たのしくおしゃべりばいきんまん 電源スイッチと電極修理

セガトイズのたのしくおしゃべりばいきんまんの修理依頼がありました。

ぬいぐるみのお腹に入っている発声モジュールがあり、ボタンを押し度に7種の発声パターンを順に再生するという仕様です。

発声するときもあれば不安定ということです。

不安定ということであればプッシュスイッチの接触不良かもという推測で診断しました。

故障症状

まず、届いた時点、1,2回は途切れ途切れで少し発声しましたが、すぐにウンスンになりました。その後、どうやっても発声することはありませんでした。

電源スイッチが見えるので、早速電源から確認します。

基板端で無事電圧が上がっていますが、電源スイッチのON側に接触不良があります。

不安定動作の要因のひとつですね。

このスイッチは、どこかで見たことあります。

そうです。

アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんのタッチペンでも使われている、接触不良がとても起きやすいスイッチです。

ただ、ノブが8mmのタイプなので、手持ちスイッチでは交換できません。

接点復活剤を吹いてみたのですが、完全な接触不良のようで改善しません。

そこで、3極タイプのスイッチなのでOFF側をON側を逆付けしてこの場を凌ぐことにしました。

とりあえず一旦ON側のみ付けて動作確認をします。

5極の半田付けスイッチなので、ここで半田付けしてしまうと、やり直しが大変なので、ひとまずON側のみとします。

電源スイッチの導通はひとまず回復したのですが、ウンスン状態は改善しません。

( ,,`・ω・´)ンンン?

なんでだ?

そこで、ピンセットで電源スイッチのON側を短絡させ、ボタンを押してみると無事発声します。

まだ電源スイッチに接触不良があるの?

確認のためにON端子間を半田付けで完全に短絡接続させました。

これでも回復しません。

なんと!

電源スイッチは主因ではなかったー!

いろいろ調べます。

調べます。

見つかりません。

焦ります。

ここではじめに戻り再度、基板端での電源をチェックします。

あれ!?

オ・カ・シ・イ

電源が上がっていない。

先にチェックしたときは、無事電圧が上がっていたはず。

そこで、外部電源で動作確認をします。

無事発声します。

しかも、快調です。

動作不安定なんてありません。

電池ボックスを再チェックします。

電極の接触不良が起きていました。

ですが、完全が接触不良でなく、若干の応力で接触したりしなかったりです。

で、この応力が、ボタンを押した際に顕著に出ます。

そうなのです。

押しボタンを押すと、この接触がズレて付いたり離れたりします。

基板端の電極で電圧をチェックすると、テスターのプローブを基板に押し当てるだけで、接触が回復します。プローブを離すと接触が切れます。

ギリギリカツカツだったのですね。

こりゃー見つからんわーね。

曲がって電極を矯正して戻したところ、無事快調に動作するようになりました。

動作確認

問題ありませんね。

これにて修理完了です。


ネットで検索し助けていだきましたが大変ありがとうございます🙇‍♀️

子供が喜んでくれてます。

~依頼者様のご感想より~

くすぐりエルモ ピニオンギア 起動スイッチ不良

くすぐりエルモの修理依頼がありました。

受け付けまで既に半年以上お待ちいただいておりました。

お住まいの地域のおもちゃ病院に診断をお願いし修理不可として返却されたそうです。

諦めきれずということで依頼がありましたが、受け付け、待機患者多数で通常受け付けも既に閉じておりましたので、しばらく待機の上で半年以上お待ちいただき着手できました。

なお、2024年2月現在でも通常受け付けはしておりませんので、ご注意をください。

くすぐりエルモは、筐体が2種類あり、黄色い枠の色が白色の筐体がマイナーチェンジ前の筐体です。

白筐体のエルモは、持病とも言える経年でモーターのピニオンギアが割れて滑ってしまいます。

されに、このピニオンギアも腰曲げ用のピニオンギアが特殊ギアで一旦の市場では入手できません。

以前、CADで設計し3Dプリンターで発注の見積もりを取ったのですが、1個あたり1000円程してしまう事態でした。※ほぼ送料です。

如何ともし難い事態に、所属の日本おもちゃ病院協会にて3Dプリンター仕上げのギアを入手できるようになり、今までも数々のエルモを修理してきました。

さて、今回のエルモの症状を診断しましょう。まずは動作確認です。

電池ボックスに酷い液漏れがありますね。

これもエルモで多い症状です。

でも、んんん🤔

確か修理不可で返却されたはずなのに液漏れの対処がなされていないぞ!

いい加減な診断をしたのかもしれませんぞ。。。

だめだ、こりゃ。

何も液漏れの掃除をしていません。残念なおもちゃ病院にあたってしまったのでしょうね。

残念でしかたありませんが、液漏れは固着した粉を取り除き電極の表面を綺麗にし導通と抵抗値を確認しながら作業します。

ただ、診断を先にしたいので、外部電源でひとまずは起動テストをします。

液漏れは、4本が収納できる電池ボックス側のみでしたので、そちらのみ6.0Vを給電して起動してみます。

起動テスト

おおお!

起動しましたが、明らかに腰曲げで腰曲げの角度を位置センサーが検知できるずにハングアップしていますね。

ピニオンギア割れの典型的な動作です。

ほぼほぼピニオンギア割れですね。

ただ、顎とお腹の起動スイッチでは起動しないことも判明していたので、それらお含めて診断を進めましょう。

まずは、以後は電池ボックスで動作確認をするので液漏れの対象しましょう。

負極のバネを外してこびり付いた粉を除去します。

腐食のためバネ抑えが折れていますので、研摩して半田付けして固定します。

ですが、半田付けによって負極バネの高さが高くなってしまい、単三乾電池の出し入れがきつくなります。

この負極のバネですが、とても応力が強力で電池ボックスが破損していたこともありますので、バネ1.5周分をカットしておきます。

このレベルの液漏れをここまで綺麗にします。

もちろんですが、作業途中でちゃんと抵抗値を計測しながら作業をします。

黒変した箇所はルーターのワイヤーブラシで研摩します。

電池ボックスに組み込み乾電池を挿入し電圧が正確に上がっているかもちゃんと確認します。

問題ありませんね。新品のアルカリ乾電池なので、多少高くは出ています。

これでやっと乾電池での動作確認ができるようになりました。

スタートラインに立った感じです。

では、エルモを開封します。

ここで何や発見です。

足裏が、本来であれば結束バンドで留めてあるのですが、黄色いナイロン製の糸で結んであります。

前任のおもちゃ病院では電池ボックスの結線は確認したのでしょうね。ただ、液漏れの対象を何かもしていないのに内部を診てもしかたないです。

背中の縫い合わせに沿って開きますが、既に開かれていたようでスルスルスルーっと開けました。

顎の起動スイッチが効かないのは断線が原因ですね。

後はササーっと分解してピニオンギアを確認します。

やはり、腰曲げ用のピニオンギアは割れて滑っておりました。

そうすると、腕振り側も恐らく割れていますね。

先の動作確認では腕振りはできていましたが、完全に滑っていなかったのかもしれません。

腕振り側のピニオンギアも割れていますね。

どちらのピニオンギアも交換してしまいます。

が!

3Dプリンター製のピニオンギアは、ジュラコン製のギアと違い弾性がありません。

軸の口径が狭いので強引に挿入すると折角のギアが割れてしまいます。

当医院では、垂直にモーターの軸を熱して圧入します。

ここで肝心ななのは垂直で挿入しないと回転ムラが生じてしまいますので、治具などを用意して圧入します。

モーターの外形の径と同じ筒を厚紙で作成して横からコテ先を軸にあてれるようにすれば大丈夫です。この原理は、アンパンマンのわくわくクレーンゲームのギアの圧入時にも使えます。

で、次に肝心なのは、ギアボックス内のクリアランスです。

圧入位置が浅いとピニオンギアがギアボックスの壁に干渉してしまいます。

位置確認のため、軸にマジックペンで目印のラインを記入しておきます。

成功するとこんな感じになります。

まだあります。

コテで熱して圧入しても緩む懸念もありますので、最後にエポキシ接着剤で根本を固定もしておきます。

電池で軽く回転させピニオンギアの回転ムラがないか確認します。

腕振り側のピニオンギアは、ジュラコン製なので、これはそのまま圧入して大丈夫です。

こちらもギアボックスの干渉位置に注意します。

ですが、上の画像からもハッキリ分かりますが、ギアの噛み合わせを面一にしてもモーターの軸が短すぎますね。ピニオンギアの半分しか刺さっておりません。

さてさて、ここまででピニオンギア割れの処置は完了となります。

次に顎のスイッチとお腹のスイッチを修理します。

オレンジ色の導線は再接続しますが、この作業中に方々の他の導線が取れてしまいます。

もうイヤになるほど取れまくります。

根気よく補修作業をしましょう。

さて、お腹の起動スイッチを調べます。

導電極の表面はサンドペーパーで磨いておきます。

ですが、まだ接触不良が解消しません。

いろいろ調べてみると基板の湾曲してしまいボタンの接点が基板のパターンに届いていません。

しかたないので、ネジ止めしてあるネジの台座を削り幾分前に基板がでるようにします。

この原因が判明するまで、とてもたいへんでした。断線もなく基板間で導通も問題ないのだが、筐体に装着すると接点が接触しません。

シリコンのボタンを直接押すと導通しますが、筐体にネジ止めすると導通しません。

よし!

作業中あちこちの導線が取れたりたいへんでしたが、やっと起動確認できるまできました。

どうでしょうか?

途中の動作確認

お腹も起動スイッチも効きましたね。

ここまで確認できればおおよそ大丈夫ですね。

外した綿を頭に入れて縫い合わせます。

最終動作確認

問題ありませんね。

お目目の黒の一部が擦れているのでマジックペンで塗っておき修理完了です。

お孫様が大好きとのことなので、エルモを楽しい思い出を作ってください。


エルモ到着しました。

とっても元気です😄 エルモと一緒に大笑いしています。

止まってしまったエルモがいつかまた動く日がこないかと、ずっと思っていました。

ボランティア修理ということで半信半疑で依頼しましたが、受付の仕方やメールのやり取りから、本当におもちゃが好きで元通りにしたいと思ってくれる人がいるのだと感動しました。

本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

初代ファービー モーター交換

初代ファービーの依頼がありました。

現在、受け付けはしていないのですが、少し深刻なご事情がありました。

お住まいの地域のおもちゃ病院に診断をお願いしたところ、本体内部まで診断・修理をするようなことはできないということで受け付けしてもらえなかったとのことです。

由々しき事態です。

少し詳しくお聞きすると、電池ボックスの外観のみしか診れず、さらに突っ込んだ診断はできないとのことです。

以下の記事を参照いただければと思うのですが、難しい診断でもなく作業自体も通常のおもちゃ修理と同じようなモーター交換なので、このレベルの作業ができないというと、『おもちゃ病院』という看板自体をおろされた方がよいように感じます。

このようなご事情であればということで受け付けをしました。

電池ボックスに問題ない状態で乾電池を入れ替えても起動しない多くの原因は、モーターの固着です。

初代ファービーは、モーターの回転で各種センサーが状態検知をします。

その初段のトリガがモーターの回転によってもたらされますが、このモーターがそもそも回転しない場合は、全くもってウンスン状態になります。

分解するとモーターのコイル部がむき出しで触れることができるので、外部から回転させてあげるとブラシからの給電や軸回りのグリス固着が解消され起動するようになります。

ここまでは、何とも難しくもない診断と作業です。

ここまでは、診断をしてあげてもいいと思いますよ。。。

依頼者様で外装のぬいぐるみをお洗濯したとのことでぬいぐるみは脱がされております。

目鼻口の枠も外されておりますが、ぬいぐるみの脱着は今後のことも考えて縫い合わせ不要とのことでした。

液漏れもなく電池ボックスは綺麗です。

該当のモーターはこれです。

020という型式のDCモーターです。

昔よく見かけていたのですが、最近は130型のモーターが多いですよね。

さて、このむき出しになっており、コイル部をちょんちょんと回転させてあげたり、接点復活剤やグリスをノズルを使って少し吹いてあげたりすると勢いよく回転し出します。

ですが、根幹は少し事情が違います。

起動回転しだし通常動作も問題なさそうですが、スリープ後起きなくなります。

スリープから起こすには、逆さまにして振動センサーを感知させる必要があります。

逆さまにしてもうんともすんともです。

ここで再度モーターをちょんちょんするとまた勢いよく回りはじめます。

うーん、困った。

ここでリセットすれば、またスリープはしますが、起きるのですが、モーターに何やら起きていますね。

ということで、分解しモーターの状況を確認します。

ブラシには大きな損傷はなさそうですが、コミテータも確認します。

黒い縦筋があります。

この縦筋は、ブラシの接点が長らく接していた線で当初はもっと黒変していました。

スリープ後、起こすには逆さまにするのですが、この逆さまにした際にブラシとコミテーターの接点がズレ導通が取れなくなっているようです。

コミテータを研磨したのですが、上記の画像のように完全には黒変線が取り切れません。

というか、このコミテータを研磨するという行為自体が致命傷になりかねません。

力を入れて研磨すると、コミテータが取れてしまった悲しい過去があります。

一旦軽く研磨しブラシ側も綺麗にしても、恐らく近い将来同じような固着が起きそうです。

また、ここまで分解したのなら、いっそモーターを新品に交換してしまった方がいいです。

020 DCモーターも、数十円で送料を入れても数百円です。

ということで、モーター交換をすることに依頼者様との相談し行うことにしました。

実は、手持ちに部費取り用のファービーが1台あるのですが、部品取り用のモーターは、ブラシが完全に摩耗で穴が空いてしまっており流用できませんでした。

ただ、ネットで修理記事を検索すると、規格が異なるモーターも存在するようなので、複数のモーターを別々に発注かけました。Aliexpressの場合は、不達や破損品も普通に届いたりするので、リスクヘッジのため異なる店舗で複数個の発注が必須です。

さて、モーターが届くまでの間に振動センサーもメンテナンスします。

蓋をこじ開けメッキの球を磨き、内部の接点も復活剤を吹いた綿棒で磨いておきます。

と、2週間程でモーターが届きました。

いづれも、全く同じ規格のモーターが届きました。

軸径と長さ、コイル線の太さ、巻き数、磁束鉄心のロータ―のコア形状も同じでした。

ノイズ対策のコンデンサーの接続もあるので、メモを取り復元します。

外した導線や分解したモーターの台座などなど込み合った形状なので、注意して慎重に組み直します。

ノイズ対策コンデンサーの位置を間違うと収まらないので注意ください。

まずh、分解の状態で1,2日動作確認し、問題なければさらに1日組み上げた状態で動作確認をします。

逆さま寝起き確認

逆さまにしても、問題なく起きますね。

振動センサーの感度も改善されましたね。

動作確認1

動作も問題ありませんね。

動作確認2
動作確認3

モーターの交換レベルは、たいへんでも高い技術レベルが要求される作業でもありません。

自信のない修理を無理に受け付ける必要はありませんが、モーター交換レベルが難しいとなると、それはおもちゃ病院の存在意義という別の問題という感じがします。

無事修理ができ、依頼者様とたのしくいっしょに過ごしていただければと思います。


元気に喋って歌ってみんなで夢中で遊んでおります!!

ずっと諦めていたので直って帰ってくるなんて本当に夢のようでいまでも信じられません!!

瀧下先生に治療していただいてさらに思い出が増えました!

本当にありがとうございます!

この度はファービーの治療をしていただきありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

すみっコパッド USB給電基板交換 USBケーブルプラグ破損診断

当医院のお馴染みになりつつある、アガツマのすみっコパッドです。

新旧どちらのバージョンもUSB Type-Cケーブルのコネクタが破損しやすいという持病があり今回も破損したコネクタを含む基板交換を行います。

当医院では、破損した部品の実装交換はしておらず、より工数のかからない基板丸ごと交換を実施することで工数の削減をし常時修理の受け付けをしております。

通信販売にて、基板のみの販売もしておりますので、こちらからご注文をください。

さて診断をします。

USBコネクタ内の電極が真横に曲がっていますね。

これはかなり危険です。

電源のショート起因にもなるので、即ご使用をやめ修理が必要です。

過去の修理事例でこのような破損でも使い続け電源回路が故障し乾電池でも電源が入らなくなった修理をしたことがあります。こちらです。回路の部品が故障しコネクタ以外にも修理が必要になりました。

乾電池の起動動作には問題ないとのことなので、USB給電基板の交換でよさそうですね。

サクッと交換できましたが、ここで問題が発覚しました。

動作確認のため、お使いのUSBケーブルも同封いただいております。

というのは、コネクタに破損がある場合、ケーブルのプラグ内の電極にも破損が出ていることがあるからです。

そのようなケーブルを使った場合、前述の本体側の故障を誘発する危険性があるからです。

さて、同封のケーブルのプラグは目視上、あきらかな破損はなかったのですが、一部電極の曲がりのような箇所はあるのですが、ショートなどの原因にはなりそうではありませんでした。

ですが、動作確認をすると、電源断が頻発します。

依頼者様に報告したところ、ケーブルがすぐ抜けるようだったとのことです。

やはりそうでしたか、、、。

コネクタ内の電極が曲がったせいでプラグをロックする奥まで挿入できなくなっていたようです。

試しに抜けの状況を確認しました。

抜け確認

破損したコネクタとケーブルのプラグでは、ロックするまで差し込めず、すぐ抜けますね。

ということで、USBケーブルも新しいケーブルを用意いただき使用するようお願いしておきます。

以上で修理完了となります。

動作確認

すみっコパッド無事に受け取り、動作確認できました。

子供たちがとても喜んでおります。 ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

すみっコぐらし パソコン ACアダプタープラグ被覆 マウスケーブル交換

すみっコぐらしパソコンの依頼がありました。

この手のOEM品で同じパソコン型のゲーム機は、多数のキャラクターで販売されおりますが、いづれの商品のマウスケーブルも断線が頻発します。マウスケーブルの断線は、もはや持病のようなものですね。

今回は、ACアダプターの被覆も割れてしまったとのことで一緒に作業します。

ケーブルのプラグの曲げ箇所が割れてしまい、ケーブルの被覆も割れて芯線が見えています。

金属疲労で断線するのも時間の問題ですね。

この手の修理は、一旦カットして内部の導線の破損箇所を取り除き再接続後にプラグを含め全体を絶縁し収縮チューブで補修します。

こちらのマイクケーブル修理と同じ手法です。

ですが、割れ部分がプラグの付け根ギリギリでした。

このようなギリギリな場合は、導線の再接続をするには、プラグの被覆も大きくカットしないといけないため、補修できてもプラグを持ち抜き差しする際の強度に懸念が残ります。

今回は、補修をするのではなくプラグを交換し丸ごと補強絶縁します。

手持ちに同じ規格サイズのプラグがありました。

手持ちは、L型とストレートだったのですが、本商品のACアダプターのプラグは、特殊設計でプラグの先が奥に挿し込めないと導通しない設計になっています。

従いまして、ストレート形状でかつプラグの被覆も段差のあるものでないと届きません。

他のゲームパッドと同じく市販のACアダプターが誤って使用されることがないように専用のACアダプターでしか使用できないようにしています。

極性に注意しながら接続します。センタープラスです。

ここで被覆補修は、数段重ねて補修します。

導線の絶縁を1段目、その周りにビニールテープを巻き2段目の収縮チューブが巻けるようにします。

端には先に外しておりたプラグの一部を元に戻し弾性のエポキシ接着剤を塗っておきます。

固まり始めたら最後に全体を囲うように収縮チューブで固めてしまいます。

プラグ部は、もう完璧に近い強度と絶縁が実現できました。

色合いもぴったりですね。

因みに、USBのアダプターもすみっコぐらしのキャラクター製です。

では次のマウスの断線にかかります。

既に、依頼者様でマウスのカーソル操作ができない点とキーボードの上下左右の矢印ボタンでのカーソル移動はできることはお聞きしていたので、断線かマウス本体の故障か切り分けます。

本体の付け根に疲労による盛り上がりもあるので断線がありそうですね。

まず、ケーブルの導通確認します。

液晶周辺の化粧シールを温めながら慎重に剥がしネジをはずします。

マウスも分解し導通チェックできるようにします。

左が、ケーブルが本体とマウスに付いた状態で導通確認した結果です。1本が断線していますが、だいたいケーブル単体で確認するとほぼ断線しているんですよね。

これで断線が故障原因でしょうね。

ではケーブルを外し再度導通チェックします。

その結果が、右の結果です。9本中、5本で断線していました。

では、いつものようにケーブル交換をします。

やはり複数個所で断線があります。

芯線が極細なので、手で引っ張るだけで切れます。

拡大鏡も必要なので、ここはコツを掴み慎重に皮むきします。

純正のケーブルの径は、4mmなので固定できるようにビニールテープと収縮チューブで補強します。

マウス側もビニールテープと収縮チューブで補強します。

マウスの動作確認をして修理完了です。

動作確認

当初のお問い合わせから既に4か月程経過しておりました。

待ち望んでおられます、お子様が喜んでもらえるとうれしいな。


いつの間にかマウスが使えなくなっており、子供が矢印ボタンでカーソルを移動させて「これでも遊べるよ」と言って使っていましたが、私がやってみるとやはり不便に感じ、何とか直せないものかと調べていたところ、貴院を見つけて依頼させて頂きました。

プラグ部分の割れは、依頼の準備で写真を撮る時まで気付いていなかったので、使えなくなる前に一緒に修理依頼出来てよかったです。

かわいいマウスがまた使えるようになり、子供はとても喜んで遊んでいました。

プラグ部分もとても丈夫になり、安心して使用出来ます。

剥がした化粧シール部分の見た目もほぼ元通りで、とても丁寧に作業して頂いたと感じました。

依頼して本当に良かったです。

この度は大変お世話になり、ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

インタラクティブ トーキングフィギュア ウッディ 電池ボックス接触不良修理

今回は、いつもと様相がちょっと違うウッディの修理依頼です。

2年前にプレゼントでいただいたウッディとのことですが、英語版ですね。

しかも、この商品はインタラクティブモード付の同種シリーズのインタラクティブモードのあるバズやジェシーと会話ができるという商品です。

現在販売されているシリーズは、リミックス版という商品で、日本語と英語を電源スイッチで切り替えられる仕様です。

で、このインタラクティブ版は、言語は一つのみしか実装されていませんが、映画さながらの会話を楽しめるという商品です。※残念ながら、既に絶版となっております。

電池の日本語版と違い、ボタン電池3個でとても入れづらいです。

で、実は故障原因もこのボタン電池の接触が原因でした。

インターネットでの他の修理事例でも同じ症状を拝見するので、持病のような現象かもしれません。

目視上、電池ボタンの電極もボタン電池の電極もこれといった汚れや腐食はないのですが、こんな感じで接触不良を起こします。

電池ボックス接触不良

あからさまに接触不良が起きています。

そもそも電池ボックスのボタン電池ですが、真ん中位置のボタン電池が少し浮きます。

なぜ浮いているのか不明ですが、この浮きも何らかの所以があるんでしょうけど、接触不良を懸念し接点を磨いてみます。

綺麗に拭き上げると接触が回復しました。

動作確認

いやー、この電池ボックスのボタン電池が入れづらい。

イライラするぐらいです。

コツが要ります。

ですが、接触不良改善で無事発声するようになりました。

これで、発声故障の修理は以上となるのですが、インタラクティブモードの動作も診たいです。

会話相手が居ないので、赤外線の送出のみ確認します。

赤外線の送出確認

日本語版のバズは、セリフの最後に発光するのですが、英語版のウッディは、発声と同時に発光するのですね。

以上で今回の修理は完了になります。

お子様が大事に大事にされているということなので、喜んでもらえるといいな。


ウッディが戻ってきて大変喜んでおり、バズと合わせて毎晩一緒に寝ています。

急なご依頼だったにも関わらず丁寧にご対応くださり本当に感謝しております。

~依頼者様のご感想より~

メダルでバトル!!恐竜図鑑パソコンΩ 短絡故障コンデンサー修理

初めての診察商品になります。

同様な商品に『すみっコぐらしパソコン』やメダル版でない『恐竜図鑑パソコン』がありますが、メダルでバトルができるバージョンは初となります。

8枚の恐竜の描かれたメダルがあり、それを、妖怪ウォッチのようにマウスに挿入するという商品です。メダルは、本体上面にはめ込み収納できます。

すみっコぐらしパソコンのマウスで着せ替えのようになっています。

症状としては、数か月使わずに、その後電源を入れたところ、一瞬画面が付いて消えたきりで電源が入らなくなったそうです。

以前、すみっコぐらしパソコンの診断でLCDドライバーがチンチンになっていたことがありました。こちらの記事です。

その時は、返却要請のため時間切れで診断途中で返却してしまったのですが、画面が一瞬付いて消えたということなので、同じような故障症状なのかもしれませんね。

では診断を開始しましょう。

他の同様な商品と同じく電源系とキーボードは、本体底面に収められております。

主回路と液晶は本体上面に収められております。

まず、電池ボックスを確認します。

致命傷ではありませんが、液漏れ痕があるので綺麗にしておきます。

あと、保安部品としてポリスイッチが電池ボックスの渡りにあります。

復帰型のポリスイッチですが、導通も問題ありません。

ところで、ご覧のドクターの皆さん、この保安部品のヒューズが、なぜここにあるのか、説明できますか?

手持ちヒューズがないからと言って故障したヒューズを外し導線で短絡するという、正気の沙汰ではない記事をインターネットで拝見しますが、絶対にだめですよ!

ヒューズが無くたってとか、いちいち細かいことをとか言う、とんでもないことをいう方がおられますが、前述のヒューズがなぜ電池ボックスの渡りに仕込まれているのかも当然そのような方では説明できないと思います。他のヒューズが仕込まれている商品のいづれでも、同じ電池ボックスの渡りに仕込まれていいますよ!

ドクターの皆さんはちゃんと考えてくださいね。

話しを修理に戻します。

電源からチェックします。

本商品は、電源ボタンの押下で起動するのですが、商品の回路仕様としては電池を挿入したところで制御は開始され、スリープ状態で待機しています。電源ボタンの押下でスリープ解除され起動するという流れです。

もちろんですが、ポリスイッチの劣化での抵抗分をもったりとか、液漏れの粉で電圧降下が起きたとかは、事前にさっさともう確認済みです。

電池ボックスの単三乾電池4本ですが、電池ボックスの両端で1.2V~1.5V程しか上がっていません。

あららら~。

どこかでリークしまくっていますね。きっと、どこかの部品がチンチンになっていそうです。

確認のため電池ボックスの導線を外し両端計測すると無事6.0Vを指します。

恐らく起動不良の主因によって、このリークが生じ給電不良を起こし制御IC類への給電ができなくなっていると推測されます。

では、底面にある電源基板を確認します。

電池ボックスとACアダプターの給電排他処理が、P-ch MOSFET 3415で制御されています。

ACアダプター側が優先で、ACアダプターから給電されるとP-chのMOSFETがOFFになり電池ボックス側のDrainからSouceへの給電が遮断されます。

当初、このP-ch MOSが故障して内部短絡でDrainからGate側へリークがあるのかと思いACアダプターで給電し、再度確認したのですが状態変わらずでした。もちろんですが、チンチンにはなってはおりません。

給電の電位は、470uFのパソコンが直ぐ横にあるのでそこで電位を確認できます。

因みに、基板は多層貫通基板で設計されており、特に電源層は内層になっておりますので基板上で解析することがとても困難です。とういうかできません。

念のためP-ch MOSFETを外し部品チェッカーでチェックします。

データシートも比較しVtも問題ありませんでした。ということで、電源基板は一旦白ということで、液晶側の主基板側を確認します。

ここ以降は、電源回路は白として電源は、ACアダプターから給電しながらで故障解析を進めます。

他のシリーズと同じく、液晶周辺に化粧シールが貼られており、固定ネジはその裏に隠れて仕込まれております。

暖めてゆっくり剥がしネジを外します。

化粧シールは、すみっコぐらしパソコンと同じシールで剥がすとシワシワになります。

めくり癖が付くので養生テープで養生しておきます。

いつもの光景が見えます。

やはり同じような構成で設計されているようですね。

マウスケーブルと電源とキーボードの導線およびLCDの40pinのコネクタがあります。

解析のため主基板と電源基板を取り外しリーク原因を探ります。

ACアダプターから給電し基板を眺めます。

依然と470uFの電解コンには、1.5V程度しか供給されておりません。

基板を眺め調べていると、チンチンになっている部品が見つかりました。

というのも、火傷する程ではなく、ほんのりと熱くなっているというレベルです。

その1.微盟電子 SOT23 V2UE

シルク IC103のSOT23のICが暖かくなっています。実は、この裏面の素子も暖かくなっています。

刻印マークのV2UEで検索してヒットせず、横にあるベンダーのトレードマークを見た時、『このマークどこかでみたことあるぞ!』と記憶の片隅にありました。

レギュレータでお馴染みの微盟電子です。

ですが、如何せんV2UEで探すことができないのですが、GND端子の位置からほぼ電圧のレギュレータと推測できます。

SOT23の1pinが、GNDで2pinが、OUT端子で、3pinがIN端子ですね。

電圧を実測してもそもそもリークで電圧が落ち込んでいるので、IN=1.1V程度でOUTもそのまま1.1V程度にしかありません。

で、V2UEを取り外しリークが止まり470uFの電解コンデンサーの電位が6.0V程までに回復するか確認します。

ざんねーん!

リークのまま電位は回復しません。

しかも、まだ基板が暖かいです。

( ,,`・ω・´)ンンン?

IC103のV2UEが犯人かと誤認逮捕したようです。

基板も指で摘まみ確認すると、なんと!

ちょうど裏面のQ101のSOT23が熱いではないですか!

J3が熱くなって基板を伝い裏面のV2UEが熱いと誤認していたようです。

その2.SOT23 J3 S9013

Q101シルクのJ3刻印 S9013 NPNトランジスタが熱くなっています。

さっそくJ3のトランジスタも外してチンチンが沈静化するか確認します。

まずは、取り外したS9013は壊れていて欲しいのですが、チェッカーで確認します。

問題ありませんでした。( ̄▽ ̄;

犯人と思っていたのに、ざんねーん!

もちろん落ち込んでいる主電源の電位も回復していませーん。

おやおや、これは迷宮のアンドローラ状態です。

チンチンになっている犯人を外したけど電位は回復せず、もちろんリークも止まりません。

ということは、このJ3のチンチンは、他にあるリーク要因によって副産物的にチンチン化したのかもしれません。

電源の電位が落ちるリーク要素は考えれば数知れない数あります。

IC部品でいえば電源GNDの短絡ショートからトランジスタでも異常Vtでじゃんじゃん電流が流れたりといろいろあります。

また電子回路を考えてみても、先の電源補償用の電解コンデンサーやノイズ対策のパスコンやインダクタもあります。

んー、悩みます。

また、最初にもどって基板を眺めます。

困ったときは、これに限ります。

指で他にチンチンになっている部品はないか確認すると!

あっちー!

今度は指で触れないほどチンチンになっている部品がすぐ分かります。

そうです。

先のV2UEやJ3は副産物的にリーク元が原因で熱くなっていたのですが、その部品が無くなったので、主原因であるリークが顕著になり、主犯格の部品がものすごくチンチン化しています。

その3.電源補償用チップコンデンサー

C104のチップコンデンサーがものすごく熱いです。もちろんですが、触れることすらできません。※火傷注意です。

片方がGNDでもう片方が電源であることはVIAの数と打ち方で直ぐ分かります。

特に電源の島には、VIAが6箇所打ってあるので、インピーダンスを落とすためと推測されます。横のC105は容量の違うチップコンデンサーですね。電流もそれ相応に流れる前提で基板設計されていますね。

因みに、自分は一応プロとしてプリント基板の設計経験があるので、このような判断ができます。

チップ部品のサイズは、1608です。※因みに、シルクのC***なので、コンデンサーですね。

早速このチップコンデンサーを外しますが、電源側の熱容量が大きく半田を溶かしてもチップコンデンサーが取れません。かなりランドに熱が放熱されているようです。サーマル接続ではなくベタでランドが島に乗っかっています。

仕方ないので、半ば強引に外します。

うううう、、、。

電源側のランドごと剥がしてしまいました。

ですが、剥がれたのは銅層の上に付いたランドメッキで、その下に銅の島が露出していますので、再度半田を盛れば問題なしです。

さて、ここまでで電位が回復するか確認します。

おおお!やったー!

電位が6.0v程迄回復しています。

犯人は、このチップコンデンサーでした。

チップコンデンサーの短絡故障でリークが発生し、その副産物的にV2UEの電圧レギュラーターとJ3 S9013のNPNトランジスタも発熱していたようです。

V2UEとJ3は元に戻して一応念のため主電源の電位が回復したままか確認します。

問題ありません。もちろんですが、先のチンチン化もしていません。

さてさて、C104 1608のチップコンデンサーはどうしましょうかね。

容量が分かっていないので、手持ち1608サイズで一番大きな容量の1uFのチップコンデンサーに交換します。

サクッと仮組し起動テストしましょう。

ドキドキですね。

主電源の電位が回復しても起動しない場合もあります。

どうでしょうか?

起動確認

やったー!

問題なく起動しますね。動作も問題ありません。

チンチン容疑者、二人の誤認逮捕した時は、もうこれはダメかもしれないと思ったのですが、無事、真犯人を探し出せ修理できました。

後は、粛々と元通りになるように組み立てます。

シワシワになった化粧シールも再度、暖めながら貼りつけます。

とここで、そういればメダルの認識確認はしていなかったと気づき8枚のメダルをマウスに入れて認識確認をしました。

そうすると、1,2枚のメダルで誤認識がありましたので、マウス内の検知スイッチに接点復活剤を吹きコキコキしておきます。

5列ある真ん中のスイッチが反応していなかったのですが、コキコキで復活しました。

メダル系は、妖怪ウォッチと同じですね。

動作確認

問題ありませんね。

昨年のお問い合わせから、数か月お待ちいただく事態にもなりましたが、無事修理もでき安心です。

お子様も楽しんでもらえたらうれしいです。


早速子供が喜んで遊んでおります。

これからも大切に使わせていただきます。

丁寧かつ迅速にご対応くださり、大変感謝しております。

お忙しい中ありがとうございました。

多数のお問い合わせや修理対応で大変かと思いますが、応援しております。

ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ロボパピー フレンドリープッチ 軸割れ修理

地域の外来で勤務しているおもちゃ病院で赤外線リモコン式のパピー犬をお預かりしました。

昨年のクリスマスにプレゼントとしてもらい、すぐに壊してしまったとのことです。

四足歩行もしますが、両足裏にタイヤがあり、後ろ足内部に駆動用モーターも仕込まれており、ほぼラジコンのようにコントロールできます。

送信機も日本語のボタンに”すすむ”や”ダンス”などの動作で明記されています。

机の上で走らせていた時に落下させてしまったそうです。

それからは、内部のギアがガ!ガ!ガ!となってしまうそうです。

診察当日の会場でも再現をしていただきましたが、あきらかにギアが噛んだか外れたかで異常なノイズを発しております。一度、ノイズ状態になると、もう噛んだまま元に戻ることはありませんでした。電源を入れるだけで、初期状態になれずギアのノイズが鳴りっぱなしです。

送信機は乾電池式ですが、本体はリポの充電池で可動します。

外見で既にネジ穴が多数見えるので開封は簡単そうですが、四足の付け根の外し方が不明なので、その点を調べながら診断をします。

まず、四足の付け根に黒いカバーがはめ込まれております。外すと軸のネジがみえます。

四足ともネジを外すと前後とも足が外せます。

前足は、前後可動を軸の回転で実現しており、足裏に空転するタイヤがあります。軸のネジを外すだけで簡単に抜けます。

後ろ足はそうはいきません。

駆動タイヤは、足内部のモーターとギアで駆動されております。

モーターの制御は導線が軸横の隙間で導線が本体まで接続されております。

こんな感じです。

モーターの導線は外さないと分解できないので導線の色を間違わないようにモーターにメモしておきます。

んんん!?

モーターの電極がちょっと違うぞ。

マブチモーターと違い、使用されているモーターはハイパワー向けのカーボンブラシと専用コイル設計です。

で、電極の片側がノイズ対策でケースGNDされるような電極になっております。

半田が盛られているので最初盛った半田がケースに接触しているのかな?と思ったのですが、これはモーターの仕様でした。

指で軸を回してみても、明らかに磁力の強いハイパワーモーターです。

さて、これらの分解を粛々と進めていき、頭部や本体のネジを外すとカパッと割れます。

本体お尻のところのリポバッテリーがみえますね。大容量電池です。

先のハイパワーモーターにしろ、この大容量リポバッテリーにしろ、このパピーは侮れない力の持ち主かもしれません。

さて、四足の駆動仕様は、下腹に制御基板やスピーカーがあり、胸にギアボックスがあります。

イワヤの赤ちゃんシリーズのように前後の足はクランクシャフトで前足のギアボックスから後ろ足に伝わるようになっています。

なるほど、歩行などの制御はクランクシャフトでギアボックス制御して、タイヤによる前後、回転は後ろ足内部のモーターが単独で駆動するのですね。

さて、ではノイズ源のギアボックスを調べます。

既に目視で明らかにオカシイのか分かります。

なんか、出ちゃってる。

こんな感じでクランクシャフトを駆動するツメの付いた軸が、ギアボックスのハウジングから出ちゃってます。

イヤな予感満載です。

こんな感じ出ちゃうってことは、明らかに外れたか破損したかですよね。

外れただけならいいんだけど、、、。

ざんねーん!

がっつり軸受けが割れて破片が落ちています。

お預かりした時に、内部でカラカラ音がしていたのは、これですね。

詳しく見ます。

モーターからの駆動がギア3つで破損軸まで伝わりクランクシャフトを駆動します。

クランクシャフトの軸は六角形の軸で圧入されております。

割れたのは、この六角の軸受けですね。

落下時の衝撃が足からクランクに伝わり六角の軸を回し、その力で軸受けが割れたのでしょう。

( ,,`・ω・´)ンンン?

そーいえば、箱に注意書きのチラシがありました。

足は、無理に動かさないで、”まて”コマンドでホーム状態にしないと破損するよってあります。

インターネットで本商品の修理事例を見てみても同じような症例があり、この六角の軸受けが割れています。

クランクシャフトが、てこの原理で無理に回されて力が逃げることができず、一番弱い軸受けが割れたのでしょうかね。

因みに、この軸はトルクギアになっておりますが、トルクが逃げ切れず破損しています。

軸受けが極端に薄い肉厚というわけでもないのですが、他の症例でも六角の軸受け以外にもクランクシャフトの軸受けの割れなどもあります。

いづれも外力が内部に伝わった際に力の抜け所が、軸回りに集中するようです。

今回は、机の上からの落下による力が足から内部のギアボックスに伝わったケースですが、動作をさせてみると分かりますが、前述のハイパワーモーターで壁に衝突してしまうと、同じような衝撃でギアボックス内に破損がでると思います。

商品の出力に対し耐久性能が足りないのかもしれません。

さてさて故障解析は以上までとし修理について検討をします。

先のネットの修理記事では皆さん、ワイヤーでぐるぐる巻きしてエポキシかレジンで丸ごと固めておられますね。

それでもいいのですが、前述のような故障解析で、相当の力が今後も掛かることを想定すると、巻いたワイヤーが緩む可能性が大きいように感じました。

しかも以下をみてください。

割れた軸受けをマスキングテープで仮止めして隣接するギアとの干渉を確認します。

ギリですね。

ペンで干渉帯に斜線をいれましたが、割れの補修がこの干渉帯を避けるよう検討しないとイケません。

下手に軸受け周辺にリペア補修などするとギアに干渉してしまいます。

ワイヤー固定もしたくないので、いろいろ検討した結果アルミパイプで補修することにしました。

軸受けの径は、実測外形Φ=7.35mmです。

ちょうど手持ちに内径Φ=8mmのアルミパイプがあります。

このアルミパイプは、外形Φ=9mmで肉厚が0.5mm、内径Φ=8mmという商品です。

実物であててみると多少、内径が小さいレベルで圧入するにはもってこいでした。

因みに、以前近くのホームセンターで売ってたのを別の修理で購入した残り物です。

では、どうやって補修するかというと、前述の干渉帯は手を付けることができないので、干渉帯の上下に3mm厚でアルミパイプをカットし2箇所で割れた破片を固定するという段取りです。

パイプカッターで4mm厚ぐらいでカットしヤスリで希望の厚みにします。

また、内径がやや小さいので、ラジペンの先で少しづつ微妙に径を拡張しつつ圧入します。

径を拡張過ぎるとガバガバになったり、アルミパイプが破断するので、注意して作業します。

1段目を入れて感触と掴みます。

破断しないかヒヤヒヤしながら干渉帯に掛からない破片先の奥まで挿し込みます。

2段目も面一で圧入します。

この作業かなり大変です。

1段目を破断しないように置くまで圧入するには、治具が欲しいところですが、自分は残ったアルミパイプで押しまくりました。

綺麗に2段で圧入できました。

で肝心の干渉帯を確認します。

ばっちり脱げることができました。

因みに、クランクシャフトの六角の軸は、溝から出るホゾがあるのでアルミパイプ内部に収まるようにカットして短くしておきます。

このホゾにちょうど噛むようにします。

クランクシャフトの軸を差し込んだままで接着剤を流し込んでおきます。

もう隙間もないくらいなので、シアノアクリレート系のサラサラ系を使います。

こんな感じです。

固着を待ち、ギアボックスを組み立て実際にモーターで駆動させ干渉など起きていないか確認します。

干渉確認

問題ありませんね。干渉ノイズもありません。

軸受け割れと分かった時点で強度的にどうすべきか悩みましたが、手持ちの部材で補修ができました。

では、粛々と組み立てます。

ネジが多いので途中途中でネジの残数とネジ穴の数の一致を都度確認します。

本体が組みあがった時点で再度動作確認します。

ワンワン動作確認

よさそうですね。

では、後ろ足のモーターやギアの組みつけもして最終動作確認もします。

動作確認

問題なさそうですね。

他の修理記事からも軸受けやクランクシャフトの破損故障が多いです。

外的衝撃で破損が生じやすいので、この点に注意していただき遊んでもらいましょう。

ワンワン!


すみっコパッド USB給電基板交換

すみっコパッドのUSB給電コネクタ破損のためUSBケーブルからの給電が不安定とのことで修理のご依頼がありました。

当医院では、マイナーチェンジ前後ともUSBコネクタ破損に対応できます。

破損していますね。

電極の一部も折れています。

USBケーブルからの電源が切れたり繋がったりして不安定になっていたようです。

サクッと交換してしまいます。

マイナーチェンジ前後ではコネクタの位置が異なります。

因みに、この基板はこちらで単体でも販売しております。

さて、ここで他の機能動作も確認します。

このUSB給電基板には、HOMEボタンの機能もあるのですが、HOMEへ戻る感度が悪いです。

シリコンボタンの接点を磨いておきます。

感度が良くなりました。

因みに、導電性の塗料なので磨き過ぎると塗装層がなくなり、終わりの世界です。

問題ありませんね。

これで乾電池の消耗を気にすることなく、存分にあそべますね。楽しんでくれるとうれしいです。


無事に届いて、ホームボタンも新品のような感度で、感激してます。

本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

アンパンマン カラーパソコンスマート マウス断線修理

パソコン型の玩具は各社からいろいろなキャラクターの製品が販売されております。

今回はバンダイ製のアンパンマン カラーパソコンスマートです。

マウスの上下移動ができなくなったとのことです。

当医院では、過去にすみっコぐらしのパソコンのマウス断線を多く修理してきた経験がありますが、今回のアンパンマン カラーパソコンスマートははじめてなので、事前予習をしておきました。

同じようなマウスケーブルの断線修理記事が多く掲載があります。

では早速診断しましょう。

久しぶりに拝見しました。マウスは、ボールマウスですね。

現在は、レザーマウスが主流ですが、以前はこのようなボールをコロコロしながら内部の軸をクルクル回しカーソルを移動させていました。

CADもこのマウスを使っていたのですが、今となっては精度的に結構無理がありそうですね。

マウスを操作すると、上下方向は一切動かず、ピクピクする程度です。

まず、故障の多いケーブルの断線を疑うのではなく、故障箇所の切り分けをします。

故障は、マウス本体なのか?

ケーブルなのか?

はたまた、パソコン本体なのか?

ご覧の皆さんへ、安易にケーブルだと決めつけ交換して、やっぱり直らないという残念な診断ではダメですよ!

あ”-、、、。

まぁ、ケーブルが抜けないようにクルクルしているんだろうけどね。。。

この付け根が断線するんですよね。

ケーブルは7芯ケーブルですね。

因みに、すみっコパソコンや恐竜図鑑パソコンのマウスケーブルは9芯でした。

では、まずマウスの動きは正常か確認します。

赤外線ダイオードとフォトリフレクタがX軸とY軸用に設置されており、コロコロするボールでスリットのある羽が回転しパルスを生成します。

赤外線ダイオードの発光を確認します。

基板上の給電の電位を確認します。

Vccの電位が上がっていることを確認します。GND側が1kで電流制限されております。

発光は、X軸、Y軸とも問題ありませんでした。

次に受光側を確認します。Vccの電池を確認します。cx, sx, cy, syの波形をオシロで確認します。信号は、10kでプルダウンされております。

各軸の羽が回転すると信号線にネガティブパルスが現れその時間で、X軸かY軸かとCWかCCWを判断しているようです。

回路は10kでプルダウンされており、羽が無回転な場合はVccでハイドライブされ回転によってローパルスが出力されるという流れですね。c*信号かs*信号かでCWかCCWですね。

ついでのマウスの仕様も確認できたのでマウス側の機能は問題ありませんでした。

次にケーブルを疑います。

これは、いつものようにケーブルの両端の導通をチェックします。

そのためには本体を開封しないといけないのですが、これもいつものように液晶周辺の化粧シールを剥がしネジをあけます。

ただ、このアンパンマンカラーパソコンスマートの化粧シールは少々事情が違いました。

強引に剥がすと印刷された絵柄までもが剥がれて終わりの世界です。

粘着が強力すぎるのでしょう。

ドライヤーなどで温めながらゆっくりはがします。

とある、おもちゃ病院の修理記事を鵜呑みにして隠しネジを外すだけなのに、化粧シールのネジの箇所に”穴”をあけてしまう方がおられますが、だめですよ!

温めれば剥がせるのだから、ちゃんと温めてきれいに剥がしてくださいね!

手抜き作業を言われてしまいますよ!

ネジ穴箇所にて養生テープを貼って剥がしやすくしておきますが、後で気付きますが、養生テープにも強力に付いてしまい、結局また温めて剥がしました。( ̄▽ ̄;

いつもの光景が見えました。

これでケーブルの両端で導通チェックできます。

既にY軸の上下のマウスカーソルの動きができないのは判明しているので導通不良もすぐ分かりました。

cy信号線が断線していました。

怪しい曲り箇所を指でコキコキしてみたのですが、もう完全に芯線が離れてしまっているらしく、いくらコキコキやっても導通することはありませんでした。

さて、次にパソコン本体側の動作に問題があるかも確認します。

断線したcyを他の導線で接続しマウスの上下羽をくるくるしてみます。

問題なくカーソルが動きますので、ケーブルの断線で決定ですね。

ここでやっと修理方針を検討できます。

この手の多芯ケーブルは、色、柔らかさ、芯線数、ケーブルの径を合わせる必要があります。まぁ、色は最悪違ってもいいですが、これがそんな都合よいケーブルが見つからないのです。

以前お世話になったケーブル専門店をみると交換できるケーブルがあるにはあるのですが、送料を含めるとやや高額です。

そこで、先人様のお知恵を拝借すると、なんと極細LANケーブルが代用できるという有力情報を入手しました。

LANケーブルはツイストペアの芯線が8本なので流用できそうですね。

よさげですね。ケーブル径もΦ=3.8mmで元々のケーブルの径が、Φ=4mmなので大丈夫です。

シースが太目で芯線の被覆も色分けされております。ツイストペアのペア側が白になっているので、後で区別できるようにマジックペンで色塗りしておきます。

ただ、細すぎて皮むきがたいへんでした。

てもち0.05sqのワイヤーストリッパーでも皮むきできません。AWG30程度でしょうか。

仕方ないの、慎重に手で皮むきします。

正直これが一番大変でした。

白ケーブルには、区別できるように赤と青のマジックペンで色塗りしておきます。

因みに、ケーブルの長さは50cmで大丈夫です。

拡大鏡とピンセットで半田付けします。

余った芯線はカットします。

マウスとしてのケーブルの柔らかさには問題ありませんが、マウス内部の1回転し固定できる程は柔らかくないです。

強引に巻くと筐体のプラスチックが破損しますので、ここはやむなくクネクネのみとします。

本体側もサクッと半田付けします。

各信号線と芯線の色分けはメモなどを取り間違がわないようにね。

余った芯線は根元でカットしておきます。

ここで一度動作確認をします。ここで確認をしないと、後で問題が発覚すると、例の液晶周辺の化粧シールをまた剥がさないとイケなくなります。

ささっと組み立て最終動作確認をします。

動作確認1
動作確認2

マウスの動きがぎごちないのは、ボールマウスの操作が下手なだけです。

さてさて、これにて修理完了です。

8芯までの多芯ケーブルは、今後は極細LANケーブルで決まりですね。

マウスがまた使えるようになったので、喜んでもらえるといいな。


早速子ども達が喜んで遊んでおります

改めてこの度は我が家のおもちゃを修理していただき誠にありがとうございました

8年程前に購入した思い出のたくさんつまったパソコンですが、我が家の子ども達は大好きでよく遊んでいます

数年前からマウスの不調に気づきながらも、どうしたものかと悩んでおりましたので、今回ご縁に恵まれておもちゃ病院で修理していただき心より感謝しております

また、このような取り組みをされている事に感動致しました

ものを大切にする事を子ども達にも伝えたいですし、修理していただいた事に感謝して、またたくさん遊んでいきたいと思います

この度は本当にお世話になりありがとうございました

お身体にお気をつけて、これからも素敵な活動を陰ながら応援しております

~依頼者様のご感想より~