デジタルプレイメイト DAC IC故障 基板交換

デジタルプレイメイト

デジタルプレイメイト DAC IC故障 基板交換

トークアロングカードを通すとブーというノイズが鳴りカードが再生できないとのことで修理のご依頼を受けました。

デジタル版のプレイメイトの修理実績が多くないのですが、発振ノイズ系は電子回路起因の可能性が高いように推測しました。

では、早速診察開始しましょう。

ノイズの状況を確認します。

ブーと鳴っていますね。微かなりともカードの再生音すら混じってもいないです。

ボリュームの可変に反応もするので、ノイズの発信源は、ボリューム回路前段のようです。

次にシステム自体は正常に反応しているかどうかも確認するため、SDカードに関する動作を確認します。

SDカードも正常に2スロット側に挿入されており、SDカードを抜いてカードを通すと、無事にLEDが3回点滅します。SDカードを認識するシーケンスは正常のようですね。

DSPは正常に制御できているらしいが、音声に発振ノイズが混じるようです。

では、発振ノイズの発信源を探しましょう。

この手の解析にが、クリスタルイヤホンで出力側から回路を解析しながら経路を遡っていきます。

DWE アナログプレイメイト アンプIC故障

DWE アナログプレイメイト

DWE アナログプレイメイト アンプIC故障

今回の記事は、アンプ回路に使用されているICが故障しており交換不可のため修理を断念した記事となります。

他の玩具もそうなのですが、年月が経った場合回路に使用されているICがディスコンになっていたり、そもそも製造メーカーが半導体事業を閉じていたり、残念ながら統廃合になっていたります。

今回も旧サンヨー製のラジオやカセットテープ用にリリースされていた、LA3220が故障しており、市場でも入手ができなため修理を断念しました。

依頼者様は、ゴムベルトの溶解までは確認されて修理を依頼されたのですが、残念ながら他の故障要因が致命傷となりました。

ゴムベルト溶解

ゴムベルトは、このアナログプレイメイトでよくある溶解してドロドロになっていました。ベルトについては交換部品の在庫があります。

LA3220

こちらが、プリアンプ部に使用されている旧サンヨー製のLA3220です。

データシートもネットで入手できます。

LA3220は、オペアンプが2回路実装されており、ALC(Automatic Level Control)自動レベル制御も2回路実装されております。

オペアンプの2回路の内、1回路はマイク部の音声増幅ともう一方の1回路は磁気ヘッドからの音声を増幅するといった設計がなされております。

どの磁気カードプレーヤーの修理でも同じなのですが、機構系の故障以外にも電子回路の故障もないかチェックします。

磁気ヘッド自体は、当医院に検査治具があるので検査を行い、二つある磁気ヘッドの録再生用も再生用も無事機能しておりました。

ですが、音声が全く増幅されずスピーカーからも音声が出ていないので、回路の調査に乗り出しました。もちろんですが、スピーカーは事前チェック済みです。

データーシートを基に回路を調べると磁気ヘッドで拾った音声が正常にIC入力まで入力されているのですが、出力からはまったく反応がありません。

電源などの他の印加状況もチェックをしておりますが、これは完全にICが故障していました。

磁気ヘッドから配線を外し外部からオーディオ出力を絞って印加しIC単独で駆動できるようにカップリングコンデンサーを外して独立させます。

出力にクリスタルイヤホンをつなぎ音声の変化を観察しました。

ICチェック

まったくうんともすんともです。

電源印加時のポップノイズすらありません。

このLA3220の電源は、カードの挿入を検知したスイッチによってICに電源が印加されるので、テストのために検知スイッチは入りのままにしておきます。

悩んでプリアンプ部のみであればディスクリートや他のオペアンプで自作回路で代替えしてしまろうかとも思ったのですが、他の不具合もないか調べたところ、LA4100のパワーアンプ側にも何やら問題があります。

スピーカーからは、カード検知時にポップノイズは出ていますが、こちらの入力にも外部から信号を印加しましたが、こちらも音声がでていません。

ざっくり調べてみると、ブートストラップ回路の220uFの電解コンデンサーが容量抜けしてしまっておりました。

容量抜け

ゴム系部品の交換やメンテナンスと電子回路のアンプ部の修理において部品調達の策の検討などを踏まえると、修理費事態も高額にならざるをえないです。

諸々を検討し修理不可能と判断しました。

もし入手できるのであればジャンク品から基板のみ移殖した方がコスト的にも良いかもしれません。

LA3220

今回は、電子回路の故障により修理不可能となった案件の紹介となりました。


ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

ゴムベルト溶解しているとの報告があり修理依頼がありました。

他の機種でもなのですが、ゴムベルトの溶解はその除去がとても、とても、そうなんです、とても大変なのです。今回は、そんな記事となります。

ゴム溶解

今回も酷い溶け具合ですね。

部品

この残骸を丁寧に丁寧に少しづつ除去していきます。

アルコールやクリーナーを使うのですが、キムワイプを半端なく消費します。

真っ黒

こそぎ落とした工具にも手も真っ黒です。

手に付いた汚れもエタノールで洗い落します。

綺麗

ここまで綺麗に洗浄します。

気合を入れて洗浄します。

今回のCP-1000ですが、モーターの速度調整で少々時間を要しました。

しばらく保管したままだったのか、モーター内の調整ツマミに接点が、どうも汚れたいたようです。

ツマミ調整して一旦速度の合わせ込みを行っても、30分位で速度が速くなるという現象が出てしまいました。

そこで、接点復活スプレーの先をツマミカバーの隙間から好きつけて、グリグリやりました。

再度速度調整を行い半日おき再度再生速度を確認します。

やはり接点に問題があったらしく接点復活剤とグリグリで速度が安定しました。


この度は、きちんと見積りや修理箇所、修理方法など、細かくご報告していただき、 とても安心してお預けすることができました。

また、諦めていたプレーヤーを修理していただき、無駄になるハズだったカード を引き続き活用することができそうで、心から感謝しております。

離れていても、メールやYouTubeの動画などで確認できたり、宅配便ですぐに商品を受け取れて、全く距離を感じることもありませんでした。

どうもありがとうございました!

~依頼者様のご感想より~

DWE アナログプレイメイト ゴムベルト交換とメンテナンス

DWEアナログプレイメイト

DWE アナログプレイメイト ゴムベルト交換とメンテナンス

DWEのアナログプレイメイトの修理依頼がございました。

依頼者様にて開封しゴムベルトが伸びているところまではご確認をされたようで、ゴムベルトの交換をとお問い合わせがありました。

当医院では、そのような場合でも一から診察をさせていただき、故障の状況や要交換部品に有無などを診断して修理可否を判断します。

アナログプレイメイトの場合、電子回路系の不具合もあったりしますので、状況に応じ診断をさせていただきます。

ただ、ゴム系部品のカードを直にスライド駆動させるゴムローラーは交換部品がありませんの劣化し滑っている場合はメンテナンスで復活するかどうかが鍵となります。

では、拝見しましょう。

ゴムベルト

ゴムベルトは伸びてくにゃっとなっていますね。

稼働テストのため、ゴムベルトを暫定交換しその他の不具合がないかを確認します。

ですが、早速2箇所で大きな不具合が出ておりました。

ゴムローラーの劣化で表面がカチコチのツルツルになっております。

ゴムローラー

2個あるのですが、向かって左側がカード再生時に駆動するゴムローラーで右側が、再生完了後にリターンする際に逆スライドさせるゴムローラーです。

カード再生用のゴムローラーは劣化でツルツルなのですが、リターン側は、また摩擦が残っていそうです。表面をアルコールで拭き取る程度では全然ダメでした。

そこで、この2個を入れ替えてみることにします。ついでに、表面を紙やすりで少し毛羽立たせておきます。

メンテナンス

因みに、リターン側のスペーサーには、軸止め用のネジが1本ありませんが、元々このような止め方になっておりますので、ご心配なく。

さて、次に問題もあります。

再生音質が非常に悪く音も小さいです。しかも、再生後にリターンができません。

劣化グリス

各所のグリスが劣化して粘着してしまっております。

洗浄

パーツクリーナーで綺麗に洗浄します。

洗浄ができたところで各所にグリスを再塗布しておきます。

その他の各所も分解し隅々まで洗浄しておきます。

ゴムベルトも交換し組み立て稼働テストをします。

問題なさそうですね。


DWE 両面デジタルプレイメイト SDカード破損 回避策

両面デジタルプレイメイト

DWE 両面デジタルプレイメイト SDカード破損 回避策

数日前から突然、カードを通すと途中で止まってしまうという不具合の相談がありました。

途中で止まってしまうというと、カードのスライドさせるゴムローラーに何らかの問題が発現したのかもと推測します。

では、早速拝見します。

まず、不具合の出ているSDカードはZippyシリーズのSDカードとトークアロングカードでした。

SDカード

このSDカードは、Zippyというキャラクターのトークアロングカード向けのSDカードで、向かって左の水色のSDカードが、全カード対応のSDカードで、右のオレンジのSDカードは、Zippy and His Friendsというカード限定カードのようでした。

本体側に挿入されたスロット番号との組み合わせは、以下のようになります。

スロット1側:Zippy #003
スロット2側:Zippy and His Friends #002

また、動作モードも録音再生モードとなります。

録音再生モード

届いたこのセッティングが重要でした。

この状態で再生確認をすると、お問い合わせ時のようにバーコードを読み込んだあたりのスライド途中でハングアップしました。

それ以降は、如何なる動作もせず、電源の入れ直しかACアダプターの抜き差しをすると再度読み込みをし始めますが、録音再生モードのままだと再度カードを差し込んでもハングしました。

不具合の再現実験は成功しました。

続けてカード再生モードを録音再生モードではなく単なる再生モードに切り替えて再生確認すると無事再生できることが確認できました。

故障モードは、録音再生モードでカードを再生すると発現する故障と判明しました。

さて、ここでハードウェアかソフトウェアのどちらに問題あるのかを切り分けるため、当医院の両面デジタル対応のプレイメイトに該当のSDカードをスロット番号と同じスロットに挿入しトークアロングカードで再生確認をすると、同じように録音再生モードでのみハングし、単なる再生モードでは同じく問題なく再生できました。

今回の故障は、再生機種本体の問題ではなく、どうもSDカードのデータの問題の線が強くなりました。まだ続きます。

そこで、SDカードのデータを確認します。

スロット1側に挿入されたZippy #003に保存されているREC.LSTというファイルに破損が見つかりました。

因みに、スロット2側のZippy and His Friends #002のREC.LSTファイルは無事でした。

REC.LSTファイルは、音声録音した際に、SDカードに保存するファイルとトークアロングカードの紐づけをしたリストファイルのようでこのファイルが正常に読み込めないために録音再生モードで問題が出た推測できます。

バーコードを読み込んだあたりでSDカードの録音音声が無いかを確認するが、ファイルが破損していて読み込めないようです。

さて、SDカードと挿入されたいたスロットについて再確認します。

スロット1側:Zippy #003
スロット2側:Zippy and His Friends #002

インターネットで調べてみると、Zippy系のカードは、Zippy #003は全てのトークアロングカードに対応していて、Zippy and His Friends #002は、その一部のトークアロングカードのようでした。依頼者様が使用しているZippyのトークアロングカードは、後述の調査にて両方のSDカードどちらでも再生できるトークアロングカードでした。

ここまでをまとめます。

故障の原因は、スロット1側に挿入されたZippy #003に保存されているREC.LSTファイルが破損しているためで、録音再生モードでトークアロングを再生しようとすると、REC.LSTファイルが破損しているためにハングアップしてしまいます。

恐らくですが、故障が出た時期は、以前に何か音声を録音した際に何らかの原因でREC.LSTファイルが誤って破損してしまったようです。

この推測の裏付けと取ります。

スロット1側にZippy and His Friends #002を挿入して再生確認をします。

※Zippy #003は抜いております。

Zippy and His Friends #002のREC.LSTファイルが無事なので再生モードでも録音再生モードでも問題なく再生できました。

次に、再度届いて状態のスロット1側にZippy #003をスロット2側にZippy and His Friends #002を挿して再生確認します。

期待通りハングしました。

この実験から、録音再生モードでトークアロングカードを再生すると、スロット1側の録音データが優先再生されます。ですが、スロット1側に挿入されているSDカードのREC.LSTファイルが破損しているので、ハングアップしてしまいます。

やっとここで原因が推測できました。

ですが、残念ながらSDカードのREC.LSTファイルは修復ができません。

というかやったことがありません。( ̄▽ ̄;

このSDカードは、Windowsなどのパソコンで中身を読み込むことはできるのですが、書き込むことができるのかも分かりません。そもそも破損したファイルをどう修復できるのかも不明です。

回避策を検討します。

Zippyのトークアロングカードを使用するだけならZippy and His Friends #002をスロット1に挿して運用しても良い気がします。

ですが、Zippy #003でしか再生できないトークアロングカードもお持ちの場合どうすべきか悩みます。

音声の録音はせず、カードの再生のみを行う場合は、以下のようにすればトークアロングカード再生はできました。

スロット1側:Zippy and His Friends #002・・・REC.LST OK
スロット2側:Zippy #003・・・REC.LST NG


現状のまま、とりあえずトークアロングカードを再生することのみはできますが、懸念点も残ります。

なぜ、Zippy #003のREC.LSTファイルが破損したのかという疑問が残ります。

以前、録音した際に途中で電源を抜いてしまったり電源が落ちたりしたのであれば、それが原因かもしれません。

もしそのような記憶がない場合、トークアロングカード再生自体の問題は、本体側には無いとお伝えしましたが、この機種で音声を録音すると、スロット1側に挿入されているSDカードのREC.LSTファイルが破損してしまうような故障かもしれません。

残念ですが、この音声を録音すると、REC.LSTファイルが破損するという故障も修理できそうにないです。

こればかりはテストをすると無事なSDカードのREC.LSTファイルが破損するリスクもあります。一方で実は、REC.LSTの破損したZippy #003にあらためて何らかの音声を録音すると、元に戻るのかもという期待もあったりします。

リスクを冒してまでも録音テストを行うのをやめトークアロングカードは再生のみとするならば、以下のスロットとSDカードの組み合わせで運用するかというご提案をしたところ、この運用でとなりました。

■ご提案のスロットとSDカードの組み合わせ
スロット1側:Zippy and His Friends #002
スロット2側:Zippy #003

再生のみでの運用とするならば、前述のSDカードとスロットの組み合わせにしていただければと思います。ただ、音声の録音もしたいし、再生のみで運用しても操作ミスで録音してしまうかもという心配があれば、録音テストもできますが、最悪REC.LSTが無事なSDカードも破損してしまう可能性があります。

今回は、REC.LSTファイルが破損した場合の回避策についての記事になります。

SDカードのデータファイルを直接編集するというのは、その方法やリスクなどの考慮しないといけません。Windowsで読み込めるからといって、同じファイルシステムでないかもしれないし、編集できるのかな!?

そもそもバイナリーレベルでそのようなファイル内容なのかも分かりません。

完全が企業秘密の領域ですね。


この度は中古で購入したディズニーの両面デジタルプレイメイトを修理していただきました。

年末の忙しい時期にもかかわらず、迅速かつ丁寧に対応していただき、素人では絶対にわからない故障の原因を突き止めて下さいました。

対策も考えていただき、無事に再生できるようになり、返って来て再生できた時には子供と手を叩いて喜びました。

ご相談して本当に良かったです。ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤーCP-70 トーキングカードプレーヤー CP-1000 ヘッド研摩修理

カードプレーヤー 2台

ソニーリピートカードプレーヤーCP-70 トーキングカードプレーヤー CP-1000 ヘッド研摩修理

ソニー製のカードプレーヤーの修理依頼がございました。

お子様がご使用になるとのことで長年修理できるところをお探しだったようです。

今回は特に磁気ヘッドに粘着したゴムの除去と損傷を受けた磁気ヘッドのアモルファスヘッドの研摩に挑戦しましたので、そのご紹介となります。

では、CP-70の方からご紹介します。

リピートカードプレーヤー CP-70

CP-70という機種は、筐体にオレンジ色のパーツが使われており、CP-33やCP-55と少々趣が異にしております。

ですが、中身は実はCP-33そのままだったりします。

ですが、CP-33は、修理不可能である場合がほとんどでして、こちらのスタッフブログで詳細を説明しております。ほんと、ボロボロになったゴムがヘッドに粘着して損傷するんですよね。

カードの再生不良とのことですが開封して拝見します。

CP-70

オレンジ色が良い感じですよね。

本体を開封すると、輪ゴムがはめられています。

この輪ゴムでの補修ですが、プラスチックを溶かしてしまうので、ダメ絶対です。

輪ゴム

恐らく装着されていたであろう、ゴムベルトが除去されているのですが、方々に粘着したゴムの痕がありました。

磁気ヘッド

ゴムローラーは、加水分解でボロボロになっておらず、磁気ヘッドにも粘着しておりませんでした。ほっと一安心です。

ゴムローラーは、辛うじて弾力と摩擦が残っておりましたが、依頼者と相談し新品に交換することになりました。

左:劣化ゴムローラー 右:新品

目視でも表面がテカリはじめているのは分かりますね。

ゴムローラー交換

CP-33は、スペーサーの無い直付けタイプのゴムローラーなので接着剤で直付けしますが、軸受けに誤って接着剤が付いてしまわないように注意して接着します。

さて、CP-33でも同じ不安材料でもある、プーリーの劣化したグリスです。

今回のCP-70も同様に劣化したグリスが残っているのですが、この劣化したグリスを綺麗に取り切れないのですよね。

プーリーの軸表
プーリーの軸裏

他の機種と異なり軸受けがカシメられており外すことができなんですよね。

なので、軸に少しでも劣化すて古いグリスが残っていると、接着剤のように固着して回転不良を起こします。過去に何度も手痛いしっぺ返しをくらいました。

隙間にしこたまパーツクリーナーを吹きつけこれでもか!というくらい洗浄しました。

IPAにじゃぶじゃぶ浸けておけばいいのかもしれないのですが、コスト的に難しいですね。

内部掃除

一連の部品交換と内部清掃を行い修理完了です。


次に、トーキングカードプレーヤーCP-1000に作業を移します。

トーキングカードプレーヤーCP-1000

CP-1000もご自身で修理に臨まれたらしく分解された状態で届生きました。

CP-1000

こちらもCP-70と同じくゴムベルトが溶解しており、まさに地獄絵図のような粘着でした。

溶解ゴム
ゴムローラー

おおお!

ボロボロですね。もちろんですが、磁気ヘッド側にも、がっつりこのゴムの残骸が粘着しております。

ゴム浸食

この状態でもアルコールで粘着したゴムを拭きとったのですが、これ以上は取れません。

物理的に力を加えると、ヘッドが損傷位にゴムが固まっています。

ダメ元で再生確認をしましたが、ほぼ全くといっていいほぼ磁気が拾えておらずカードの再生もできませんでした。

今回は、このヘッドの表面を研磨しカードを再生できるようにします。

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000修理

CP-7000

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000修理

CP-7000の修理のご依頼でした。カードが正常に進まずにカードの再生もできないとのことです。

CP-7000は、こちらのページにて特に依頼に関して注意していただくように注意喚起しております。それとは、連続再生やリピート再生時に再生音量が突如小さくなってしまうという原因不明の故障があります。

故障なのか、そもそもそのような潜在的な不具合を潜めていた製品なのか不明ではありますが、ご依頼をお受けする際は、皆さまにこの点の修理不可能であるご了承をいただいております。

残念ながら今回の機種では、しばらく置いた際の初回のリピート再生時に再生音量が小さくなってしまう不具合が発現してしまいました。この点の修理は断念ということで、その他の故障は修理としてご依頼をお受けしました。※動画の撮影に成功しましたので、後述します。

さて、カードが正常に再生できない原因を探るべく調査します。

まず、届いた当初の動作確認で、既に再生時の音量が小さいです。

ぬぬぬ、(∵)

オイオイ、もう既に原因不明の修理不可能事案でしょうか!?

開封します。

修理経歴

因みに、デートシールが裏面に貼ってあるのですが、95年の8月に一度メーカーで修理対応がなされていますね。

開封してみると原因は直ぐ判明しました。

アジマス

磁気ヘッドのアジマスが狂いまくっております。

だーれーだー?

ヘッドのあたり

磁気ヘッドのあたり角度が目視でも明らかに変です。

変だよね

ゴムローラーとの接触開度も変です。

だーれーだー?いじった人は?

と依頼主様にお聞きすると、お住まいに地域のおもちゃ病院に持ち込んで修理不可能で返却されたそうです。

壊されなくて良かったとお伝えしました。

当初の不具合であるカードが正常に再生できない原因は、ゴムローラーが固化して滑っているのが原因だったのに、なぜか磁気ヘッドのアジマス調整用のネジを回しまくったという始末です。

担当したおもちゃドクターは、だーれーだー?

初めて見た時、潰れるはずのないネジの溝が目に入ったので、おっかし―なーと思っていたんですが、訳も分からずにネジを回したんですかね。。。

まぁ、しかし手早く諦めてくださったので、こうやって当医院で修理できるようになったわけでもあります。

では、アジマスも調整します。測定器と治具はもちろんないので、お手製のテストカードと周波数カウンターと耳で調整します。

まずは、調整前の状態です。

音量MAXでも全く音が出ていませんね。

これを調整して正常に音が出るようにします。

びっくりするぐらい改善しますよね。

まぁ、往年のカセットテープのプレーヤーを修理される方なら当たり前なのでしょうかね。

ところで、カード002の再生終盤でカードがひっかります。このひっかかりも原因を調べて修理します。

アジマスの調整はできたので、ネジ止めと施しサクサクとゴム系部品も交換してしまいます。

固化ゴムローラー

ゴムローラーは、カチコチに固まって割れる始末です。

ゴムベルト

ゴムベルトも伸びてきていますね。交換します。

さて、ゴム系部品を交換し終え再度再生確認したところ、ここでなんと!例の症状が発現してしまいました。

電源を入れカードを再生すると、カードの再生は無事問題ないのですが、リピート再生させると音量が小さくなっています。しばらく繰り返すと自然治癒してしまい、その後は再度発現しなくなります。

業界初!

撮影に成功!

CP-7000の不具合現象。

当医院に依頼のあった過去のCP-7000で同様の不具合は、約1割で発現しておりました。結構な割合なので、恐らく何か製品に潜在している持病なのかと推測されます。

ですが、突発的に起きるし一度観測できても、その後全く現れなくなるような事態なのです。

基板を取り出しリピート再生を永遠繰り返し再生経路にプローブをあてて不具合現象が発現するのを待ちにまったのですが、発現することもなく解析終了して過去があります。

なんか、ダイオウイカを初めて撮影したカメラマンの心境に似ています。

ご依頼者様に状況をご説明したところ、この点については了承とのことで修理を完了させました。

修理完了

おっと、忘れるところでした。カードのひっかりが出ていたので調査します。

段差

本来は、このような段差はないはずなのですが、多い隙間と黒い溝の位置がズレてそこに段差ができています。

固定位置を再確認しましたが、もうどうにもこうにもなりません。

これは、設計誤差の位置関係が一番悪く出た例かもしれません。購入当初からこのズレはあったと思います。

段差をルーターで削りひっかりを回避します。

まずはひっかる現象からです。

ね?

時々ひっかかりでしょう。

で段差を削ると解消できました。

これにて修理完了となります。


この度はお世話になり、ありがとうございます。

CP-7000のカードが進まなくなり、修理は無理かと諦めかけていた折、ネットで瀧下さんのサイトを見つけました。

依頼方法もわかり易く、診断や修理後の様子をメールと動画で説明してくれて、安心できました。

修理の対応の速さにも驚いています。 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニーカードリピーターCP-55A 修理

CP-55A

ソニーカードリピーターCP-55A 修理

久しぶりのカードプレーヤーの修理のご依頼になります。

カードを差し込んでも、本体内部から”ブーン”と音がなったままカードも引き込まれず、もちろんですが再生もできないとのことでした。

手でスライドさせてみると、再生音が小さいが何からの音がしているそうなので、再生系の致命的な故障は出ていなさそうですね。

早速開封して拝見します。

本体内部

目視上は問題はなさそうですね。

駆動部を取り外し確認すると原因は、すぐ判明しました。

長期保管したカードプレーヤーでの故障の多くは、ゴム系部品の経年劣化となります。

今回、駆動不良は起きていたのは、ゴム系部品以外にもプーリーのグリス固着が出ています。

このグリス、しかしまぁ接着剤のように固着してびくともしないんですよね。

さくさくっと洗浄し部品交換をします。

劣化ゴム部品とプーリー
部品交換

各所電気的接点の確認と接点復活剤と塗布し汚れ落としなどもやっておきます。

さて肝心の音声再生系をチェックします。

磁気ヘッドのアルコールで拭きとり、ゴムローラーを交換しているの磁気ヘッドのアライメントを取り直しておきます。

ここで問題は出ておりました。

依頼者様は、大サイズのカードをご利用なのですが、カードのお尻でカードが浮き上がり音が籠ります。

本来、このCP-55Aは、公文さんなんかでの英語教育用に開発されていたらしく、サイズの小さいカードが基本的に使用される前提です。

さて、調べてみるとピンチローラーの角度が狂ってきていますね。カードの上下位置が、ゴムローラーで給紙しているすべての位置で一定になるように調整します。

大サイズ

さて、小カードも当医院にありますので、小カードでも動作確認します。

小カード

大小カード両方とも問題ないですね。カードのお尻浮きも解消できました。

別途、ACアダプターでも動作確認し、今回は依頼者様がクリーニンシートをご希望でしたので、併せてお譲りすることで修理完了です。


以前よりも音がクリアで雑音が消えてきて、使用した子供がびっくりしていました。

スムーズにカード送りもでき安心しました。

私が幼少の時に使用していたので、もう無理かなと思っていましたが、無事になおり、加えて子供に物を大事にすることを伝えられて今回良かったと思いました。

この度は迅速な対応ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

20年程前に購入され長らく保管されておられ、最近カードを通したところカードが自動でスライドせずもちろん再生もできない状態とのことでした。

まず、当医院に依頼のあるソニー製のカードプレーヤーのほぼ100%でゴム系部品の経年劣化によるカード駆動の不具合が出ています。それ以外にもプーリーのグリス固化やアンプ回路の故障など様々な状況があります。

さて、今回のCP-1000を拝見します。

ゴムベルト溶断

ゴムベルトが溶けて切れていますね。しかもプーリー類に粘着しています。

プーリーの軸もグリスの劣化固化でカッチコチになっています。

ゴムベルトの残骸

粘着しているのでこそぎ取る必要があるんですよね。

エタノールが一番よくとれますが、最近パーツクリーナーでもよく落ちることが分かりました。

プーリー類

粘着したゴムを綺麗に洗浄しゴム系部品を一式新品に交換します。

左:劣化ゴムローラー 右:新品ゴムローラー

隅々まで綺麗に清掃もします。

綺麗に洗浄

カードプレーヤーをご自身で修理されるような場合は、部品交換のみという方が多いかと思いますが、末永くご使用になる場合は隅々までのメンテナンスをお勧めします。

組み付け

磁気ヘッドのアジマスも問題ありません。

最後にカードの再生速度を調整しますが、モーター内のツマミの接点が劣化か錆で接触が悪く調整に少々難航しました。

現状のままでツマミを調整しようとすると、なぜか固くツマミの溝も何かゆるゆるか削れてうまく調整できません。接点復活剤を吹き一グリグリし接点の表面を削り再度微調整をしました。

修理完了

問題ありませんね。

これにて修理完了です。


突然の連絡にも関わらず、すぐにご返信下さりありがたかったです。

私が子供の頃に使っていたので、もうこの機械も古いから使えなくなってしまったかなと諦めかけていましたが、修理していただけて嬉しいです。

修理もすぐにしてくださり、内容も丁寧にご連絡くださったり、動作確認後の請求など、とても親切でした。 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム粘着事例

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム粘着事例

今回は、修理不可能になってしまう事例を紹介します。

CP-1000という機種では稀なのですが、カードをスライドさせるゴムローラーが経年で溶解し磁気ヘッドに粘着します。その影響で磁気ヘッドコア部(アモルファス)に浸食し正常に磁気を拾えなくなります。

既に依頼者様で分解しこの事態を目視しておられたので、『修理の見込みはあるのか?』というご相談からありました。

スタッフブログに掲載のCP-33機種における修理不可能な事例を同じく溶解したゴムローラーが磁気ヘッドに粘着した場合、その多くは修理不可でした。まともに磁気が拾えなくなっています。

では、今回の事態を画像で確認しましょう。

フライホイール軸

既にボロボロになったゴムローラーは除去されたのですが、その様も容易に想像できる事態ですね。

CP-33という機種でこの症状が多いのですが、CP-1000では2例目です。

推測ですが、一度メーカー様に修理にだされ、ゴムローラーを交換したのだが、その時のゴムローラーの素材が製造当初から変更になっており、CP-33と同じ素材のゴムローラーに交換されていたのかもと予想しました。

では、肝心の磁気ヘッドを確認しましょう。

粘着

おおお!すごいですね。

かっちこちに固化し粘着しています。

で、ここで無理に剥がすとダメージが大きくなってしまうんで、慎重かつ丁寧にそっと剥がしていきます。

剥がした跡

できるだけ慎重に剥がしたのですが、ヘッドのコアも損傷を受けていますね。当初の予想通りいなりそうです。

この状態で、ゴムベルトとゴムローラーを交換し再生確認をしましたが、まったく音が拾えておりません。微かに再生音が聞こえる程度です。

手前が今回のご依頼のCP-1000で奥が、当医院のCP-1100です。

また、アンプ回路やスピーカーなどの故障で音が小さくなっているかもということもあり得るので、当医院で用意している検査治具に磁気ヘッドのみを接続して音を鳴らしてみます。

検査治具

やはり、同じようにまったく磁気が拾えていませんね。

アンプ回路にも故障があり、起動時と停止時にピューンという鳴りがでます。パワーアンプ回値のコンデンサーにも何か劣化が出ていそうです。

今回は、経年によるゴムローラーの溶解で磁気ヘッドにゴムが粘着した場合の影響についての記事でした。残念ながら修理不可能となりましたが、数十年経過しているので、致し方ないのかもしれません。