仮面ライダーアギト GX05 ピニオンギア割れ修理

仮面ライダーアギトとというヒーロー物のアイテムの修理依頼です。

先日の仮面ライダーディケイドのディケイドライバーもそうですが、詳しくないといろいろ混同してしまうんですよね。

今回は、仮面ライダーアギトというライダーの武器アイテムでGX05という、まぁいわゆるガトリングガンですね。

依頼者様、ご自身で分解までされ修理に挑まれたのですが、故障原因が判明したところで断念され、当医院へ依頼をされたという次第でした。

届いた状態では、既に分解済みでした。

故障原因も、インターネットでの修理機でもよく見かけるピニオンギア割れということでした。

既に割れていたピニオンギアは、除去済みの状態です。

まず、電池ボックスを調べていたのですが蓋のツメの開封で早々にたいへんでした。

電池ボックスの電圧を確認するため、蓋をあけたいのですが、もう固くてかたくてあきません。画像のツメが噛みこんでおり、押し込んでも蓋がスライドしません。

シリコンスプレーを吹いたりしたのですが、まったく効果なしです。

無理に抉ると割れてしまいそうなぐらいなので、知らないとこじってツメを折りそうです。

単3の乾電池 4本が収納でき、各電極端子間は、3.0Vづつとなります。

次に、ギアボックス側を診断します。

まずは、ガトリングを回転させる130型モーターの8T 0.5mのピニオンギアです。

モーターの軸を脱脂して圧入しておきます。

また、ガトリングを回転させる軸に圧入されている四角い連結部の接続方法に少し、おや!?と思うところもありますが、注意して組み立てます。

また、260型モーター側のピニオンギアも割れていたそうです。

260型モーター側のピニオンギアも割れて除去されているので、同じく8T 0.5mのピニオンギアに交換しておきます。

ただ、この260型モーターの役割がイマイチはっきりしておらず、どのように機能していたのか、後の動作確認でもはっきりしませんでした。

さぁ、破損したピニオンギアも交換できたので、組み立て稼働テストします。

おっやー?┐( ̄へ ̄)┌

ガトリングを回転させると、最初は回りますが、2,3回転後に滑って空回りします。

ここの連結部です。モーターから動力が伝わる軸の連結部が、ガトリング砲側の連結部の凹凸に噛み込み回転させます。

連結させないと、まぁまぁ回転するのですが、連結させると最初のみ数回回転しても、すぐ空回りします。

う”-、何か既に割れていたピニオンギア以外にもなにかあるぞ!

再度、分解し原因を解析します。

因みに、この商品は電池ボックスが別モジュールで本体を組み立てないと装着できません。残念ながら、動作確認を分解したままで簡単にはできないのです。ー_-;

そこで、ちょうど2系統ある安定化電源を使って3.0V 2系統出しでクリップで電極に挟み動作確認します。

さて、他の修理記事にもあるのですが、モーター軸のピニオンギア以外にもギアボックス内のギアも割れていることが多いそうです。

記事を先に読み確認すべきでした。反省。

画像の右端黄色い矢印のギア 8T 0.5mも割れていました。

トルクがかかると滑って空転します。

合計、3か所、すべて8T 0.5mのピニオンギアを交換することになりました。

いよいよこれでもう大丈夫でしょうと再度動作確認をします。

(´・_・`)

まだ、なんか変。

電源スイッチが変。

OFFや動作モードのスイッチのスライド位置に正しく止まらずというかロックせず、あちゃこちゃになってしまいます。

そんな状態なので、動作モード2つのON位置に固定しづらいです。

これは何か変だぞということで、再度分解します。

Take2。ー_-;

なんじゃ?

なんか、出てる!

こんなはみ出し方って変です。

このバネは、スライドするスイッチのノブの貫通穴に入っていて、両側に金属球を設置しスライドスイッチの両側の穴に金属球を押し込むことでスイッチのON位置に固定させる仕組みです。

スライドスイッチのハウジングは、ツメでカシメられており導線は、ハウジング丸ごとホットボンドで固定されております。

これは初期からあった不具合そうです。製造不良でしょうね。

電源は入るにははいるのですが、ON位置に合わせづらいです。

スイッチのハウジングを開き、はみ出て曲がったバネを可能な限りで形を整えます。

ですが、本来バネの両側に設置すうはずの金属球の片方がもう既に紛失しています。

そうですよね、、、だってバネの端がもう外に出ちゃってるんだもん。

チーン

_| ̄|o

もう仕方なくので、片側の金属球のみで電源スイッチのスライドは慎重に指で調整をしてもらうようにお願いすることにします。

とまだあります。

スイッチのハウジングを分解した場合、接点位置、つまりON側とOFF側の方向は油性ペンでハウジングにメモしておくべきでした。

ON/OFF位置を逆に付けてしまい、途中再度全組み立てと全分解をする羽目になりました。

幾度なく、分解と組み立てを繰り返しましたが、4,5回の分解と組み立てで何とか完了までこぎつけました。

動作確認

今回の修理を通し分かった点です。

ガトリング形態から変形できるのですが、上部のスライド部を変形させると、元に戻らないようにスライドがロックされます。

取り扱い説明書には、引くとまたスライドするように簡単に書いてあるのですが、もうどんな引いてもびくともしません。

ふと見ると、横に非常用レバーとあります。

このレバー位置をずらすと、ロックが外れます。

もしかすると、あの260側モーターがこのロックを外すような役割だったかもと、返送後に気づきました。( ̄▽ ̄;

最後に、経年している商品なので筐体も脆くなっています。

ネジの支柱の上部が割れておりネジ締めできなくなっていましたので、同じ径の長めのネジに交換しておきます。

以上で、無事修理できました。

いろいろなトラップも多く分解と組み立てがしんどかったですが、これでまた遊べるようになりました。


初めて瀧下様の所に修理をお願いさせて頂きましたが、とても丁寧な対応で安心して預けることが出来ました!

また何か有りましたら、修理をお願いしたいです。
今回は本当にありがとうごさいました。

~依頼者のご感想より~

踊るサンタの人形(northern d lite’ tree) マイコン換装

踊るサンタ人形の修理依頼がありました。

生前のお母様との大事な思い出のお品物ということをお聞きしております。

保管されていた場所が、温泉地ということもあり所々腐食があります。

この電池ボックスの負極バネの錆は、もしかすると乾電池からの液漏れの影響かもしれません。

商品には電池ボックスが2か所にあり、単二型4本がが収まる腰の電池ボックスと単三型4本が収まる右足の電池ボックスです。

後に判明しますが、単二が収まる腰の電池ボックスは、モータードライバー用の電池です。より電流量の大きい側が用意されており、単三が収まる電池ボックスは、その他の制御ICやLEDなど向けになります。

腰の電池ボックスの負極のバネはカシメてあったリベットが取れて外れています。

では、内部を拝見しますが、止めネジもほとんどで腐食があります。

やはり雰囲気、特に硫黄成分で腐食します。

事前に動きを調べてみると、同様の製品がヒットします。

『northern d lite’ tree』で検索すると動画みヒットし正常な動きを知ることができます。

腰や腕を音楽に合わせて振り、ほっぺと両手にLEDがあり、音楽に合わせて点灯/点滅します。

ネジが本体の裏側にあり、こちらも錆びています。

制御基板は、右足内部にあります。

ケーブルの束で本体内部と接続されています。

導線をカットしてそれぞれの導線にシルクをメモしたマスキングテープでとめておきます。

既に基板も腐食が激しく数か所の素子もダメになっています。

錆でトランジスタの足が取れていたりです。

長らく、この手の修理経験を積むと調べなくても大体の機能は分かってしまいます。

  • 音源が収められているメロディICがCOBで実装されている子基板
  • トランジスタで構成されたHブリッジのモータードライバー
  • 電源レギュレーター回路
  • スピーカードライバー用のトランジスタ

などです。

メロディICの子基板以外は、作り直しできますが、メロディICについては、作り直しができませんので、可動するかどうか先に確認します。

子基板を単体で可動させるため基板の仕様を解析します。

収められている音源の調子に合わせてモーターやLEDの制御信号を出力していますね。

TRY MEボタン端子も解析できましたので、給電し音源などが何かしら出るか確認します。

うんともすんともです。

CDSで周辺の明るさの検知した動作モードもあるようですが、電源スイッチのモードを確認すると分かります。

ですが、どこをどうしてもうんともすんともです。

過去にスヌーピーや雪が降るクリスマスツリーなんかでもよくあるのですが、COB内のボンディングワイヤーの結線断線などが多くあります。

今回も重要なメロディICの故障で修理は不可能となりそうです。

マイコン換装

依頼者に状況を報告すると、以前撮影してあった動作の動画のご提供がありました。

早速、拝見したところ、その動画の音源を利用して何とか再生できるまで修復できるか検討します。

大事な思い出のお品物なので、何とかできるところまで何とかします。ᕙ( ‘ω’)ᕗ

動きは、提供いただいた動画で判明しているので、音源の音楽を音源再生基板で再生し、その音調に合わせて起動、稼働速度などをマイコンで制御できそうです。

モーターの動きは、Hブリッジのモータードライバで制御しますが、音調に合わせてLEDも制御するのは、難易度が高いです。

手元の周囲の音に反応するLEDドライバー基板があるので、今回はその基板でLED側を制御します。

まずは、バラック状態で原理試作を行って、そもそもの実現性を確認します。

原理試作に数日かけて大丈夫そうであることで確認できました。

電源は、各機能基板で間に合うか?

原理試作の途中、モータードライバーICが動作がおかしく、なんでだ!?

といろいろ解析していたら、なんと初期不良していたりもあり、なかなかスムーズにはいきませんでした。

マイコンのプログラムもモータードライバーの動作タイミングをメモしながら、時間計測しながらで、トライ&エラーで詰めました。

丸1日かかっちゃいました。┌|◎o◎|┘

ここまでになるのに、空き時間で作業し半月ほどかかりました。

その他の箇所では、単二側の取れた負極のバネは、ブラインドリベット打ちでとめます。

ではでは、組み上げ動作確認します。

動作確認

LEDドライバーのマイクが、左足内なので、反応がイマイチです。

もっと感度が上がるように、もし次回あれば何か考えようと思います。

因みに、音源に近すぎるとLEDが点灯したままになるので、調整の程度が必要だったりします。

まぁ、私の技量ではここまでの実装が現状のいっぱいいっぱいではありますが、元々の動きにできるだけ近づけ頑張りました。

お母様との思いでのお品物ということで、何かしらご期待に添えたのであれば私もうれしいです。


此の度は完全に危篤状態の患者をまるで魔法を掛けたが如く新しく生まれ変わらせて頂き本当にありがとうございます。

おもちゃ病院の事は以前からネットで存じていたのですが、他院は全て持込のみでいい年した大人が子供に混じって並ぶのは憚られて躊躇しておりました。

もはやこれまでと断捨離するため電池を抜き、最期の踏ん切りをつけるつもりでネットを検索した所「宅配おもちゃ病院」が奇跡的にヒットし、ダメ元で問い合わせさせて頂いた所心良く入院をご了承頂いた次第です。

その後、メインの基板が腐食していて完全にお陀仏との診断を頂き、それでも「手は尽くした」と気持ち良く諦めたのですが、そこからあのように完全に新しく生まれ変わらせて頂き、正直困惑する位びっくり仰天してしまいました。

最愛の母もきっと天国で喜んでくれていると胸を熱くしながら踊らせています。

退院時に頂いた注意事項をしっかり守りつつ大切にして参ります。

今後もこの様な価値ある活動を末永く元気に楽しみながら続けていかれることを心から願ってやみません。

此の度は本当にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。

~依頼者のご感想より~

ベットメリー スピーカー交換

地域のおもちゃ病院での修理案件となります。

音だけが出ないそうです。

その他の飾りの回転やLEDの点灯、ボタンの反応は問題ないそうです。

スピーカーの故障か、音源を出力する回路の故障などありそうですね。

スピーカーをチェックします。

マルチメーターでインピーダンスを確認します。

DCで計測しても31MΩというおかしな値になります。

因みに、経路に接続されたまま計測すると、回路側のインピーダンスを計測する事態になりますので、ちゃんと導線を外して確認しましょう。

また、スピーカーチェッカーなる発振治具で鳴りを確認する場合も同じように回路から切り離して確認しないと出力の回路側を破壊してしまう可能性があります。

恐らく、発振治具の振幅など印加する信号の仕様をちゃんと認識していない場合が多いので、過大電圧を回路側に印加する事態になります。単なるスピーカー故障であったのに、スピーカーチェッカーで回路を壊してしまい、COB故障にしてしまういい加減な診断にならないようにしましょう。

ボイスコイルの断線のようではありませんが、インピーダンスが異常値なので音が鳴りません。交換しましょう。

Φ=57mmの磁石が大きいタイプです。

同じ形状のスピーカーは手持ちないので、口径、規格が同じスピーカーに交換します。

このベットメリーは、スピーカーの枠を筐体のスピーカー抑えでネジ止めするので、このまま装着してもいいですが、念のためウレタンスポンジを加工して抑えを入れておきます。

ぴったり収めて修理完了です。

動作確認

仮面ライダーディケイド ディケイドライバー Ver.2 腐食断線修理

時々依頼のある仮面ライダーの変身ベルトの修理依頼です。

常時受け付けはしていないのですが、お問い合わせのタイミングで受け付けできることがあり、今回は受け付けさせていただきました。

さて、数か月前から電源が入らなくなったとのことです。

既に一度ご自身で分解もされ、電池ボックスに腐食がある旨は伺っておりました。

では、分解し診断をしましょう。

まず、本体はベルト部分に脱着できるようになっています。

ツメでとめられているのですが、何故かなかなか外せません。

上面の押しボタンを押すとボタン側はカパって外れるのですが、下面側のツメが外れません。

強引に引っ張ると筐体が浮き上がり割れそうです。

心配なので、分解して外します。

この黒いツメがバネで引っ込み引っかかるのですが、向かって右側のツメが外れません。

たぶんコツが要ります。(˘•ω•˘)

恐れくですが、上面が外れたら、下側にスライドさせるように押し込むと外れることが多かったです。

ではでは、本体側を診断します。

乾電池の液漏れによる粉と腐食があります。

たぶん、導線も腐食が伝搬してますよね。

基板は、2枚構成で、メイン基板とカードのバーコードを読み込むリーダー基板がフラットケーブルで接続されています。

ここで注意です!

バーコードのリーダー基板は簡単に外れますが、メイン基板はネジを外しても取れません。

無理に引っ張ると電池ボックスの導線と前面のLEDにつながるFPCケーブルを断線させてしまいます。

というのは、製造時の組み立て順が不明なのですが、以下の順で作業しなければなりません。

  1. 基板の電池ボックスの導線の半田付けを溶かし導線を外す。
  2. バーコードリーダー基板のネジを外す。
  3. メイン基板のネジを外す。
  4. シリコンボタンの基板をずらして外す。

前面のLEDと接続されるFPCケーブルは、外せません。メイン基板にもコネクタで接続されていますが、接着剤で固定されているので、引っ張ったりして外そうしてはいけません。

ここです!

ベルトの機構上、本体がガッシャンガッシャン回転するので、その振動でケーブルが外れるのを嫌ったのでしょう。

本来であればこの黒いツメを起こすとFPCケーブルが抜けますが、基板をコネクタおよびツメが、まるっと接着されています。

┐( ̄へ ̄)┌

これで、作業性が一気に難しくなっています。

このFPCケーブルを付けたまま診断および修理作業を強いられます。

ー_-;

基板の両サイドにボックスの導線と電池ボックスの導線が、4か所づつあります。

電池ボックスの導線のみの半田付けを溶かして外しますが、導線の色と位置をメモっておきます。

ですが、基板のネジを外しても電池ボックスの導線で基板が浮き上がらないので、のぞき込まないと確認できません。

無理に引っ張ると断線します。というか、もう断線していました。

電池ボックスの負極の片側で断線しています。

後で判明しますが、負極の液漏れが伝搬し導線も腐食し脆く、恐らく振動で取れてしまったようです。

スピーカーも作用のため半田を外しておきます。

電池ボックスからの導線は、単四乾電池が1本づつ基板に接続されています。

緑の導線が、乾電池間の渡り線の役目になっていますが、渡り接続は基板上で接続されています。

基板側の半田付けのランドは、腐食でボロボロでした。

導線も使い物になりませんので、導線は全交換し基板側には、裏面の腐食がないランドに半田付けします。

ここで、仮組し動作確認をします。導線の断線以外の不具合がないかを確認します。

仮組動作確認

カードの同封がなかったので、今回はカード検知と認識識別機能の動作は確認できませんでした。

依頼者様にも動画を確認いただき、問題なさそうということでした。

では、電極の腐食研磨します。

液漏れは片方の単四でのみあったようですね。

粉の除去と腐食部の研磨をします。研磨は、ルーターのブラシでこすります。

研磨後の抵抗値もちゃんと確認しておきます。

電池ボックスは、ほぼ完ぺきに元に戻せました。

さて、別件ですが、基板に検知スイッチが2個付いています。

先の動画でもこの検知スイッチの反応をみたのですが、実は片側のスイッチは無効です。

有効側の検知スイッチのみが、本体回転時にベルト側の突起に接触し反応するのですが、無効側のスイッチは何らそのようなカラクリがありません。

なぜ部品まで付いているのかは、正直分かりません。

???

もしかすると、カードを連携した動作において、ベルト以外の何か別のアイテムに装着すると、この検知スイッチが活きるのかもしれません、、、が、詳しくないので分かりません。

( ̄▽ ̄;

取り外した導線やスピーカーも元に戻し修理完了です。

動作確認

基板が外せないなど、いろいろありましたが、無事動作するところまで修理できました。

乾電池の液漏れには、今後もお気をつけください。


受付から修理までが思っていたよりもずっと早くて助かりました🙇‍♂️是非友人などにも紹介させていただきます!

また機会があればよろしくお願いします。ありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

マジカルスマートノート 割れたタッチパネル交換

タッチパネルが割れてしまったということで修理の依頼がありました。

当医院ではお馴染みの修理案件ですが、4.3インチのゲームパッドで使用されている液晶は、描画をする液晶部とタッチ操作をするタッチパネルが貼り合わされています。

目視から上層のタッチパネルは確実に割れていますが、割れた影響で下層の液晶の画面にも影響がないか事前に確認せねばなりません。

もし、下層の液晶画面にもひびがある場合は、モジュールをまとめて交換する事態になり、部品代も高額になります。

実は、後で判明するのですが、描画は大丈夫かと依頼者にお聞きしたところ、たぶん大丈夫そうだということでした。たぶんって!?

タッチパネルが割れた後に、タッチパネルの位置調整の設定に入ってしまったらしく、タッチペンでアライメントしないと、何も以降の操作ができなくなっていました。

なるほど!これで、たぶん大丈夫っておっしゃっていたのですね。

では、分解します。

化粧シールを温めて慎重に剥がします。

液晶モジュールは、筐体に強力な両面テープで貼りついているので、隙間から温風で温めながらゆっくり剥がします。

強引に剥がそうとすると、液晶画面も割れてしまいます。

液晶モジュールが外せたら、今度は割れたタッチパネルを液晶から剥がします。

温度管理しががらホットナイフで周辺の両面テープを温めながらゆっくり開いていきます。

ここでもホットナイフの先で液晶画面に傷を付けてしまうので、慎重に作業します。

割れたガラスの破片が付着していますね。

残念ながらタッチパネルが割れた衝撃で下層の液晶画面にも傷が付いていました。

傷はバックライトが付くともう目視では視認できませんね。

ひびではなく傷でしたので、このままタッチパネルを貼りなおします。

残った両面テープの糊をテープ剥がしできれいに剥がします。

さて、次の難関です。

タッチパネルのケーブルを液晶のケーブルの半田付け位置を合わせながら、かつ液晶の描画位置を枠も合わせつつ、慎重に張り合わせます。

息を止めながら作業します。

タッチパネルの半田付けを筐体に組み込んだ後に行います。

というのは、先に半田付けすると、ケーブルの湾曲で長さが足りず半田付けできなくなります。

ケーブルは、裏面に両面テープで固定し半田付けします。

きれいにできました。

タッチ操作確認

タッチ操作も問題ありませんね。


とても迅速に、丁寧に修理してくださり、ありがとうございました。

メルカリ等で別の中古品を買うしか方法がないかと思っていたので、こどもたちも喜んでいます!!

~依頼者のご感想より~

すみっコパッド タッチ操作故障 基板交換

すみっコパッドの修理依頼がありました。

起動し液晶も無事描画できるのですが、タッチ操作ができないとのことです。

よくある、タッチパネルの割れではないそうです。

以前、マジカルスマートノートという商品でタッチパネルの割れは無いがタッチ操作がおかしいという依頼があり、その時はタッチパネルの故障でパネルの交換で修理できました。

タッチパネル自体の故障であればパネルの交換が必要になります。

では、診断を開始しましょう!

届いてすぐタッチ操作を確認しましたが、まったく無反応です。

タッチ操作できない

まずは、タッチパネルの故障かどうかの切り分けをしましょう。

分解しFPCケーブルをコネクタから外します。

在庫の液晶とタッチパネルが引っ付いた液晶モジュールに交換してタッチ操作ができるか確認します。

あら!?

タッチ操作ができません。

これは、タッチパネルの故障ではなくタッチパネルからの信号を処理する処理系に問題ありそうです。

この抵抗式のタッチパネルは、4線式でタッチペンで画面を押すと各層間の抵抗値が変化し位置を認識します。

では、タッチパネルからの配線経路を確認します。

FPCケーブル上でタッチパネルの端子が半田付けされているので、そのポイントからの導通を確認します。

電解コンデンサーの固定シリコンのシールの下にタッチパネルの配線があります。

R38とR39の2線の配線はプルダウンされております。

いづれもVIAを介してICに直に入力されております。

基板上のチップ部品は、いづれも問題ありません。

タッチパネル上をタッチペン押し込むと、配線間の抵抗値が変化しますので、タッチパネルから入力信号は問題なさそうです。

チップ部品の半田付け部とQFP ICの該当の足も半田を溶かしなおししてみました。

当初は、電解コンデンサーを固定していたシリコンのシールが、チップ抵抗部品を壊していたのかもと思ったのですが、配線および回路にも問題ありません。

これらの信号が直にICに印加され制御処理されております。

IC内の処理系の不具合では、仕様書もない状況では修理が難しいです。

これ以上の解析もできませんので、依頼者と相談し基板の移植にて対応をすることになりました。

幸運なことに、ちょうどUSB給電基板の実装検査用の同じすみっコパッドがあるので、そのすみっコパッドから基板のみを移植します。

因みに、USB給電基板の実装検査には、タッチ操作する必要がなく、USBから給電起動さえすればよいです。

筐体のデートコードを確認すると、製造時期は、2ヶ月しか差がないので、そのまま移植できそうです。

基板のリビジョンも同じですね。

ただ、残念ながら、それまで撮影していた写真や集めたデータは移動できませんので、初期化が前提となります。では、ささっと組み立てて動作確認します。

基板移植動作確認

今回は、基板の移植交換となってしまいましたが、またこれからもいっぱい遊んでもらえると思います。


迅速で丁寧なご対応に心より感謝申し上げます。

修理していただいたすみっコパッドを子どもに渡したところ、とても喜んで夢中になって遊んでおります。

おかげさまで、大切なおもちゃをこれからも大事に使い続けることができます。

また何かお世話になることがございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ドリームトイパッドプラス 乾電池容量コンパレータ回路故障 修理不可

タカラトミー製のドリームトイパッドプラスというタブレット商品の修理の依頼がありました。

新品の乾電池を入れて起動しても容量が低下しているから交換してねという表示が出て起動できないそうです。

地域のおもちゃ病院でも修理ができなかったようなで、当医院に依頼がありました。

乾電池の容量を起動の頭でチェックし容量が低い場合は、乾電池の交換を促すという機能です。

依頼者は、乾電池で動作させていたということでした。

当該商品は、専用のACアダプターも使用できます。

乾電池は、1.5V * 4本 = 6.0Vとなります。

一方、専用のACアダプターは、5.0Vの仕様となっております。

いづれの給電経路であっても、電源回路のレギュレーターで、IC用電源の3.3Vに降圧されております。

ではということで、ACアダプターで起動させるとどうなるか確認します。

まずは、分解し基板と液晶とスピーカーのみにします。

とりあえず、念のためクリスタルは正常に発振していることは確認できました。

本商品も同様の商品と同じ6MHzのクリスタルで動いています。

乾電池側からの6.0V給電では、同じく容量不足表示が出ます。

ACアダプターからの5.0V給電でも同じように容量不足表示が出ます。

ホホー。┐( ̄へ ̄)┌

給電されているのが、乾電池なのかACアダプターなのかまではチェックしておらず、単に電位のみをチェックしていそうですね。

ある閾値を下回るとアラート表示をして電源を落とすというアルゴリズムのようです。

乾電池の場合は、遊んでいると次第に容量は低下していくけど、ACアダプターは、アダプターの故障でもない限りは電位は低下しないから、低下していた場合は、乾電池の容量不足としているようです。

電源回路を回路図に起こすとACアダプター側が優先でいづれの経路でも3.3レギュレーターを通して減圧されます。

一方、今回の乾電池の容量不足に起因する、容量低下をチェックする回路は、どちらの給電経路であっても同じ回路に入力されておりました。

主電源から、液晶用の電源やIC側の3.3Vは、正常に給電されているので、システムとしては正常なのだが、主電源のコンパレータ回路が故障しているので、アラートを出して電源を落としていると思われます。

で、そのコンパレータ回路を探しました。

基板上の制御ICが内蔵されているCOBに横に抵抗分圧されている回路を見つけました。

主電源が直で入力されており、分圧された中点の電圧が、COB内部に配られております。

ほぼ間違いなく、主電源のコンパレータへ電位を印加する回路のようです。

このコンパレータで電位をチェックしています。

乾電池であった場合とACアダプターであった場合で、印加電位と抵抗分圧の電位を確認します。

と、おやおやー!?

中点のはずが、大きく下回っておりますね。

ちょっとざっくりですが、ACアダプターでの起動以上の電池を同定すると、5.0Vの半分の約2.5Vが閾値としてもどちらも下回っているので、アラート表示が出ていそうです。

前述の回路図と計測された電位から、不良モードはどのようになっているのか推測します。

抵抗分圧の抵抗値は、いづれも177kΩ程でした。

中点の電位が落ち込んでいるので、COB内部に何かリークがあり、中点が低下したと思われます。

計算してみると、COB内部に186.67kΩ程度の抵抗成分があり、その影響で2分割の抵抗分圧が、1/3まで低下しております。

自分は、この商品ICの設計者ではありませんが、コンパレータの不良でリークがあるというのは珍しくはありません。

古くは、ラダー抵抗式のADなどでも何らかの不良モードでリークが起き変換できなくなっていたりも予想できます。不良モードとして有力なのは、IOのプルダウン側の抵抗が、常時有効になっているのかもしれません。

いづれもしてもCOB内の不良なので、もうお手上げ状態です。

┐( ̄へ ̄)┌

であるならば、もう一歩突っ込んだ検証をしてみました。

リーク分の抵抗値が、分圧の抵抗値に近いのであれば、R19の基板上の抵抗を取り払ってみると、いくらか中点に近づきコンパレータ回路自体が活きていれば、もしかするとアラート表示されずに起動できるかもしれないと浮かびました。

抵抗ちっちぇー!

拡大鏡と極細ピンセットでやっとつまめるレベルです。

早速外して起動テストをしてみました。

が!

ざんねーん。_| ̄|o

リーク分が無くなり完全にプルアップ状態になりました。

中点の電池は、5.0Vです。

リークがあろうかと思いきやコンパレーターの入力はプルアップする事態になりました。

ですが、依然として乾電池の容量不足のままです。

この結果から、内部のIOリークではなく、コンパレータ回路が故障しており機能していないようです。スタック故障のように常時コンパレータ閾値を超えることができないような故障モードです。

まぁ、いづれにしてもこの事態を打開できる策はありませんんで、依頼者の方に報告をし修理不可能という結論になりました。

すみっコスマホ USBコネクタ交換

すみっコぐらしのおもちゃってアンパンマンを同じぐらい、いろいろ各社製品を出していますよね。

  • すみっコパッド
  • すみっコパソコン
  • すみっコスマホ
  • すみっコぐらしPhone

今回のすみっコスマホは、タカラトミー製でスマホの形をしたゲーム機になります。

充電式でUSBミニBタイプとなり、専用のACアダプターが用意されています。

ただ、ミニB形状のコネクタは、今では珍しく、依頼者様のお子様もご自宅にあった他の形状のACアダプターを差し込んで壊してしまったそうです。

メーカー様にも既に問い合わせ済みで修理対象外とのことでした。

コネクタのハウジング内の電極がめちゃめちゃになっていますね。

このUSBミニBの規格は、5ピンになっています。

このタイプのコネクタでないと刺さらないのですが、他のコネクタを強引に差し込むと今回のような破損になります。

同様な商品でおなじみのすみっコパッドにおいてもUSB Type-Cのコネクタの差し込みが斜めになると、これもまたハウジング内の電極を壊してしまったりと、なんとも小さい子供には扱いが難しいという状況です。

┐( ̄へ ̄)┌

では、分解しましょう。

表面の化粧シールの裏側に隠しネジがあります。

化粧シールは、温めながらゆっくりめくります。

すみっコスマホは、厚手のシールで剥がしてもシワシワにはなりません。

無事外せました。スマホケースも剥がしていますが、超強力な両面テープで張り付いているので、無理に剥がすとスマホケースの合皮も避けてしましそうなので、注意が必要です。

スマホケースからは無理に剥がさずとも作業はできますので、スマホケースは付けたままの方が安全です。

USBコネクタは、基板に直付けされております。

ハウジングのプラグシャルが4か所と電極の5ピンが半田付けされています。

普通の半田ごてでは該当端子を一度に同時にすべて溶かし外すことはできません。リワークが必要になります。

この手のコネクタ外しは、リワークしてもいいですが、たいていコネクタ近くのチップ部品も一緒に溶けてしまい、温度管理が適切でないと基板を焦がしてしまい基板損傷で修理不可能となります。いわゆるリワークの腕が必要となります。

自分以前はリワークして外していたのですが、無理にコネクタを剥がすと電極が基板のパターンごと剥がれてしまった悲しい過去があります。

今では、特殊半田で外していますが、かなり高額なため、おいそれとは使えません。

また、この特殊半田で剥がした場合、特殊半田の成分が残留しないように吸引線で新しい通常半田を盛っては吸引し盛っては吸引するということを4,5回繰り返します。

この作業で手を抜くと半田付けしても半田が脆くコネクタが、またすぐ剥がれてしまいます。

また、特殊半田を使う半田コテも専用のコテ先を用意しまないといけません。小手先を使いまわすとこれもまた、通常の半田付けをした際に特殊半田の成分であるビスマスが通常半田に溶け込み半田付け強度が脆くなります。

因みに、この手のリワーク作業は、経験がない場合はやってはいけません。

ほぼ確実に失敗し基板の配線を損傷します。

特に、エンジニア歴もない、素人おもちゃドクターがテキトーにやって壊すようなことが無いようにお願いします。

作業に先立ち、本商品はリポのバッテリー式なのでき作業中のショート事故を防止するため、バッテリー端子を外して端子を絶縁しておきます。

では、準備ができたところで専用のコテで小手先の温度管理もしつつ慎重に外します。

綺麗に外せましたね。⸜(´・∀・)_∠※

サクッとやっているようですが、毎度緊張する作業です。

失敗 = 基板損傷 = 修理不可能

であるからです。

経験のない方には、本作業はお勧めできませんので、早々に諦めてください。

残留の半田も繰り返し盛っては吸引を繰り返しきれいにできました。

コネクタを無事外せたので、ここでやっと修理可能と判断できそうです。

そこで、充電以外の機能に問題ないか確認します。

バッテリーの給電端子に導線を取り付け、またコネクタの端子にも導線と取り付け、バッテリーからの給電起動と充電の可否を確認します。

ですが、依頼者様のお子様が、充電池が底尽きるまで遊ばれたようで、到着した時点で既にバッテリーがゼロでした。

これでは、バッテリーからの給電起動確認ができないので、起動できるレベルまで若干増し充電をします。

充電器で少し充電しておきます。

これで起動確認できるようになりました。

バッテリーからの給電起動問題ありませんね。

外したコネクタの電源端子から安定化電源で給電してあげると、電池マークが充電マークに変化し充電も開始しました。

因みに、USBからの給電は、5.0V 1Aです。タカラトミー製のACアダプターの規格を画像から念のため確認しておきます。

さて、コネクタ以外の機能には問題なさそうなので、コネクタ部品を探して発注します。

やはりですが、このコネクタは国内のパーツ屋さんでは扱いがありません。

従いまして、いつもの経路で部品を探し発注しておきます。

待つこと、2週間。

部品も無事届き比べます。

図面もあるので、発注前にも入念に確認はしておりますが、現物でも目視で比べます。

大丈夫そうですね。

きれいに取り付けできました。

この状態で充電機能の確認をします。問題なく電池マークから充電マークに切り替わりました。

では、本体も組みなおします。

コネクタも無事元通りになりました。

これにて修理完了です。

充電できなくなり、お子様もたいへん落ち込んでおられるとのことなので、これはまた遊んでもらえると思います。\(^o^)/


娘もとても喜んでました。
本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ファービー スピーカー交換修理

ファービーの声が出なくなったということで修理の依頼がありました。

実は、お住まいの地域のおもちゃ病院にまずは診断をお願いしたということです。

当初の起動しない原因が電池ボックスの液れによる電極端子の折れと判明し電極間を導線で短絡した対処されました。

無事、起動し動くようにはなったのですが喋らないそうです。

ここで、当初診断をお願いしたおもちゃ病院様では、これ以上の修理は難しいということで返却されたそうです。

とても大事なファービーということで、販売元のタカラトミーにも相談をされたそうですが、やはり修理の受け付けはできない旨となり、当医院へ相談をされました。

声が出ない以外の動作については問題ないとのことで、事前に動画も拝見できました。

ファービーの声が出ない原因は、過去にも経験がありスピーカー故障が多いです。

では、診断をしましょう。

声が出ないファービー

音声は出ていませんが、それ以外の挙動は快調ですね。起動時のモーターの回り具合も遅くなっておらず、グリス劣化系の不具合の兆候もみられません。

では、分解しスピーカーの状況を確認します。

底面の結束バンドで筐体とぬいぐるみが固定されております。

ぬい合わせが開かれた形跡がないので、前任のドクター様は、原因解析をせず修理不可能という判断を下したようですね。

方々をいじくりまわし壊してやっと修理不可能とするドクターも居られるので、早々に断念いただいたのは、依頼者様にとっても幸運だったと思います。

耳は、可動の支柱の穴に縫い付けられていますので、糸を切って外します。

ただ、この耳の棒は、経年劣化で脆くなっていますので、力を入れるとぽきっと折れますので注意が必要です。折れた場合は、ワイヤーで補強しエポキシ接着剤で固めてOKです。

底面は、結束バンドで絞められているので、ささっとニッパーでカットし外してください。

流用しようとせず、要らぬ事故で筐体を破損しては元も子もないです。以下で代替えの結束バンドを購入しましょう。

ぬいぐるみは、目と口の枠で固定されていますので、お口のあたりまでたくし上げてます。

お口の両側にお目目と口の枠を固定するネジがあります。

また、おでこのセンサーの上でホットボンドでもくっついていますので、枠をずらしつつホットボンドを剥がします。力を入れすぎると枠が折れるので、ここも注意します。

耳もホットボンドで固定されているので慎重に剥がすと無事、脱皮できます。

筐体もカバーがネジ止めされています。

ネジを外すとカバーが開き内部が見えます。

お腹にある白いのが、お腹スイッチでその奥にスピーカーがあります。

また、その導線がコネクタで基板に差し込まれていますので、固定してあるホットボンドを丁寧に剥がしコネクタを抜きます。

ネジを外すとお腹スイッチとスピーカーが外れます。

やはりスピーカーが故障していますね。

声が出ない以外の不具合がないか、仮交換して動作確認します。

スピーカー仮交換動作確認

他の不具合はなさそうですね。起動直後の眠りも数回の振動で起きますし、くちばしや各所のスイッチの反応、マイクの反応、おでこの光センサーにも反応していますね。

因みに、動画でおでこのLEDが光っていますが、これは赤外線LEDでして、ファービー同士が会話するための通信用のLEDです。

人間の目では見えませんが、カメラには光ってみえています。この機能も問題なさそうです。

実は、この会話機能をリモコンで実現したものを当医院の通信販売しております。

さてさて、スピーカーは交換するとして、この機にオススメするメンテナンスをまるっと実施します。

電池ボックスの液漏れの掃除と導線による補修ではなく銅板で補修しなおします。

モーターのグリス劣化で起動不良が起きやすいので、グリスアップしておきます。

拡大鏡で覗き込みブラシの損傷がないので、グリスアップのみとします。

また、お腹と背中スイッチの接点も研磨して復活剤を吹いておきます。

底面の電池ボックスと基板を分離します。このネジ2本で分離できます。

さて、初代ファービーで眠ってから起きないという症状を多く聞きます。

ファービーを逆さまにしたりして姿勢センサーを感知させると起きるのですが、この姿勢センサーの接点が汚れると起きなくなります。

分解し内部の金属接点を磨いておきます。

姿勢センサーの導線がホットボンドに埋まっているので掘り起こします。

蓋は、コテの熱で溶かし溶着されているので、境界の隙間をカッターナイフなどで切り込み蓋を開きます。

電極で金属球が見えますので、外して磨きます。

当初の起動動作確認では寝起き動作は問題ありませんですたので、内部の電極もきれいですね。

次に、液漏れの電池ボックスを対処します。

液漏れの粉は、電極を外して洗浄します。

粉が付着して固まった電極は、ブラシなどで軽く物理的に剥離してそれでも取れない粉は、弱酸性の溶液で中和分解しきれいにします。

追加された導線は、申し訳ありませんが外して、元のように折れた電極のバネを銅板で制作して補修します。

で、折れた電極です。

0.5mm厚の銅板で似た形で作り半田付けします。形を整えて設置します。

良い感じです。

向かい合う電極との接触具合を確認しながわ微調整します。

電池を入れて電極間の電圧を測って確認しておきます。

最後になりましたが、Φ=40mmのスピーカーに交換します。因みにですが、スペースがキツキツなので、薄いスピーカーでないと入りませんので、同型スピーカーに交換し筐体とは強力両面テープで固定します。

ここまでの作業で仮組し動作確認します。

仮組動作確認

問題ありませんね。

ではでは組み立ててぬいぐるみをかぶせホットボンドで再固定します。

耳回りは可動部なのでホットボンドが要らぬ場所に付着しないように注意します。

底面を結束バンドで絞め、耳も耳棒の穴の箇所で縫い付けておきます。

さぁーて、動作の最終確認です。

Part1
Part2

日本語版のファービー君を無事修理できました。

依頼者様の思い出の大事なファービーとのことなので、万事無事に修理できました。

今後も主様と一緒にあそんでもらえると思います。


この度は、初代ファービーを蘇らせて頂き、ありがとうございました。

瀧下先生に辿り着くまでは、もう二度とあの元気な声を聞くことは出来ないのかとひたすら機械音のみで動いている姿を悲しく見つめる日々でした。

細かい質問にも、丁寧に返信してくださったり作業工程も動画で知らせて下さったり、とてもありがたかったです。

喋ってるファービーを確認した時は、嬉しくて泣きそうでした。

おもちゃに対する丁寧な治療と、ご対応に深く感謝です。

治して頂いたファービーとは、これから毎日大切に暮らします。

ありがとうございました。

瀧下先生は、ゴッドハンドを持つ名医です。

~依頼者のご感想より~

できた!がひろがる ドリームトイパッド プラス タッチパネル交換

液晶画面にひびが入ってしまったそうです。

メーカー様や他のおもちゃ病院にも修理を相談をされたそうですが、修理不可能とのことで相談がありました。是が非でも修理します。

※因みに、当医院では4.3インチの液晶画面の割れは常時受け付け対応をしておりますので、どしどしご依頼をください。

では、状況確認しましょう。

ジェシーの上あたりからまっすぐ本体の上側にバキッと割れていますね。

この状態で電源を入れると液晶の描画は正常にしますが、タッチ操作がまったく反応しません。

液晶の描画は正常なので上層に張り付いたタッチパネルの交換で対応します。

念のため割れの衝撃で下層の液晶画面に傷などないかも確認します。

裏のカバーを外し、40ピンのコネクタおよび基板のネジを外します。

電池ボックスの導線も回り込んでいるので、脇に寄せて引っかからないようにしておきます。

液晶モジュールの抑えを外すとシリコンのケースに入った液晶モジュールがお目見えです。

表面のカバーにはスポンジ製の両面テープで液晶の枠に張り付いています。

液晶と筐体の隙間から入ったごみが両面テープに粘着していますので、この機に両面テープも新品に交換しておきます。アンパンのすくすく知育パッドと同じですね。

液晶モジュール単体を外せました。

因みに、液晶の40ピンケーブル以外のケーブルで向かって右側の4線のケーブルがタッチパネルのケーブルで左の2線のケーブルがバックライトのケーブルです。

間違って、バックライトのケーブルはカットしてはいけません。

ではでは、タッチパネルを剥がしましょう。

何気にこの作業が一番気を使います。だって、下層の液晶画面に傷を付けないように慎重に剥がさないとだめだからです。ホットナイフで温度管理をしながらゆっくり、ゆっくりと作業します。

タッチパネルのケーブルも中間でカットし半田付け部も気を付けて外します。

半田が十分溶け切らないうちに強引に剥がすとシートのパッドを剥がしてしまう事態になります。

次にきれいにタッチパネルが剥がせたら、今度は残った液晶の描画確認です。

既にタッチパネル剥がし作業をしていますので、液晶の描画に何かしらの影響が出ているのを知らずに新しいタッチパネルを貼ってしまうとモジュール全交換になり元も子もなくなります。そのため重要な必須確認作業になります。

きれいに描画できていますね。

タッチパネル剥がしで傷もつけることもなく作業できました。

では、次の難関であるタッチパネルを液晶の枠に位置合わせしながら、かつケーブルの端子の位置合わせもしながら張り合わせます。

埃が入らないようにカメラレンズ掃除用の毛の付いた鞴でフーフーします。( ̄b ̄)フー

口でフーフーして拭いてはいけません。余計な物が付くとカビの原因になります。

たいへんきれいに張り合わせできました。

タッチパネルのケーブルは、裏面に両面テープを付けて”最後”に半田付けします。というのも、液晶を本体内部にセットするとケーブルが湾曲したわむので先に半田付けしてしまうと撓めなくなります。

位置調整をしながら、半田付けをしてカプトンテープで絶縁と固定をします。

きれいに仕上がりましたね。

タッチ操作確認

タッチ動作も問題ありません。

操作ができなくなって遊べなくなっているのでしょうから、これからもたくさん遊べます。


今回修理依頼した理由が、おもちゃの持ち主ではなく下の子が投げて壊してしまったためどうしても修理したくてお願いしました。

タカラトミーもできず、地域のおもちゃ病院でもできずだったので本当に助かりました。

電池入れた瞬間からまた遊び始めて、本当に修理お願いして良かったと思いました!

本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

※因みに、本作業は、荷物を受け取ってから6時間以内には返送までできたという超々超特急での作業で完遂できました。