DWE 両面デジタルプレイメイト 動作モード切替ノブ軸曲がり修理断念

デジタル版のプレイメイトの修理依頼がありました。

カード表裏の再生は問題なくできるのですが、裏面のマイク録音ができないそうです。

両面版のデジタルプレイメイトでは、裏面のみですが、録音モードでカードの音声と一緒に自身の発音を録音し、先生+生徒モードで再生確認できます。

矢印のノブをマイク録音モードにして録音しても録音中点灯するはずのLEDも点灯せず、もちろんですが、先生+生徒モードでその録音して音声も再生されないないそうです。

過去にマイクで録音できない症を診たことがあります。

その際は、外付けマイクのコンデンサーマイクが故障しており外付けマイクで録音しても音声が拾えない故障で、かつ本体側のマイク端子のジャックの切り替えバネが故障し常時外付けマイク側が有効になっていたという故障でした。

そのため、どんなことをしても無音でしか録音できませんでした。

ここで整理すると、マイクで録音すると録音の最中は、LEDが点灯します。

ですが、今回のプレイメイトでは、録音中でもLEDが点灯しません。

LED点灯しない

正常であれば以下のように録音中は、LEDが点灯します。

LED点灯

この事から、マイク側やプラグ切替のジャックなどの故障ではなく、そもそも録音モードになっていないため録音ができていないようです。

実は、届いて状態を目視確認すると、何やら怪しい状態でした。

カード差し込むスリットのカバーがズレて外れています。

このモード切替ノブを回転させると、何か擦れているような抵抗感があります。

さらに横から見ると斜めになっています。

黄色矢印の箇所に白濁した点があります。

この箇所には、モード切替のセレクター部品のセレーション軸があります。

以上から、落下などの強い衝撃でセレクター部品の軸が曲がってかつ軸が押され矢印ノブを突き破ろうとしたようです。

ハハーン、このモード切り替えが、先生モードに固定されているので、録音できなくなっているかもしれません。

常時先生モードに固定されているので、どんなことしてもカードを再生するのみとなります。

ではではと分解してセレクター部品の状態を確認しようと思います。

分解の経験があれば、ご存知かと思いますが開封にはこの矢印ノブを引き抜き軸を固定しているナットを外す必要があります。

以前の他の修理案件ですが、右側のセクターの軸がナットで締めてあります。

ですが、この矢印ノブが抜けないのです。(´・_・`)

どんなに引っ張っても抜けません。

たぶんセレーション軸が曲がってノブに食い込んでいます。

てこの原理でこじっても針金をノブの底面に回しても全然ダメです。

力ずくで抜くしかありません。

たぶん、ノブが割れます。

ちょっとやそっとの力加減ではありません。

クランプでノブを固定しハンマーなどで上方へ叩くなどしないとダメそうです。

そんな衝撃を与えると、接触不良を起こしているこのセレクターの状態がさらに悪化する懸念があります。

既に曲がっている軸がおれ、現状接触している先生モードの導通も不導通になりかもしれません。

さらに、基板に半田付けされている箇所にクラックが入るのも心配です。

依頼の機種は、QAカード対応の機種でこのタイプの機種では上位機種になります。

診断のために現状よりも状態を悪化されてしまっては勿体ないです。

録音するのなら、他の両面対応のプレイメイトでもできます。

依頼者へ、この状況を説明をしたところ、リスクを冒してまでもということで、今回の診断については中止となりました。


診断不可の結果となってしまい少し残念でしたが、大事に使いたいと思います。

ご丁寧にリスクの説明をしていただきましてありがとうございました。

今後も機会がありましたらぜひよろしくお願いいたします。

~依頼者のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100修理

トーキングカードを自動で引き込み再生しないとのことです。

カードを手で押してあげると音は出るそうなので、電子回路に致命的故障は起きてはいなさそうです。

ゴムベルトが、劣化で伸び切っていますね。

長期の保管時の曲がり癖も付いてします。

カード引き込むゴムローラーも完全に硫黄分が抜けカチコチになっています。

硬質のプラスチックのようにパリンと割れます。

ゴム系部品以外では、部品交換を要するような故障はなく、各所のメンテナンスで修理できそうです。

各所の分解し劣化してグリスの塗り直しやさび落としをします。

新品のゴムローラー部品に交換します。

カード挿入を検知するマイクロスイッチも分解し接点を研磨します。

スイッチON時に火花が散るので接点の表面が黒くなっていますので研磨してON時の抵抗値を確認します。

磁気ヘッドのアジマス調整とカードの再生速度の調整なども終え修理完了です。

動作確認

問題ありませんね。


30年以上も前のものが、復活し、感動しています。嬉しいです。

クリスマスプレゼントと一緒に、孫に送ります。

お願いして良かったです。

心よりお礼申し上げます。m(_ _)m

~依頼者のご感想より~

ソニーカードリピーターCP-55/CP-55A 3台修理

ソニーカードリピーター CP-55 3台の修理依頼がありました。

それぞれの症状を確認し診断しましょう。

1番機 CP-55

カードを引き込みせず、自動再生もしないとのことです。

手で押してあげると何かしらの音は出ているので、電子回路に致命的な故障はなさそうです。

このCP-55は、短尺カード用の機種なので、長尺カードの場合、リピート再生してもカードの冒頭の音声がリピート再生できない仕様です。

ゴムベルトが、伸び切っておりフライホイールが回転できません。

ゴムローラーも劣化しているので、ゴム系部品は全て交換してしまいます。

本機は、プーリー軸のグリス固化は出ておりませんが全て分解しメンテナンスします。

その他の箇所も分解しメンテナンスします。

磁気ヘッドのコアも摩耗がありますが、まだまだ使用できます。

ただ、ゴムローラーを交換するのでアジマスの調整はします。

新品のゴムローラーとピンチローラーの合わせ目にも気を付けます。

ピンチローラーの角度を間違うとカードが再生中に浮き上がります。

これにて機構部の修理とメンテナンスは完了です。

CP-55の持病で、再生音量やリピート再生時の音量が小さくなってしまう症状があります。

ACカップリングコンデンサーの容量抜けが原因です。

本機は、まだその症状は発現しておりませんが、依頼者を相談し予防措置的にカップリングコンデンサーを交換します。

これにて修理およびメンテナンス完了です。

1番機 動作確認

問題ありませんね。


2番機 CP-55A

カードを差し込んで再生しても、伸びたような音がするそうです。

2番機もゴム系部品の劣化が原因のようです。

おかしいなりにでも音は出ているの電子回路に致命的な故障はなさそうです。

ゴムベルトが伸びて滑っています。

伸びたような音になっているのは、滑っているが回転が遅くなってしまったためでした。

また、ゴムローラーの表面も固化しておりますので、2番機もゴム系部品を一式交換します。

本機も分解し隅々までメンテナンスします。

2番機は、かなり使い込まれていますね。

磁気ヘッドのコアの摩耗も偏摩耗していますので、2番機もアジマス調整します。

2番機も再生音低下の症状は出ておりませんが、予防措置的にACカップリングコンデンサーを一式交換します。

2番機 動作確認

CP-55Aなので、長尺カードにおいても問題なくリピート再生できます。

以上にて2番機の修理およびメンテナンス完了です。


3番機 CP-55A

3番機も2番機同様にカード再生時伸びたような音がするとのことです。

3番機もゴム系部品の経年劣化にて動作不良を起こしていますので、ゴム系部品を一式交換します。

各所分解しメンテナンスします。

磁気ヘッドのコアも摩耗がありますが、まだまだ使えるレベルです。

ただ、何故か3番機のアジマス調整に難儀しました。

再生音質が不安定で最適なポイント出しにかなり苦労しました。

ACカップリングコンデンサーも交換して動作確認します。

3番機 動作確認

最適なポイント出しに苦労しましたが、無事修理できました。


3台ともゴム系部品の経年劣化が故障原因の主因でしたが、無事可動できるまで修理できました。

まだまだ活躍できる機種ですので、今後も活躍いただけると思います。


ゴミとして捨てるしかないかな…とあきらめていたところネット検索で【宅配おもちゃ病院】と出会って救われた思いです。

昭和時代からのカーディーはアナログなので希少であり、私自身も大好きです。

そして、デジタル世代、令和のこどもたちにもかなりのお気に入り教具です。

作業工程を細やかにご連絡していただけたので大変安心して待てました。

深く感謝いたします。

~依頼者のご感想より~

ソニーカードリピーターCP-55A

久しぶりの依頼でしたが、CP-55Aの修理依頼がありました。

CP-55Aは、長尺のカードのリピート再生にも対応している機種となります。

およそ30年前に使用していたとのことでした。

自動でスリットに差し込んだカードを引き込み再生しないそうです。

手でスライドさせると、おかしいなりに音がスピーカーからはしているとのことなので電子回路系の致命的な故障はなさそうです。

では、診断しましょう。

早速ですが、プーリーのベルトが無くなっています。

ゴムローラーも表面が固化しはじめていますね。

ありゃりゃりゃりゃ、ゴムベルトが切れてモーターに巻き付いています。

溶けて切れたわけではなかったので除去が簡単でした。

磁気ヘッドのコアには、カードの磁気テープとの密着摩耗がありますが、綺麗でまだまだ使えるレベルです。

ゴム系の劣化部品は、新品に交換します。

その他の機構部も分解しメンテナンスをしておきます。

ゴムローラーも新品にします。

さて、CP-55/CP-55Aの持病ともいうべき、ACカップリングコンデンサーの容量抜けがあります。

過去の修理実績では、約1割~2割で容量抜けによる再生音の低下がありました。

そのため、CP-55/CP-55Aの依頼のあった方には、今後の予防措置的にコンデンサーの交換のご希望をお聞きしており今回も交換をすることになりました。

では、再生確認をします。

動作確認

バッチリですね!

特に、依頼者様が同封されたカードの状態がほぼ新品なので、全音域が明瞭に聞こえます。

以上で、修理完了となります。


30年前に私が使っていたものですが、今娘が夢中でカードを通して遊んでいます。とても嬉しいです。

メールのやりとりもとてもスムーズで、瀧下様に修理をお願いしてよかったです。

どうもありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ソニーカードリピーターCP-55A 2台修理

CP-55A 2台の修理依頼がありました。

およそ30年前に英語の教材用に購入され、2年目頃から不具合が出始めたそうです。

その後、購入先に相談したが修理受付も終了しており、そのまま保管されたおられたようです。

今回、当医院の修理実績から修理の依頼がありました。

では、診断しましょう。

① CP-55A

本体もきれいな状態ですね。

まずは、不具合の主因は、プーリーグリスの劣化で駆動不良が起きていました。

まぁ、他のプレーヤーでも同様ですが、ほぼ持病のようなものですね。

また、ゴムベルトも曲がり癖も付いて伸び伸びです。

ゴムローラーも表面の固化が出始めており、ピンチローラーの押し圧で表面に凹みができています。

ゴム部品は、一式新品に交換します。

劣化したグリスは綺麗に洗浄してシリコングリスを塗布しておきます。

その他、各所もメンテナンスをしっかりしておきます。

磁気ヘッドも使用頻度程度の摩耗がありますが、まだまだ十分使えるレベルです。

CP-55の持病であるACカップリングコンデンサーの容量抜けで再生音が小さくなる現象も予防のため丸ごと交換しておきます。

ゴムローラーは、当医院オリジナルの開発部品となります。

ゴムローラーを交換しておりますのでアジマス調整をします。

カード再生速度調整用のカードで速度をチェックし速度調整をします。

動作確認

CP-55Aは、長尺カードの録再生ができる機種になります。

動作も問題ありませんね。

これにて①のCP-55Aは修理完了です。


② CP-55A

①同様にゴム系部品の劣化がありました。

駆動不良は、やはりプーリーグリス劣化固化でした。

また、電池ボックスに液漏れの形跡があります。

負極のバネに腐食が広がっているので、外して研磨します。

研磨後は、ちゃんと抵抗値を計測しておきます。

粉もきれいにお掃除しておきます。

各所のメンテナンスを実施しておきます。

ピンチローラーの当たり位置も調整します。

このピンチローラーの当たり調整をしないとカードが逆上がりしたり跳ね上がったり、最悪カードが浮き上がり再生音がしなくなります。

②番機もACカップリングコンデンサーを総交換します。

アジマス調整もして動作確認をしたのですが、②番機に予期しない動作不良がおきました。

突発的にカード再生速度が遅くなります。

動作不良

動作確認で使用しているACアダプターの電流容量が300mAです。

カードプレーヤーの消費電力からは十分として今まで各機種の動作確認で使用してきました。

ですが、この②番機では、突発的に消費電力が大きくなっているようで、電源LEDが消えるくらいになり、カードの再生速度が遅くなるタイミングと同期しています。

乾電池での動作確認や、他のACアダプターでは発現しないところをみると、一番電流を消費するモーターに何やら起きていそうです。

モーターの速度調整時にも、なかなかうまく調整できなかったのですが、前述の液漏れもあり、モーター内部に何か腐食が広がっていたのかもしれません。

そこで、接点復活剤で調整用の可変抵抗含めメンテナンスをしたところ、カードの再生速度低下は無事なくなりました。

動作確認

無事動作するようになりましたね。

これにて②のCP-55Aも修理完了です。

ところで、②番機の再生品質がかなり良好です。

新品のような再生品質でした。

30年来に復活したCP-55Aが、これからも活躍してくると思います。


このたびは、誠にありがとうございました。

引き受けてくださる回答と修理の速さにビックリしました。

さらにいつぶりでしょう。

30年ぶりのスマートな紙送りと音の美しさに感激しました。

的確な修理箇所の指摘と手早い修理方法の提示にあっぱれです。

誠に気持ちの良い仕事ぶりです。

ありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000/CP-1100修理

CP-1000とCP-1100 2台の修理依頼がありました。

どちらもカードを自動で引き込み再生できないそうです。

CP-1000

外装は綺麗ですね!

プーリー軸のグリスが劣化して接着剤のように強固に粘着していました。

CP-1000の持病のような症状ですね。

また、ゴムベルトも伸びておりました。

カードを直に接してスライド駆動するゴムローラーの表面もツルツルになりかけています。

ゴム系部品は一式交換します。

磁気ヘッドのコアの摩耗もありますが、無事カードのテープから磁気を拾え電子回路で増幅もでき音出しできました。

では、その他のメンテナンス作業も一式実施します。

ゴムローラーを交換していますので、ヘッドのあたりを調整します。

アジマスは、再調整ほぼなしで大丈夫でした。

筐体自体まだまだ綺麗、今後のまだまだ活躍をしてくれると思います。

動作確認

因みに、奥の猫のフィギュアは大人気です。


CP-1100

こちらもお馴染みのCP-1100です。

個人的にですが、ソニー製のカードプレーヤーでCP-1100が一番好きです。

おっやー!

平の輪ゴムが使われています。

輪ゴムに使われている天然ゴムですが、プラスチックを浸食します。

今回は致命的ではありませんでしたが、プーリーの溝が溶けかけています。

カードの駆動不良もこの輪ゴムが滑っていたためでした。

またゴムローラーも完全に固化しカッチコチでツルツルです。

カードの挿入を検知する検知スイッチも分解し、火花のバチバチで焦げている接点を磨いておきます。

スイッチの反応と抵抗値を確認します。

さて、完全に分解し隅々までメンテナンスします。

駆動系も一式分解し綺麗にメンテナンスします。

磁気ヘッドのコアも摩耗がありますが、まだまだ使えるレベルです。

無事音出しもできました。

隅々まで綺麗にメンテナンスできたところで組み立てします。

ゴムローラーを装着しネジ留め類も塗布します。

スピーカーのボロボロのスポンジ類も除去し厚手の両面テープで固定します。

動作確認

無事、修理できました。

CP-1100は、回路もシンプルで電子回路の故障も少ないです。


以上、2台の修理完了です。

いづれも無事修理できこれからも末永く活躍してくれると思います。


DWE 旧式アナログプレイメイト 修理断念

DWE 旧型式のアナログプレイメイトの修理依頼がありました。

ですが、今回は修理費用が高額になりそうという見通しのため修理を断念したという案件の紹介記事となります。

故障の症状としては、カードを引き込み自動再生しないという症状ですが、この旧型式のDWE製のアナログプレイメイトでは、ほぼ確実にゴムベルトが溶解しています。

経年劣化で溶けて切れてしまうんですよね。

しかも溶けて方々にはじけ飛ぶので、筐体内のあちらこちらに溶けたゴムが粘着しています。

カードを磁気に駆動するゴムローラーも経年劣化で表面が固化して摩擦が低下します。

当医院では、このゴム系部品は交換部品を用意していますので交換できますが、今回は電子回路にも故障があり修理を断念しました。

さて、ゴム系部品の劣化は分解し目視でも確認はできます。

次に電子回路の故障の有無は、実際にカードの磁気を拾い音声を増幅し再生できるか確認します。

届いた当初ですが、前述のとおりカード駆動系のゴム部品が一式ダメになっているので、カードを手で押しながらスライドさせました。

これで一応は再生音はめちゃくちゃでも何かしらの音は確認できます。

ですが、初回、動作モードがマイク録音モードになっているのを知らずに録音動作をさせてしまいました。

しまった!と思い、早速、生徒モードで再生すると、何かしらの音はスピーカーから出てきました。

おおお!電子回路には問題はなさそうかなと思い、次に生徒+先生モードで再生すると、先の初回録音したぐにゃぐにゃな音声も一緒に再生されました。

録音機能にも問題はなさそうだと、高を括っていたのですが、この直後から一切なにも再生できなくなりました。

やれやれとどっと汗が出てきました。

電子回路の基板を磁気ヘッドから離しINから音声信号を印加して信号の伝搬を探ります。

カップリングコンデンサーなどの経路を調べ電解コンデンサーの容量抜けもチェックしつつ故障箇所を調べると、プリアンプのLA3220のオペアンプが故障しています。

印加信号が増幅されていません。

というか、ノイズが混ざり酷い状態です。時間が経過するとノイズの状況も変わったりするので、非常に不安定な動作です。

後段のパワーアンプは問題ありませんでした。

前述の診断作業中の症状を考えると電源の印加でIC内の故障を誘発したと思われます。

動作モードをいろいろ切り替えてもうんともすんともです。

交換用のLA3220の用意もあるのですが、工数を考えると修理作業料が高額になります。

この点を依頼者と相談しました。

ちょうど、代替えの同じ機種がありましたので、代わりにお譲りするということで今回の案件は一旦のクローズし、後学のため宿題となりました。


ソニーリピートカードプレーヤー CP-33 磁気ヘッド粘着ゴム剥離研磨修理

CP-33の修理依頼がありました。

カードを挿入しても自動で引き込み再生しないということです。

カードプレーヤー全般に共通しますが、ソニー製やDWE製、学研など、当時この点の商品を開発販売していた商品では、全てにおいてゴム部品が使用されております。

恐らく、1990年代でしょうかね。

製造から既に30年近い年月が経過しておりますので、特にゴム部品については、素材の性質から加水分解でボロボロになります。

これは、ゴムという素材を選択した時点で既に逃れることのできない持病となります。

加水分解するしないは程度の差こそあれ逃れることはできません。

ですが、CP-33については、設計思想も手伝って、溶けたゴムが他の故障を誘発します。

では診断をします。

ゴムローラーがボロボロになっていますね。

これは、素材の性質上、仕方ありません。

ですが、この加水分解したゴムローラーが磁気ヘッドに密着し磁気ヘッドにも影響します。

磁気ヘッドのコア部が接していた跡がありますね。

ご覧のとおりなのですが、溶けたゴム成分が単に粘着していれば剥がせるかもと思いますよね。

残念ですが、そうはなりません。

IPAなどで拭き取ってもヘッドのコアが破損しています。

アモルファス合金が脆くもボロボロです。

もちろんですが、このままでの状態では、磁気テープに記録された磁気をまともに読み取ることができないのでカード再生も、もちろんですができません。

本来であれば、ここで修理不可能と判断をします。

往年のテープデッキであれば、このような故障であれば音質に大きく関係しますので、まともな音質で再生できません。というか、再生自体してはいけません。記録媒体のテープを壊します。

ですが、本機種のカードプレーヤーは、主に語学勉強など向けの機種なので、オーディオ並みの音質をそこまで求める必要もないかもしれません。

そこで、当医院ではこの磁気ヘッドを研磨し何とか記録された音だけでも再生できないか挑戦します。

駆動モジュールに磁気ヘッドを再セットし、アジマスを再調整後に研磨します。

ちょうどカード上のテープと同じ当たりがでるように研磨します。

当医院では、このような対応で元々の音質にはなりませんが、音だけでも再生できるようにします。

※もちろんですが、当医院は、ただのおもちゃ病院ですので、この手のオーディオ専門の修理業者のような品質まで回復はできません。完全を期すのであれば、8トラ用の新品のモノラル磁気ヘッドをプレーヤーのモジュールに交換するのでしょうが、点付けのスポット溶接なので、一気にハードルが上がります。

さてさて、脱線しましたが、音質についてはこのように出来高で修理とさせていただきました。

その他の故障としては、電池ボックスの負極に錆が上がっておりましたので、ルーターで研磨してさび取りおきます。

ではでは、ゴム系部品を一式交換して、アジマス再調整、カード再生速度も調整し修理完了となります。

ゴムベルトも溶けかけておりのびのびです。

溶解してはおらず、後始末が楽でした。

ゴムローラーも交換します。

やはり、特に高音域において籠ったような音質の劣化が残りました。

動作確認

筐体もほぼ無傷の新品の状態でしたので、また活躍できるまで修復できました。


カードプレーヤー2台の修理

ソニー製トーキンカードプレーヤーCP-1000と全研製のワールドトレインカードプレーヤーという商品の修理依頼がありました。

ソニー製のカードプレーヤーは、当医院得意としているのですが、全研製のワールドトレインカードプレーヤーは、初めてお目にかかる商品です。

では、まずCP-1000から診断しましょう。

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000

お馴染みの商品なので、もう目をつぶっても修理作業できます。

嘘です。

目をつぶっては修理はできません。

カード自動で引き込み再生してくれないそうです。

手でカードを押してあげると音はスピーカーからしているそうです。

ゴム系部品の経年劣化で滑っていそうですね。

と、思いきや電池ボックスの負極に液漏れの粉が付いていますね。

致命的ではないので、サクッとルーターのブラシで研磨しておきます。

やはり、ゴムベルトが伸びてでろでろに溶けています。

このゴムって溶けるんですよね。

市販のオーディオ向け交換用のゴムも恐らく同じ素材なので、交換してもいづれ溶けちゃいそうです。

因みに、当院では素材の違うゴムベルトを使用しているので、溶けるという事態は起こりませんので、ご安心ください。

磁気ヘッドは、経年での摩耗はありますが、コア部も残っており、まだまだ使えます。

ゴムローラーを交換するので、最終段階でアジマスを調整します。

カードを引き込めなくなっていた主因は、先のゴムベルトが伸びていたためですが、カードを直に引き込み駆動する、このゴムローラーも表面の劣化が出てきています。

今回折角修理を実施するので、ゴム系部品は一式交換します。

各可動部も分解し劣化したグリスを洗浄し再塗布します。

磁気ヘッドのアジマス、カード再生速度も調整し修理完了です。

動作確認

全研 ワールドトレインカードプレーヤー NP-0167

チャオチャオっていうんですね。

スリットにカードを通して再生するという機能は各社共通ですが、この機種は、前面に3つの押しボタンがあります。

左から、録音機能、生徒モード&カード戻し、先生モード&カード戻しです。

そうです。アナログプレイメイトと同じカードの位置戻し機能が付いています。

元々カードに記録された音声は、先生音声で先生モードで再生できます。

磁気ヘッドが上下に位置をずらし磁気テープのトラックを切り替えます。

録音は、録音ボタンを押しながらRepeat after meのように録音し生徒モード聞くことができます。

今回は、録音機能の動作確認は不要ということでしたので、録音動作の確認はしていないのですが、恐らくですが録音ボタンを押下すると、自動で生徒モードになり生徒モードのトラックに録音します。その際、先生モードの記録音声も再生しながらとなると思います。

アナログプレイメイトと同じですね。

さて、ワールドトレインカードプレーヤーもカードを手で押してあげると音声が再生できるが、自動で引き込み再生はしてくれないそうです。

では、診断しましょう。

黄色矢印のゴムローラーが再生時の駆動用のゴムローラーです。赤矢印のゴムローラーは、カードの位置戻しのゴムローラーです。

分解して少し驚いたのですが、全研の本商品のパーツが、ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000と同じ部品なのです。

メーカーは違えども部品供給している業者さんは同じだったのです。

当医院は、ソニー製のカードプレーヤーの修理を得意としておりますが、他社の場合、補修部品の持ちがなく修理不可能になる場合も多いです。

幸いにワールドトレインカードプレーヤーのゴムローラーはCP-1000の部品を流用できました。

磁気ヘッドも摩耗がありますが、まだまだ使えるレベルです。

ゴムローラーを外すと、、、

ほら、そっくり。

ゴムベルトのプーリーも全く同じ部品でした。

ここまで同じ部品なら、磁気カードも互換性があるかもと思いますが、互換性はありませんでした。残念。ー_-;

故障の原因は、プーリーゴムが伸び切っていたためでしたので、ゴムベルトを交換しますが、各所機構部もグリスアップなどメンテナンスしておきます。

まずは、各所のメンテナンスを実施しましたが、やむなく見送る修理もありました。

カードを元の位置の戻す機能は修理不可能でした。

この小っちゃいゴムベルトの替えがありません。伸びて滑っています。

伸びて滑るとホイール軸の逆回しで滑りできません。

動作確認

生徒モードもしくは先生モードボタンを押しても滑ってカードが戻らず、手でちょんちょんしてあげると、がんばってもどるような感じです。

依頼者様と相談しカードの位置戻し機能は使用せずにカードを抜き取りさしなおすようにお願いしました。

ひとまず、カードを再生できるという機能は無事復活できました。


幸いに電子回路的が故障もなく、消耗品も劣化故障でした。

まだまだ活躍できる商品なので、今後もたくさん遊んでもらえればと思います。


丁寧に細かい連絡をいただき感謝しています。

この度は修理本当にありがとうございました。

プレーヤーが使えるようになり嬉しく子どもと懐かしんでいます。

~依頼者のご確認より~

ソニーカードリピーターCP-55 基板交換

カードの再生音が小さいということで修理の依頼がありました。

CP-55の場合、再生音が小さくなる原因は電子回路起因である場合が多いです。

届いた状態での再生確認でも、音量MAXでもほぼ聞こえないです。

まぁ、それ以外というケースもあるのですが、アジマスが狂っていたり、ゴムローラーが摩耗し磁気ヘッドのコアに磁気テープが当たらなくなっていたりもありました。

他の機種では、落下の衝撃でホイール軸の支えるフランジが曲がりこれも磁気ヘッドのコアに磁気テープが正常にあたらないとうなどいろいろあります。

さて、診断しましょう。

CP-55では珍しい底面のゴム栓が片方なくなっていますね。

これがなくなるとグラグラしちゃいますので、両側とも新品の栓に交換します。

再生音が小さいという現象以外の報告はなかったのですが、ゴム系部品の状況から、恐らくすっごくゆっくりですが、カードはスライドしていたように推測されます。

手で押してあげると再生音がスピーカーから出力はされますが、何を言っているかめちゃくちゃだと思いますが、如何せん電子回路の故障で再生音自体が小さいという状況だっかかと思います。

ゴム系部品の状況も、ゴムベルトが伸びており、ゴムローラーの表面の摩耗でツルツルし出していますので、まとめて新品に交換します。

磁気ヘッドのコアも経年程度の摩耗はありますが、問題ないレベルですが、電子回路側の修理を実施してアジマス調整を行います。

さて、ここまでは、CP-55でもよくある故障内容なので、サクサクと作業します。

機構部はすべて分解し洗浄清掃します。

やはり、ゴムローラーは新品がいいですね。

では、再生音が小さい原因を対処します。

再生音が小さくなる原因は、アンプ回路内のACカップリングコンデンサーというアルミ電解コンデンサーという部品の劣化にあります。

経年で容量が低下し伝達できるAC特性が変化するためです。

いわゆる、アルミ電解コンデンサは、消耗部品という言われる所以です。

回路内のACカップリングコンデンサーを一式交換します。

さて、ここで再生音を確認します。

ゴム系部品も一式交換しておりますので、アジマスを調整します。

最適位置でネジロックを塗布し固定しておきます。

では、状況はどうでしょうか!?

再生音確認

無事、カード再生音が復活しましたね。

ですが、リピート再生時の音量が低下しています。(´・_・`)

カード再生時は問題ないが、その音声を録音し繰り返し再生するとカード再生時よりも音量が低くなります。

カセットテープ世代の方は、もうご存知だと思いますが、エアチェックなどでテープに録音すると多少は原因よりも音質も音量も低下してしまうのは避けられません。

ですが、今回のような音量の低下は、数々のCP-55を拝見しているとやはり有意差のようです。

ですが、残念ながら、当医院の技量ではこの故障原因がはっきりしておりません。

依頼者に状況をお知らせし、現状までの修理がいっぱいいっぱいの旨をお知らせし了承は得られたのですが、何かモヤモヤします。

できれば、この故障の詳細解析をしたいのですが、修理可否も分からないまま、診断を継続すると、解析工数もかさみます。既に、費用も高額になっています。

数時間悩んでいたところ、そういえば、倉庫の棚に部品取り機が数台あったのを思いだしました。CP-55ではありませんが、CP-55Aという機種になりますが、大は小を兼ねるで基板を丸ごと交換して、ひとまずは対処します。

交換した基板は、寄付いただき、今回のリピート再生時だけ音量が低くなる原因解析を継続できます。

一連の次第を報告し了承がえられましたので、基板をCP-55A→CP-55に移植交換します。

CP-55Aの基板なので、長尺カードも対応できるようになりました。

因みにですが、TI社の録音ICを制御するOKI製のマイコンのプログラム、および録音音声を収録するFlashメモリの容量の違いがあります。

ではではどうでしょうか?

動作確認

無事、リピート再生時の音量も正常になりましたね。

長尺のカードも再生でき、一石二鳥!?。

因みに、もちろんですが、交換する基板においても予防措置的にACカップリングコンデンサーは、一式交換しております。

いろいろと故障対応が必要でしたが、できる限りの対処で全機能が復活しました。

また、活躍いただけると思います。


30年以上前に買ったリーピターが蘇り、大変嬉しく思っております。

定年退職後の有り余る時間を利用して、英会話の勉強に勤しみたいと考えております。

孫ができた暁には、子供が使った長尺のお勉強カード💳と一緒に今回、修理していただいたカードリピーターを譲ろうと思っているところです。

瀧下様、本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~