初代ファービー 2体 修理

初代発売時に2体購入され、お子様も遊ばなくなり長期間保管していたそうです。

お孫様にために数十年ぶりに電池をいれて起動させようとしたところ、起動せずでお住まいの地域のおもちゃ病院に持ち込んだそうです。

難しいということで返却されたそうですが、やはり諦めきれないということ当医院に依頼がありました。

初代ファービーは、常時受け付けているわけではありませんが、相談いただければ修理対応できる範囲で対応します。

さて、前述のおもちゃ病院に持ち込まれまましたが、何ともまぁ、不慣れなドクターの対応で悲惨な状況でした。


おもちゃ病院のドクターは、ほぼ素人のボランティアなので、修理に期待してはいけません。

残念ですが、今回の修理の一部もいいかげんな作業をフォローするという悲しい事案でもありました。


では、診断をしましょう!

グレーのファービー

起動しない原因のほとんどは、モーターのグリス固着で導通しないケースです。

しかし、目力半端ないですね。

分解して診断しましょう。┌|◎o◎|┘

既に前任のドクターがぬいぐるみを剥がしておられまのですが、まぁ何ともいいかげんな剥がし方です。

なんじゃこりゃ!?

底面の結束バンドを外すのに、結束バンドをカットさえすればいいものをバンド通しを切り開いています。

なんでこうなるのかな?

┐( ̄へ ̄)┌

しかもです!

なんで顔枠の縫い付け糸も切られているの!?

なんか、ぬいぐるみの剥がしからを知らないので、まさかぬいぐるみを切り開こうかと画策したかのようです。

恐ろしい…〇-〇

モーター固着

ではでは、起動しない原因は、やはりモーターのグリス固着でブラシが導通していませんでした。

サクッと導通不良を解消します。

接点を回復させるだけで起動はするようになりましたが、声が出ていません。

これも初代ファービーのあるあるですが、スピーカー故障です。

外してチェックします。

ボイスコイル断線ですね。

Φ=40mmのスピーカーなのですが、同型のスピーカーはなかなか手に入らないのですよね。

また、振動センサーの接触はほぼないです。

センサーが感知しないと、起動時の睡眠から起きません。

初代ファービーは、起動直後はかならず寝ます。

そんで、振動センサーを数回検知させるとやっと起きます。

ファービーも『おしまい!』っていって起きます。

では、振動センサーをメンテナンスします。

蓋がコテで溶かし溶着されているので、溶着部に切り込みを入れて蓋をあけます。

金メッキの電極をメンテナンスします。

球もピカピカにします。

メンテナンスを完了させ、組み立てます。

まずは、蓋をして振動の感度を確認し蓋をします。

振動センサーの蓋は、弾性の接着剤で固定しておきます。

間違っても瞬間接着剤なんか使ってはだめです。

センサー内部に浸透してしまい内部の球や電極に付着してしまいます。

分解した際に剥がしたホットボンドを再度塗布し導線を固定します。

次に、前任のおもちゃドクターが誤って切り開いた顔枠を縫い付けます。

耳枠の周辺もホットボンドで固定します。

耳も耳棒の穴で縫い付け固定します。

裂かれたベルトもできる限りできれいに修復してぬいつけておきます。

動作確認

問題なく稼働しましたね。

振動センサーの感度も復活しました。

グレーのファービー修理は完了です。


白いファービー

白いファービーは、何とも悲惨な状況でした。

前任のおもちゃドクターが不良乾電池を入れっぱなしで返却したらしく液漏れが発生しています。

あ”-、なんじゃこりゃ!?

乾電池の外装がそっくりですが、旧松下のデザインそっくりの海外製の乾電池です。

しかもサイズが単三より若干小さい。

液漏れというか爆発してない?

漏れた電解液で電池ボックスが汚くなっています。

幸いに長期間放置されていたわけではないので、電極は無事でした。

まぁ、何とも酷い状況でした。

この電解液が、ぬいぐるみにも付着して染みになっています。

┐( ̄へ ̄)┌

白いファービーもモーターのグリス固着のようでしたが、かなりひどい状況でした。

というのも、乾電池が挿入されたままだったので、モーターには電圧がかかったままの状態でした。

恐らくブラシが焦げていたかもしれません。

接点の簡単な復活ごときでは起動しません。

モーターのコネクタを外し直接電源を印加し起動します。

クリーナーと接点復活剤の交互使用でやっと回りはじめました。

拡大鏡で幸いブラシの損傷はありませんでした。

モーターも起動するようになり、スピーカーも無事です。

振動センサーは、白いファービーでも接触不良を起こしていますので、メンテナンスをします。

動作確認

では、修理作業をします。

振動センサーを分解しますが、蓋が固く電極が取れてしまったので補修をしておきます。

球も磨き各所の電極も磨いておきます。

では組み立てます。

耳回りをホットボンドで固定し結束バンドの通しもぬいつけておきます。

では、最終の動作確認です。

動作確認1
動作確認2

問題ありませんね。

やはり白いファービーは、とてもきれいですね。

これにて初代ファービー2体の修理完了です。


後日談

白いファービーについて、後日再診察となりました。

返送後に依頼者様で動作確認をすると、ハングアップや暴走し意味不明が発声をするそうです。

※以前、どこかの修理記事で同様の症例を見たような見なかったような記憶が頭の隅にあります。

再診察をします。

依頼者様で新品の乾電池を使用してグレーと白のどちらの動作確認をすると、白いファービーのみハングアップや暴走をするそうです。

返却前に動作確認を実施しているのですが、返送時に動作確認をします。

ハングアップと暴走

再現します。

修理時には発現していなかった症状です。

あれ!?(´・_・)

ということで、返却前に動作確認した当医院の乾電池で再度同じように動作確認します。

動作確認①
動作確認②

どちらも5分程を継続して稼働させましたが、問題ありませんでした。

おっやー?(´・_・)

使っている乾電池で動きに差が出ています。

そこで、負荷をかけながら両方の乾電池の容量をチェックします。

上のパナ製のエボルタは、依頼者が使用した新品の乾電池。

下がダイソーの当医院の乾電池です。

容量がかなり減っていたのに気づいていませんでした。反省です。

が!

新品の乾電池を使用すると、ハングアップと暴走をし、容量が少なくなっている乾電池を使用するとハングアップも暴走もしないという事態です。

┐( ̄へ ̄)┌

わけわからん。

試しに当医院のパナ製の同じエボルタネオで同じ動作確認をしましたが、まったく同じハングアップと暴走をします。

そこで、故障状況確認のためいろいろな電源手段で起動確認をしました。

まず、注目したのは、電圧なのか電流なのかです。

単三型のニッケル水素充電池

前述の乾電池容量値から、ニッケル水素充電池の1.2V * 4本 = 4.8Vでは、どうなるか確認しました。

やはりハングアップと暴走をします。電圧ではなく、電流量が何か起因しているようです。

安定化電源

安定化電源でハングアップと暴走が出る出ないの境界を探ります。

調べてみると、5.0V付近でハングアップと暴走が起きる起きないの境界がありました。

とここまで解析してはみましたが、この不具合の原因の推測すらできません。

この白いファービーは、モーターのグリス固着で起動不良が起きており、小手先のメンテナンスでは起動しなっかたという症状がありました。

また、前任のドクター様が抜き忘れた乾電池から液漏れを起こしていたという事態もあります。

分解しモーターを取り外しブラシを診ます。

ブラシの破損もなく摩耗もありません。

というか、暴走していてもモーターは快調に回っていたので、モーター犯人説はなさそうです。

困りました。(˘•ω•˘)

このような故障の経験がないので、どうすべきか悩みます。

基板もとてもきれいで目視上何かあるわけでもなさそうです。

今後の症状の悪化懸念もありますが、依頼者様へ提案をしました。

対処療法的にはなってしまうが、故障原因が分からないので、現状で可動させるには、電源の電圧を絞って使うしかありません。

新品の乾電池であれば、ダミー電池を1本噛ませて、

1.5V * 3本 = 4.5Vで運用をお願いしました。

4.5V稼働

設計仕様書もない状況なので、ハングアップや暴走の原因を解析することはほぼ不可能です。

制御マイコンの発振回路が異常になっていたり、そもそもIC類が、特定の電圧帯域で特定の以上をきたす場合もあります。

もうこの域になると、製造メーカーの不良解析チームの領域になるので、おもちゃ病院としてご提供できるいっぱいいっぱいが現状のラインかと思います。

依頼者様への今後の懸念も伝えダミー電池を同封し返却しました。


タカラトミー 小学館の図鑑 NEO Pad DX USBコネクタ交換

タカラトミー製の小学館の図鑑ネオパッドDXの修理依頼です。

コネクタ内のモールドが破損し充電できなくなったそうです。

充電バッテリーの残量がまだあり、起動確認はできておりますので、コネクタの破損に起因する本体側の故障はなさそうです。

過去にコネクタ口の破損で電極がショートし本体内の回路の故障してしまった事例を経験しております。

使用されていたUSBケーブルも同封いただき、プラグ内の不具合の有無確認しましたが、問題なさそうです。

コネクタの交換に先立ちリチウムイオンポリマーの充電パックを外します。

間違っても端子の半田付けを同時に溶かして外してはいけません。

電源-GNDがショートしてバッテリーパックが膨らみ破裂します。

最悪、引火して燃えます。

心配なら1本づつ導線をカットして外してください。

やるなら自己責任でやってください。

シルクからも分かるかとは思いますが、NTC = 黄色、BATP = 赤、BATN = 黒です。

さて、ここで前準備が完了し破損したコネクタを外せます。

特殊ハンダとコネクタ外しの技術で破損したコネクタを外します。

因みにですが、特殊ハンダで溶かしたからってぽろっと取れるわけではないので、勘違いをしないようにしてください。

経験の無い方は、やらないでください。

半田の盛り方、特殊ハンダの混ぜ方、専用コテの用意と小手先の温度管理 etc…などの知見と経験が必要です。

新品のコネクタに交換します。

基板も特殊ハンダの残留があると、半田付け強度がなくなるので、通常半田を盛っては吸取り盛っては吸取りを数回繰り返します。

ここまでくればもう大丈夫です。

ささっと、コネクタを半田付けし、リポバッテリーも戻しておきます。

リポバッテリーの端子を扱う時に手元が狂って電源GNDショートなぞを誘発しないようにします。

洒落にもなりませんからね!

充電切り替え

問題ありませんね。

無事、充電マークが切り替わるようになりました。


この度は本当にありがとうございました。

オモチャが戻ってきて子供達は大喜びでして、ずっと遊んでます。

タカラトミーに修理を断られた時は諦めかけておりましたが、瀧下様に出会えて修理いただいたことでまた子供達が遊んでいる姿を見れて本当に感謝しております。

子供達にはなるべく壊さないように大事に使って欲しいと伝えておりますが、もしまた壊れてしまった時は是非お願いしたいと思っております。

振り込み等で何か不具合がありましたらご連絡いただければと思います。

この度は突然の依頼にも関わらず、真摯にご対応頂き、心より感謝しております。

末永く宅配おもちゃ病院を続けていただけましたら幸いです。

ありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

できた!がひろがる ドリームトイパッド プラスタッチパネル交換

以前、『どこをタッチしても「楽しいことが起こりそう」としか言われず、その先に進めません。』ということで依頼がありました。

タッチパネルと基板を接続するFPCケーブルの半田付け部を再半田すると直ってしまったというこちらの案件でした。

返却前に数日の稼働テストと依頼者様のお手元での稼働もできていたのですが、ここ2週間前ぐらいからタッチ操作がまたできなくなったということでした。

当初、タッチ操作がおかしかった原因は、半田クラックと思いこんでいたのだが、時間の経過で再発してしまったようです。

恐らく、再半田付けで一時的な改善はあったが、原因は他にあり再発してしまったようです。

COBモールド内のボンディングワイヤーパッド剥がれのような熱が冷めるとというやつに似ています。

一応念のため、新しい別の故障ではないことを確認するため、手持ちの4.3インチの液晶モジュールに仮交換し動作確認をします。

仮交換動作確認

問題なく、描画もタッチ操作もできます。

問題は、タッチパネル側の不具合ですね。

では、今回はタッチパネルを張り替えます。

張り付いているタッチパネルを綺麗に剥がします。

液晶の画面に傷が付かないように気を付けます。

もちろんですが、ごみやほこりも入らないように重々に気を付け、新しいタッチパネルを貼り合わせます。

FPCケーブルの結線も湾曲時に無理に力がかからないように半田付けし、カプトンテープで養生し固定しておきます。

タッチ操作動作確認

返却後もしばらくはタッチ操作の状況を確認いただき問題なければ、修理完了としたいと思います。

今回の事案でタッチパネルの動作不良は、タッチパネルを交換した方が予後がよさそうです。


ご感想

~依頼者のご感想より~

タカラトミー トイ・ストーリー スペースクレーン

トイ・ストーリーに出てくる”という”スペースクレーンゲームの修理依頼です。

パケットが一旦フィギュアを掴み閉じた後に、再び開いてしまい、毎回商品を落としてしまうという不具合です。

まずは、その状況です。

不具合動作

おかしいですね。

パケットが昇向すると、上死点でパケット開いてしまっています。

パケットの開閉制御に何か不具合が出ていそうです。

分解には、底面と上のカバーをバラバラにしないと透明のカプセルが開きません。

透明カプセル横の化粧シールも裂けないように綺麗に剥がします。

そこまで分解しやっとクレーンとパケットに手が届きます。

このパケットは、掴む動作は、クレーン内部のモーターの軸で稼働させていますが、開くという動作は、引きバネで開きます。

つまり、掴む = モーター制御で、開く = モーター制御やめるとなります。

過去に一度修理経験があり、このツメの軸のネジが締め過ぎていると動作以上を起こします。

クレーン本体に擦れてしまい、引きバネの力だけでは戻せなくなります。

因みに、クレーンの上下は、上死点に結んである紐をクレーン先内部のプーリーで巻き付けることで上下します。

さて、パケットを分解し内部を確認しましたが、これといった不具合は見つかりませんでした。

あったとすると前述のツメの稼働軸がきつくなっていた具合です。

そこで、ネジを若干緩め稼働部にシリコンスプレーを吹いておきます。

これで何故か動きが正常になりました。

猫キャッチ

まぁ、こういったことはよくあることで、分解したら直っちゃったというやつです。

宇宙人キャッチ

猫フィギュアでも宇宙人フィギュアでも問題なくつかめるようになりました。

さてさて、依頼者に状況を報告し、数日動作確認を継続し不具合の再発なければ返却となりました。

1点、動作確認の段階でおや!?と思う動画がありました。

動作確認

35秒の動作です。

一旦、掴みかけ下降しますが、すぐにパケットを開いてしまいます。

その後また正常に動きになります。

前述のような、毎回パケットのツメが開く掴めないという状態ではないのですが、どうもこれはこの製品の仕様のようです。

心配になり、クレーンの位置検出うようのスイッチをメンテナンスします。

検知スイッチに接点復活剤を吹き込みコキコミしておきます。

また、押し込みのボタンもシリコンスプレーを吹いて滑りをよくしておきます。

これにて、数日稼働してみました。

数日間、先の製品仕様と思われるパケットの開き以外の不具合は発現しませんでした。

いやですがいかし、このクレーンゲームはむずいです。


仮面ライダーBLACK SUN CSM世紀王サンドライバー 変形しない故障修理不可

仮面ライダーBLACK SUNの変身ベルトである、サンドライバーという変身ベルトの修理依頼がありました。

変身の効果音と変身時の変形ギミックの動作において、変身動作でかざした手に反応するセンサーが反応しないということと、センサーに反応しないので、ギミックの変形もしないということです。

修理作業中にお聞きしたのですが、中古で購入をされ、購入当初は動作確認をしていたそうです。

分解すると、稼働用のモーターの導線の半田付けが取れており、ヨリ線が単にモーターの端子に結わえてあったという始末です。

おやおや

┐( ̄へ ̄)┌

明らかに誰かの手が入っています。

中古で購入したそうですが、何か闇がありそうです。

とりあえず半田付けしておきます。

さて、この変身ベルトは、ベルト上部に赤外線センサーが付いてあり、手をセンサーにかざすという変身の仕草でギミックが動作するという代物です。

センサーの不具合もあるとのことで、センサーを確認します。

赤外線の照射と受信のモジュールが両端に付いています。

かざした手に反応するだけでいいので、赤外線の照射とその反射の有無だけを感知しているだけだと思われます。

では、実際に電源を入れて変形モードに入れて赤外線センサーの照射を確認します。

両側の赤外線の照射問題ありません。

というか、実際に手をかざして変身動作をすると、

シュワ!

ガサガサ…。

とかざした手に反応し効果音も鳴りLEDが点灯します。

あら!?

赤外線センサー反応してるじゃん!

ー_-;

ですが、ギミックがうんともすんともです。

効果音が鳴りLEDもバーッと点灯しますが、ギミックがうんともすんともです。

この赤外線センサーも数種類のアクションに対して反応するらしく、取り扱い説明書を参考にいろいろ試してみましたが、赤外線センサーの反応は問題なさそうです。

ということで、ギミック側の動きに問題がありそうです。

ギミックの動きとしては、以下があります。

  • 電源ON時に前面のアナログメーターがガガガと動く。

そんで、変身モードに入り変身の素振りが完了すると、

  • ベルト中央が回転し開いていた羽が閉じる。
  • 上部のスライドカバーが閉じる。
  • 下部の開閉カバーが閉じる。

となります。

効果音には、セリフやBGMなど、恐らくドラマを彷彿させ演出を盛りだてる要素盛りだくさんです。※かなりのリアリティです。

参考動作

基本、初期状態では、各種のギミックは開いた状態になります。

というのも、分解し各所を調べていると、各可動ギミックの初期状態を検知するスイッチが各所に仕込まれており、初期状態にないと初期状態の位置になるようにモーターを稼働させ動きます。

そうなのです!

分解し稼働部をいじっていると、自ずと初期状態の位置から動いてしまうのですが、電源を入れるとモーターが可動し初期状態の位置まで動かします。

ここで、内蔵の4つのモーターとギアは動くことが自ずと確認できました。

そのモーターを制御しているモータードライバも制御信号を出しているマイコンIC側も動作していることは分かりました。

さらに、検知スイッチで初期状態の位置をも検知できている。

といろいろと確認することができました。

おやおやおや、諸々動作不良の原因と思っていた箇所のほとんどが正常ということが判明してしまいました。

┐( ̄へ ̄)┌

あららら、ギミックが動かない原因を、もっと突っ込んで解析しないとだめです。

センサーも無事、モーターも無事でモータードライバも制御ICも問題なさそうです。

では、バラバラに分解してメカニズムを解析しないといけませんが、この本体内部はどうなのよ。

基板や配線がぎっしりです。

バラバラにしたら、元の戻せる自信がない。

依頼者に了承を得て、さらなる解析において元に戻せないリスクも許容の上、さらに分解を進めました。

本商品の基本構成は、2枚の基板に主要が構成要素が詰め込まれています。

まず、分解してすぐ見える緑のプリント基板は、モータードライバと制御ICの基板です。

マイコンは、Nyquest TechnologyのNX13Fが使われています。

その下に黒い基板があり赤外線センサー制御と各ギミックの位置検知スイッチからの信号を受けモータードライバ側の基板に信号を迂回しています。

さらにLEDの制御も担っております。

変身に際しては、変身動作の認識も赤外線センサーからの信号を受けています。

マイコン同じは、Nyquest TechnologyのNX13Fが使われています。

この両基板にあるマイコン同士が通信し各センサーから信号を受け認識し、各所のギミックの動き制御をしています。

ここまでをササっと調べ上げておきます。

今回の現象を考えると、赤外線センサーからの信号を黒基板側のセンサー用マイコンで受信解析し、変身動作の完了でモータードライバ側のマイコンへ命令を出しモーターを稼働させ変身動作のギミックを動かすという流れと思われます。

なるほど、では、今回のようなギミックの変形動作をしないということになると、この変身動作の命令を出していないか、受け取れていないかという線が強そうです。

ではマイコン間の通信を解析します。

マイコンの仕様書を確認すると、通信のI/Fとしては、シリアルとI2C, SPIなんかあります。

よくある、TX,RXのシリアルなんかは良くマイコン間の通信に使いますよね。

オシロを使って変身動作時の各I/Fの信号を観測すると、シリアルで変身動作の命令を出しているのが分かりました。

基板間をつないでいるコネクタの端子とTX, RXの接続を調べ観測します。

緑のプリント基板のモータードライバを制御しているマイコンから見た方向で1chの黄色が、RXで2chの水色が、TX信号です。

起動時にTXに1パルスをのせてハンドシェイクをしていそうです。

変身の手振り動作が完了すると、センサーマイコン側からギミックの動作命令が発行されます。

1chの黄色いパターンになります。

手振りが完了すると発行されています。

この命令をモータードライバ側のマイコンが受けれていないと推測されます。

センサー側のマイコンが、正常なパターンの発行できているとすると、モータードライバ側のマイコンで認識できていないと思われます。

依頼者からは、購入時の動作は問題なかったとのことなので、恐らくオシレータのタイミングがズレて発行した命令を認識できなくなっているという事態と思われます。

もちろんですが、命令を発行するマイコン側のタイミングズレの懸念もあるので、いづれにしてもこの命令パターンの送受信ができなくなったという不具合ということであると思われます。

マイコン間の通信不良となると、そもそも命令の正当性やタイミングなどの情報は、製品の設計情報なので、これ以上の解析は難しいです。

また、もしシリアル通信のタイミングズレだとしても補正できる術もあるのかどうかも分かりません。

緑基板の替えでもあればですが、無理ですね。

この辺りが、故障解析の限界のようで、残念ですが依頼者には修理不可能ということで返却させていただきました。

で!

そもそも中古で購入された商品ですが、何か修理痕もあるので不可思議な点も多い案件でした。


妖怪ウォッチDX メダル検知不良修理

妖怪ウォッチのメダルが認識しないということで修理の依頼がありました。

妖怪ウォッチは、タイプ零式など過去に診断したことがありますが、メダルが正常に認識しない原因は、検知スイッチの接触不良がほとんどです。

ここです。

横に4つ並んだ検知スイッチ内部の接点の接触不良です。

メダルを検知する場合は、スライドする時系列順にON/OFFをパターン化して各メダルを検知しています。

なので、ゆっくり差し込んだり、途中で引っかかったりすると認識不良を起こします。

スイッチののノブの隙間から接点復活剤を吹き込んで、しこたまON⇔OFFを繰り返しコキコキしてあげると、ビックリするぐらい改善します。

今回はビフォーアフター動画を用意しました。

Befor
After

因みに、シールに零の文字が印刷されている緑のメダルは無反応が正解です。

ボタン電池用の電池ボックスの電極も念のため、接点復活剤で表面を磨いておきます。

これでまた、たくさん遊んでもらえますね!


息子が大興奮しております。

ありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

すみっコパッド USB給電基板交換

すみっコパッドのUSBコネクタが破損しUSBケーブルから給電できなくなってしまったということで修理の依頼がありました。

電極も曲がり内部の電極のモールドも破損しています。

コネクタについては、こちらのサイトに詳しい説明があります。

~Micro-USBコネクタの技術動向より引用~

当医院では、コネクタ部品の交換ではなく実装された基板んを丸ごと交換することで対応しております。また、基板単体でも通信販売で販売をしております。

さて、本体側のコネクタが破損した場合、差し込んだケーブルのプラグ側にも破損が起きていることがあります。

使用していたケーブルも同封いただきチェックします。

電極がモールド内部までめり込んでしまっていますね。

外周のシャルのモールドも破損し取れてなくなってしまっています。

使っていたUSB Type-Cのケーブルは、今後使わずに新しいケーブルを用意してもらうようお願いしました。※破損したケーブルと使うと、電極のショート事故ですみっコパッド本体側が壊れてしまう可能性あります。

基板はサクッと交換してしまいます。

その他の不具合も確認します。

液漏れで粉が電池ボックスに付着していますね。幸い電極は深刻が腐食は広がっていないので、拭き取り掃除で大丈夫そうです。

きれいにして抵抗値を確認します。

きれいになりました。

HOMEボタンの効きも若干悪いのでシリコンボタンの導電塗料の表面を軽く研磨しておきます。

では、組み立てて動作確認しましょう。

動作確認

無事、USBケーブルからの給電で起動できるようになりました。

因みに、USB Type-Cは、裏返しでの接続できる規格でパソコンと通信もできるので、プラグの表裏両面での起動とUSBでのパソコンとの通信確認、念のため乾電池でも起動確認をしております。

これで、乾電池の消費を気にせずケーブルからの給電で楽しめますね!


タカラトミー 小学館の図鑑 ネオパッドDX USBコネクタ交換

本体側のUSB充電コネクタは破損してしまい充電ができなくなったとうことで修理の依頼がありました。

コネクタ内のモールドが破損して取れてなくなっています。

電極も曲がっていますので、電源のショートも心配です。

では、分解し内部を診断します。

隠しネジが6か所あります。

蓋が強力な両面テープで貼りついているので、くっつかないようにクラフトテープなどに貼っておきます。

おおお!

外来ノイズ対策で基板がシールドされていますね。気合が入っています。

コネクタが破損しているので、念のため電源ショートが発生していたかどうか確認します。

コネクタの電源とGND間に導通はありませんでした。

ここがショートしているとヒューズなどが切れているか、回路の充電ICが破損している可能性があります。

ではでは、特殊半田でコネクタを外しますが、先日他のおもちゃ病院から別件で相談がありました。


コネクタを外し際に『低温半田』を使用したが、失敗して基板のパターンを剥がしてしまったそうです。

また、このコネクタ外しを侮っていたようで、文面から恐らく練習なしに挑戦し撃沈したらしいです。

ここで、断っておきますが、簡単ではありません。

経験がないドクターは、挑戦しないでください。依頼者の不利益になります。

基板を壊し修理不可能になります。

大きな勘違いをされていたのか、当医院の記事で記載している『低温半田』とは、単なる低融点半田ではありません!

特殊半田は、ビスマスが混ざっており、基板の半田に混ぜることで超低融点の60℃くらいで溶けます。

お湯でも溶けます。

市販の低融点半田(190℃)ごときでは剥がせません。

低融点半田で剥がしたいのら、リワークステーションで基板を養生して剥がすべきです。

記事で『低温半田』などど誤認識を生む書き方が問題だった思い、今後は『特殊半田』と記載するようにします。

特殊半田も安くはないので、多少の投資が必要です。


充電コネクタの電源/GNDに半田を盛って外すので、念のため先にリポバッテリーを外します。黄色は、サーミスタ線ですね。

外した後は、絶縁しておきます。

では、USBコネクタを外します。

まずは半田をしこたま盛って、特殊半田をそこにさらにしこたま混ぜ溶かしこみます。

特殊半田の量をケチると失敗します。

ネットの修理記事の方の中には、この盛った半田を再利用されておられますね。

無事、取れたら残留の特殊半田を吸い上げるため、フラックスと通常半田を盛っては吸引リボンで吸い取りを数回繰り返します。

ではでは交換します。

交換するコネクタはこちら。

きれいに交換できましたね。

充電確認

充電機能も無事復活しましたね。

これでまた遊べるようになりました。


子供も大喜びでたくさん使用していますが、全て正常に作動しています。

メーカーが修理対応していないにも関わらず、見積もりから修理、発送まで非常に迅速丁寧で、諦めていたものが直り相談してよかったです。

YouTubeに修理後の動画が投稿されるというのも、子供と一緒に見ながら盛り上がりました!

ありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ファービー 依頼案件紹介

ファービーの修理依頼があったのですが、見積り内容にて今回は修理を断念されることになりましたが、診断内容のみ紹介したいと思います。

1年程前までは、稼働していたとのこといですが、液漏れを起こして動かなくなったそうです。

当初、依頼者はこの液漏れ部分を懸念されておられたのですが、目視上液漏れによる汚れはありそうですが、致命的ではありませんでした。

診断をしてみると、電池ボックスではありましたが、電極が折れておりました。

この部分は、液漏れによる影響ではなく、単なる金属疲労で曲げの部分が折れて恐らく本体内部に転がっていそうです。

以前、同じ電極折れの修理をしたので、銅板で折れた電極を作成して半田でくっつけてしまえば大丈夫です。

電極折れのみであれば、外部電源から電源を給電して起動できます。

外部電源給電動作確認

起動しましたね。

ですが、声が出ていません。

これもファービー故障あるあるのスピーカー故障でしょう。

また、まぶたの開閉で軸が少し滑っているので、振動センサーと瞼の開閉軸のメンテナンス含め、修理内容のご提案をしたのですが、今回は修理を見送るとう判断をされました。


ドリームトイパッドプラス タッチ操作故障 修理不可

タカラトミー製のドリームトイパッドの修理依頼がありました。

ドリームトイパッドについては、タッチパネル割れなど依頼を多くいただきますが、今回は、タッチパネル自体は割れてはいないが、メニュー画面以降タッチ操作ができないそうです。

過去には、セガトイズ製のマジカルスマートパッドでタッチパネルは割れていないがタッチ機能が故障して異常が動きをしているという症例がありました。

中古で購入後にタッチパネルの初期設定をしている最中に動作がおかしくなり電池の入れ替え後にメニュー画面以降タッチ反応がしなくなったそうです。

では、どのような不具合か診断をしましょう。

これが、液晶モジュールのFPCケーブルです。

向かって左の4線のFPCケーブルが、タッチパネルのFPCケーブルです。

目視上は、割れや剥がれなどはなさそうです。

では、まず故障が、液晶側なのか本体側なのかを切り分けるために、既に動作確認済みの液晶モジュールに交換しタッチ操作ができるか確認します。

タッチ操作確認

同じ、部品取りのドリームトイパッドから取り外した液晶につなぎタッチ操作を確認しましたが、同じようなメニュー画面以降タッチ操作ができません。

なるほど、本体側に故障原因があるようです。

タッチパネルの導線は、コネクタ端の4線です。

抵抗式のタッチパネルの動作原理は、こちらのサイトこちらのサイトで原理の説明があります。

次にFPCケーブルコネクタ自体の接触を確認します。

これも当医院在庫のタッチパネルを剥がした液晶があるので、その液晶でFPCケーブルとコネクタ間の導通を確認します。

4線とも問題ありません。

では、では、基板を眺め基板上の問題を探します。

4線は、コネクタ部品の真下に潜って配線されており、VIAを介してCOBのモールドに入っております。

起動後のメニュー画面前までのタッチ操作には反応します。

これは、画面の位置情報なしに何かしらのタッチ操作による抵抗値の変化を検知していそうです。

X軸,Y軸の片方のみでも起動画面のタッチは反応するので、4線の全ての導通不良ではなく、4線のうちの片方の特定の配線のみ何かしらの故障、例えば断線などを起こしているようです。

タッチ位置を4線間の抵抗値の変化で特定するという代物で、この変化をCOBモールド内のICで処理をしていそうです。

ここまでの故障解析にて、IC内の結線もしくは処理に問題がありそうという判断となり修理不可能という決断にいたりました。