楠原工業 電動オルゴールとヨネザワ おはなしでんわ修理

電動オルゴールとおはなしでんわ修理

電動オルゴールとおはなしでんわ修理

楠原工業の電動オルゴール、いわゆる飾りを吊り下げてグルグル回るメリーとおおお!ダイヤル式電話の修理の依頼がありました。

まずは、メリー本体の修理から取り掛かります。

楠原工業 電動オルゴール

電動オルゴール
電池カバー

本体下部に飾りを掛けるS字フックがあり、下に引っ張るとスイッチがカチッと入り回転し始めます。止める場合は、再度下に引っ張りOFFにします。

以前、山洋音響精機製のメリーの修理経験はあるのですが、楠原工業製のメリーは初となります。

モーターが壊れているとのことでしたが、故障の原因は他にありました。

負極腐食

正極側は無事なので、負極側に腐食が広がっておりました。

電池ボックスの負極に酷い錆があがっています。

この負極は、ニッケルメッキ処理がされているのですが、何故か錆があがっているので、例の負極側に腐食があがりやすい要因のようですね。

腐食については、こちらのスタッフブログに記事を上げております。

腐食部は、ルーターで研磨して除去します。その他の箇所にも問題はないか確認します。

ギア軸がない!
取れてる

届いた際に何やら本体内部から、カラカラと音がしていたのは、この軸が外れていたせいですね。これではメリーは回転しません。

幸いにギアや軸の欠けや折れはありませんので、そのままはめ込むことで元に戻せそうですが、、、。

で、で、で、ですが何で!?このギア軸が取れてしまうのか考察しなければなりません。

でないと、また外れてしまいます。

メリーをONにするには、S字フックを下に引っ張るのですが、この引っ張る際に滑りが悪くなり軸が収まっている軸受けが多少浮いて外れてしまったようです。

外れた軸をはめ込んでみると、軸受けが少しずれており外れやすくなっておりました。

長年スイッチのON/OFFを繰り返すことで軸受け部が曲がってしまってのでしょう。軸受けの曲りを戻してはめ込んでおきます。

では、作業に入ります。

腐食の錆は、ルーターで研摩して綺麗にしておきます。

研摩

次に外れギア軸をはめ込みますが、ついでに他の箇所もまとめてオーバホールします。

モーターのブラシにも長年の稼働でグリスが焦げているだろうから洗浄してグリスを交換します。※本機は、カーボンブラシでないので、グリスを塗布しますが、カーボンブラシの場合はグリスは塗布しません。

搭載のモーターはオルゴールの筐体にカシメられているので、外す際には十分注意します。

力任せにカシメ部を抉ると折れます。

カシメ部
カシメ部

モーターのお尻の電極の負極側は、ボディGNDになって半田付けされていますので、半田吸引線で半田を吸っておきます。

さて、無事にモーターを外せたところでモーターのブラシを洗浄します。

やはり黒くなっていますね。

ブラシ

グリスが黒くなっていますね。ブラシ部は摩耗で削れてもおらずこのまま洗浄してよさそうですね。

コミテータ

コミテータも黒くなっていますね。

パーツクリーナーでグリスを洗浄して黒くなったコミテータは、サンドペーパーで軽く磨いておきます。

グリスは、タミヤ製のグリスを使います。

その他の可動部にもシリコングリスを塗布しておきます。

スイッチ内
本体内部

オルゴールの櫛歯は、ドラムを逆回転させると折れますので、くれぐれも回転方向に気を付けてください。

S字フック内のバネにもシリコンスプレーを吹いて滑りをよくしておきます。

問題なさそうですね。これでメリーの修理は完了です。

次にヨネザワのおはなしでんわに取り掛かります。


ヨネザワ おはなしでんわ①番機

ヨネザワ おはなしでんわ

ダイヤル式の電話って知らない人が多いかもしれませんよね。

固定電話を設置しない自宅も多くなり、設置してあってもプッシュ式だろうから、このダイヤルってなに!?という方も居られるでしょう。

また、電話ってアプリでという人が多いし、そもそも電話自体が無くなるかもしれないと思うと、このおもちゃって何?という時代もそう遠くないような気がします。

さて、修理に話を戻します。

この①番機は、音声再生速度が遅いという症状でした。

再生音声を聞くと何処かで耳にしたような音声です。

往年の玩具で使用されているミニレコードタイプの音源ですね。過去にもいろいろ修理した経験があります。

本体を開封します。

内部

おお、ダイヤルを回してチャリンチャリン鳴るのは、この鐘をダイヤルに繋がっている金属のリングがぶつかるというメカニズムなのですね。可動部にグリーススプレーを吹いておきます。

次にレコード部を拝見します。

レコード部

本体前面の押しボタンを押すと、この中央のボタンが押され、押すたびにレコードに収録されている、いろいろな音声を再生するというメカニズムです。

再生速度調整ボタン

因みに、この手の音源は、再生速度を調整できるように電池ボックスの奥にスライドボタンがあります。内部に抵抗性の導線がありスライドさせて接点の位置を移動することにより、抵抗値を変化させモーターへ供給する電流を制御しております。

このスライドを最速位置にしてもなおも速度が遅い事態なので、駆動部や電気回路に問題がありそうです。

分解

さて、分解時にも少々注意が必要です。

下部のモーターは、レコードのゴムベルトに引っかかっていますが、取り外してしまうと、はめ込むことが、非常に困難になります。

はめ込みコツを知らないと、恐らくもうはめ込むことはできなくなります。

コツは、こちらの記事で紹介しております。

モーター

モーターは、過去に分解した形状のモーターではなく、分解に際し破損のリスクも考え、接点復活スプレーを隙間からブラシ部に吹き付けておきます。また、グリーススプレーも回転軸の両側に吹いておきます。

腐食

黄色い枠部に再生終了を検知する接点があります。

レコードの針が、再生を上部から開始し溝に沿って下部に移動します。

下部に移動し再生終了すると、針のアームが接点をした方向に押し接点が離れて電源が切れるという仕組みです。

押しボタンを押すと、この下部に移動してアームを上にはね上げるので、再度接点が導通し再生を開始します。

で、この接点が導通していないとモーターに電流は流れません。金属部が剥き出しになっており、黒く変色しています。変色部をルーターで研磨します。研磨しすぎると折れてしまうので、注意です。

接点部

以上の作業で再生確認をします。

音源

無事、復活しましてね。では、組み立てます。

組み立て

本体内部のホコリや汚れも清掃しておきます。

押しボタンとスポンジ

押しボタンは、スポンジで押し戻しされます。

折れた軸接着
割れた筐体

本体を固定する軸が折れていたり、本体の側面が割れてもいますので接着をしておきます。

最後に本体全体をアルコール拭きしておきます。

動作確認

快調ですね。では、この勢いで②番機も修理してしまいましょう。


ヨネザワ おはなしでんわ②番機

②番機

②番機は、うんともすんともということだったのですが、原因の一つがすぐ見つかりました。

黒い物体
電池ボックス

電池ボックスのの負極に何やら黒い物体があります。

どう見ても錆て朽ちた電極の残骸のようです。

①番機で正常な電極を知っていたので、すぐわかりました。まずは、この電極の腐食で電源の導通ができなくなっていますね。

では、他の不具合を調べます。

本体内部

本体内部はとても綺麗です。では、レコード再生部を確認します。

腐食バネ
残骸

幸い腐食は、負極のバネのみで、それ以降の回路に侵食しておりませんでした。動作確認のため、外付けで電池を接続し動作を確認しましたが、問題ありませんでした。

恐らく、早々に負極が腐食で朽ちてしまったので、その後は使用されずに保管されていたので、稼働時間も少なく状態も良かったのでしょうね。

では、負極バネの残骸を綺麗に除去し負極を交換してします。

同じバネ鋼の入手は難しいので、手持ちの電池ボックス用の負極を加工して取り付けます。

負極

単三のプラス極とマイナス極を接続する電極が手持ちにあったので、それを負極の溝に収まるように曲げて加工します。

位置合わせ

単二乾電池の収まりも考慮し位置決めして接着します。

接着は、乾電池の出し入れがあるので、弾性のエポキシ接着剤を使います。

接着
固定

電極が筐体から浮いた状態で固着するのは嫌なので、乾電池を挿入して抑えながら固まるのを待ちます。固まりましたら、配線をします。

配線

この半田付け少々難航しました。腐食の被膜が導線の先端に付いたままだったので、念入りに研磨して金属部を剥き出しにしてから半田付けします。

では、音源単体で動作確認をします。

音源動作確認

よさそうですね。では、本体に組み込み組み立て修理完了となります。

動作確認

押しボタンの動作も良好です。おはなしでんわ②番機の修理も完了です。

今回は、いづれも思い出のお品物ということ修理のご依頼でしたが、いづれも無事修理完了できました。


この度は大変お世話になりました。

古いおもちゃばかりでさぞかし大変な作業だったと思われます。

おもちゃ一つ一つの動作確認もさせて頂きました。

綺麗に仕上げて頂きとても嬉しく、新品で購入するよりも倍も三倍も嬉しい気持ちになりました。

生き返ったおもちゃ達もきっと大喜びと感謝の思いで一杯でしょう。

ご丁寧な対応にも有難い気持ちです。

こうして蘇ったおもちゃ達を大切に使わせていただきますね^ – ^

本当に瀧下様には感謝のお気持ち満杯です。

そして代々受け継がれてきた、わたし、娘、孫の世代まで楽しめるおもちゃに対してなお愛しさが感じられより愛着も湧きました。

また今後も機会やご縁があればどうか宜しくお願い致します。

心からありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

マジカルスマートノートタッチパネル交換動作確認

マジカルスマートノート

マジカルスマートノートタッチパネル交換動作確認

起動画面

このお姉ちゃんは、どうも塔の上のラプンツェルというらしい。けど、なんで!?フライパン?

さてさて、当医院でお馴染みになりつつあるセガトイズのマジカルスマートノートです。

いつもは、タッチパネルが割れてしまい、タッチに反応しないという依頼が多いのですが、今回は、タッチ反応はするが、反応が悪いということです。

故障症状1
故障症状2

文字書きをすると突発的にタッチ位置の座標の認識が飛んでしまいます。

依頼者様は、保護シートを貼っていたので、その影響かもと思い剥がしてみましたが、症状は逆に悪化しました。

ケーブルコネクタ

40ピンのケーブルコネクタも緩んでいません。

タッチパネルの電極の半田付け部も目視問題なさそうですが、改善するかどうかを見るため、半田を溶かしなおして盛ってみましたが、改善しません。

半田盛り

軽くできる確認は以上なので、このような場合は、タッチパネル側の故障か本体側の故障かと切り分けないとイケません。

そこで、手持ちのタッチパネル付きの液晶に暫定交換してみます。

筆の墨が飛んでしまうような症状は出ていませんね。

故障の原因は、タッチパネル側にありそうです。

では、両面テープで強固に粘着してある液晶モジュールを慎重に筐体から剥がし、液晶モジュールの上層のタッチパネルを剥がし交換してしまいます。

タッチパネルを剥がし
描画テスト

タッチパネルを剥がすとその作業で液晶の描画に影響が出ていないか確認する必要があります。ここで描画に何か縦や横ライン切れなどないか確認します。

描画に問題ないので、タッチパネルの貼り付け位置を決め貼りつけます。

次にタッチパネルを貼りつけフラットケーブルの端子を半田付けします。

半田付け
組み込み完了

無事タッチパネルの反応も良好になりました。


6歳の娘がクリスマスに祖父に買ってもらって以来、お出かけにも持って行き、遊びの面だけでなくお勉強にも役立つおもちゃで重宝しておりました。

ある日突然タッチしても何の反応もしなくなってしまい、とても悲しんでおりました。

メーカーに問い合わせたところサポートが終了していて修理不可能と言われ半ば諦めていましたが、ネット検索で瀧下様のおもちゃ病院に辿り着きました。

修理受付していただき、発送前に久しぶりに充電して電源を入れてみたところ、なぜかタッチに反応するようになっていました。そのため修理依頼をどうしたらよいか悩んでいたところ瀧下様が柔軟に対応してくださり、一週間ほど様子を見させていただくこととなりました。(結果としては一週間内にタッチへの反応が悪化して修理をお願いすることとなりました。)

他にも沢山のご依頼を受けていらっしゃってお忙しいであろうに、大変ご丁寧な対応と、そのスピード感に驚きました。

素人の私にもわかりやすく状況を逐一メールで説明してくださり、安心して修理をお任せすることができました。

おもちゃが治って娘も大喜びで、届いてからずっと遊んでいます。本当に助かりました。 このたびは誠にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

1.5才からタッチでカンタン!アンパンマン知育パッド タッチパネル割れ 修理断念

1.5才からタッチでカンタン!アンパンマン知育パッド タッチパネル割れ 修理断念

1.5才からタッチでカンタン!アンパンマン知育パッド タッチパネル割れ 修理断念

新型のアンパンマン知育パットの修理依頼がありました。

4.3インチの抵抗型のタッチパネルを実装している液晶モジュールの知育パッドは、修理実績があるのですが、この新型の知育パッドを拝見したことがありませんでした。

4.3インチ液晶の各メーカーから販売されている知育パッドは、以前スタッフブログで互換性を検証した記事をアップしております。

以前から新型は恐らく画面サイズがインチアップされているであろうという点とタッチパネルや液晶の仕様も変更になっているかもしれない推測されたため事前にご依頼者様に画面サイズをお聞きしたところ、採寸の結果5インチの液晶とタッチパネルと判明しました。

この時点で、当医院在庫の4.3インチの液晶モジュールは使用できないことがはっきりしました。

まずは、現物を拝見して各所の仕様を確認します。

割れ状況

お子様が落下をさせてしまったとのことで割れてしまっていますね。

部分的なタッチ反応は残っているのですが、大部分が無反応です。

描画

液晶自体の描画は問題なさそうです。

縦や横ラインの描画抜けなどもないです。

内部

開封すると、見慣れないFFCがあります。

左側のLSIが実装されたFFCが、かなり気になります。

10ピンのFFC

信号は、10ピンですね。

恐らくこちらのケーブルがタッチパネルの信号でしょう。

40ピン

40ピンのFFCの方は、液晶の描画用ですね。

貼り付け

貼り付けも何やら3層構造のようです。

調べてみると、4.3インチの知育パッドに見られるような押し圧で抵抗値の変化にてタッチ位置を検出する感圧式(抵抗膜式)ではなく、指との静電気を検出して位置を検出する静電容量方式(タッチ)でした。

詳しくは、こちらを参照してください。

うーん、困ったこの手の部品は入手性が悪いのですよね。

Aliexpressで静電容量式の5インチタッチパネル付き液晶を探してみると、なんと種類の多いことか、、、。

どれも、タッチパネルのFFCの長さも位置もバラバラで、購入しても取り付けできないリスクがあります。

しかも、過去にAliexpressで4.3インチのタッチパネル付き液晶を購入した際の失敗の経験があります。描画できても視野角や色味が違うリスクがあります。

しかも、安くないです。

リスクを背負ったまま購入して取り付けNGでも部品代をご負担をいただく事態になります。既に当院への往復の送料は負担をいただきますので、いろいろ考えねばなりません。

さて、この商品は、現在も販売をされており、メーカー様での修理窓口もあるそうです。

かなり高額にはなりますが、液晶交換の修理受け付けもされているとのことです。

従いまして、当医院での修理交換失敗のリスクよりも、負担費用が掛かりますが、確実性の高いメーカーへの修理依頼をお勧めし修理断念としました。


なおらなかったのは残念ですが、 色々ご尽力いただきありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ココさかだちして 検知スイッチ接触故障とベルト外れ修理

ココさかだちして

ココさかだちして 検知スイッチ接触故障とベルト外れ修理

地域で外来勤務しているおもちゃ病院の近隣にある他のおもちゃ病院からのヘルプでした。

前々任ドクターから前任ドクターへ故障症状が正確に引継ぎされておらず、どこがどのような故障であるのか不明でした。

動きがオカシイようだから診て欲しいという”丸投げ状態”です。

まず、依頼者から、どのような箇所のどのような動きがどのようにオカシイのか正確にヒアリングしないとイケません。ドクターとしての初歩の初歩です。

引継ぎ時に渡されたカルテにも”一部動く”と”最初からうしろ足が動かなったみたい”とあるだけで、このおもちゃがどのようなおもちゃであるのか、どのように遊ぶのかなどの情報もなく、まったく言っていいほど引継ぎもへったくれもなく、無責任な丸投げを仕方なく引き受けました。

┐( ̄へ ̄)┌」

おもちゃドクターの皆様は、どうかこのような事態にはならないよう故障症状の正確なヒアリングを心掛けてください。

そのような、修理を引き受けてフラストレーションしかない自分も自分なのですが、、、。

前任ドクターから引継ぎとしては、ぬいぐるみははぎ取れたが、本体の分解ができないそうです。

まず、こんな状態ですが動作をみます。

ネジ

ココさかだりしては、『ココ』と呼ぶと、『ワンワン』と返事をします。

この状態が、次にコマンド待ちのポーリング状態となります。

基本、ポーリング状態にする場合は、『ココ』と呼び、『ワンワン』と返事を待ちます。

ですが、『ココ』と呼ぶと、本体内部でウィーンというモーターが空回りしている音が聞こえます。

また、その後は、コマンド待ちのポーリング状態となるはずですが、どうもハングしているかのようです。

本体内部でギアが外れその影響でハングアップしているのかもしれません。

では、早速分解しますが、本体の分解は、全く問題なくかつ簡単に分解できます。

ぬいぐるみを剥いだ後は、側面のネジを外し、首回りの結束バンドをカットすると、簡単に分解できます。

┐( ̄へ ̄)┌」何か難しかったんだ?

検知スイッチ

まず、すぐ目に付くのが、前後足の回転位置を検知するスイッチが2個付いています。

向かって左側の接点がグニャグニャになって接触したままになっています。

この接触のせいで常に足の角度がある位置に固定しているかのように誤認するのでしょう。

多分、無理に足を動かしたのでしょうね。。。このスイッチの曲り方は。

尻尾のベルト

次に尻尾のゴムベルトも外れていました。

ウィーンと音がしていたのは、このベルトが外れていたせいで、指定位置に動くまで回転し続けたのでしょうね。

しかし、いくら回転しても指定位置まで動かないので、ハングしたのだと思います。

スイッチの曲がった電極を元に戻し、外れたゴムベルトをはめると、正常に起動するようになりました。

で、『ココ』への反応も良好になり、『おいで』や『おやすみ』にも正常に反応しだしました。

ここで、前足の方向に注意です。

前足

前足ですが、前後方向を間違って取り付けてしまうと、姿勢を維持できません。画像のような方向が正常なので、この通りに取りつけます。

以上で、引継修理は無事完了です。

因みに、『おなら』もするのです。

おなら

マジカルスマートノート タッチパネル交換修理

マジカルスマートノート タッチパネル交換修理

マジカルスマートノート タッチパネル交換修理

当医院でお馴染みになりつつと勝手に思い込んでいるセガトイズ製のマジカルスマートノートです。

誤って落としてしまいタッチパネルを割ってしまったそうです。

液晶の描写は正常とのことなので、今回も上層のタッチパネルを交換します。

割れている

パリッと割れていますね。

起動しますが、タッチペンへの反応は皆無です。

当医院では、三つのメニューを用意しており、それぞれの費用は異なります。

  1. 液晶もタッチパネルも丸ごと新品に交換する。
  2. ジャンク品から取り外し割れたタッチパネルのみを交換したリビルド品に丸ごと交換する。
  3. 割れたタッチパネルを剥がしタッチパネルのみを新品に交換する。ただし、分解作業中に破損してしまった場合は、丸ごと交換する。

因みに、隣国からなどで4.3インチのタッチパネル付きの液晶を購入もできますが、色彩、色温度、視野角が違っており購入しても購入できなかったという残念な過去があります。スタッフブログに記事をアップしております。

さて、早速、液晶モジュールを取り外します。

コネクタ

裏面を開封しフラットケーブルをコネクタから外します。

次に表面の液晶周囲の化粧シールを慎重に剥がし液晶モジュールを丸ごと外します。

が、このマジカルスマートノートは強力両面テープでがっつり貼り付いています。

ドライヤーで温めながら、抉って温めを繰り返し剥がします。

液晶モジュール

結構たいへんですが、液晶の表示部に損傷が出ないよう慎重に外します。

ぶっちゃけ、タッチパネルは交換してしまうので、少しぐらいなら割れてもいいです。

で、で、で、タッチパネルを交換します。

このタッチパネルは、液晶のアルミカバーに、これまた両面テープでガッツ石松くっついています。

そこで、秘密兵器を使います。

ホットカッター

半田ごての小手先をホットカッターに交換してこの刃先で両面テープを剥がします。

刃先が、誤って液晶の表示区域に入って傷を付けないようにここも慎重に作業します。

剥がれました

残った糊は、糊剥がしでコツコツ剥がします。

※ほんと地味な作業が続きます。

無事剥がし作業が完了してところで、タッチパネルのフラットケーブルの半田付けを剥がします。

さて、糊を綺麗に除去できたところで液晶の描写テストをします。

ここで、タッチパネルを貼りつけてしまい、後々液晶に何か問題が出ていたとしても、後戻りできません。

??ランプ

大丈夫そうですね。って、なんでランプ?ジーニ?

タッチパネルを貼りつけてタッチパネルのフラットケーブルを半田付けします。

描写エリアとフラットケーブルとの面一を微調整しながら貼りつけます。

で筐体に固定するための両面テープも貼り直します。

半田ブリッジ

タッチパネルのフラットケーブルは、4本の信号が接続されており、X軸のLRとY軸のUDとなります。

カプトンテープ

では、カバーをして動作確認をします。

ジーニ

なるほど、魔法のランプだったんですな。

とタッチ動作も問題なしですね。

これにて修理完了です。


スノーイング ファイバー ツリー(雪ふるクリスマスツリー)メロディIC基板換装修理

スノーイング ファイバー ツリー

スノーイング ファイバー ツリー(雪ふるクリスマスツリー)修理

修理完了動画

修理が終わるまでの過程を改めて読み直すと、本当に作り直しに等しい大修理だったと思います。

改めてスノードームを眺めると、雪を舞い上げ、そりが動き、木の枝とツリーの先も光っていて、音楽もでているという複雑なものだったと思います。

一つ一つ、丹念にチェックして、修理いただいた事に本当に感謝いたします。

最初にメールでご相談させて頂いた時は、正直に言うと、「修理不可能」ではないかと半分諦めていましたが、思い切ってメールして本当に良かったと思います。

これから先何年もクリスマスの時期にこれを飾り、多くの子供に診てもらおうと思います。 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

診療医院(人向け^^;)の受け付けで毎年恒例に飾られておられたクリスマスツリーが動かなくなってしまったということで修理の相談がありました。

クリスマス直前だったのですが、仕掛りのおもちゃ修理でいつもごった返しているということもあり、直ぐ受け付けできないので、クリスマスには間に合わない旨、ご了承いただき受け付けまで待ったいただきました。

初回のお問い合わせから年を越して約2か月後のバレンタインデー後にやっとこさ受け付けできるようになりました。

このクリスマスツリーは、似た商品が多くあり『雪ふるクリスマスツリー』で検索すると似た商品にヒットできるかと思います。

以前ボランティアで勤務していた、神奈川県横浜市のおもちゃ病院で四角い外形の同じ仕様のクリスマスツリーを見たことがあります。

商品の機能としては、以下の点です。

  • ACアダプター電源。
  • ドーム内部に雪に模した細かい球体の粒々のスチロール製の雪があります。
  • スチロール製の雪が底面からツリー先まで中央の筒の中をファンによって吹き上げられます。
  • 降った雪は、ツリー周囲をサンタのソリとトナカイが回転し吸い込み口に落とす。
  • ツリー先の星にLEDが仕込まれていて点灯。
  • ツリーの枝先には、光ファイバーが仕込まれていて点滅。
  • 動作中は、電子音のクリスマスキャロルが鳴る。
  • サウンドをOFFにでき、音量もボリュームのツマミで調整可。
回転するサンタ
トナカイ
雪吹き出し口

クリスマス向けのスヌーピーのジオラマを修理した際は、電子音を鳴らすIC子基板が故障していることがほとんどで代替えでメロディを鳴らす必要がありました。

今回のクリスマスツリーでもメロディIC子基板が故障していた場合は、どうようにかして代替え策を考えねばなりません。曲目や音色などいろいろ好みもあるかと思いますので、あらかじめ依頼者様には、代替え時に曲目、音色が違ってもよいヒアリングをしておきました。

曲目

おおお!

電子音のクリスマスキャロルの曲名が箱の側面にありました。全12曲を鳴らしていたのですね。

さて、現物の動作確認をします。ACアダプターを接続し電源スイッチをONにしますが、うんともすんともですね。

モーター音すらなっていませんでした。

では、内部を確認します。

底面

底面は、ネジ止めではなく三ヵ所のツメで留められているので、ツメを押し込んで底面を開封できます。古い商品なのでツメを折らないように!

開封

制御基板とスピーカー、ハロゲンランプがあります。

側面には電源スイッチと音量調整用のボリュームとACアダプターのコネクタがあります。

上面には、雪を拭き上げるファン用の大型モーターとサンタ/トナカイ回転用のモーターがあります。ツリー先のLED用の導線も2本出ています。

ハロゲンランプ

枝先を光らす光ファイバーを照らすハロゲンランプが切れていますね。

MR11 6V5Wなのですが、国内では同じ規格を見つけることできませんでした。

ということで、いつもところに発注して届くのを待ちます。

次々と確認しましょう。

制御基板で搭載の各機能の電源制御をします。

電源は、ACアダプター9Vを3.5V系統にレギュレートしています。

レギュレーターは、TI製(旧ナショセミ)のLM317でした。

外付けの抵抗の比でレギュレート電圧が決定されます。最大1.5Aまで供給できます。

電源管理のをまとめると以下のような内訳です。

9V:雪吹き上げファン、ハロゲンランプ

3.5V:サンタとトナカイの回転、電子音のクリスマスキャロル演奏、ツリー先のLED

供給電源と制限電圧は正常に供給されています。そこで、それぞれの機能を確認します。

診断の結果、重症度の高い順になります。

その1.モーターによるサンタのそり回転

140型モーター

サンタとトナカイを回転させるモーターは、ギアボックスに装着されています。モーターの筐体は、マブチの140型と同型ですが、コイルの巻き数や磁石も強力でカーボンブラシにもなっているので強力型ですね。

ピニオンギア
ピニオンギア割れ

このモーターを外して確認しましたが、ピニオンギアが割れておりました。また、モーターのグリスが固着しておりモーター軸が回転できなくなっておりました。

汎用の入手可能なピニオンギアではないです。

どうしょうか、、、。交換できんぞ。。。

ひび割れなので、エポキシ接着剤で固着しギアボックスで暫く稼働させ、不具合発生がないか確認することにします。

このモーター内のグリスが固着していたため、過電流が起きていたと思われます。

ギアボックス
コミテータ研摩

カーボンブラシなので割れないように慎重に扱い、コミテータの黒ずみは軽く研摩して綺麗にします。

ギアボックス内部

グリスも劣化していますので、お掃除して新しいシリコングリスを塗布しておきます。

では粛々と作業をします。

ギアボックス洗浄

ギアボックス内をアルコールで綺麗に洗浄してこちらも新しいシリコングリスを塗布しておきます。

位置合わせ

ピニオンギアは噛み合わせの位置を合わせておき接着します。

エポキシ接着剤

2液混合タイプの接着剤で軸とピニオンギアは、脱脂処理をしてピニオンギアの谷間に入り込まないように接着します。

接着剤が固まるように十分時間を置きギアボックスを組み立て稼働テストをします。

ギアボックス組み立て
ギアンボックス動作確認

よさそうですね。割れた境目でかくかくするかなと思いましたが、回転もスムーズでした。

ピニオンギア割れで重症度が一番高かったですが、今々はこれで凌ぐしかありませんので、この状態が引き続き長持ちしてくれることを祈りましょう。

その2.ツリー先の星型LEDとクリスマスキャロル

クリスマスキャロルの演奏とツリー先のLEDは、同じメロディIC子基板で制御されておりました。

制御基板に子基板が付いた状態では、うんともすんともなので子基板単体で動作するかどうかを確認します。

メロディIC子基板

単体で動作をさせるために電源Vccとメロディの音声出力、GNDを引き出します。

追加している抵抗は、音調を可変できるようで制御基板に6.8kΩが付いていたので、同じ6.8kΩを付けています。

子基板を単体で動作させると、極稀ですがメロディを奏でる場面がありました。

ですが、Vccにちょっと触れたタイミングや先の6.8kΩの抵抗に触れたタイミングなど、再現性のない何かしらのトリガで演奏しますが、かなり不安定です。

再現性が全くなく適当に端子に触れていると、突如一瞬メロディが鳴ったりします。

メロディ子基板

運良く撮影できました。

一瞬メロディ

運よく動画を撮影できたのですが、この後に症状が悪化し、どの端子をどのように触れてもメロディは鳴らなくなってしまいました。

何とか元々のメロディIC子基板を鳴らすことができればと思ったのですが、クリスマスキャロルは、後述の代替え策で実装することにしました。

次にツリー先星のLEDを診断します。

メロディIC子基板の2番ピン(BUSY)で制御されていました。

演奏中、この端子がLowに落ち、メイン基板側のS8550のベースを引き込みLEDを駆動点灯しておりました。よくあるLEDの点灯回路です。

『雪ふるクリスマスツリー』の動画をYouTubeで確認すると、演奏されるメロディの曲調にあわせて点滅したりします。

本ツリーが元々どのような使用だったのか不明でしたので、依頼者様にもヒアリングしたのですが、故障している時期が長くご記憶にないとのことでした。

さて、どうしようかと悩みます。

演奏中、点灯したままで曲間のみ消灯させるのであれば、代替え基板のBUSY信号を使って制御すればよいです。

ですが、曲間のみ消灯ってのも味気ないです。というか、枝先の光ファイバーが点滅するので、そもそもツリー先のLEDが点滅する機能って必要?

という議論もありますね。

うーん、と悩んでいましたが、一応曲調に合わせて点滅できる策を考えてみました。

マイクからの音圧でLEDを点滅する回路があります。

マイクからの音圧変化で電圧を検知しトランジスタでLEDを駆動するやつです。

ブレイクアウト基板が市販もされております。

このブレイクアウト基板を使ってスピーカーからのメロディを拾い点滅させてみます。

曲調点滅

いい感じですね。曲調に合わせていい感じに点滅してくれます。

ですが、このような静かな状態では大丈夫なのですが、このツリーって雪を噴き上げるファンが、『ぶおーん』って鳴り続け、サンタもトナカイもギアボックスで回っています。

そうなのです、マイクで周囲の音を拾って点滅させるということは、メロディ以外の周囲の環境音でも点滅してしまいます。

またですが、個人的には、この手のツリーは点灯したままの方が趣き良いと思います。

今回は、元々付いていたメロディIC子基板のBUSYをGNDに短絡して常時点灯させます。

※もちろんですが、メロディ子基板のBUSY信号は、基板上で電流制限抵抗に付いているので、LEDの規定電圧と電流をちゃんと考慮しないとイケません。

さてまとめると、クリスマスツリー先のLEDは、動作中常時ONとし、クリスマスキャロルの演奏は、別途演奏策を実装します。

その3.ツリー枝先の光ファイバー

既に説明していますが、ハロゲンランプが切れているので交換します。

ハロゲンランプ

ただ、この手のランプは、国内の通販などでは入手できないので、隣国から購入します。

今後の使用を考えると、高輝度LEDでの換装策も検討しないとイケなさそうなのですが、LEDで換装すると、LEDの照射角が狭いため以前修理した他の案件では、単純な置き換えは難しいかもしれません。数種類のLEDランプを購入してテストを重ねるというのもあろうかとは思いますが、なにせ費用がかさんでしまいます。

この光ファイバーは、その1.のサンタとトナカイの回転と連動して色フィルターも回転し枝先の光ファイバーの色も変化を楽しめます。

その4.モーターファンによる雪吹上

ファン

大型の空気吸い込み吐き出すファンが付いています。

モーターも恐らく市販品ではなさそうですね。ファンのフィンも見えます。

外部から給電してみてもうんともすんともだったのですが、徐々に電圧をあげていき、フィンを外部から突っついてみると回転しだしましたが、不安定です。

何か、ブラシに異物か劣化グリスで回転したりしなかったりです。

画像からも分かる通り、筐体は突起が熱で溶かされケースに固定されています

このファンは、分解せずにモーターを外せない構造でした。うーん、悩みます。メンテナンスのために溶かしている溶けた支柱部分を削り分解する程の優先度はあるだろうか。。。

支柱を削り分解して元に戻せなかった場合は、、、。

ということで、モーターのお尻の隙間から接点復活剤を吹いてしばらく回して稼働の改善をみます。粘度の高い金属グリスも吹きつけて暫く稼働させると、ほぼ復活しました。

※間違ってもファンのフィンに吹きつけてはなりません。ファンは、そのままスチロール製の雪にも液体がかかってしまうので、思わぬ動作不良を起こします。スチロール製の雪が粘着したり溶けたりするかもしれません。

フィンの擦れか風切り音は、現状のままで仕方なしとしました。

恐らく、この風切り音は、元々大きな音がしていたと思われます。静音化する場合は、フィンの構造的な改善が必要でしょう。

ということでここまで、それぞく機構部の修理はほぼ完了できました。

動作確認

では、最後に懸案のメロディ子基板の換装について検討します。


アンパンマン いっしょにステージミュージックショー シリコンボタン電極接点復活

アンパンマン ピアノ

アンパンマン いっしょにステージミュージックショー シリコンボタン電極接点復活

今回ご紹介する記事は、地域のおもちゃ病院で診察したアンパンマン いっしょにミュージックショーです。

ご依頼者の方もかなり古いおもちゃなので、修理できればお願いしたいという、何とも丁寧なご依頼でしたので、気合を入れて頑張ります。

お子様が使用されていたおもちゃで、お孫様へということでした。

発売が、2006年なので、約17年前のおもちゃですね。

故障の症状は、電池を入れてもうんともすんともとのことです。

おもちゃ病院の会場で、まずは当日返却可否判断のため電源回りを確認しましたが、電池ボックスの酷い腐食でしたので、入院預かりとしました。

電極腐食

内緒ですが、この電池ボックスに新品に交換した単三乾電池が収まっていたのですが、全ての電極のプラスマイナスが逆に入っていました。

電極が錆びて完全に導通できていないので、逆電圧の印加で電子回路が故障するといった再作の事態にはなっておりませんでした。

腐食電極

まずは、電池ボックスの電極は総交換します。

単三用の電極の手持ちがなかったので、部品発注をしている間に他の故障を診断します。

分解し電源を外部から安定化電源で供給します。

あらら、鍵盤は辛うじて反応しますが、両再度のメニューボタンは全滅です。

不思議に感じるほど、全滅なのは原因を考察したいです。

一個や二個反応してもいいはずなのに、全てのボタンで接触不良が起きています。

基板を眺めます。

パターン

埃はありますが、パターンは損傷なく綺麗です。念のためお掃除兼ねてアルコールで拭いておきます。

ボタン電極

ボタン側の電極は摩耗が激しいですね。

この電極の表面には、凹凸のパターンが付いているのですが、凹凸もなくフラットです。

まずは、接触不良の状況を確認します。

接触不良

かなり強く押し込まないと反応しません。

このような状況が基板上の全パターンで生じています。

電極の表面の摩耗状況から、かなり頻繁に押し込む様な機械的な動作が反復して起きたようですが、鍵盤でもないメニューボタンは頻繫には使用しません。

かなり不思議です。

科学的な反応もないので、保管状態とかどのようにしていたか返却時にお聞きしてみたいと思います。

今回の修理は、この接触不良の電極をアルミなどの補修材無しに手軽にかつ完全に修復し記事となります。

スマートフォンのおもちゃ 修理断念

スマートフォンのおもちゃ

スマートフォンのおもちゃ 修理断念

今回は、地域のおもちゃ病院で診察したスマートフォンのおもちゃについて修理を実施すべきでないという案件の紹介になります。

通販サイトでは、海外からおもちゃの輸入販売されているケースも散見されますね。

今回のおもちゃは、リチウムイオンポリマー充電の充電パックが使用された玩具になります。

故障の内容は、充電用のUSBコネクターが取れてしまったという点と電源スイッチが効かなくなってしまったという依頼でした。

まず中身を拝見します。

基板とシート

筐体カバーの中には、基板に押しボタンのパターンがあり、それに対応した押しボタンの前面シートが貼りつけられております。

まず、電源ボタンが効かないという点は、画像下部に電源ボタンがありますが、このボタンを押しっぱなししないとボタン操作ができないということです。

貼ってあるシートを剥がしてもこれといった不具合は見えません。

では、基板の四隅のネジを外します。

基板裏

基板の構成は、前面は押しボタン用のパターンのみで裏側には、音声用のスピーカーと制御IC、基板下部には、リチウムイオンポリマー充電パックがあります。

USB Type-B miniの取れたコネクタの残骸が転がっています。

また、何やらボタン電池のホルダーのようなバネがリポの横にあります。

このバネですが、指で押し込むと電源が入り起動します。

ん、ん、ん、?

このバネってもしかして、保管時用の絶縁シート挟むバネじゃね?

そうなんです。

輸入品あるあるですが、保管時に電池を消耗しないように電源を切るために絶縁シート挟んでおくんですよね。

で、開封時に『ご使用時は、このシートを外してお使いください。』って文句が箱に書いてあったりしますよね。

まさしく、それです!

このスマホのおもちゃは、今現在でも通販で売っていて、そのサイトに同じことが書いてあります。

ほら

カバー右の隙間に何やら挟まってしますよね。

英語で、電気的に分離するって、電源保護のためのシートのようなこと記載があります。

でも、オカシイですよね。

ふつーシートを外すと電源がONになるはずだけど、、、

あ”!

バネ

あ”!

バネが浮き上がっており、シートを噛ませなくともバネが接点から離れていますね。

これでは、電源は入りません。

だから、指で押した時に起動したんですね。

このバネは、曲りを元に戻し電源が入るようにします。

でも、前面の電源ボタンを押しぱなしにしないといけないという当初の不具合は、前面の電源ボタンの真裏がこのバネの箇所です。

そうです!

電源ボタンを押し込むと離れていたバネが電極に接触するので、電源が入ったかのように誤認したんですね。

本来は、絶縁シートを抜きとり主電源をONにします。

そうすると、前面の電源ボタンが有効になり、仮想的な電源のON/OFFができるようになるってメカニズムでした。

これで正常に電源が入るようになりました。

次にUSBコネクターを診ます。

USBコネクター

まぁ、この手のコネクターあるあるで、ケーブルの抜き差しで基板に固定されていたコネクターが取れちゃったという感じです。

コネクターのケースGNDのパターンも剥がれ、配線のパターンも剥がれています。

ううん

基板の配線仕様を確認すると、USBの通信機能は使っておらず、VBUSとGNDのみ配線されております。

なので、コネクターを接着剤で固定して、VBUSとGNDを細線で基板の端子に結線しても修理できすですが、たぶん直ぐ剥がれるでしょうね。

なので、修理をするなら、USB Type-B miniのブレイクアウト基板をケースカバーに外付けしてVBUSとGNDを導線で配線してもよさそうかなと思案していたところで、大・大・大問題を発見しました。

ブレイクアウト基板

大問題です。

粗悪な玩具では、安全性が二の次になっていたりしますよね。

特に輸入玩具にはよくあったりします。

その中でも、怪我や火災などは本当に気を付けなければなりません。

今回のこのスマートフォンのおもちゃもその類でした。

なんということでしょう

いまさら感もありますが、このリポ充電池には保護回路がありません。

過充電や過放電から保護されません。

ここ参考

しかも、基板にパックの端子が直接半田付けされている!?らしいのです。

膨らんではいなさそうですが、、、。何か、いやですね。

また、充電回路を調べると、USBのVBUSがダイオードを介して直接リポに接続されております。先の通販サイトでは、10-20分 USB充電器で充電しろとあります。

これって、USBコネクターのリポ充電器と表記されていなので、フツーそこらへんにある、USBケーブルでUSB充電アダプターに接続しますよね。

なんと!正気の沙汰でしょうか!

リポの保護回路も付けないし、リポ専用の充電器も使用させないという、かなり危険なおもちゃです。

お子様が誤っておとし、リポバッテリー内部損傷し、それに気づかず充電したのだが、うっかり眠ってしまい一晩充電しっぱなししたら、、、どうなるかと考えるとゾッとしますよね。

まぁ、格安の粗悪なおもちゃを調査すると、この手の回路仕様であるおもちゃは他にもあるように感じます。

従いまして、今回のUSBコネクターの修理は、おもちゃ病院としては、安全性に疑問があるので、依頼を断らざるをえないと考えます。

絶縁シート

今回は、主電源用のバネを戻し残っているバッテリーのみで楽しんでいただき、そこまでとしていただきたいと依頼者様に説明したいと思います。

以上、安全性の問題から修理すべきでない事例の紹介でした。


ウルトラマンネクサス エボルトラスター 不具合現象原因解析

エボルトラスター

ウルトラマンネクサス エボルトラスター 不具合現象原因解析


無事に動作確認出来、元通りの状態に戻っており、非常に満足しております。

また、電池の容量不足という、そもそも修理に出すようなものでもないトラブルにも関わらず丁寧に対応いただき大変感謝しております。

非常にご丁寧な対応と連日に渡り動画もお送りいただきこちらも状況がつぶさにわかりましたので、大変わかりやすかったです。

~依頼者様のご感想より~

ウルトラマンネクサスの多分アイテムと思われます、エボルトラスターという商品の修理依頼がありました。

さて、このエボルトラスターとは、ウルトラマンのベータカプセルのような変身用のアイテムなのか、はたまた攻撃用の武器なのかは分かりませんが、たいへん人気のある商品のようです。

因みに、この商品は中国で販売されている中国版の商品のようですが、YouTubeに動作状況をアップされている方も居られます。

さて、今回の不具合の症状とは、効果音と電飾の動作がどうもオカシイとのことです。

症状を動画で見せていただいたのですが、動作中に再起動を繰り返しているかのようです。

不具合動作

指が太くてスイッチをONにできません。( ̄▽ ̄;

LEDの電飾も暗く、効果音も途中で繰り返しているのか、発振しているのかという感じですね。

この手の効果音の不具合は、電源起因の再起動の線が強いです。

早速電池の容量をチェックしましょう。

ハンディテスターで容量を確認します。

電池容量

やはり!一個のボタン電池の容量が半分になっており、これがどうも原因で効果音とLEDの電飾が一斉に稼働した際に、起動電流が大量にながれ電圧降下が起こりシステムICが再起動してしまったのでしょうね。

ということで、別のボタン電池で動作確認をしてみます。

新電池稼働確認

おおお!

全然違うではありませんか!

電池ですね、原因だ。

ということで、今回はボタン電池の電圧低下が原因でした!めでたしめでたし、、、。

と、問屋はそうは簡単に卸しません!

だって、依頼者様は、新品のボタン電池を入れて発送したってことなのです。

また、追加情報として、依頼者様のところで不具合を観測した際は、別のボタン電池だったそうです。依頼に際し新品のボタン電池を用意してくださったそうです。

これって、黙って見過ごせん。

はっきり原因を解析しないと、実は他の原因だったのかもしれないのです。

おもちゃ病院あるあるで、依頼者様のお手元にお返しした時に何故か再発してしまう事態になります。

ここで疑問を整理します。

新品のボタン電池なのに、輸送中に何で1個のボタン電池が、約半分にまで電圧が減ってしまったのか?

実は、送付いただいた際の梱包の状態を確認します。

電池の梱包状態

ジッパーの付いたビニール袋に裸でボタン電池が入れられています。画像の状態であれば、プラス極同士が接してはいますが、これといった不具合は起きないです。

ですが、この状態は、画像撮影のために揃えただけであって、実は届いた際は、ボタン電池の極性は絶縁処理されておらず、例えば、隣のボタン電池のプラス極とマイナス極が、ボタン電池の極に接しショートが発生していたらどうでしょうか?

前述のボタン電池画像の2番目のボタン電池のプラス極が、3番目のボタン電池のプラス極とマイナス極をショートさせ過電流を流し続けていたら、どうでしょう?

3番目のボタン電池の容量が熱に変わり電流が流れ続け次第に電圧も低下します。

これが、恐らく今回の症状の原因だったかと推測されます。

では、依頼者様のところで起きた不具合の原因は何だったのかというと、これも恐らく依頼者様のお手元にあるボタン電池も電圧が低くなっていると予想されます。

こればかりは、調べようがありませんが、電池チェッカーをお譲りすることで今後は、電池の容量を自身で確認できるようになりました。

1次報告として、依頼者様へ以上を報告し、さて返送の準備をしようかとしておりました。

依頼者様が、電池チェッカーをご希望とのことで、電圧の測り方を撮影しようかと測ったところで事件は起きました。

びっくりです。

ボタン電池計測

電池チェッカーでボタン電池の容量を測ると、なんと!

低下していた電圧が、復帰しているのです。

先の計測から約6時間間が開いています。

ボタン電池容量際計測

なんと!完全に新品ではありませんが、約半分にまで落ち込んでいた容量が、かなり復活しています。

緑領域

これも考察をせねばなりません。

当初の動作確認は、届いて直ぐの稼働確認だったのですが、実はプラスマイナスのショートが継続して起こっており、その直後位に動作確認をしたのではないかと推測しています。

また、実は北日本は、寒波が引き続き到来しており、当日も-5℃の中を荷物が保管されていたのも手伝って起電力もかなり落ちていたと思われます。

もうここまでボタン電池の電圧が復活してしまうと、もう正常に稼働し先の再起動を繰り返すような症状は発生しないと思われます。

電池復活稼働テスト

ほら、もう不具合は起きないです。

だって、電圧が正常なんだもん。

もう仕方ないので、この状態で原因はボタン電池の容量低下として返送してしまうのは、絶対だめです。

安易に片づけてなりません。

ボタン電池での再現ができないのであれば、安定化電源で再現実験をして確証をとります。

電流は、300mAまでリミットを掛けておいて、電圧を4.5Vから徐々に低下させてみます。

300mAのリミットなので、電流容量は十分ですが、2.0Vを切ったあたりから起動できなくなり再起動を繰り返しはじめました。

起動音が、前述の電圧が落ちた際に似たような再起動を繰り返す音になっております。

電池の容量低下で、起動不良=再起動を繰り返す現象は、ほぼ間違いないですね!

ここまでやってやっと安心して返送できそうです。

ボタン電池を梱包する際は、絶縁処理をしましょうという点と、おもちゃに挿入する電池は、容量低下を計測できるよう電池チェッカーを準備しましょうという2点となります。

ダメ押しで引き続き二日間このボタン電池で同じ同確認を行い問題ありませんでした。


ドナーとなってくれたエルモを助ける その② 完全蘇生完了

くすぐりエルモ

ドナーとなってくれたエルモを助ける② 完全蘇生完了

当医院に修理依頼のあったくすぐりエルモの修理を行いました。こちらの記事の件です。

腰曲げのギアがめくれるような破損が発生し補修の策が見つからずで、ジャンク品を入手し沿該当のギアを移殖するという内容でした。

ですが、ドナーとなってくれたエルモが不憫でならず、どうにか修理できないかと、あーでも、こーでもでいろいろ考えていました。

ドナーとなってくれたエルモを助ける①の記事で破損ギアを180°くるっと回転させ、かつギアの軸加工で補修できることを見つけました。

ですが、破損ギアとは別の問題にぶち当たり、年末年始の休みの期間にその原因も究明できました。\(^^)/~

まず、起動直後に”エビ反る”原因は、姿勢センサーのせいでした。

なぜ!?エビ反るのかを年末年始の休み時間に独りブレストしていたところ、ハタと気づきました。

このエルモですが、直立して起動させることが前提で設計されております。

ですが、倒れた姿勢で起動されることも、場合にはよってはありますよね?

※お子様が、寝かせたままでボタンを押したりするような場合です。

くすぐりエルモは、そのような場合でも直立姿勢に戻してから起動開始します。

お利巧様に設計されております。

その場合、うつ伏せになるように両足を前後にずらして姿勢を移動させます。

この点が頭に残っていました。

エビ反り

うつ伏せ状態になるように左足を後ろにして、その反動で右足を前にずらし姿勢をうつ伏せに移行させます。

腰曲げ用に駆動される足は、左足であり後ろに反らせることで、右足はシーソーの原理で前にでます。

そうなのです。沿っていたのは、左足でその際に右足を取り付けていなかったため、反っているように誤認してしまったのです。

両足と付けた状態で動作確認をしていれば、もっと早く気付くことができたと悔やんでします。

さて、悲しみに暮れていても仕方ないので、このうつ伏せ姿勢に移行させる動作が続いている原因もですが、これは簡単です。

直立姿勢を認知できていないためです。

その①でメンテナンスした金属球の接点にまだ何か不具合が残っているのです。

再度センサーの蓋を開け接点の状態を確認します。

姿勢センサーの金属球

球との接点が均一になるように、接点の曲げ角を調整し接点ルーターで研摩したりと、今度は入念にメンテナンスしておきます。

最後に導通チェッカーでそれぞれの姿勢で感度よく導通検知できるかも調べておき、微調整を行います。すると、無事直立姿勢を検知できエビ反りも発生せず、起動できるようになりました。

ぬいぐるみを着ていないので、一部笑っちゃうような動作も残っております。

ギアのめくれ破損の動作も破損があったかどうかも分からないくらいに動作してくれています。

ドナーになってくれたエルモを完全に蘇生できました。

蘇生術1
蘇生術2

蘇生を開始してから約一ヶ月。

試行錯誤を繰り返し、また遊んでもらえるくらいまで修理できました。

このエルモも、お送りし、双子のエルモとして活躍してもらいましょう。


予想以上に、双子となったエルモに大興奮で喜んでおります。

ボタンの同時押しで、シンクロする姿が堪らなく可愛いらしく、笑い転げて、とても賑やかな週末です。

素敵な贈りものを、ありがとうございました。

これからも、大切にしたいと思います。

~依頼者様のご感想より~