ソニーリピートカードプレーヤー CP-33 機構モジュール換装

CP-33

ソニーリピートカードプレーヤー CP-33 機構モジュール換装

当医院でのお馴染みのソニーリピートカードプレーヤーCP-33の修理のご依頼です。

カードが正常に送られずとのことです。当初のお問い合わせ時は、ゴム系部品の融解などは無さそうとのことでしたので、ひとまずは安心ということで受け付けをさせていただきました。

CP-33に関しては、他のカードプレーヤーに比べ修理の確率が低くなります。その理由は、スタッフブログにまとめておりますので、ご参考にしてみてください。

今回の修理案件は、修理が難しくなる代表格の磁気ヘッドに溶けたゴムが粘着した事例となります。

まずは、開封をして本体内を確認します。

まず、磁気ヘッドを確認しますが、非常に残念ながらゴムローラーがボロボロになっており、残骸が磁気ヘッドのコアに粘着固化しております。

ボロボロになったゴムローラー

磁気ヘッドも確認すると、ゴムの残骸がこびり付いております。

ゴムの粘着

通常ここまで粘着すると、修理不可能となります。残存のゴムを除去した場合は、全く磁気が拾えないか、拾えても高音域が全く拾えないかのどちらかです。

まずは、慎重に残存のゴムを剥がしてどのくらいの音質まで再生できるかと確認しよと思います。

除去後

できるだけ慎重に溶剤も使いながら剥がしましたが、画像でも一目瞭然ですが、溶解したゴムを取り除けても、コアに損傷が残りました。当医院の技量上、磁気ヘッドのコアに損傷がある場合、音質の改善は難しい旨をご了承いただいておりましたので、その他の修理作業を別途続けて、音質は最後に判断をしようと思います。

では、ゴムベルトの交換作業です。

プーリー用のゴムベルトは、溶解しておらず容易に剥がせました。プーリーのグリス含めて綺麗にします。

ゴムベルト

では、ゴムベルトが巻き付いていたプーリーを綺麗にします。

劣化グリス

以前は、フラックスクリーナーを使って劣化したグリスを除去洗浄していたのですが、コスパ最強のパーツクリーナーに切り替えました。

パーツクリーナー

かなりの勢いで吹き飛ばしてくれますし、ゴムやプラスチックにも使用できます。劣化した古いグリスが、少しでも残っていると、時間を経過した後に再度粘着し、再稼働時にゴムベルトが外れたりするので、念入りにお掃除します。

一式

一連の作業を終え組み立てなおし音質を確認します。

高音質不良

やはり、高音域が全く拾えておらず、音声に明瞭さが全くありません。以下の正常品と比べてみるとはっきりします。

正常品

うーん、お子様がご使用になる旨をお聞きしていたので、やはり、音質不良のままでお返しするわけにはいきません。

ちょうど、ご依頼のCP-33の本体外装は、綺麗な状態でしたので、音質比較に使用したCP-33の磁気ヘッドモジュールを含む機構部を丸ごと移殖することで対応することにしました。

機構部のモジュール

機構部を丸ごと移殖しましたので、音質も正常に再生できるようになりました。

CP-33で使用されている、ゴムローラーは、経年にてボロボロになりゴムが磁気ヘッドに粘着することが多いので、CP-33の修理を検討されている方は、ご注意ください。

今回は、換装できる部品が運よくったので対応できましたが、通常は、修理不可能となる場合が多いです。


ベネッセ キッズカードリーダー スピーカー交換 修理

キッズカードリーダー

ベネッセ キッズカードリーダー スピーカー交換 修理

お子様が小さい時期に購入をされ長らく保管されていたそうです。実際に、お子様が英語の勉強のためにご使用になるため、電源を入れてみたら、LEDは点灯するが音声が聞こえないとのことでした。

この時点で十中八九、スピーカーの断線だろうと予想を付けておりました。

お送りいただき早速開封をし確認をします。

スピーカー

スピーカーは、筐体の表面にボンドで固定されております。とりあえずDCにてテスターで計測してみます。

話は逸れますが、スピーカーの断線チェックは、LCRメーターにてAC測定すべきです。

ですが、当院は、まだ設備投資できる資金がない(T_T)ため、DC計測になりますが、通常のテスターで測定しちゃってます。

DCにて計測中

スピーカーの導線を外して計測すると、やはり断線してるっぽいですね。

導線を付けたまま計測しても回路側のインピーダンスも合成して計測してしまいます。8Ωをさしていなければおかしい位は分かるかもしれないけど、、、。

このキッズカードリーダーのスピーカーは、容易に入手できません。手持ちの40mmのスピーカーでも鳴らせるちゃ鳴らせるのですが、できれば同じスピーカーがいいですよね。

断線スピーカー

スピーカーの手配まで半月程かかるので、じっと待ちます。待っている間に手持ちの8Ωのスピーカーに繋いでスピーカー以外の不具合がないか調べます。

クイズ機能、ゲーム機能、録音機能などなど、その他に不具合はありませんでしたので、スピーカーが届くまでじっと待ちます。

半月後、、、

無事スピーカーが届き交換を行います。

交換スピーカー

ちょとボンドを盛り過ぎました。

さて、このキッズカードリーダーですが、電池ボックスの導線の半田付けが心もとないです。

電池ボックスの導線

うーん、半田付けしてその上にボンドで覆っています。ついでなので、再半田付けし収縮チューブで絶縁します。

バッチリ

また、このキッズカードリーダーですが、この電池ボックスの配線が、カードを認識するフォトリフレクタ基板の端に干渉してしまい、本体裏のネジをきつく締めると正面向かって右のスロットのカードの挿入がきつくなりますので、若干ですが緩めに絞めます。


修理をお願いしたものは、6~7年前に受講終了していたベネッセの英語教材のカードリーダーでした。

ほとんど使用せずに埃を被ったまま保管、久しぶりに電源をいれたら音が出なくなっていました。

1度自分で開けて中を見ましたが、何もできず… 同じような例はないかとネット検索したら、こちらの修理実績にたどり着きました。

きめ細かい修理実績の説明を見て、ぜひお願いしたいとメールで依頼しました。

質問や修理の状況について、画像や動画でとても丁寧に報告、説明して下さって分かりやすかったです。

詳しく伝えていなかった症状までしっかり対応して頂き、お願いして良かったと思っています。

Paypayでの支払いに対応して貰えたのも凄く楽で良かったです。

これでまた英語学習に活用できます! 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 アジマス調整

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 アジマス調整

CP-1000を使っておられたお子様が、ご結婚されるのを機にお孫様にもということで修理のご依頼がござました。

では、早速拝見しますが、原因は直ぐ分かりました。

おおお!

おおお!

例のヤツだ。

おおお! Part2

こっちもたいへんだ。

ゴムベルトが溶けてしまい各所に粘着しておりました。

当医院では、この手の除去には、アルコールを使用しております。

実は、他のおもちゃ病院の修理記事で、溶けたゴムベルトの除去には、『灯油がいちばん良い』とあり、またアルコールでの除去は、作業の無駄とまで記載されておりましたので、検証をしてみました。

灯油での除去

結論から先に申し上げると、灯油での除去は、まったくダメダメです。

先の、おもちゃ病院のドクター様は何を基準に評価されたのかまでは、記載されていなかったので以下を基準に評価結果を掲載します。作業条件は、キムワイプで溶けたゴムを綺麗にこし取り、脱脂まで行うまでとします。

  1. コスト
  2. 作業性
  3. 品質

コストですが、これは、灯油に分があります。今冬、令和4年は、灯油価格の上昇もありますが、1リットルあたり、120円です。無水エタノールを純水で80%に希釈しも、この値段には敵いません。消毒用のエタノールでも、約10倍はしてしまいます。ですが、灯油で除去できても、最後にアルコールで脱脂をするので、どちらにしてもアルコールは使用する羽目になります。

次に、作業性ですが、灯油での作業は、かなりキツイです。そう、匂いがです。作業中ずーっと、灯油の匂いで頭痛がしそうなくらいです。塗装用のマスクが必要になります。なら、アルコールでも同じように匂いはするよねということですが、揮発してしまいほぼ問題になりません。どーしても、アルコールの匂いがダメな場合もありますが、灯油の匂いに比べたら天と地ほどの差があります。因みに、アルコールでも、IPAなどのイソプロパノールで、洗浄した場合も匂いでめまいがします。なので、エタノールでの洗浄が一番お勧めします。それと、アルコールの場合は、最終的には揮発しますが、灯油の場合、そのまま廃棄することはできないので、残った油をウエスか古新聞にしみ込ませて廃棄をしなければなりません。この点の追加作業でもアルコールの方が優位です。先の記事では、サクッと綺麗になったとのことですが、今回のゴムでは、灯油に付け溶かしキムワイプでこしとっても、粘着が酷くなかなか取れませんでした。

最後に品質です。

最終的に灯油でも溶けたゴムは除去できます。品質的には、アルコールとそう変わらないような気がしますが、前述の匂いで作業性が著しく低下し頭痛が伴うので、手元が狂い完全に取り切れる前に妥協してしまいそうです。

という結論に至りました。コスト以外に優位な点がありませんでした。

ということで、今回もアルコールでサクッと綺麗にします。

洗浄

次に、ゴムローラーですが、状態もまだ使用に耐え得るだけの弾力が残っておりましたので、交換の有無のご判断を仰いだところ交換ということになりました。

交換ゴムローラー

さて、この時点でゴム部品を一旦仮交換して、他に故障が無いかを確認したのですが、音が出ません。何かかなり小さいような、鳴っていないような感じです。既に薄々気が付いていたのですが、磁気ヘッドのアジマスが狂いまくっております。

なんか斜めっている
何かおかしい

目視でも分かるぐらい磁気ヘッドが斜めです。多数の同じ機種を修理し見ていると、このぐらいのズレは目視でも分かるようになりました。

お聞きしたところ、旦那様が修理に挑戦された際にアジマス調整用のネジを回してしまったとのことでした。おおお、、、そうでしたか、、、。

製品出荷の際にアジマスの調整は、メーカー側で実施し出荷されますが、長い期間ご使用になると、カードのテープ部の摩擦である程度の”あたり”が出ます。

この”あたり”は、磁気を拾うのに、最適な角度であるはずだから、大きな問題でもない限りは、調整の必要性はほぼ無いはずです。従いまして、音が鳴らないからと言って、アジマスを調整してしまうのでは危険ですね。

当医院でも調整をする場合は、ゴムローラーのゴムが溶けてヘッドに粘着し、除去のためヘッドのコアを研摩した際や、キャプスタン軸のフランジが、落下の衝撃で曲がってしまった場合など、一番良い位置で”あたり”を再現する場合に調整します。

今回は、ママ工数を掛けて調整を行いましたが、どうもアジマスの狂い以外にヘッドの劣化があるようでした。高音域に籠りが出ております。

アジマス調整

カードを聞き比べ一番良い音で再現できるところまでの調整を行いましたが、これ以上の改善は難しいということで、ご了承をいただきました。

動作確認

当医院で使用している動作確認用のカードは、新品ではないのですが、やはり新品のカードの音質はいいですね。以上で修理完了です。


カードを通して動作確認してみました。

しっかり治療をしていただいて無事に退院してきたことを嬉しく思います!

お忙しい中、本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100ゴム系部品交換

CP-1100

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100ゴム系部品交換

CP-1100が、2台立て続けに修理のご依頼がありました。今回は、カードは自走できず、手で押してあげると動くことはできるとのことでした。できれば、その時にスピーカーから、おかしいなりでも音が鳴っているかどうかの確認もして欲しかったのですが、『手で動かした際にスピーカーから、おかしいなりに音声が何かしら出ていれば、ゴム系の部品の交換で修理の可能性があります。』と、お伝えしたところ、修理のご依頼ということでしたのでお受けしました。

因みにですが、ご依頼時の1次診断で、現状の状態をヒアリングし、修理の受け付けの可否を判断します。もうどうやっても修理は不可能である場合ですが、修理の見込みがないことがはっきりしている場合は、残念ですが修理のお受けは難しい旨をお知らせします。

劣化ゴム部品

カードが自走しない原因は、ゴムローラーが完全に固化しツルッツルのテケテカになっていたためでした。もうプラスチック部品かと思うくらい硬くもなってします。

ゴムベルトも伸びて曲がり癖がついてますね。丸ごと交換します。また、今回もボリュームにガリノイズが出ていますので、ご判断を仰いだ結果一緒に交換することになりました。

交換ボリューム
パーツの洗浄

プーリー類も丸ごと取り外しアルコールで洗浄しグリスアップします。

本体内部も、長年のホコリとスポンジ類の劣化でボロボロなので、全て取り外し綺麗にお掃除します。

綺麗にお掃除

あとは、組み立てをしてカードの再生速度や磁気ヘッドのアジマス調整を行い修理完了です。


先程プレーヤー受け取りました。

お陰様で綺麗な音でキチンと作動しています。蘇って感激です。

ありがとうございました。

30年ほど前に私の父が孫に買ってくれたものです。先日私の孫が興味を示しましたが上手く作動しないのでどうしたものかと思案しておりました。

宅配おもちゃ病院をネットで知り修理お願いしました。

父は亡くなって今はおりませんが、喜んでいると思います。捨てずにおいてよかったと思います。

新しく、便利なものも沢山ありますが、父の思いを伝え、直してまた使えることありがたくおもいます。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 スピーカー交換修理

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 スピーカー交換修理

ご依頼者様が、幼い頃にたくさん遊んだ思い出のお品物で、お子様にも使えるようにしたいということで、修理のご依頼がありました。カードを溝に差し込むと、カードは進むが、音が出ないとのことです。また、お持ちのトーキングカードも劣化が激しいとのことでした。

画像の通り、磁気テープ部分がカードから剥がれてしまっていますね。

過去の経験では、スピーカーの故障か、磁気ヘッドと磁気テープ間の隙間が開き過ぎたかアジマスが狂ったかというような感じでしょうか。

早速拝見します。

ボイスコイル断線

音が出ていない原因は、直ぐ分かりスピーカーのボイスコイル断線でした。インピーダンスが異常値などの場合は、LCRメーターで測定すべきですが、断線のみを計測する場合は、DCでの計測にはありますが、手持ちのハンディテスターで計測できます。O.L(オーバーロード)で断線しており、チェッカーでも全く音が鳴りませんので交換をします。

で、この段階で手持ちのスピーカーに暫定交換をしたのですが、やはりまだ音が出ません。そこで、磁気ヘッドから磁気が拾えているか、治具で確認します。

治具

お手製の計測治具ですが、磁気ヘッドからの音声を拾い鳴らしてくれます。かなり、重宝しております。さて、磁気ヘッドは、無事磁気を拾えており、カードの再生音も聞こえました。

となると、電子回路系の不具合を次に探ります。

実は、一式分解して基板の方々の箇所を調査していたのですが、突如音が鳴り始めました。修理あるあるなのですが、調べていつ内に突如直ってしまって、どこが問題であったのか分からない状態です。

その後の動作確認でも、無事連続稼働を続けすこぶる快適に鳴っております。

このままでは、再発が心配なので、以下2点を対策として提案しました。

  1. ボリューム交換
    調査中にボリュームをぐりぐり回していたのですが、音量が全く増減しませんでした。その後回復しても、酷いガリノイズが出ていたので、もしかすると、接点に酷い腐食か異物が挟まっていた可能性が大きいです。ガリノイズも出ているの、ボリューム交換をお勧めしました。
  2. ACカップリングコンデンサー交換
    すこし信憑性の観点から確率は低いのですが、音が小さくなる原因が、容量抜けであった経験もあるので、音質改善も兼ねてまた折角基板も分解しておりましたので、カップリングコンデンサーの交換をお勧めしました。

ご判断の結果、ボリュームおよび電解コンデンサーとも交換をされることになりました。

その他の点としては、ゴム系の部品も経年で劣化しており、特にゴムローラーの表面はツルツルに固化しておりますので、交換のご判断を仰ぎました。

劣化ゴムローラー

ご依頼者様の動作確認では、まだカードを差し込むと自走はしているとのことで、弾力はまだあり、摩擦も残っていそうです。ですが、この画像の状態からも、そう遠くない将来、次第に固化して滑ってしまいそうですね。

劣化ゴムベルト

画像からも分かるとおり、伸びて保管時の曲がり癖がついていますね。

一応ですが、ゴム部品は、状態をお知らせし、現状自走しているので交換の必要性をご判断いただき交換とのご意向でした。

スピーカーとゴム系部品交換
ボリューム交換

作業方針が、決めりましたので後は粛々と作業を進めます。

ゴム系部品の交換は、もう数多くの実績はありますので、あれてブログにはもう載せないようにし、特記事項のみを掻い摘んで掲載しようと思います。

アルコール洗浄

汚れ、埃などは、全て綺麗にし、アルコールにて古いグリスなども除去します。

交換部品

以前、基板の回路は、図面に起こしておりましたので、交換箇所も既に分かっておりました。

諸々交換部品を装着し組み上げます。

組み上げ

同封のトーキングカードですが、磁気テープの剥がれた箇所は、両面テープで補修します。

テープ剥がれ

剥がれたテープの自走方向が分からなかったのですが、付着していた残存の紙の痕を見比べて走行方向を合わせて貼りつけます。

テープ補修

動作確認を行い修理完了です。

やはり、同封のカードは、紙面の物理的な劣化もありますが、磁気の劣化もありました。

当医院の動作確認用カードで動作を確認しました、良好ですね。


本日無事にトーキングカードプレイヤーを受け取ることができました。

息子の前でやってみると、 最初の1枚から手をふりふり動かしてにっこりと嬉しそうにしてます。 そのうち、気づけば音楽に合わせて体全体で踊っております。

色んな想いが込められていたこのおもちゃを こんなにも迅速に、そして丁寧に扱っていただき有難うございました。

手術前後も動画などで丁寧に状況を教えて頂き、 また、対応方法も複数の選択肢を提示していただくなど、 こんなにも丁寧にしていただけると思っておりませんでした。

今回、おもちゃ病院というものが存在するということを 初めて知りました。

きっと私と同じような気持ちで依頼をしている方が沢山いらっしゃるのだと思います。 これからもぜひこの素晴らしい活動を続けて頂けたらと 心から思っております。

~ご依頼様のご感想より~

DWE アナログプレイメイト ゴムベルト再修理

DWE アナログプレイメイト ゴムベルト再修理

こちらの記事でアップしておりました、アナログ版のプレイメイトですが、返送後に突然動かなくなる旨の連絡があり、原因究明と対策を行いました。今回は、その内容についての記事となります。

突然カードを通そうとすると、カードが自走しなくなってしまうそうです。

カードをゴムローラーで挟んで駆動する形式のプレーヤーは、数多くの修理経験がありますが、過去に交換したゴムベルトが切れてしまった例があります。さて、早速再度送りなおしていただき拝見しました。

本体内部を拝見しましたが、目視上はこれといった不具合は見つかりません。

では、実際にカードで稼働をさせてみて、突然止まるような事象は起こるか確認します。

動き自体は、修理当初の動作確認時と同じく問題ありません。想定内です。

このレベルで不具合が出てしまっては、当初の修理の内容に疑念が出てしまいます。

そこで、不具合が生じた詳しい状況をヒアリングしました。

すると、数時間の連続稼働後にカードが動かなくなってしまったとのことです。ということで、試験用にトークアロンカードを50枚程、追加で借用し連続稼働をさせました。

10分、20分とカード再生を連続させます。すると、30分経つか経たないかというところで、突然カードが、動かなくなりました。本当に突然動かなくなりました。

しめた!と思い、そのままの状態で開封し駆動する機構回りを確認します。

なんとも、モーターは回転しますが、プーリーを回転できなく空回りするようになります。

この症状は、しばらく時間をおくと、再度正常に回り始め、そのまま稼働を連続させると再発するという症状です。

実は、DWE製のアナログ版プレイメイトは、修理実績は数件しかなく、この手のノウハウの蓄積が乏しいのが実情だったりします。

空回りしていたゴムベルトも、実寸サイズを計測して交換していたのですが、やはりこちらの修理記事のとおり、ベルトのテンション(張り)を考慮して実寸の80%サイズで張るのがベストとあります。念のため張りは気にしていたのですが、何分、容易に手に入らないゴムベルトですので、入手可能なベルトにて動作確認を行っていたのが仇となったようです。

ベルトの張り

グリスも黒くなっております。

グリスの選定

さて、原因はほぼ突き止めれたので、対策を打ちます。

プーリー軸には、より耐圧性能のある極圧タイプに交換をします。プーリーが回転できなくなったのは、グリスの粘度が熱や圧によって変化したせいかもしれません。当初塗布したシリコングリスは、-50℃~250℃までの耐熱性があったのですが、金属同士の摩耗なので、他のグリスで検証してみます。

また、ゴムベルトも規定サイズの80%のベルトを発注します。もちろんですが、国内では入手できませんので、海外より入手します。

この2点を調整し再度不具合が生じるか確認します。

連続稼働1時間でも、先の空回りの問題なく回転を継続できました。

恐らく、ベルトサイズの選定が問題の9割でグリスは、問題の1割にも満たないように思います。

ただ、これはあくまでも当医院での検証結果ですので、ご依頼様へ返送し動作をみてもらうことにしておりますが、再発してももう打開策がありません。原因不明の不具合ということで、事象が起きた際は、しばらく時間をおいてから再度使用するなどの運用面でのお願いをしておきました。


DWE 両面デジタル プレイメイト修理

DWE 両面デジタル プレイメイト修理

中古で購入されてから一年程で、カードの進みが悪くなり音声も再生されなくなったそうです。購入当初から不具合の兆候はあったそうです。

カードで手で押してあげると、時々成功することもあるそうで、ご自身でもいろいろ事前にお調べになったとのことでした。

  • 電源ボタンを押下すると、赤ランプで1回点滅
  • メモリカードのスロットを1番から2番に変えると、赤ランプが3回点滅
  • 電池を新品に交換しても効果なし。

修理の期待が過剰になるのを抑えるために、修理を受け付ける前に一応ですが、当医院の実情をお知らせしました。

当医院は、ソニー製のカードプレーヤーの修理を得意としており、保守、消耗部品も自前で容易し交換できる体制を整えており、修理実績も多く故障修理に関する多くの知見もありますが、それ以外のカードプレーヤーにおいては、対処療法的に、できる範囲での対応に限られる。

つまり、部品交換が必要になる事態は、ほぼ修理不可能である。また、故障に関する知見も少ないため、そもそも原因不明で修理不可能と判断せざるを得ない事態も考慮してもらいたい。

もちろんですが、修理可能の場合でも修理作業料および部品代などのご負担が必要になることもあわせてご検討いただきました。

ご検討の結果、修理不可能であるというリスクも了承いただき、拝見することになりました。

以上、諸々のリスクを許容していただいたので、いつも以上に気合を入れて診察します。

まず、事前にお知らせいただいた内容から、電源投入後に赤LED1回の点滅しているので、SDカードの認識は問題なさそうです。2番スロットへ、差し込み口を変えると、赤LEDの点滅が、1回→3回に変化しているので、SDカード認識に関しては、何らかの機能はしていると思われます。

では、早速拝見します。

電源を入れてカードを差し込んでも自走しません。ですが、内部でモーターの回る音はしているので、空回りの可能性があります。

そこで、カードの自走を手でサポートしてあげます。

このプレイメイトは、名前の如く、デジタル方式でカードに印刷されたバーコードを機器で読み取って再生する仕組みを採用しております。

磁気カードのようにアナログでの記録方式でなら、テンポや速度も厳密に合わせなくとも、でたらめでぐちゃぐちゃな音声でも何かしら音は出ます。

ですが、バーコードを読み込むには、読み込み仕様に則った速度でバーコードをリーダーのフォトリフレクタあて”ずらす”必要があります。

自走サポート

テンポが運よくあえば、バーコードを認識してくれて音声を再生してくれます。

本機も上手に速度を合わせこんでやったところ、無事音声が再生できました。ご依頼者様が、『カードを手で押し込んであげると、時々成功することがある』とあったのですが、バーコードの読み込み速度があったタイミングだったのだと思います。

ということから、再生故障の原因は、カードをスライドさせる機構に不具合があることは確かですね。次に開封して、その原因を探ります。

上蓋のネジを外して開けると、原因は、直ぐ分かりました。

ゴムローラーとピンチローラー

カードを挟んでも、ゴムローラーが回転していません。不具合は、その前段ですね。

ゴムベルトの劣化滑り

モーターからゴムローラーまでは、プーリーが2箇所あり、画像の通り、ゴムローラー側をゴムベルト1と呼び、モーター側をゴムベルト2と呼ぶこととします。

ゴムベルト2が、完全滑っておりました。カード再生故障の原因は、このゴムベルトでした。

劣化ゴムベルト

経年の劣化で固化が進んでおりましたので、2本とも新品の平ゴムベルトに交換します。

プーリーグリス

ソニー製のカードプレーヤー同様にプーリー軸のグリスが劣化し粘度が低下しているらしく、回転時に抵抗が生まれています。特に、ゴムローラーが付いている側のグリスの劣化が顕著で、手で回してみても明らかに抵抗があります。

ゴムローラー軸

プーリー軸にグリスを塗布しようとしましたが、ゴムローラーが圧入されており、取り外せない状況でした。無理に引っこ抜けば、取れますが、そもそもゴムローラーの替えがないので、できません。隙間から軸部分にシリコンスプレーを吹いてみましたら、あら不思議と、くるくる軽々回るようになりました。

ただ、そのような状況を確認すると、劣化が今後さらに進んだ場合、最悪軸に粘着して回転できなくなりますね。今回は、ゴムローラーの表面もアルコールで拭いておくだけになります。

交換ゴムベルト

ゴムベルトを交換し組み上げて動作確認をします。

制御基板配下にフラットケーブルが通してあるのですが、基板をはめ込む際にちゃんと水平に固定しておかないと基板が収まりません。

フラットケーブル

問題なさそうですね。以上で修理完了です。


丁寧なやりとりとお仕事をありがとうございました。

感謝の気持ちでいっぱいです。

最初は、もし治らなくてもしょうがない、買い替えるのも高いし、違う方法で英語学習やっていこう、と考えたりもしましたが、 やっぱり診てもらって良かったです。

これから長く使えるように大事に使おうと思います。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 リピート再生故障 修理不可

CP-7000

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 リピート再生故障 修理不可

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000の修理のご依頼がありました。現状でカード再生をすると、再生音がこもっており、また再生速度も遅いとのことです。手で押してあげると、正常に再生できるとのことでした。

また、CP-7000には、修理不可能な持病ともいうべき、連続再生を行うと徐々に再生音量が小さくなってしまう症状があります。

当医院でCP-7000の修理を承る場合は、上記の故障症状については修理不可能としております。詳細は、こちらの記事にもあります。また、こちらの有料修理のご案内にもその旨を明記させていただいております。

今回もこの点については、事前に不問ということを前提に受け付けをさせていただきました。

早速、状況を確認します。

まず、届いた状態でカードの再生確認を行うと、カードが全く自走できません。完全に滑ってしまっておりました。

滑り

そこで、手で押してあげると、再生の音声が出てきますので、まずはゴムローラーの交換は必須ですね。

ゴムベルトの状態を確認しようとしたら、恐らくは落下の衝撃か何かで支柱が折れておりました。

支柱折れ

カード検知用のレバーの抑えも折れております。

レバーの抑え折れ

ついでに、モーターを固定する筐体も部分的に割れて部品が本体内部に転がっておりました。他の機種でも多いのですが、落下の衝撃でキャプスタン軸のフランジが曲がってしまい、磁気ヘッドとカードの磁気テープに大きな隙間が空いてしまう故障もあります。今回は、諸々プラスチック部の破損で済んでおりました。

さて、これらの破損は、カード再生の問題には影響をしていないため、最後に接着固定するなりで対応します。

引き続き、ゴムベルトをの状態を確認します。ゴムベルトも経年で固化が進み、ゴムベルトも交換が必要でした。

ゴム系部品

まずは、ゴム系部品一式を暫定交換し、その他の故障がないか確認します。

ですが、残念なことに、先のリピート再生時に再生音量が小さくなってしまう症状が出ておりました。確認当初は、リピート再生時も音声がある程度出ていたのですが、今回は、10枚程度の連続再生で既に現象が出ております。

リピート再生時の音量不良

カードを自走させ再生する場合は、問題ないのですが、リピート再生時の音量が、小さくなっております。ほとんど聞こえません。

動画途中でボリュームをMAXまで上げておりますが、それでもほとんんど聞こえません。リピート再生のAUTO/MANUALどちらの動作モードでも同じでした。

過去に同様の機種を数台見ているのですが、このリピート再生時の音量低下は、非常に不安定で、発生確率も低く、発生しても小さくなったり、大きくなったりと非常に解析も困難な事象です。

残念ですが、今回のご依頼は、修理不可能とさせていただきました。

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 ゴム部品交換

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 ゴム部品交換

トーキングカードプレーヤーをさし込むと何かしらの反応はするのだが、カードが自走しないので、音声の再生もできないとのことでした。

では、早速拝見します。

液漏れ

まず、電池ボックスの負極に液漏れによる腐食があるので、綺麗にしておきます。腐食によ電圧が降下していたので、他の故障原因を調査する前にまずは、正常な電力が供給できるようにします。あまりにも腐食が酷くバネが折れたり応力もない場合は、電極のバネ自体の交換もしますが、研磨を行っても強度が保てる場合は、研磨を行い導通確認で正常な起電圧があれば研磨のみで対応します。

さて、次にカード自走の原因を探ります。

本体内部は、ある程度は綺麗だったのですが、先の液漏れによる粉が本体内部に飛散しておりました。

さて、カード駆動不良の原因は、プーリーベルトが、溶解して切れておりました。溶けて粘着するようなレベルではなかったので、容易に剥がせました。

ゴムベルト切れ
切れたゴムベルト

ゴムベルトを交換し、カード再生テストを行うと無事音声が再生できました。

ゴムローラー

現状でもカードを直に駆動するゴムローラーの摩擦は残っており、カード数枚のレベルですが、再生確認はできました。まぁ、でも画像からも表面の劣化は出ているので、ご依頼様に如何するかご相談をした結果、ゴムローラーも新品に交換をすることになりました。

新品ゴムローラー

その他の故障箇所としては、キャプスタン軸の受けが剥がれていたので、綺麗に表面を研磨し接着します。

軸受け研磨

接着は、いつもと弾性の強力接着剤を使います。

軸受け接着

その他の部品は、綺麗に洗浄して組付けます。

その他部品

磁気ヘッドのコアも摩耗は少ないので、使用頻度も低かったのかと思います。再生品質も問題ありませんでした。

さて、今回は、便利工具をご紹介します。

プリント基板上のケーブル接続のためにコネクターがいろいろ取り付けられたいることが多いですよね。このCP-1000にも、モーターや磁気ヘッドなど接続するためのコネクターがあります。

専用の引き抜き工具がない以前は、ラジオペンチなどで引き抜いていたのですが、なかなか抜けない時は、コキコキこじって抜くことも多く、その度にコネクターの筐体の破損や電極の半田にクラックなどの問題が出ないかハラハラしておりました。

そんな時の工具をしてコネクター抜きがあり、かなり便利に使っております。

基板コネクター抜き

コネクターの長短をツマミ真上に引っ張り抜きます。ツマミ部分には、凹みがあるので、その凹みにがっちりコネクターが噛むようにします。

この工具で、簡単に確実に抜けるようになりました。


娘が到着をとても楽しみにしており、ウキウキしながら箱から取り出し、何度もカードを通して当時を懐かしんでいる姿に私も感動しました。

小さかった当時の話に花が咲き家族で懐かしく素敵な時間となりました。

おもちゃ病院の診断書にもユーモアが溢れて滝下ドクターのお人柄が感じられました。

入院治療していただき本当に感謝しています。ありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 磁気ヘッドコア 粘着異物除去

CP-1100

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 磁気ヘッドコア 粘着異物除去

カード送りが不安定で送ることができない場合もあるそうです。また、再生音も小さく、ボリュームにガリが出ているとのことで修理のご依頼がありました。

カードが自走しない原因の多くは、ゴム部品の劣化でしょう。ボリュームも新品に交換するとして、再生音が小さいのは、気になります。スピーカーやアンプ部の故障も考えられますね。

では、早速拝見します。

ゴムローラー

ゴムローラーが、固化してツルツルですね。若干縮んでいるので、磁気ヘッドとの隙間も空いています。もしかすると、音が小さい原因は、この隙間かもしれません。

ヘッドのあたり

カードをさし込むスリットを横から除き込んでみます。やはり、ゴムローラーとヘッドのコアに相当の隙間が空いていますね。ゴムローラーを交換する場合、アジマスの調整は最終段階で再生音と速度をチャックしながら行います。

ゴムベルトも劣化して固化し伸び切っていました。一式交換します。

ゴムベルト

また、このプーリーですが、初期ロットの場合、ネジ止めの支柱に干渉して再生中に『カラカラ』と音がするので干渉部分を削っておきます。もちろんですが、プーリーのグリスも交換しておきます。

削る支柱
経年劣化ゴム部品

当医院での修理は、本体内部は、一式丸ごとアルコールで洗浄して綺麗にしておきます。

プーリーとキャプスタン

さて、次にガリが出ていいるボリュームも交換をしますが、このボリュームは、CP-1100専用に設計されたものか、製造段階で筐体の金型をこのボリュームにあわせたのかは定かではありませんが、現在入手できるボリュームではありません。そのため、今入手できるボリュームを探しても筐体にフィットするボリュームはないので、別途専用に用意する必要があります。

ボリューム

市販のネットなどで入手できるボリュームは、軸の高さが合わないので、筐体に収まらないし、そもそもローレットタイプであってもツマミの溝の高さにもあいません。

さて、ここで再生音量が小さい件の原因を調査します。

先の推測では、ゴムローラーとの隙間が原因かと思っていたのですが、犯人は違いました。

隙間

アジマスを調整しゴムローラーに対して水平と垂直を出し調整を行っても、まったく改善しません。というか、全く変わらないのです。

これって、おかしいです。磁気ヘッドで何らかの時期が拾えていれば、調整でおかしいなりに何らかの変化があるはずです。

ということで、そもそも磁気ヘッドで磁気を拾えていない事態であるか確認します。

故障原因の切り分けのため治具を用意しております。

故障原因が磁気ヘッドなのか、電子回路なのか、機構部なのか?

磁気ヘッド確認治具

磁気ヘッドに直接クリップを接続してこちらの音声が増幅再生できる治具の方で音が拾えるか確認します。

ですが、こちらの治具でも音量が拾えておりませんでした。従って、磁気ヘッド自体に何か起こっております。

異物

まぁ、当初からヘッドに何やら付着していそうなことは分かっていたのですが、やはり磁気を拾えておりませんでした。磁気テープが、ヘッドのコアに密着できなくなっております。

下手に除去すると、コアを傷つけるか、粘着性の異物がさらに広がったりして高域の音声が、拾えなくなるので、除去作業は慎重に行います。

溶剤で溶かしある程度柔らかくなったところで、研磨用#10000のペーパーで拭き上げます。

幸いに綺麗に除去でき、アジマス調整後に再生音も無事復活しました。

モーターの再生速度も遅くなっておりましたので、調整を行い修理完了です。


昔、録音した学校の友人や先生の声を聞けて嬉しいです。

この度は本当にありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~