, 3枚で『ソウデハゴザイマセン!』とか『このメダルは対応しておらず使用できません。』などどエラーとなりまりました。再度抜き差しすると、正常に検知はするのですが、やはり少し時間をおいて再確認する必要があるようです。

そこで、約6時間、翌日に再度検知の状況を確認すると、今度は、完全にエラーなく検知できました。今回の修理のご依頼に関しては、以上にて完了としたいと思います。

ただ、油断はできませんので、後に時間をおいて再発した場合は、マイクロスイッチを交換したいと思います。

2022年5月21日(土)

交換可能な検知スイッチが入手できたので、今後スイッチ破損等で接触回復では、どうにもできないケースにも対応できるようになりました。


子供が大喜びしており私も嬉しい限りです。 またやりとりも大変スムーズに進めていただき本当に感謝しております。この度はありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

DOSHISYA しゃべる地球儀 起動不良修理

しゃべる地球儀

DOSHISYA しゃべる地球儀 起動不良修理

株式会社ドウシシャより『しゃべる地球儀 パーフェクトグローブシリーズ』という地球儀が、発売されている。

シリーズ化されているようで、たくさんの製品がリリースされている。メーカー様のホームページは、こちら。

やはり、玩具メーカー然り、電子化を行ってあらゆる機能を追加でもしないと、製品を購入してくれないのですね。自分の時代は、単なるくるくる回る地球儀しか知らず、まさかおしゃべりをするなんてと、驚いていたのですが、巷では話題だったらしいです。しかもインターネットからデータを更新もできるそうです。

さてさて、今回のご依頼は、地域のおもちゃ病院にてご依頼のあった案件なのですが、先のドクター様が、対応できなかったということで、引継ぎ対応しました。

では、拝見しましょう。

不具合の症状は、パーフェクトペンの電源をONにしても起動しないということです。

このしゃべる地球儀は、いろいろがバージョンが、リリースされているのですが、今回のご依頼は、パーフェクトグローブホライズンという製品です。

地球儀とタッチペンがセットになっているのですが、アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんのように、地球儀の絵柄(Grid On Put)をペンでタッチすると、対応する音声がタッチペンのスピーカーから出てくるという仕組みです。

この技術は、イメージセンサーの進化にて、多様なアプリケーションが開発されておりますね。汎用のタッチペンも発売されているようです。

当該のホライズンシリーズは、ペン側のみに電子回路が仕込まれており、地球儀本体側は、Gr絵柄のメニューや地球儀上の場所が印刷されているのみとなります。

さて、パーフェクトペンが起動しない場合の状態ですが、起動に成功すると、LEDが青色に点灯するのですが、起動に失敗すると、青と赤に交互点滅します。

起動不良時

電源ON直後は、このLEDが、青と赤に交互点滅しますが、再度電源ボタンを押すと青に点灯しますが、依然起動しません。

そこで、取り扱い説明書もあるのですが、この青と赤の交互点滅に関する説明がありませんので、インターネットでいろいろ検索してみました。

残念ながら『青と赤の交互点滅』に該当する事象はありませんでした。ですが、気になる記事を発見しました。

前述の通り、パーフェクトグローブシリーズには、いろいろなシリーズがあり、ホライズンシリーズは、パーフェクトペンでタッチするのみとなりますが、パーフェクトシリーズ ネオやエリート以降のシリーズでは、本体側にも液晶画面が搭載されており、多彩なアプリケーションが楽しめるようになっております。

この後継機(地球儀本体が起動せず、本体の液晶も映らない)に関する修理記事を拝見していた際に、システム起動時にSDカードに保存されている、データファイルを読み込み起動を行っている旨の情報を得ました。※この記事をアップされたドクター様には感謝です。

一方、今回のホライズンシリーズには、SDカードなるものはありません。そもそも本体側は電子化されていないですし。

うーんと悩みましたが、この手の製品を開発する際は、大掛かりにシステム全体を変えたりはしません。というのも、システム開発する際、製品の動作検証を考えると、一からシステムを作り変えてしまうと、検証も全て一からやりなおさないといけません。

全て作り変えるなんて、そんなこと、フツーやりません。

過去の資産で流用できる、検証済みの資産は、そのまま流用します。

だって、検証の期間も検証のコストもその分削減できますし、わざわざ新規機能の追加でバグが入り込みやすいようにはしませんよね。

ファームウェアなどのソフト資産を流用するため、起動シーケンスも前機種と同じかもと推測しました。

しかも!気になるシールを発見しました。

電池ボックスの裏蓋に、『SDカードを抜き差しすると、データが破損し故障する』という注意書きがあったので、ペンを観察したのですが、SDカードなるものは一切ありませんでした。

( ,,`・ω・´)ンンン?

なんでだ?!SDカードが無いのに、わざわざ裏蓋にシールを貼るなんてね。。。

と悩んでおりましたら、ペンの上部に何やら黒いシールで目張りされております。

黒いシール

このようなシールは、ユーザが絶対触っていけないような事態の際に貼ったりしますよね。

しかも、シールの上から触ってみると、どうもメモリカードを挿入できるような溝らしきものがあります。

おおおお、SDカードがどうもペン内部に仕込まれているかもしれません。

ですが、取り扱い説明書に、『本体は一切開封していけない』ような文句があるので、ゲーム機同様に、ユーザ側で修理などを行った場合は、メーカー側での修理など受け付けしないのだろうと思われます。

ここから先を閲覧される場合は、分解は自己責任にて、分解に際しメーカー側での修理受け付け拒否などもあるので、分解に際しての発生する問題は、全てご自身で責任をお持ちください。

さて実は、既に先行のドクターが開封しておりますので、SDカードの有無を調べてみました。

内部

かなり高度に電子化されておりますね。高密度実装されており、目視レベルでもICチップが、数個、表裏面に実装されております。外部発振用のクリスタルも数個ならんでいますので、CPUなどを搭載したSoCでしょうか。

基板

このレベルの故障解析は、おもちゃ病院でのレベルでは難しく、製品や設計仕様などそれなりの機能と情報を有した解析センターでもないと不可能でしょう。

さて、探していたSDカードはっと、、、

SDカードスロット

やはり、黒いシールの奥にカードスロットがあります。やはりユーザ側で不用意に取り出すとデータが破損するので、シールで目張りをしていたと思われます。

先の情報通り、保存されているデータファイルは、かなり重要と思われますし。

で、そもそもデータファイルが破損して読み込めないのであれば、もうここで修理不可能という診断をくださなければならないのですが、読み込めない原因が、単なる接触不良であれば、改善できる可能性があります。

そこで、抜き差しし電極をアルコールで拭いてみます。

マイクロSDカード

なんと、無事起動するようになりました。

絵柄タッチ

地図上の絵柄にも反応します。

今回の故障原因は、SDカードの接触不良で、起動時に保存されているシステム起動用のデータファイルが、読み込めなかったために起動不良を起こしていたようです。

電子回路の故障であれば、対応が難しい事案でしたが、ネットからの情報で無事修理できました。


返却した際に、お聞きしたのですが、不具合が出る前にペンを落下させてしまったとのことでした。なるほど、落下による衝撃でマイクロSDカードの接触が、ズレてしまったようですね。また、地球儀にタッチする際も振動が加われないようにやさしくタッチするようにお願いをしておきました。

以上で、修理完了です。

くるみ割り人形 塗装 破損 修理

くるみ割り人形

くるみ割り人形 塗装 破損 修理

30年以上前にお子様の生まれた時にいただいた木製のくるみ割り人形ということで、腕も折れてしまい塗装が剥がれてもいるし、人形供養に出すか修理をするかでお悩みなられていたそうです。思い出のお品ということもあり、出来れば修理したいとのご意向でした。

塗装を伴うので、少し迷いましたが、思い出のお品とのことなので、塗装においては、出来高含めて当医院に一任いただくことでお引き受けすることにしました。

まず、現物を拝見する前の1次診断時に現状の画像をご提示いただき状況の画像診断をしました。

  • 台と足先の塗装剥げが激しい。
  • 両腕は、前後に稼働するようだ。
  • 以前、折れて取れてしまった左腕は、ご自身で接着したが、再度取れてしまったとのこと。
  • 黒い棒は、手に持っていたとのことだが、ご記憶が曖昧とのこと。

ご依頼者様とメールでヒアリングを重ね、以下を条件に正式に修理を受け付けを、現物の送付をお願いしました。

  • 破損箇所とその修復方法は、現品を確認して相談しながら決める。
  • 当方は、人形の専門修理業者ではないので、修復の完成度は、こちらに一任い ただく。
  • 全ての機能を修復できるわけではありませんので、修復できる部分とできない部分は、事前にお知らせしますが、これもこちらに一任いただきます。
  • 塗装のはげた部分は、色塗りをしますが、これも専門修理業者ではないので、 完成度は出来高で一任いただく。

到着後、早速現状を確認します。

下半身は、股間の付け根の接着剤が取れており、すぽっと抜けました。ここは、最後に再接着しますが、以前の接着剤の残りが付着しているので、綺麗にルーターで削っておきます。

股間のほぞ抜け
台座の塗装剥げ

台座は、表面をサンドペーパーで研摩し塗装することにします。黒い足先ですが、右足先が、状態確認の際に摘まむと取れてしまいました。左足先は、以前に既に取れていたようで、接着痕があります。

右脚先

次に腕の状態を確認します。

いろいろな痕跡

緑の丸印の箇所は、左腕用の軸の痕跡ですね。黄色丸印の箇所は、接着剤で埋まった穴のようです。後に判明したのですが、黄色丸印の穴は、くるみを割るレバーの金属製の回転軸を挿入した穴でした。何かをここに取り付けていたわけではありませんでした。

グレー四角枠の黒い棒には、塗装の剥げた部分と左腕の裏には、塗装の割れた取れた痕跡です。

左肩軸穴

左腕の回転軸が折れて取れてしまった木製の折れた軸がどうも中に埋まったままです。瞬間接着剤(シアノアクリレート)で接着と試みたようですね。ですが、腕の軸があったであろう位置の隣に何やら、別の穴らしきものがあって、こちらも接着剤で埋まっております。

因みに、このような場合の接着で瞬間接着剤は不適切ですね。衝撃で直ぐ取れてしまいます。塗装の上から接着したようなので、表面が剥がれて直ぐ剥離したのでしょうか。。。

左腕肩の軸穴

左腕軸は、肩側および本体側とも埋まった軸穴をドリル(ピンバイス)で再度貫通させ、中に埋まっているであろう軸の残骸を取り出します。次に木製の軸を新たに作成して元通りにします。

軸作成

Φ = 4mmの軸は、ヒノキの端材から削り出し合わせこんでつくります。

本体も所々塗装の剥げがあるので、剥げた箇所のみとなりますが、こちらも再塗装します。

髭接着

髭の下半分も接着剤が取れておりますので、弾性の万能接着剤で接着しておきます。

さて、懸案の黒い棒について考察します。ご依頼者様のお手元にある全てのパーツを同封いただきましたが、どうも黒い棒の所在が分かりません。

黒い棒
腕先

手に持っていたとの情報もあるのですが、接着痕も刺さっていた穴の痕跡もありません。そこで、インターネットでくるみ割り人形の画像を検索し、同じ人形の画像があれば、この黒い棒の所在がわかるかもしれません。黒い棒ですが、詳しく見てみると、棒の1/3に塗装の剥がれた部分があり、接着剤の残りも付着しております。

この痕跡が重要な手がかりになりました。

さて、インターネットでくるみ割り人形の画像を検索すると、まぁー、たっくさんの画像があります。本当いろいろあるのですね!

どのくるみ割り人形にも共通するのですが、なにかしらのアイテムを持っているのです。

鉄砲は、高い確率で所持しています。次に腰に短剣をさしています。あ!そういえば、このくるみ割り人形の腰に何やら鋲が刺さっていたような痕跡がありました。

ここ!

やはり、このくるみ割り人形の腰にも何か鋲で留めてあったようです。

インターネットでの画像検索では、まったく同じ人形の画像は、探し出せませんでしたが、有力が情報をゲットできました。帽子の色と形、人形全体の色つかいやフォルムが、ほぼ同じ人形がありました。

ズボンの青やサイドのライン、台座の色形はそのままですね。

参考画像1
参考画像2

この画像によると、腰に鉄砲が鋲留めされております。黒い棒は、鉄砲の銃身の先で黒の塗装が剥がれた部分は、銃に接着されていたと推測できます。前述の接着剤の痕跡がこの状態と一致しますね。

ご依頼者様へ、検索で探し出した画像を提示し、黒い棒は、鉄砲の銃身の先のようで、おそらく外れた際に先だけが残って、鉄砲本体は、紛失でもなされたのかもとお伝えしました。

ご相談の結果、参考画像の通りで鉄砲を再現することで合意できました。

以上で、修理方針が決まったところで、粛々と作業に取り掛かります。

下半身の塗装

台座塗装

塗装は、工作用の水性塗料を筆塗りします。薄め作業や筆洗いが水で行えるので便利です。一旦乾くと、水には溶けませんの、塗装をやり直す場合は、溶剤で剥離しなければなりません。

まず、少し粗目のサンドペーパーで表面を削り、マスキング処理をします。

※マスキングテープをマスキングで使ったのは、久しぶりな気がします。

下半身塗装

足先も表面を研摩し黒く塗装し接着します。

サイドのライン塗装

ズボンサイドのラインもマスキングテープで養生して塗装しなおします。

両腕塗装

次は、両腕を再塗装します。肩の金色部分が、かなり汚く汚れておりましたので、金スプレーを吹いておきます。

金スプレー

スプレーで塗装すると、かなり綺麗になりますね。金色は、豪華さが増します。両袖のアイボリーと手首の青も塗り重ねて汚れを消しておきます。

軸はめ

削り出しの軸のサイズもぴったりです。下半身と両腕の修理塗装は完了しました。

帽子塗装

次に被っている帽子にも擦れ痕があるのですが、この生地の素材が、起毛素材でアルカンターラのようなスウェードのような素材です。この素材をそのまま再生することはできないので、目立たないように似たような色で塗装しておきます。

帽子の擦れ

ですが、紺色の塗料がありません。ズボン用に用意した青は、明るい青なので、そのまま帽子を塗装すると変に目立ちますので、黒を混ぜて暗くして塗装します。

青塗料
帽子塗装

うまくごまかせました。\(^o^)/

鉄砲製作

次に鉄砲の製作に掛かります。鉄砲は、ネットの画像を元にヒノキの端材から削り出します。

ラフ書き

銃身先の長さと太さから、ざっくりなラフ書きをします。紙ベースの大きさをはさみで切り出し本体に当てて大きさの確認をします。

ヒノキ材
カット

さくっと、やっているようですが、ままたいへんですよ。形状の最終確認をします。

形状確認

サンドペーパーで面取りをして茶色で塗装し鋲打ちして固定します。

鉄砲

ここではっきりしたのですが、鉄砲の先が、帽子の擦れ痕の位置と一致しました。

元々鉄砲が腰位置にピン留めされており銃身の先が前後にくるくる稼働して擦れたのが原因で、帽子の擦れ剥がれが生じたということから、鉄砲の大きさや取り付け位置も今回の復元でほぼ元の状態であることの裏付けもできました。

腰位置には、小さな鋲を打ち込んで固定しますが、そのままでは前後に回転してしまい、また帽子の表面が擦れてしまうので、接着剤でも固定しておきます。

ここまで、塗装と補修、修復のパーツがそろいました。

最終段階

組み立て

組み立てます。

下半身

工作用の塗料ですが、まぁまぁよくできたと思います。

上半身
お口のなか

お口のなかも綺麗に再塗装。

腕の稼働

鉄砲があるので、左腕は後方にしか動かせませんが、稼働します。

腕回りも綺麗になり鉄砲も復活しました。

背中

背面の塗料剥がれも綺麗に再塗装しました。

全体像

以上で、作業の量は多くは掛かりましたが、コストをかけずに思い出のお品物を修復できました。ご依頼者様も喜んでくれたらよいなと思います。


くるみ割り人形を受け取りました。

とても良い出来で、瀧下様にお願いして良かったと思っております。

~ご依頼者様のご感想より~

フィッシャープライズ オルゴール ティーチング クロック

ティーチング クロック

フィッシャープライズ オルゴール ティーチング クロック

1960年代の時計の読み方や時刻、時間を教える教材用のオルゴールとのことです。

1968年製

仕込まれたオルゴールのメロディにあわせて、文字盤も回転するそうですが、全体的に動きが遅く、連動する開所の動きも緩慢とのことでした。

ご存知のとおり、オルゴールのムーブメントは、機械式のゼンマイで巻いて、ガバナーの回転で再生速度を抑制しつつ、櫛歯でをシリンダーのピンでつま弾く仕組みです。以前、地域のおもちゃ病院で担当したオルゴールも鳴らなくなったとのことで拝見しましたら、各所の金属製のギアの滑りが悪くなっておりオイルスプレーを吹いたら、あら不思議と元に戻ったという経験があります。

さて、今回はどのような故障でしょうか、早速拝見します。

ですが、事前にオルゴール本体の画像を拝見していたのですが、分解に苦労しそうでした。

というのも、60年代の代物で本体の各所がリベットか鋲で止めてあるのです。

時計の針カバー止め表
鋲止め裏

困りました。故障の原因の調査には、内部を拝見したいのですが、年代物ですし、できれば大がかり切り開いては、見た目にも影響しそうです。

まずですが、裏面には、木製の板にシールで化粧がなされておりそれが鋲かリベットで止めてあります。

裏面のパネル

オルゴールのムーブメントは、この裏面の板にどうも取り付けてあるようです。

ムーブメント位置

ゼンマイのツマミの近くにも2箇所の鋲がありますが、これはムーブメントを固定するリベットでした。ここに手を付けてはいけません。

綺麗に開封する作戦は、まず、鋲なのかリベットなのかを判断しないといけません。

鋲であれば、引っこ抜くことができますが、リベットの場合は、いくらこじっても抜けません。鋲の場合、引っこ抜くは引っこ抜くのですが、鋲の頭をラジオペンチなどでこじると周辺のシールが傷つくので、たまごっちのネジ外しでも経験済みの、見えている頭をルーターで削り板のパネルを外そうという作戦です。鋲でもリベットでもこれなら外せます。

頭の削り

ですが、思ったようには流石に行きません。ルーターで削っても、回転の反動で直ぐ直ぐズレてしまい結局は、周辺のシールも一緒削ってしまいました。( ̄▽ ̄;

仕方ないので、できるだけ損傷が少なくなるように慎重に作業します。

ですが、しかしこの削り作業、かなりしんどかったです。本体を固定しながら、ルーターの先がズレないように両手で力強く慎重に作業し結局4箇所を外すのに1時間位かかりました。

こじる

鋲の頭が取れたら、木製のパネルを剥がしますが、これもヒヤヒヤものでした。パネルは、MDFのような集成材のようで経年でかなり脆くなっています。

マイナスドライバーでこじると、その部分でバキッと割れてしまいそうです。

かなーり、慎重に開きます。

ご開帳

ところで、パネル裏にあったゼンマイ ツマミ周辺の鋲は、このムーブメントを固定するリベットでした。

鋲の残骸

さてさて、ムーブメントを単体で取り外せたので、動作をさせてみますが、見てからに動作が遅く、ゼンマイを巻いても何やらバネが折れそうなくらいキツキツです。

各所に金属ギヤ用の高粘度のグリーススプレーを吹いてみます。

すると、びっくりするくらい快調になりました。この”カチカチ”というタイミングが、時計の秒を刻むような働きをしているのですね。

さてさて、ムーズメントは、これでよしとしますが、本体に組み込んでも動作確認してみます。

問題なさそうですね。

次に、鋲を外した裏の木製のパネルの取り付けは、どうしょうか思案しました。

元と同じように鋲で打ち込んでもいいのですが、グリスをスプレーするだけなら、ご依頼者様でも今後メンテナンスできます。元と同じように鋲で固定してしまうと取り外しが困難になるので、今後のメンテナンスの容易性も考慮しネジ止めとさせていただきました。

ネジ止め

M3 * 12mmのタッピングネジのなべネジがあるので、それで固定しました。周辺の削れたシールの箇所もうまく多い被せできます。

当初の鋲は、2.6mm程なので、M3のネジをねじ込むと、木製パネルの穴周辺が割れるので、あらかじめM2.8のドリルで穴をこじっておいてネジ止めしました。以上で修理完了です。

ネジ止め

補足として、古いオルゴールのムーブメントのゼンマイは、やはり金属の劣化もあるので、ゼンマイを巻くときは、ほどほどに巻いてくださいとお伝えしました。


オルゴールが手元に戻り、動作確認させていただきました。

購入した時のようにオルゴールが滑らかに奏でられ、とても幸せな気分になりました。

受付以降、とてもスピーディーにかつ、ご丁寧に作業していただき本当に感謝いたしております。

誠にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX イメージ認識IC 電極腐食 修理

SuperDX タッチペン

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX イメージ認識IC 電極腐食 修理

3年ほど前に購入しらSuperDXのタッチペンですが、電源を入れると、起動音声はするのですが、絵本の絵柄にタッチしても反応をしなくなったとのことです。

小さなお子様が居られ、ペン先を舐めてしまったのが、原因かもということでした。※このような有力が情報は、修理に大いに役立ちます。

早速ですが、拝見します。

起動自体がしない場合は、電池ボックスの液漏れ腐食やクリスタルや電解コンデンサーの故障が考えられ、前面LEDは点灯するが、起動音声はもちろん、絵柄への反応もない場合は、スピーカーの故障など考えられます。

今回は、起動音声は正常にしているので、回路の画処理系の問題かと推測されます。

因みに、セガトイズ様では修理受け付けを行っておらず、以前近隣のおもちゃ病院に修理をお願いしたそうなのですが、そちらの病院では、直せなかったとのことです。

届いてすぐに動作確認をしましたが、電池ボックスの液漏れもなく、起動時の音声も正常に流れます。絵柄への反応はしません。分解して内部を確認します。

フラットケーブル型

こちらのSuperDXは、2019年の購入とのことでしたので、内部構成が、かなり集積化されシンプルなっております。基板には、novotonの制御LSIがあり、イメージセンサーモジュール側には、センサーのCMOSイメージセンサーと画認識LSIがあり、3チップ構成のようです。

基板とイメージセンサーモジュールが、4線式フラットケーブルで接続されており、Vcc, GNDを信号線2本です。novotonの仕様一覧には、外部I/FにSPIとUARTと記載があります。信号線をオシロで観測すると、どうも信号線2本は、恐らくSPIのCLKとMOSIのような挙動を示しておりました。

さてさて、故障解析ですが、まず赤外線LEDの点灯をスマホのカメラで確認しました。無事点滅しております。

カバー外し

次に、2本の信号線も信号観測します。

以前、同じSuperDXを修理した際の正常時の波形があるので、同じ波形が観測されるか確認します。過去の修理実績の波形は、こちら

波形

オシロのchが違うので、上下の位置は違いますが、同じ波形が観測できました。CLKの立ち上がりでキャプチャーしています。

この波形後は、2線と信号が固定化しもうんともすんともになるので、チップ間のハンドシェイクを開始(波形のとおり)したが、イメージセンサーモジュール側が反応しなかったので、成立しなかったようで、そのため画認識できず、もちろんですが、絵柄への反応もしないというわけです。

ということで、基板側の動作は、問題なさそうで、赤外線LEDも点滅しているところまで確認できました。※一応ですが、赤外線LEDは、LEDチェッカーで正常品(850nm品)と比べて目視確認もしました。

SuperDX
手持ち850nm品

点灯具合は、ほぼ同じで、表面の濁りのため明瞭さは低いですが、赤外線なので、問題にはならないでしょう。

さて、問題の切り分けで、どうもイメージセンサーモジュール側にあるのですが、LSIが、一個実装されております。

眺めておりますと、原因が判明しました。

こまった時は、基板を眺めるに限ります。

ご依頼様からの申告で、お子様が舐めてしまったとのことなので、ペン先の方のCMOSイメージセンサー入光カバーの汚れを確認してはいたのですが、腐食の影響は、裏側のICに出ていました。

電極に腐食が出ております。パッケージの外側だと、電源/GND端子の可能性が高いので、この腐食により電源が正常に与えられていなかったようです。

フラックスクリーナーで腐食を取り除くと無事絵柄への認識をするようになりました。


子供たちにまたアンパンマンタッチペンで遊ばせるのがとても楽しみです。

ありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

くすぐりエルモ 液漏れ腐食 ピニオンギア割れ 修理

くすぐりエルモ

くすぐりエルモ 液漏れ腐食 ピニオンギア割れ 修理

当医院のYouTubeチャンネルを見た方からのご依頼でした。YouTubeチャンネルは、こちら

ご依頼様の近隣におもちゃ病院が無いとのことで、お困りのところのご依頼でした。

購入は、20年程前で、以前は声も出て少しは動いてもいたそうです。乾電池を入れたままにされており、足裏の電池ボックスに液漏れを腐食もあるそうです。

以前は、笑い声もしていたが、もう最近は、新品の電池に交換しても、うんともすんともだそうです。お孫様も修理に期待をしているそうなので、気合を入れて作業に取り掛かります。

電池ボックスの液漏れ
電池ボックスの液漏れ

液漏れの粉や腐食により接触不良であれば、まったく動かないか、動いても腐食による電圧降下で動きが緩慢になるなどあります。

どちらにしても、故障診断のためには、この電池ボックスの液漏れは、最初に綺麗に除去し接触を回復させないと、故障診断ができないので、作業に取り掛かります。

液漏れの粉を除去し腐食箇所は、研摩などで接触を回復させます。該当の電極を全て取り外します。

うあ”~
液漏れの粉

だいたいは、粉除去で大方綺麗になるのですが、腐食が酷いと電極の交換が必要です。

相手は強アルカリ性でたいへん危険なので、中和するために溶液を作り洗浄します。換気と手袋とガスを吸い込まないようにマスクもして洗浄します。

洗浄

ここまでは綺麗にできましたが、腐食の酷い端子は、やはり折れておりました。負極のバネを取り外せなく研摩もできないので、新品に交換します。

程度の軽い腐食

程度の軽い腐食では、バネを外し腐食部分を研摩して取り付け抵抗を測ります。

抵抗値を測定

ちゃんと研摩し接触を確保できているか確認します。

腐食折れ

こちらの渡し用の電極は、脆くも折れてしまいました。新品の電極に交換をしますが、電池ボックス取り付け用の羽がないので、銅板で別に作成して取り付けします。

羽作成

半田付けで固定しますが、根本の半田部分で曲げると直ぐに折れてしまうので、電池ボックスに固定する方向を変えて対応します。

ぴったり

G17ボンドで固着しておきます。

電池ボックス修理

さて、ここでやっと動作確認できるようになりました。ご依頼様からは、まったく動かなくなってしまったとのことでしたが、モーターの空回りのような音はしておりますが、その他の動きは全くしません。すこし、ピクっとするぐらいで止まります。

まぁ明らかにモーターの空回りがあるので、例の白筐体のエルモによくあるモーターのピニオンギア割れを想定し開封します。※一応念のためですが、ご依頼様には開封の許可をいただき、縫い合わせも出来高でと了承をとっております。

電池ボックスの電極修理で既に白エルモだと分かっていたので、モーターのピニオンギア割れの確率が高いですね。

白エルモ
縫い糸

背中の縫い目に沿って縫い糸を切り開きます。また、首回りは、結束バンドで固定しているので、こちらもさっさとカットして開きます。因みに、頭部の綿はなくさないように袋に入れておきます。

まず、音がうんともすんともなので、頭部基板奥のスピーカーを確認します。

スピーカーが破損しており音が出ていませんでした。LCRメーターを持ち合わせていないので、DC測定にはなりますが、マルチメーターで計ってみます。

破損スピーカー
異常値

O.Lかと思いきや異常値をさしておりますね。ですが、電極の半田を溶かしなおしたら、O.Lになりました。ボイスコイルの断線かと思われます。

ですが、このスピーカーが見つかりません。50mmで16Ωのインピーダンスです。8Ω品もあるのですが、低いインピーダンスのスピーカーに交換するのは、その後の仕様における破損の懸念が残るし、そもそも国内で新規に調達すると送料も掛かってしまうので、別ルートで50mm 16Ω品を発注しました。

まず、声が出ていなかった原因は、スピーカーの故障で、手持ちの仮スピーカーを付けてみると、笑い声が復活しました。

スピーカー位置(暫定)

笑い声は、復活しましたが、その他の動きが全くしない原因をさらに追究します。

実は、このエルモですが、起動時に、右手を上下に振るのですが、この上下の運動がないと、異常を検知し、動作を止めるようになっていそうです。

実験として、笑い声が復活した際に、手で右手を強制的に上下に稼働させると、腰曲げ動作まで動き出しました。従いまして、起動時に右腕の上下運動を行い、上下運動の位置を検知できなかった場合は、その時点で停止する措置がプログラミングされているようです。

でなら、まずは、右腕の上下運動を行いモーターを確認します。幸いにモーター音はしており、ほぼ確実にギアが滑っているような音がしています。

まずは、モーターの位置から。

モーター位置
右腕

右腕用のモーターを外すには、右腕も外す必要があります。ネジを外し右腕も浮かし引っこ抜きます。ここで、注意は、右腕の回転位置を検知する金色の電極があるので、取れて紛失しないようにします。

金色の電極

この電極が、基板上のパターンをなぞり、右腕の位置を認識します。さて、これで無事にモーターまでたどり着けます。ギアボックスを開封します。

ギアがない!

ピニオンギアが割れて滑っているかとおもったら、ぱっかり割れて諸共なくなっていますね。

交換ピニオンギア

8Tのギアに交換します。ですが、先の画像のとおり、モーターの軸の長さが短く連結するギアまで軸が届いていませんね。

さて、この130型のモーターですが、一応ですね、ブラシも状態を確認しておきます。

長年正回転と逆回転を駆使していたので、ブラシの損傷も懸念されるので確認したいところです。

ブラシ確認

綺麗ですね。カーボンのブラシもまだまだ残りもあり、コミュテータも損傷や削り溝もないですね。では組みつけます。

ギア挿入

ボックスの壁への干渉なども注意し新しいピニオンギアを挿入し新しいグリスを塗布しておきます。基板の接点も接点復活剤で綺麗しておきます。

接点洗浄

ここで、再び動作を確認し、笑い声を右腕の上下運動も無事復活しました。

ついでに、尻餅をつく腰曲げの動作もするにはするのですが、負荷がかかると、モーターがうぃーんとなり空回りします。やはり、腰用のモーターのピニオンギアも割れているようです。

腰用モーター

腰用モーターを取り外すには、足の股間部分を外す必要があるのですが、後々ピニオンギアを交換する可能性もあるので、どちらの足を外そうか悩むかもしれません。

モーターのオーバホールなども必要な場合は、結局両足を外すことになります。

今回は、モーターのブラシの状態も確認したかったので、先に右足側を外しモーターを抜きます。

足方向
腰用モーター
カーボンブラシ

カーボンブラシの残量も十分でコミュテータも変な溝もできていませんね。モーターのオーバホールは不要そうです。では、ギアの状態を確認します。

ピニオンギア割れ

腰用のピニオンギアは、ぱっかり割れてはおらず、ひび割れだったので、辛うじて負荷をかけるまでは、若干動いていたのでしょう。今回も協会より手配した3Dプリンターで製作したギアに交換しますが、今回はトラブルが起きました。

右足側からモーターを外したので、元々付いていたピニオンギアの位置を同じ位置に交換用のギアを挿入できれば良いと思い込んでおりました。

ピニオンギアの位置

図の通り、モーターの端から17mmの位置で揃えて交換用ギアを挿入し今回もエポキシ接着剤で固定したのですが、この位置が狂っておりました。

そもそもですが、割れているピニオンギアの位置は、信用してなりません。この17mmで、新しいギアを位置合わせしてもギアボックスの内壁に干渉して動きません。しかもエポキシ接着剤で固定していまっているので、微調整もできないです。

実際の正常稼働できる位置は、左側の足を外しギアボックスを開封して位置合わせしないとけません。それを知らずに組み上げて動作確認をすると、尻餅をつくところで、うぃーんを空回りせず、唸り声(コイル鳴り)をあげたままになります。

位置合わせ

ギリギリ次のギアの山には噛んでいますが、出過ぎており、ギアの先端がギアボックスの内壁に干渉していますので、仕方なくルーターで先端を削りました。

幸いして、次のギアの山には噛んでくれていたので良かったです。

従って、交換用のギアの位置合わせは、ギアボックスを開けギア噛みに余裕が取れるように位置に合わせる必要があります。

※動作確認でうぃーんとなったまま、うんともすんともだった時は、変な汗がドバっとでました。x_x;

ここまでで、一先ず一連の動作をみます。縫い合わせは、安全ピンで止めてあります。

頭部の重心位置がまずいのか、尻餅や起き上がりで変に失敗するところがありますが、ひとまず、この時点での動作は、以上で完了とし、発注のスピーカーを待ちます。


約ひと月程ですが、発注のスピーカーが届き交換をしました。

左:発注スピーカー、右:故障スピーカー

Φ=50mmでインピーダンスが、16Ωとなると、そう簡単には入手できません。早速、届いたスピーカーをサクッと交換してしまいます。

交換スピーカー

あとは、粛々と組み上げて、開いた縫い目を縫い合わせます。

首の結束バンド
縫い合わせ

エルモの縫い合わせも複数台経験すると、コツも分かり、なかなか上手にできるようになりました。

縫い合わせ完了

さて、最終の動作確認ですが、前述の頭の重心の件が、やはり顕著に出ておりました。

モーター駆動のおもちゃですので、アルカリ乾電池で動作を推奨します。また、尻餅を付くので衝撃を抑えるために低反発マットレスを敷いて動作を確認しました。

その1.アルカリ乾電池と低反発床マットでの動作

アルカリ乾電池と低反発床マットでの動作

全てにおいて、動作がおかしいです。アルカリ乾電池の電流容量のおかげか、機敏にモーターが回っているのか、尻餅を付いた後、そのまま座って居て欲しいのに、元に戻ってしまいます。(T_T)

なので、本来の動作と異なり内蔵の姿勢センサーでの制御ができなくなっております。

以前、この手電動のぬいぐるみを修理した経験があったのですが、重心の位置は、個体固有の定数のような物で、容易に調整できるものではありません。

今回のエルモに至っては、重心を調整するにしても、追加で重りを後頭部に入れるか、現在頭内部に詰めてある綿を減らすかなどです。

そこで、使用条件をいろいろ変えてみました。

その2.アルカリ乾電池と絨毯床での動作

マンガン乾電池と絨毯床での動作

ウレタンマットを使用しないと幾分改善されます。動き全体は、マシになりました。

その3.マンガン乾電池と絨毯床での動作

アルカリ乾電池と絨毯床での動作

ほぼ正常な動作です。マンガン乾電池のおかげでモーターの動きが緩慢にな り、その影響で勢いも弱まり正常な動きになったようです。

ご依頼者様へ、以上の動画をご確認いただいたところ、マンガン乾電池でのご使用を前提ということで、ご了承をお願いしました。以上で修理完了です。

※もしかすると、購入時から既にこのような動きだったのかもしれませんが、、、。


エルモとの再会にドキドキしながら開封させていただきました。

電池を入れて、動きも確認いたしました。

元気になって、とても嬉しいです。

半分諦めていたので、 ネットで見つけることができて本当にラッキーだったなあと思います。

本当にありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 タッチペン 電源スイッチ交換

おしゃべりものしり図鑑

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 タッチペン 電源スイッチ交換

おしゃべりものしり図鑑のタッチペンの2件目です。

こちらのご依頼は、もう完全に電源が入らなくなってしまったとのことです。到着後に、起動確認しても、完全にうんともすんともで、試しにスイッチの接点に復活剤をスプレーしてみても、全く効果がありませんでした。

スイッチの故障かどうかは、分解し電源とスピーカーを自前の別のパーツにつないでみて、まず電源入れます。起動しない状態で端子を短絡させてみます。

故障原因の切り分け

画像のようにして、接触不良であろう電極間を短絡させ起動できるようであれば、電源スイッチの接触不良となります。というか、このものしり図鑑のタッチペンの電源スイッチは、この故障がほとんどですよね。

今回もスイッチの接触不良であろう電極間を短絡したところ、無事起動するようになりました。

電源スイッチ
取り外し

電源スイッチの取り外しは、もたもたできません。先の記事にもあるようにサクサク取り外さないと、熱で基板がやられてしまいますので、万力などで固定し引っこ抜きます。

スイッチ交換

サクサクとスイッチを交換してしまいます。

絵本の絵柄反応確認

絵本の絵柄への反応も問題ありません。念のため、赤外線LEDの点滅もスマホのカメラ越しに見てみます。

点滅確認

組み立てて絵柄への反応を再確認し修理完了です。

最後に、今回の電源スライドスイッチの故障原因を考察してみました。記事は、こちらのスタッフブログです。


この度は、アンパンマンおしゃべりせいかつずかんのタッチペンを修理いただき、 ありがとうございました。

電源が入らないけれど、外観はまだ使えそうだったこと、 せっかくの図鑑3冊が、あまり読まれなくなったこと、残念に思っていました。

似たおもちゃへの買い替えも検討しましたが、 なにより誕生日プレゼントでもらって、子どもが気に入っていたので、 修理という選択ができたのはとても助かりました。

子どもにも、壊れたから捨てる、のではなく、修理できることもある (自分たちでできなくても、修理できる人がいる)、 と教えられたのもよかったと思います。 また、修理受付から返送までのご対応も、とても丁寧にしていただきました。

本当にありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 タッチペン 電源スイッチ交換

おしゃべりものしり図鑑

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑シリーズのタッチペンの修理のご依頼です。

電池を交換しても電源が入らなくなってしまったそうです。当医院でも過去に数件の修理を行っておりますが、電源が入らない原因のほとんどが、電源スイッチの腐食が原因でした。

おもちゃドクター様におかれても、同じように電源スイッチの腐食で交換をされたご経験があったかと思います。

今回は、同時期に2件のご依頼があり、どちらも同じ電源スイッチの電極腐食でしたので、後の記事にて原因を少し考察してみたいと思います。

さて、まず1件目のご依頼は、電源が入ったり、入らなかったりするが、入らない時の方が多いそうです。

お送りいただき、早速確認してみました。

電源投入成功率

ON時の電極間の抵抗もまぁまぁ―ありますね。成功率も6割でした。

一度失敗すると、もうその後は電源が入らなくなりました。連続性もあります。

開封し、電源スイッチを交換します。

電源スイッチ

本体内部には、電池からの腐食もなく目視上は問題ありません。

さて、この電源スイッチですが、筐体のカバーがGNDに半田付けされており、取り外すのが、ママ大変です。半田を盛り一気に引き抜かなければ、コテの熱で基板のパターンやスルーホールがやられてしまいます。

温度制御のできないコテを使用していると、熱は上がりっぱなしになるので、この点も要注意です。そこで、自分は、コテの温度は350℃で半田を盛り、卓上の万力で基板を固定しながら一気に引き抜いております。

HAKKOのステーションタイプを使用しているのですが、最近、GootのPX-280という温度制御およびスリープ機能付きの半田コテが発売され、狙っているのですが、品切れで購入できない状況です。

卓上万力

交換済み

因みに、交換用の電源スイッチですが、ツマミの長さがいろいろあります。この、ものしり図鑑用のタッチペンは、4mmとなります。

起動確認

また、以前に筐体側のスイッチカバーの滑りが悪く起動不良を修理した経験もあるので、スイッチの接点にて、接点復活剤をスライドする箇所には、シリコンスプレーを吹いておきます。

で、肝心の起動確認を再度行います。

100%成功

無事、反復のON/OFF確認で100%成功しました。

絵本の絵柄への反応も良好です。以上で修理完了です。

最後に、今回の電源スライドスイッチの故障原因を考察してみました。記事は、こちらのスタッフブログです。


このたび、アンパマンおしゃべり図鑑のペンの修理をお願いしました。

この図鑑はとてもよくできており、バースデーに買って重宝していたのですが、1年ほどでペンが使えなくなりました。

いつもなら、音が出なくなっても電池を交換すれば復活するので「ママ、すごーい」と息子から尊敬されていましたが、もう我が力ではどうにもできず…いろいろ調べてメーカーでは修理不可とわかり、悲しくなっていたところにおもちゃ病院の存在を知りました。

私の確認不足が多く、送付時にかなりご迷惑をおかけしてしまいましたが、修理はとても早く、動作確認動画まであげてもらい、こんなに丁寧で迅速なご対応をいただけて、感謝の気持ちでいっぱいです!

息子もアンパマンの復活をとても喜んでおり、「おじちゃんになおしてもらったー!」と喜んでおります。

おもちゃはこどもにとって宝物であり、ものを大切にする気持ちを学んで欲しい。

今回のことで、改めてそう思いました。本当にありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

タカラ テプラ ルシールカーニバル バネツメ折れ修理

ルシールカーニバル

タカラ テプラ ルシールカーニバル バネツメ折れ修理

旧タカラ製のラベルライターのルシールカーニバルというテプラの修理のご依頼です。以前、ハローキティとのコラボのテプラを修理しましたが、全く同じ機種となります。

テプラなので、基本おもちゃではなく、文房具という位置づけなのですが、以前は、ハローキティとのコラボ商品だったので、おもちゃとして扱うか、、、としていたのですが、この手の製品も有料修理対象とするかは、悩ましいですね。

ということで、ご支援を前提として依頼を受け付けることとしました。因みに、今後は、どなるかは分かりません。。。

故障の症状は、印刷をしても印字されないということです。ハローキティとのコラボ商品の時と同じ症状なので、十中八九、例のバネのツメが折れたのでしょうね。。。

最速開封します。

ゴムローラー

印字部は、テープカートリッジの直ぐ下に熱転写ヘッドに押しつけられているゴムローラーが見えます。このゴムローラーをヘッド側に押し付けているバネが手前のバネです。

もう既に何かツメが浮いているように見えますね。分解を進めます。

裏蓋のネジを外し電池ボックスの導線コネクターを抜きます。そうすると完全に表面と裏面に分かれます。

ゴムローラーの部品を上下に稼働させている軸のE型止め輪を慎重に外しレバーピンからも外します。軸のE型止め輪は、不用意に外すとぴょんと飛び上がってしまいどっかに紛失していまうので、気を付けます。

次にゴムローラーを抉って外すとバネが取れますので、目当てのツメを確認します。

ツメ割れ

やはり、ぱっかり割れていますね。ここが割れると、バネでゴムローラーを押し付けることができなくなるので、熱転写ヘッドにインクカートリッジのテープが密着できる印字もできなくなります。

東芝 ブルーレイ ハードディスク レコーダー D-BZ510 wait 故障 電源コンデンサー交換

D-BZ510

東芝 ブルーレイ ハードディスク レコーダー D-BZ510 wait 故障 電源コンデンサー交換

当院は、玩具を対象にしたおもちゃ病院ですが、こちらのスタッフブログ記事をご覧になられた方から、お子様の大事な思い出のビデオ映像が保存されているため修理できないかというご依頼がありました。先のブログ記事のご依頼者様もお子様の大事な録画番組があるとのことでした。

そこで、公平性の観点からも有料修理でならということで修理をお受けすることにしました。

さて、故障の症状は、電源を入れてもWAIT表示から一向に進まないとのことです。

D-BZ510によくある電源回路の平滑コンデンサーの容量抜けと思われます。今回は、前回の記事では見送った+5V側の2200uF 25V ~105℃ の電解コンデンサーも準備済みですので、まとめて交換をします。

因みにですが、IC類を触るので、静電対策をしての作業です。

内部

ブルーレイドライブにSATAのHDDと電源回路とチューナーなどなど。

では、まず大事なSATA HDDを外します。大事な思い出の映像が保存されておりますので、慎重に作業します。

SATA HDD

HDDの土台がケースにネジ止めされておりますので、各所取り外し、SATAケーブルと電源ケーブルを外します。

SATA HDD
無事取り外し

おおお!その下から電源基板の目的の電解コンデンサーが見えてきました。ですが、まだまだ他に外さないといけないものがあります。

電源部をカバーしているプラスチック製のカバーとブルーレイディスクドライブ用の電源ケーブルも電源基板から直付けのケーブルで出ているので ブルーレイディスクドライブ側のコネクターを抜きます。

電源1次側のカバー

このカバーは、タッピングネジでネジ止めされているので外します。

ブルーレイディスクドライブ用電源コネクター

この電源コネクターを外す際は、注意が必要です。ディスクドライブの筐体側面にフラットケーブルが両面テープで張り付いているので、ペンチでなんかで抉ると誤って側面のフラットケーブルに接触し下手すると断線します。コネクター抜きで横から慎重に抜きます。

電源基板とメイン基板側は、金属部がむき出しの橋渡しのようなコネクターで接続されていますので、これも慎重に抜きます。電源基板のネジは、他に数本残っているので外します。

これで電源基板が筐体から外せるのですが、ここからが、一番の難関です。

電源基板が、外れないのです。

というか、周辺の部品などを全て外してしまえば簡単なのかもしれませんが、全面パネルからなかなか抜けないです。

ズレ防止用のツメががっちり基板の食い込んでいます。基板を撓ませないとイケないくらい抜けません。しかし、撓みを大きくするうと、今度が基板が割れてしまいます。

ここは、ツメが外れる程度の撓みを調整しながら慎重に外します。

ツメ
ツメ
電源基板外し

格闘すること、数分。基板に問題が出ないか冷や冷やしながら外れました。

では、早速ですが、目的の電解コンデンサーを交換します。一応、位置と電極の方向をメモしながら外します。

交換電解コンデンサー

今回は、2次側+15V, +5V全ての平滑コンデンサーを交換します。

+15V側・・・3300uF

+5V側・・・2200uF * 2ヶ

無事交換できたところで、組み上げ、ドキドキの電源投入テストです。

おおお!

WAIT表示から待つこと数秒、無事、WAITの状態から地デジモードに遷移しました。

無事保存されたデータも表示されております。

保存番組

今年のお正月明け直ぐに不具合が出たのですね。

電源コネクターを一度引っこ抜いているので、ブルーレイディスクドライブの動作テストもしましたが、再生問題ありませんでした。

譲さん

これにて起動故障の修理は完了ですが、同封のリモコンの電池ボックスの液漏れがあったので、ついでにお掃除をしておきました。

液漏れリモコン

東芝に問い合わせても、部品がなく修理不可と言われ諦めていたので、入院治療で完治して帰ってきたので感激しております。

本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~