アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん DX 言語切り替えスイッチ交換

アンパンマンタッチペン

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん DX 言語切り替えスイッチ交換

今回の故障の症例は、言語切替がスイッチが効かなくなってしまったとのことです。

カチカチとせず、いつも日本語のみであるとのことです。

これもDX版の故障あるあるなのですが、使用されているスイッチのノブが弱く切り替えを繰り返していると、その上折れてしまい、折れた際のスイッチの状態で言語設定が固定されてしまいます。

言語切替スイッチ

では、分解してスイッチの状態を確認しようと思ったのですが、主様が開封に挑戦されたらしくネジの1本が潰れてしまっております。

潰れたネジ

おおお!

かなりグリグリやっていますね。

おやおやという感じですが、大丈夫当院は、たまごっちの修理にて潰れたネジの開封は得意としております。

では開封に挑戦をしようと思ったのですが、何やら状況は変です。既にカバーが開いています。

開いている

あら?

主様は、グリグリやりすぎてネジ穴を既に貫通させておられました。

ほら

ネジの残骸は除去します。このネジの他に2箇所近隣のネジもあり、ネジ穴の再建は不可能なので、潰れたネジの箇所はネジ締めをせずにおきます。

さて、肝心の言語スイッチの状態を確認します。

折れたスイッチ(ピンボケですんません、、、)

やはりノブが折れており日本語側になっておりますね。

交換用のスイッチがありますので交換してしまいます。

交換スイッチ

スイッチ部品は三極部とプラグシェル部の合計7箇所が半田付けされております。

部品外し

既に壊れた部品なので基板を損傷しないように除去します。

基板

スイッチは、ボス付きのスイッチとあります。

ではサクッと新品のスイッチを取り付けてしまいます。

スイッチ交換

元に戻して動作確認です。

動作確認

バッチリですね。

これで修理完了です。


後日談 2023.10.20(金)

言語切替スイッチ交換から約3ヶ月経過後に動作を再度確認する機会がありました。

すると、言語切替スイッチのスライドが固着してびくともしなくなりました。

それと知らずに強引に切り替えてしまい、再度スイッチのノブが折れてしまいました。

なるほど、皆さんこのような事態が起きて折ってしまうんですね。

実は、DX版の言語切替スイッチのノブが折れてしまう故障はいくつかスイッチ交換をしてきましたが、なぜこんなに折れてしまうのかは考察しておりませんでした。

恐らくスイッチの個体差もあるのでしょうが、スイッチ内部のグリスが劣化固着し粘着したり、プラスチック製のノブが筐体側に引っ付き動かなくなってしまうのかもしれません。

従いまして、DX版のスイッチを交換した場合は、スイッチにグリスを吹き付けるか塗布して十分なじませておくことが必要と思われます。

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん タッチペン 電源スイッチ修理

アンパンマンタッチペン

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん タッチペン 電源スイッチ修理

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんには、シリーズ化されており知るだけでも、

  1. 初期版※本記事のバージョン
  2. デラックス版
  3. スーパーデラックス版
  4. プレミアム版

とあります。最新は、恐らくプレミアム版かと思われますが、当院ではまだ診断実績がございません。

今回は、初期版の修理記事となります。

初期版は、初期版とあるだけに、その後に頻発する故障がいろいろ含まれております。今回の故障は電源が入らないという故障です。

初期版の故障あるあるとしては、ペン先のイメージセンサーモジュールのコネクタ半田剥離が一番多いですね。次にこの電源スイッチの故障が多いのですが、電源スイッチについていろいろあります。

そもそも電源が入らないという事例もあるのですが、電源スイッチのスライドノブが上がり切らないという筐体設計上の問題もあります。

そうなので、今回の故障は、このスライドスイッチのノブが上がり切らずに電源ONにならない症状です。

電源スイッチ

白いノブを上にあげようとしてもカチッとON側に移動してくれません。従いまして、電源もONになりません。

スライドスイッチ

スイッチが半田付けされている緑の基板がありますが、この基板実は赤いカバーの筐体にネジ止めされていないのです。それが原因で白いノブを上に押し上げようとしても基板ごとズレるので電源OFFのままONの位置に移動しません。

もはや設計上の問題ですね。

新品の状態では、横にある電源正極の管型のヒューズの足が基板を抑えているのですが、電源のON/OFFを繰り返していると、このヒューズの足に曲がり癖が付き基板を抑える役目が無くなります。

というか、そもそもヒューズの足にそのような機能はないので、新品の時は運よく電源ONできていただけでした。

基板接着固定

そこで、基板の端を筐体を弾性のエポキシ接着剤で接着固定してしまいます。これでズレは起きづらくなります。

次に、パン先のカパカパも対処します。

隙間

初期版の持病ともいうべきコネクタの半田剥離は、このペン先がグラグラしていることが原因の一つです。

黒いペン先を赤い筐体に隙間があり、絵本にタッチした際にもろに衝撃が半田付けされているコネクタ部にかかります。

隙間も大きいので衝撃も大きくなり、いづれ半田剥離に繋がっていると思われます。

この機種以降は対策として、半田付け部の抜き差しできるコネクタ化しており、かつペン先も黒いモジュールの入光口を抜き出しにせず、カバーをかけております。

さて、本初期版ではこの隙間に、同じく弾性のエポキシ接着剤を充填して固めてしまいます。

弾性エポキシ接着剤充填

これでグラグラカパカパしなくなりました。

以上で修理完了となります。

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX スピーカー断線修理

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX スピーカー断線修理

外来勤務している地域のおもちゃ病院で担当しました。

依頼者の方は、同じSuperDXのおしゃべりいっぱいことばずかんをお持ちだったのですが、タッチペンが故障してしまい同じことばずかん一式を購入されたそうです。

おもちゃ病院で修理できるかもと故障した方のタッチペンと絵本を持参されました。

で、肝心の故障の症状は、タッチペンが絵柄に反応しなくなったそうです。

で、そのまま絵柄に反応しないという事態だけでなく、ちょうどスリープからの起動時に押すボタンの位置にテープを貼ると絵柄に反応したりすると、ちょー重要な症状もいっしょにご提供いただきました。

こういう情報は、とても、とても、とても重要です。

修理可否を大きく左右します。

が!

当日おもちゃ病院の会場に持参されたのですが、会場での動作確認では問題なく絵柄に反応しだしたのです。

おもちゃ病院あるあるですね。

ご自宅では問題あったのですが、会場に持参すると問題なく動きだしたりします。

ですが、こういう不安定が挙動って故障解析がとってもたいへんなんですよね。

故障解析をする場合は、故障の症状が起きていないと解析のしようがないのです。

最悪、故障の症状が出るまで永遠動作確認をする事態になります。

正直、おもちゃ病院は、メーカー様の故障解析センターではないので、このような対応は不可能です。

毎日のように絵本に向き合い起動するか、絵柄に反応するかを確認するというのは、区切りをあらかじめ切っておかないと、故障症状がでるまで、年中拘束される事態になります。

ということで、入院扱いにて来月の診療日まで確認頻度はこちらの任意をして動作確認を行い問題が出た場合は、故障解析を、出なかった場合はそのままお返しするということで合意してお預かりしました。

前置きが長くなりましたが、持ち帰り入院扱いで早速故障解析をします。

会場の動作同様に問題なく稼働します。

このままで迷宮入りしますが、前述の通り、不具合時の重要な情報をお聞きしていました。

『ちょうどスリープからの起動時に押すボタンの位置にテープを貼ると絵柄に反応したりする』

これ、ちょう重要でした。

というのは、何かの接触不要の懸念があるからです。

ご自宅では何か接触不良は起きその接触不良で問題が起きていた。しかし、おもちゃ病院の会場まで持参した際にその接触不良が解消されていたように推測しました。

まさしくビンゴでした。

表面のカバーを外すと、まったく反応しなくなりました。

不安定な不具合に留めをさして故障症状を常時発現させることに成功しました。

これは、不安定な故障の修理をするうえでとても重要です。

コネクタ型

ところで、このSuperDXのタッチペンですが、マイナーチェンジ前のバージョンでイメージセンサーモジュールとはコネクタで接続されております。

で、基板をむき出しにした状態では絵柄に反応しません。

というか、起動時に声も出ません。

プッシュスイッチの当たりを指で触れると音が出ます。

なるほど、おもちゃ病院の会場で問題なかったのは、カバーをした状態で恐らく主様が握られた影響で基板のスイッチ当たりが湾曲したのだと思います。

ですが、このプッシュスイッチってスリープから起動用なのでスイッチ自体の問題の可能性は低そうです。念のため故障解析のためプッシュスイッチを外しておきます。

もちろんですが、プッシュスイッチを外しても音はでません。

解析のため、どこか問題なのかを調べるため周辺も目視解析します。

横にあるNOR Flashに触れても音がでるようになります。

んんん?

どこ振れても音が出るって変です。

とここで、音が出ないってもしかすると、スピーカーの断線じゃない?と感じました。

実は既にスピーカーの導線は目視チェックしていました。

スピーカーの導線半田箇所

ほら、一見問題無さそうでしょう。

でもね、

断線箇所

カツカツで接触してだけでした!

カツカツで接触していたので、プッシュスイッチの基板の中央を押して湾曲させると離れていた半田の盛り上がりと導線の芯線が接触していたという故障現象でした。

主様は、スピーカーから音が出ない=絵柄に反応しない=故障という流れで認識されて居られました。

まぁ、仕方ないですね。

アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんシリーズでは、

起動時の起動音が流れるが絵柄に反応しない=画像認識に問題あり

起動時の起動音も絵柄にも反応しない=スピーカーに問題あり

という初期的な診断をお勧めします。

再半田

導線を剥き直し再半田付けして修理完了です。

修理完了
動作確認

アンパンマンおしゃべりいっぱいことばずかんプレミアム イメージセンサー故障修理不可

プレミアム

アンパンマンおしゃべりいっぱいことばずかんプレミアム イメージセンサー故障修理不可

アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんシリーズは、今まで多くの修理を行ってきましたが、最新版のプレミアム版の修理依頼がありました。

愛知県の地域のおもちゃ病院からの転院の申し出があり、持ち主様に別途当医院を紹介していただき診断をすることになりました。

絵本の絵柄への反応がないという症状にて、赤外線LEDの点灯確認までは。地域のおもちゃ病院のドクター様が確認をなされ、以後を引き受けることになりました。

プレミアム版は、多言語対応以外にもマイクを実装しお子様の声を録音できたりと、機能アップが図られております。

電源投入後、起動音が正常になり言語切替も無事発声します。また、以前に録音されたお子様の声もボタンを押下すると流れました。

では、診断をします。

△ネジ

ネジは、SuperDX版と同じ三角ネジです。横にリセットボタンが付きましたよ。

フラットケーブル

ペン先のモジュールとは、SuperDX版と同じ4芯のフラットケーブルで接続されており、信号は、画像の左から、GND, SDA, SCK, Vccとなります。

信号の規格もSuperDXからの仕様と踏襲しているようですね。

さて、前任のドクター様で既に赤外線LEDのチェックはされておられるとのことでした。

無事点灯

点滅制御もなされているので、ペン先の画処理ICは起動していそうです。

では、ケーブルの信号が絵柄に対して反応しているのか確認します。

ICクリップ

SCKとSDAを観測します。

信号

SCKは、GNDに貼り付き、SDAはHiのままですね。

SCKのクロックに同期し、SDAが駆動されSCKのエッジでキャプチャーするという、まぁ取り分け特異が使用でもないですね。

さてさて、信号が貼り付いていますが、絵本の絵柄に対してはどうでしょうか。

SuperDX版ですが、絵柄に反応するとSCkがクロックしデータが転送されますが、全くのうんともすんともです。

絵柄に反応しませんね。

念のため、入光口に何か詰まっていないか確認しましたが、筒の奥にレンズの入光口が無事見えています。

ペン先には、イメージセンサーと画処理ICが基板に実装されております。赤外線LEDも制御できていそうなので、イメージセンサー側の故障の線が強そうですね。

ですが、SDAがHiに貼り付いているので、何からの動きはあったようです。

故障原因の切り分けのためペン先をフラットケーブルから外してみます。

ペン先外し

するとどうでしょう、起動すらしなくなりました。

なるほど、メイン基板に実装されているnuvoton製の制御ICは、ペン先がつながっていることを起動時に認識していそうですね。

では、接続を元に戻し電源投入直後のハンドシェイクの波形を観察します。

波形

1ch側:SCK

2ch側:SDA

これだけでは何とも言えませんが、Vccが印加されると、恐らくペン先の画処理ICから何かしらのIDを送出しており、そのIDを基板側のICで受診して起動するといった流れのようです。

ここまでまとめると、起動時にハンドシェイクが行われメイン基板の制御ICと通信はできているが、その後絵柄を近づけても信号に変化は起きます。

起動時のハンドシェイクはできるが、その他の機能が故障するような事態は考えにくいので、イメージセンサー側で画像と取り込めなくなっており、起動はするが、絵本にタッチしないままのような状態が続いているのでしょう。

メイン基板やペン先の基板なども目視確認を行い、ダメ元でICの足を再半田したり、フラックスクリーナーで綺麗にしたりとやってみましたが、いづれも改善しませんでした。

イメージセンサーの故障も多くはないとしても、相手は半導体なので、ショックやランダム性の故障もありえます。

おもちゃ病院での診断は、以上が限界点と判断し今回は修理不可能とさせていただきました。


ファービー おもちゃ病院あるある症例

ファービー

ファービー おもちゃ病院あるある症例

今回の記事は、おもちゃ病院で経験する症例となります。

依頼者様のところでは、不具合が出ていたのだが、おもちゃ病院に輸送したところ、何故か不具合なく動作してしまったという症例です。

これは、地域の会場開催のおもちゃ病院でもよくあることなのですが、ご自宅からの移動の最中に状態が変化したとか、当医院の場合は、輸送中に不具合が解消されてしまったような事例です。

例えば、電池入れ方があまく移動中に正常位置になったとか、ギア噛みが起きていたが、輸送や移動中の揺れで噛んだギアが解けたとかもありえます。

今回は、大事に長期間保管されていたファービーだが、久しぶりに稼働させようとしたところ、最初ビクッとした後ピクリとも動かなくなったそうで修理の依頼がありました。

ですが、届いた直後に動作確認をすると、問題なく動作しております。

電池ボックス

電池ボックスの綺麗で電極に腐食も見られません。

乾電池

使用されていた乾電池の容量も問題ありません。

推測するに、長期間稼働していなかったようなので、モーターのグリス固化が起きていたのかもしれません。

何かの拍子にトルクを与えてあげると問題なく動きだすことが多いです。

また、ギアボックス内の稼働軸やツメなどが引っかかっていたが、輸送中の揺れで引っ掛かりが取れたのかもしれません。

当医院での動作確認では、数回の起動と電池の抜き差しなど行いましたが、ハングアップしてしまうようなことは起きませんでした。

修理作業自体は何も行っておりませんが、現状のままで返送とさせて頂きました。

動作確認1
動作確認2
動作確認3

※返送後も快調に動作しておられるそうです。

すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス スピーカー交換修理

プレミアムプラス

すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス スピーカー交換修理

すみっコぐらしパソコンのマウスケーブルの断線修理をいくつか過去に修理を行ったきました。

今回は、プレミアムプラスというバージョンで故障は、スピーカーから音がしないという不具合とのことです。

スピーカー

アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんでもそうですが、バージョンアップの際の命名が同じなのですね。デラックス→スーパーデラックス→プレミアム→?

このバージョンからデータバックアップようのボタン電池が蓋面に付きました。

ボタン電池ボックス

また、カメラも実装され液晶の上部に星形のカメラレンズがあります。

カメラ

それと、何か居ます。

何か居る

マウスの着せ替えカバーでないのですが、何か居ます。役目は存じ上げません。

さてさて、音が出ない原因は、スピーカー単体の故障もそうですが、音源回路にも故障があるかもしれません。ではでは開封します。

すみっコぐらしパソコンは、液晶周辺の化粧シールの下に隠しネジがあります。

この化粧シールを剥がしてネジを外しますが、この化粧シールは一旦剥がすとシワシワになります。

隠しネジ

ネジを外したら、養生テープで目張りをしておきます。

目張り

で、で、で肝心のスピーカーはこちらです。

スピーカー
本体

薄型のスピーカーで、Φ=28mmです。

筐体内の厚さ設計から、玩具用の厚めのスピーカーは使用できません。抑えもそうですが、そもそもボタン電池のツメに干渉して蓋が閉まりません。

NGスピーカー

残念ながら薄型Φ=28mmのスピーカーの在庫がないので、ネット注文して到着を待ちます。

翌々日には届きました。

交換スピーカー

スピーカーはバルクで入手しましたので導線は別途取り付けます。

補強板にもばっちり収まります。

補強板

この補強板にすっぽり収まることがカバー内に収まる条件になります。

動作確認
動作確認

問題ありませんね。これにて修理完了です。


子供達は喜んで、ひっぱりだこで遊んでいたそうです。

本当にありがとうございました。

メーカーは交換対応しかやっていないそうで、祖父が買ってくれた物を取り替えることがなく済んで嬉しく思います。

~依頼様のご感想より~

MYトーキングアクションフィギュア ウッディとジェシー修理

ジェシーとウッディ

MYトーキングアクションフィギュア ウッディとジェシー修理

ウッディとジェシーの修理依頼がありました。

当医院では以前にもトーキングウッディなる玩具の修理をいろいろしていたのですが、そのそれもバネスイッチのバネ折れがほとんどでした。

てっきりそのウッディと同じウッディかと思って診てみたら、少し事情が違いました。

見た目は、どちらもタカラトミー製の『トーキングウッディ』なのですが、見た目がほぼ一緒でもシリーズが異なる3種類があることが判明しました。

今回のウッディとジェシーは、この『トーキングxxx』シリーズではありませんでした。

後々判明しますが、後述します。

さぁ、診断をしましょう。

まず、どちらも背中の紐を引っ張っても発声しないとのことです。

ジェシー

ジェシーっていうんですね。知らなんだ、、、。歯が真っ白!

こちらは直ぐ不具合の原因は分かりました。

容量不足

乾電池が容量不足でした。新しい乾電池で無事発声しました。

ですが、なぜか電池ボックスのスライドスイッチで日本語にしても英語にしても日本語しか発声しません。

( ,,・ω・´)ンンン?

なぜだ!?

切り替え確認

ほらね。日本語しか発声しない。

悩んでいても仕方ないので、ウッディの方を診ます。

ウッディ

いつものウッディですね。

因みに、映画の声優は、日本語版は唐澤さんで英語版はトムハンクスさんです。

こちらも不具合の原因は直ぐ分かりました。

電池ボックスの蓋

負極のバネが錆び錆びですね。

バネ部をはずしてて研摩します。

研摩後

綺麗にできました。

では、ウッディも動作確認します。

切り替え確認

おやおや???

ウッディも日本語しか発声しません。

しかも前に聞いた時のセリフを若干異なる。

( ,,・ω・´)ンンン?

これは何かあるぞ!

と調べてみると、シリーズが違うとのことで日本語のみの発声が正しいとのことでした。

MYトーキングアクションフィギュアというシリーズで、米国では製造メーカーが異なるのですが、日本国内ではタカラトミーが販売しているとのことです。

Amazonの販売のページで箱の注意書きを確認すると、大きく日本語と明記されていました。

安心しました。

ジェシーの時は、切り替えスイッチの故障でどちらに切り替えても日本語側にしかならない故障が起きているのかもと思ったのですが、これで正解でした。

修理完了

お忙しい中おもちゃの状態や治療法を 細かくメールして下さり迅速に対応して頂き、 とても丁寧なやりとりに感動致しました。

治療に出していたおもちゃも無事治り、 親子共々とても嬉しい気持ちになりました。

丁寧な方 良心的な価格… 伝えきれないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。 良いおもちゃの病院さんが見つかりよかったです。

この度は本当にお世話になりました。 ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

夢の子 ユメル 不安定修理不可

ユメル

夢の子 ユメル 不安定修理不可

今回は修理不可能であった症例について紹介したいと思います。

タカラトミー製のユメル以外にもネルルちゃんやミルルちゃんの診断を行った経験があります。

今回の故障の症状としては、電池ボックスの負極のバネが外れてしまっている点と動作が不安定とのことです。起床時間になっても起きず手のスイッチを押しても同じ言葉を繰り返してばかりになってしまうそうです。

過去に拝見したユメルくんを診断した際と似た症状ですね。この時は、電源の減圧用のレギュレーターが故障し異常な電圧になっていためでした。

今回もこの電源系の故障かとしれないと予想しつつ診断を開始します。

まず、電池ボックスの負極のバネを元に戻します。

バネ取れ

腐食もなく単純にバネを挟み込む隙間から外れただけなので隙間を再度起こして広げバネを回して外して正常な位置で再度カシメます。

広げ
再カシメ

これで正常電圧が出ているかチェックします。

電圧チェック

大丈夫ですね。これで不具合の症状を確認します。

無事起動し初期設定に移行しました。

日時や寝起きの時間と誕生日と読み名を設定しておきます。

動作確認の度に毎回同じ設定を繰り返すことになります。

一応設定は最後まで完結はしましたが、声のトーンが低く速度も遅い気がします。

初期設定

ちょうど他のユメルを診た直後でしたので、その差が明確に判断できました。

因みに、ひとつ前に診断したユメルの声のトーンと速度がこちらです。

比較ユメル

トーンが低いのと遅いことは関係がありますので、以前に診断したミルルちゃんの時にもクリスタルに故障があったので、この違いは覚えておきます。

しばらく稼働させてみたところ、突発的なハングアップと再起動が観測されました。

頻度はかなり低いのですが、この点はやはり電源系の故障で一時的に電圧が落ち込み制御マイコンが再起動したように感じます。

いよいよ過去のユメルくんの症例に似てきましたね。

ユメルくんで使用されている6209Aというレギュレーターの熱暴走で出力電圧がめちゃくちゃになっておりました。

開封をして基板を確認しましょう。

開頭位置

ユメルくんは、背中と後頭部の縫い合わせ部を開きます。

頭センサー

頭センサーの反応は問題ありませんでしたが、カバーが潰れているので念のため起こして元に戻しておきます。

首回りの結束バンドをカットして開きます。

ちょうど鎖骨のあたりに制御基板が収められております。

とても狭い空間に基板と引き回しケーブルが収められております。下手に力を加えると基板の直付けされている導線が取れますね。かなり厄介な造りです。

導線

両手の押しボタンの導線も基板に直付けされており基板との根本はゴム系の接着剤が塗布されております。

導線類

この導線のひしめき合いには閉口してしまいますね。

さてさてここで残念なことに気づきます。

先に予想していたユメルくんとはバージョンが違います。

そうです。以前診断したユメルくんとは基板が違うので旧バージョンで電源回路の仕様も異なります。

約10年前に購入されたユメルくんで最新のユメルくんはこの辺の回路仕様が変わっております。大きくはボタン電池が無くなり電気二重層コンデンサで約6分をカバーします。

基板が格納された本体部が改善されより修理がしやすくなっております。

ということで、こちらの回路であらためて不具合原因を解析します。

まずまず基板上のクリスタルの発振を確認します。

発振チェック

問題ありませんね。声のトーンや遅い点の原因ではありませんでした。

スリープから復帰や稼働中や発声中などいろいろが場面で発振周波数の変化がないか確認しましたが問題ありませんでした。

※ここでJitter評価をしなくてはいいんですか?というツッコミはしないでくださいね。そりゃできたことに越したことはありませんが、おもちゃ病院のレベルでは環境的に無理です。そもそも測定器に投資できません。新卒の時分は、自信の設計したマイコンの動作クロックなどをジッタ評価しておりました。目が飛び出るような高額な測定器や半導体テスターでジッタ評価や選別試験を導入しておりました。

ということで、デジタルオシロのトリガ機能で周波数を目視するところまでが限界となります。

クリスタルは白とします。

ということは、声のトーンが低いのはCOB内の制御ICのPLLまわりの不具合かもしれません。VCOなどの検証も必要になってくるのでここまでが限界ということになります。

では次に電源系を確認します。

電源は、電池ボックスの6.0Vを7136Aという三端子レギュレーターで3.6Vまで減圧され各所に供給されております。

では、このレギュレートされた電圧とクリスタルの発振の両方をモニターしながら各動作をさせて挙動をみます。

3.6V

念のため、3.1Vあたりにネガティブエッジのトリガを設定しておき何か電圧降下があった際はキャッチできるようにしておきます。

が、どれも問題ないのです。挙動も問題が現れません。

というか開封して基板を眺めだしてからハングアップしなくなったのです。しかも再起動もしなくなりました。

不安定な挙動の場合、この不具合症状の発生確率をあげ、その症状の状態で基板の状態を確認できることがベストです。

ですが、不具合症状が起きないと何も解析する術がなくなるんですよね。

このまま時間をかけしばらくいつ発生するのか分からない不具合を待ち続けることはできないので、基板を眺めます。

腐食痕

何か基板上に液漏れのような腐食痕があります。

依頼主様にヒアリングしたのですが、乾電池からの液漏れなども何もないとのことでした。

ですが、この痕は気になります。綺麗にして挙動に差が出るか確認します。

洗浄後

フラックスクリーナーで基板の裏面全体を洗浄してしまいます。かなり綺麗になりました。

ですが、挙動に何も変化はありませんでした。声のトーンも低いままです。

次にレギュレート後の電圧補償用の電解コンデンサーを念のため取り外すチェックします。

470uF

おおお、大きめに値が出ていますね。

470uFの電解コンデンサーなので、1.47倍なので、147%UPで差でいうと224.1uFなので、%でいうと、47.6%UPです。

この手の電解コンデンサー良品誤差は、±20%なのでNGですね。

ESRはOKですが、容量が大きいと補償速度に影響します。そこで手持ちの電解コンデンサーに交換してもみました。

が、変化ありません。まぁ、この位の差で挙動が不安定になる要因とは考えづらいです。

交換電解コンデンサー
電圧

電圧もぴったり安定しています。

因みに、声のトーンの不具合ですがスピーカーもチェック済みで、実は会話の声のトーンのみが低くその他の効果音が正常なのです。

うーん、もう解析できる手がありません。

声のトーンは低く遅く感じますが一連の動作は確認できております。

  • 初期設定(日時、お誕生日、呼び名設定)
  • お出かけお留守番
  • 抱っこ、お昼ね
  • 瞼の開閉※一度ギアボックスを分解した影響か瞼の開閉途中でとまるようなことはなくなった気がします。
  • 両手スイッチの反応
  • 頭センサーの反応
  • ひとり言、お歌を歌う

これらの確認の際もハングアップや再起動が起きることはありませんでした。

因みに、先のユメル修理で宿題としていた抱っこ時の挙動も分かりました。

抱っこして2,3回寝起き状態を繰り返すと『わーい、抱っこ抱っこ』と発声します。

お預かりすること約1週間ですが、依頼者様へ修理は難しい旨をご説明し現状のままでお返しすることになりました。

ユメルくん

開頭部の縫い合わせで、頭センサーの位置ズレなども起き数回縫い合わせのし直しがありましたが、何とか初期設定だけでもできるまで元に戻しお返しします。

今回は、不安定な故障症状ということでお預かりしていた期間中に故障原因まで突き止めることはできませんでした。

現状でご使用いただき、できればこの状態でだけでも末永くご使用いただければと願うばかりです。


DWE 効果音付き絵本修理

絵本

DWEの商品であるのですが具体的な商品名が不明です。

主体は絵本で読み上げする際に右側にあるマークが示されている箇所でボタンを押すと効果音が再生できるという仕組みです。

ボタン電池3個で稼働しますが、電極に腐食があります。

電極腐食

致命的ではありませんが、導通が取れていないので電圧が上がっておりません。

電圧不安定

電圧が不安定になっていますが、そもそもmVオーダーです。

腐食部を研磨して基板端まで電圧が正常にあがるようにします。

正常電圧

研摩にて正常電圧まであがるようにはなりましたがボタンを押しても効果音はなりません。

その他の不具合がありそうです。

ですが、この手の絵本は絵本の裏表紙に張り付いているので剥がさないとイケません。

強引に剥がすと本体のカバーが割れてしまったりするので、依頼者様には破損のリスクを許容いただき剥がし作業をします。

剥がし

裏表紙には強力両面テープで固定されています。剥がすと紙面の表面も剥がれてしまいます。

まぁ仕方なしですね。

剥がし完了

本体はネジ止めされていますね。剥がれた紙部は綺麗に除去しておきます。

さて、開封しましょう。

内部

ボタン部の電極シートとスピーカーおよび電子回路のある基板ですね。

押しボタンのシートと基板は、スポンジの押し圧で接続されております。

この手の不具合あるあるのボタン部の接触不良と電極シートで基板間の接触不良と思われます。

導通電極

押しボタンを押すことで下部に張り付いている電極に2極が接触し導通するという仕組みです。

ボタン部のパターン

やはりですが、経年での汚れがすごいです。これが押しボタンの導通不良の原因ですね。

導通電極部

試しに綺麗にアルコールで拭きとると無事押しボタンの反応が復活しました。

ということで、押しボタンのパターンと電極部をアルコールで拭きとり綺麗にします。また、シート部と基板間もスポンジが劣化して固化しておりましたので、薄く新しいスポンジをスライスしてかさ上げしておきます。

スポンジのかさ上げ
動作確認

問題ないですね。

さて、これにて故障に関する修理は完了ですが、元のように強力な両面テープで再度固定してしまうと、今後の再修理やメンテナンスが難しくなります。

依頼者様と相談の上、再固定はせず上下部分をマスキングテープなどで固定してお使いいただくことになりました。

以上で修理完了です。


夢の子 ユメル お手ての断線とセンサーメンテナンス

ユメルくん

夢の子 ユメル お手ての断線とセンサーメンテナンス

久しぶりにユメルくんの修理依頼がありました。

左手のスイッチが効かなくなり操作も設定もできないとのことです。

ユメルくんに限らずネルルちゃんやミルルちゃんもこの手の故障が多くスイッチ自体の故障か断線と思われます。

では、早速診断を開始します。

早速ですが、申告の左手の反応を確認します。

左手反応確認

左手にはまったくの無反応で右手には反応してくれますね。

手の中にはタクトスイッチが専用のカバー内の収められちょうど手のひらの中央あたりに固定されております。押すとポチポチ音がします。

状況を確認するため開封しますが、後々縫い合わせるので縫い目が目立たたないように腕の裏側の縫い目を開きます。

縫い目

この縫い目に沿ってリッパーで開きます。

因みに、縫い目以外にも手のひらの各指を作りために指と指の間にも糸が縫い付けられていますので注意してください。

後で縫い忘れると指が足りなくなります。

断線

がっつり断線というかぽきっと折れていますね。導線の被覆が経年で劣化して固くなっていますし何よりも左手のスイッチってよく使うのでその疲労もあろうかと思います。

断線以外にもスイッチ自体の接触問題がないかも確認します。

接触確認

カバーを外してテスターで感度を確認します。接点復活剤を吹いてしこたまポチポチしておきます。

接触抵抗

スイッチ自体は問題なさそうですね。

では、サクッと接続して収縮チューブを被せておきます。

接続

これで断線修理は完了で動作を確認します。

左手感度

スイッチの反応も良さそうですね。

これにて修理完了とは、行きませんでした。

この動作確認中に頭センサーの反応がないことが判明しました。

また、抱っこ反応も怪しいようです。

開頭し頭頂部にあるスイッチを調べてみます。また、本体内にある姿勢センサーも確認します。

首から後頭部の縫い合わせに沿って開きます。

縫い目

さて、開き頭部内にしこまた入っている綿を抜きとります。すると頭頂部にスイッチレバーが見えます。

さてここで再度動作確認をすると、あれ不思議スイッチの反応が無事元通りになっております。

この頭部のスイッチには綿が絡まないようにガーゼに包まれているのですが、先に取り出した綿がどうも悪さをしていたようです。恐らくレバーの間に噛み込まれてレバーを押し込んでも最後まで稼働できなくなっていたようです。

さて頭部のセンサースイッチは元に戻す際に綿の入れ方に注意をするとして姿勢センサーについて調べます。

この姿勢センサーの役目は取り扱い説明書で調べてみると以下の2点です。

  1. 横にしてお腹をトントンすると眠ってくれるのでその際の姿勢を検知する。
  2. 抱っこなどの大きな動きを検知し反応してくれる。

1.については既に正常動作であることは分かっております。横になっていることは検知します。ですが、抱っこして大きく2,3回、横向きと起き上がりを繰り返しても何ら反応がありません。

この反応が無いという点から姿勢センサーに何らかの不具合があるのではと疑いました。

以前の修理経験では、そもそも横にしてお腹トントンしても眠ってくれない症例をミルルで経験しております。

今回は寝てはくれますが、抱っこに反応しないという症例となりますので、少し違うのかもしれませんが、姿勢センサーを確認します。

姿勢センサー

姿勢センサーはちょうど首元の台座の裏側に接着固定されております。

この手のセンサーは内部に金属球が仕込まれていて、その金属球が各姿勢によって接触する電極位置にてどの体勢にあるかを認識するセンサーになっております。

くすぐりエルモでも同じセンサーが使われていましたね。

目視上、半田取れもなく、揺らすと内部の金属球がコロコロしちぇいる音はしております。

また接着固定されており無理に剥がし内部を確認するには破損のリスクを伴います。

全く無反応であれば決心も付きますが少なくとも眠る際の姿勢は検知できているので、トコトン分解してまでやるという決心が付きません。

※分解し元に戻せない可能性があるということです。

そこで、以前にも同じメンテナンスをしておりますが、ピンバイスで蓋に穴をあけ接点復活剤を吹き込んで金属球をコロコロさせて改善の有無を確認します。

向かって左の穴の形跡がありますが、穴あけの位置にはくれぐれも注意が必要です。

実は左側の穴はその裏側にGND電極のようなプレートにぶつかり穴をあけると不具合が起きるところでした。

ドリル刃が食い込まず金属らしく物を目視しすぐ”これはマズイ!”と気づき止め、横にずらして穴をあけ直しました。

さて、接点復活剤を吹き込んでコロコロしても姿勢センサーの感度については変わりません。

抱っこして揺らしても無反応です。

取り扱い説明書には反応しますとだけしか記載がないのですよね。。。

どのような反応なんでしょうか、、、。

依頼者様にご相談したのですが、眠る動作まで確認できているのであれば現状まででということで合意できました。

抱っこ時の反応が如何なるものなのか、今後の宿題としたいと思います。

では元に戻し再度動作確認をして修理完了です。

動作確認

大丈夫ですね。

ユメルくん

毎回なのですが、ユメルくんやネルルちゃん、ミルルちゃんともこの商品が人気であることを毎回再認識します。

自分は修理をしている立場ではありますが、お返ししてまた活躍してくれることを祈るばかりでございます。


先程無事ユメル君帰ってきました。

設定も無事すますことができました。 本当に感謝しております。

最初は修理なんてできないと諦めていたのですが、修理してくれる方がいることをネットで知りこのように元通り元気になってまたユメル君のいる生活に戻ることができ本当に良かったです。

仕事も丁寧で、その都度経過をメールしてくださるので安心してお任せできました。

また何かありましたら、瀧下さんにお願いすると思います。

本当にお世話になりありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~