
数年前の保管前に乾電池を抜き忘れ液漏れを起こしてしまい電池ボックスの電極が折れてしまったそうです。

負極側は、まさに液漏れの腐食の影響をもろに受けており1箇所は折れてしまっていますね。
付着した粉もてんこ盛りです。

正極側は、それほどでもないですが、液漏れの粉がいっぱい付着しております。
この手の修理は、電極を外し研磨して補修できるかどうか判断します。
まずは、外部電源で給電し電池ボックスの腐食以外の動作に問題はないか確認します。
問題ありませんでした。電池ボックスの処理のみで修理できそうです。
まずは、カシメてあるリベットを削り外します。

付着した粉を削り取り、腐食による錆も研磨します。
研磨後は磁石に付かないので母材は、銅か真鍮のようです。
無事な電極は、磁石に付くのでメッキはニッケルです。
さて、メッキを削り取ってしまうと、今後自然腐食で表面が錆びてしまうので、研磨後ニッケルで再メッキ処理します。
では、作業を開始します。
導線も腐食で芯線が真っ黒ですね。

腐食した導線も交換します。
カシメてあったリベットを外すと再度固定するためにどうするか悩みますが、当院ではネジ締めをします。

特に負極側はバネのようにたわみので固定の強度が必要です。
でも、普通のネジ締めではありません。
電極に鉄製のナットを半田付けします。
電池ボックスからは、低頭フラットヘッドのM2.6のネジで締めますが、ネジロック剤でネジを固定します。

低頭のフラットネジでないと、乾電池の側面に干渉し乾電池が入りませんし、そもそも乾電池の短絡事故になります。
さらに電極と筐体、ナットとネジは、メタルロックでもカチコチに固めてしまいます。

腐食で断線した渡りの導線とヒューズも交換します。
ヒューズは、規格が不明でしたので、安定化電源で消費電流を計測し稼働時の誤差などを考慮し選定します。

正極側です。

再メッキしているので、電極もピカピカです。
で、固定部分は丸ごと固着させます。

固着のやり過ぎ感もありますが、ここまで固定すればネジが緩むこもないと思います。

乾電池を挿入して各所の干渉の有無と通電し電池の確認もします。


ばっちりです。
早速使ってみたところ息子が声を出しながら眺めていました。
また使えるようになってうれしいです。
ありがとうございました。
~依頼者のご感想より~