4.3インチ タッチ機能付き液晶パネル互換性について

先日、4.3インチのタッチパネルが割れたということで液晶モジュール丸ごとを交換した記事を掲載した。

記事は、こちらを参照ください。

ご依頼者様のたっての希望ということで、部品代が高額になりましたが、液晶モジュールを丸ごと交換をし無事修理ができた。

その後、今後同様な事態に備え、もっと安価に対応できないかと、いろいろ思案していました。

今回は、その策の1案とご紹介します。 4.3インチのタッチパネル付きの液晶が搭載された玩具のほとんどがパッド機能と称し発売されています。

最新機種では、既に5インチのマイナーチェンジされていたりしますが、まぁ基本ハードは共通にして遊べるアプリをキャラクターにより差し替えて開発されているように感じます。

開発費を抑えるため、ハードの開発は別途下請けの業者にお願いし各社OEMを受け基本構成は同じにするでしょうから、自ずと使用されている液晶やタッチパネルも同じにならざるを得なくなります。

修理依頼としては旧式がそろそろ経年での故障を起こす時期にさしかかっているのか、スピーカーの音がしないとか、電源が入らなくなったとかで、また多い依頼としては、遊んでいるうちに誤ってタッチパネルを割ってしまったという事例も多く拝見します。

さて、本記事ではタッチパネルを誤って割ってしまっても、何とかコストを最小限に抑えて修理できる策を模索します。

そこで、市販の液晶が取り付けできるかどうかという情報と他の同様のジャンク品から生きている液晶モジュールのみを流用できるかどうかを調べ情報共有をしたいと思います。

その1.新品の4.3インチのタッチ機能付きの液晶パネル

まず、新品の4.3インチのタッチ機能付きの液晶パネルは、aitendoさんのこちらで市販されております。

既に前述の記事にて交換稼働の確認までできました。

ですが、通販の送料を含めても5000円近くします。

そうすると、フリマなどで中古の可動品よりも高額なってしまうなどのジレンマが生じます。

従いまして、依頼者様の強いご希望でもないと新品への交換は難しいと思われます。

アンパンマン すくすく知育パッドでの交換事例をこちらにて掲載しております。

aliexpress経由ですと、送料をいれても2000円程度ですが、そもそも未達のリスクもあるので、お勧めはできません。

その2.新品のタッチパネルのみを交換

液晶は問題なく映るが、タッチ機能だけ故障している場合、割れたタッチパネルのみを交換するという手段があります。

自分はまだ経験はありませんが、液晶画面の周囲に両面で張り付いているタッチパネルのみを綺麗に剥がせれば交換もできると思います。

また、フラットケーブルとの接続も半田と接着剤なので、この接合部分も綺麗に換装できれば最小のコストで交換できます。

aliexpress経由ですと、送料をいれても1000円程度ですが、こちらもそもそも未達のリスクもあるので、お勧めはできません。

現在、他の入手手段がないので、aliexpress経由にて4.3インチのタッチパネルのみを発注していますので、届きしだいタッチパネルのみの換装成否の続報をスタッフブログに載せます。

2022.11.14 続報 マジカルスマートノートにてタッチパネルのみを交換した修理事例を掲載しました。

その3.液晶とタッチパネルが生きているジャンク品から移殖する

今回のメイン記事となります。

前述の通り、液晶が映りタッチパネルも割れていないジャンク品がフリマなどで販売されております。

無事に流用できるかまでは開けてみなと分からない状況でしたが、今回、『バンダイ ドラえもん カメラでひらめきパッド』の電源が入らないというジャンク品を入手できました。

送料込みで1600円です。

中古部品にはなりますが、移殖できれば新品のパネルよりも廉価に修理できます。

入手したのは、以下の2点で、流用までの流れを記載します。

バンダイ ドラえもん カメラでひらめきパッド

液晶やタッチパネルに割れなどの損傷はなく、電源が入らないというジャンク品でした。

このカメラでひらめきパッドが修理できれば、そのまま使用しようと思ったのですが、残念ながら修理不可能でした。

本体を開封するとケーブル形状の同じ液晶モジュールがあります。

ケーブルの形状も同じで40ピン、タッチパネルの端子もピン番号の37~40ピンにアサインされております。

恐らくは、このままポン付けで移殖できそうです。

さて、カメラでひらめきパッドの故障原因を調査します。

電源が入らないということでしたが、この点のパッド品は、乾電池を挿入すると、すぐ制御ICが起動しスリーブしています。

そのため、ネット上で騒がれている『乾電池が直ぐ無くなる』という事態になります。

電源ボタンを押下するとウェイクアップ(起床)して動き始めます。

乾電池からの給電は、6.0Vから3.3Vに減圧され、COBパッケージ界面の配線端まで正常に給電されております。

また、6MHzのクリスタルも正常に発振されてりました。

ウェイクアップのトリガになり電源ボタンを押下すると、COBから配線されているトリガ配線が、プルアップの3.3VからGNDに落ち込みます。

Negativeエッジもしくは0Vレベルでのトリガにてウェイクアップする仕様になっておりますが、うんともすんともな状態でした。

給電の状況と外部発振回路からの信号およびウェイクアップトリガの信号が、いづれもCOB界面の端子で正常に印加されているので、COB内部の制御ICの不良と判断しました。 ※ネットで調べてみましたら、本機の電源が入らない故障がとても多く初期不良での交換をなされた購入者も多いようですね。

ということで、タッチパネルと液晶モジュール丸ごとを移殖用に使用します。

バンダイ アンパンマン すくすく知育パッド

こちらも同じフリマからタッチパネル割れということでした。

液晶は映るがタッチパネルのタッチに反応しないそうです。

既に事前勉強は済んでいるので、サクサクとタッチパネルと液晶を外してしまいます。

ドラえもん カメラでひらめきパッドは、液晶用のクッション材はカバー側に貼られているのですが、アンパンマン すくすく知育パッドは、液晶側に貼られているので、綺麗に剥がし糊も除去します。

フラットケーブルの形状も同じなので、進捗にはめ込みコネクタに固定します。

フラットケーブルとコネクタはロック式ではありますが、テープでも抜けないように固定をしておきます。

さて、どうでしょうか? 無事、動くでしょうか?

まったく問題なく動作しました。

これで、『ドラえもん カメラでひらめきパッド』と『アンパンマン すくすく知育パッド』のタッチパネルと液晶の互換性は問題なしとなります。

近々で『ディズニー マジカルスマートノート』のタッチパネル割れの修理を行うので、その互換性も判明したら情報共有したいと思います。

2022.11.14(月)追記 ディズニーマジカルスマートノートでの4.3インチタッチパネル付き液晶交換の記事を修理実績のこちらにアップしております。

また、別途修理記事は、アップしますが、ディズニーのワンダートイパッド2でも4.3インチタッチパネル付き液晶交換ができました。

ここまでをまとめると、以下の知育パッドに使用されているタッチパネル付き液晶はサイズ規格が共通なのでジャンク品などからの移植が可能と思われます。

  • アンパンマン すくすく知育パッド
  • ドラえもん カメラでひらめきパッド
  • ディズニー マジカルスマートノート
  • ディズニー ワンダートイパッド2

タッチパネルの割れや液晶の割れ、故障などでジャンク品からの移植を検討する際の検討材料にしてください。

CP-33 修理不可能な事例

ソニーリピートカードプレーヤー CP-33

修理不可能な事例について掲載します。

当医院は、ソニー製の磁気カードプレーヤーの修理を得意としております。

ですが、そのカードプレーヤーの修理においても、故障した部品が入手できない場合は、残念ながら修理不可能となります。

ソニー製の磁気カードプレーヤーにもいろいろが機種がございますが、特に修理不可能となる場合が多い機種があります。

それは、CP-33です。

公文様用にOEM開発された機種のようで、特に英会話用のカードがセットで販売され、またリピート再生用に録音できる時間も、CP-33専用のカードの再生時間に合わせて設計されております。

さて、当医院にもCP-33の修理のご依頼を多くいただきますが、およそその1/3は、修理不可能という事態となっております。

これから、CP-33の修理のご依頼をご検討になっておられる方は、当記事を参考にしてみてください。 整理すると大方以下に分類されます。

  • 乾電池の液漏れ
  • ゴムベルトの溶断
  • ゴムローラーの破損
  • 磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着
  • プーリーグリスが固着

特に赤太文字の磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着した場合は、修理不可能となる場合がとても多いです。

というか、ほぼ修理不可能です。

その他の項目は、溶けたゴムや、液漏れした粉を掃除すれば、なんとか復活できますが、粘着したゴムが、磁気ヘッドにこびり付いた場合は、カードに記録された磁気テープの磁気を拾えないか、拾えても高音域が全く読み取れなく音質が非常に悪くなります。

では、それぞれのケースについてみてみましょう。

乾電池の液漏れ

長期間保管した際に乾電池を抜き忘れて数年そのまました場合、乾電池から液漏れを起こします。

特に負極のバネが腐食していれば、強度的にも問題になりますので、電極を取り外し粉を綺麗に除去したのち電極を交換します。強度的に問題なければ錆部分を研磨して落としつけ直します。

乾電池の液漏れ事態については、致命傷になるケースは稀で、過去に1例のみ液漏れした影響が基板にも波及しており、基板交換を行ったことがあります。

ゴムベルトの溶断

CP-1000などでもみられるのですが、プーリー用のゴムベルトが溶けて切れています。

溶けて粘着したゴムは、綺麗に落とし溶けたゴムベルトは新品に交換します。

ゴムベルトの溶断については、致命傷なことはほぼないです。

ゴムローラーの破損

カードに直に接し回転しながらカードをスライドさせる円筒状のゴムローラーが、キャプスタン軸に装着されております。

何故かCP-33特有なのですが、このゴムローラーが経年で固化しボロボロになります。

恐らく、CP-33用に納入されたゴムローラーは、多品種のゴムローラーと材質などが異なるのでしょう。

そのためか、CP-33のみでこのゴムローラーの破損が多いです。

このゴムローラーに関してのみ言えば、ボロボロになったゴムローラーの残骸を綺麗に取り除き、キャプスタン軸にこびり付いたゴムも綺麗に取り除いて新品のゴムローラーを装着してやれば大丈夫です。

従ってゴムローラー事態の破損は、致命傷にはなりませんが、その影響が次の『磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着』として致命傷になります。

磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着

先のボロボロになったゴムローラーが、保管の間常にこの磁気ヘッドに密着しておりますので、そのゴムが磁気ヘッドのコアに粘着します。

画像の通り、酷いものです。

この時点で修理不可能と診断をくださないといけません。

中には、粘着が軽微である場合もあり、表面に付着したゴムの残骸を取り除くだけで、無事再生できるようになります。

その場合はかなり運が良かったと思ってください。

粘着、こびり付きが酷い場合は、例え表面的な残骸を剥がせてもコア部への影響が酷く再生品質が最悪となります。

高音域が全く拾えなくなり、カード音声が不明瞭になります。

もちろんですが、交換できる磁気ヘッドのモジュールは入手できないので、非常に残念ですが修理不可能となります。

プーリーグリスが固着

これは、他機種でも多いのですが、プーリー軸に塗布されていたグリスが経年の劣化で固化し粘着します。粘着というよりも接着します。

そうです、ビクともしません。

ペンチでこじってやっと回るぐらいに強固に粘着します。

で、CP-33で厄介なのが、このプーリー軸が取り外せない仕様になっております。

他の機種では、軸が取り外せるので、分解じ綺麗に古いグリスと取り払い洗浄の後に新しいグリスを塗布すればいいのですが、このCP-33は、そうは行きません。

軸がカシメられております。

従って、隙間からパーツクリーナーを吹いてできる限りで古いグリスを洗い流すしかないです。

さらに、洗い流したと思っても実は、軸の内部に古いグリスが残っており、しばらくすると再度粘着することが多いです。

画像では、綺麗に洗浄できたように見えますが、このプーリーもひと月程置くと再度粘着しました。

再稼働させると、固着のため、プーリーが回転できずゴムベルトが外れてしまいました。 と、ここまでCP-33の故障の多い事例を紹介しましたが、長期間保管されたCP-33は、ほぼ修理不可能である場合が多いことを念頭にご検討をください。

COBって

おもちゃ修理の記事でCOBということばをよく拝見します。

ただ、COBというのは、ベアチップのパッケージ手法の一つであって、COBという電子部品があるわけではありません。

ずいぶん前ですが、外資系半導体会社のR&D部署に所属しておりましたので、この手の用語の使い方には、違和感を思えることが多いです。

マイコンもそうですが、LEDやモノシリックICなどもパッケージの手法としていろいろばパッケージ手法が用いられます。

特に玩具は、品質とコストのバランスから、このCOBでのパッケージが多く用いられております。

COBとは「Chip On Board(チップオンボード)」の略で、基板(ボード)の上に半導体(チップ)が直接のっており、基板電極端子とチップのアルミもしくかCuの電極を金もしくは銅やアルミ線でワイボンし、それらをモールド樹脂で覆う構造を意味します。

『回路は、COBやトランジスタ、抵抗などで構成されている』・・・COBの中身は何ですか?マイコンですか?オペアンプですか?

私がまだ新人の自分は、LSIもまだQFPパッケージも多く、MCMなどで多ピン狭ピッチに限界が到来しBGAでの構成に移行していきました。

ですが、BGAの場合、インターポーザの基板構成や設計も必要だったりとあります。

パッケージ技術は、奥深く、扱う信号の性質(デジアナ、電源GND、高速I/F)でクロストークやインピーダンスのマッチングを事前にシミュレーションしたりして電極の配列を基板のCAD設計側と相談しながら開発を進めるなどいろいろありました。

『制御ICが、COBパッケージなので故障解析できませんでした。』

というセリフですが、COBにする目的の一つにもある、リバースエンジニアリングし辛い目的にも合致していますね。

遊戯用の基板やマイコンの開発経験もありますが、パッケージ一つの開発にも解析対策でものすごい開発費が掛けられております。 参考法令

COBということば、安易にCOB不良などどいう言葉を使うと、その道のプロが効くと、パッケージ不良と勘違いしてしまいます。

モールド樹脂の劣化でワイヤーボンディングに不良が起きているように思ってしまうかもしれません。

ここは使い方を勉強して、基板上COB内のICが解析不可能などどするといいですね。

業界人なら、じゃあ、X線解析してボンディングワイヤーの状況確認してくださいなどどなります。

東芝 HDDレコーダー D-BZ510 電源修理(後日談あり)

D-BZ510

東芝 HDDレコーダー D-BZ510 電源修理 おもちゃ修理ではありませんが、とある方から東芝製のHDDレコーダーの修理のお願いがありました。

今回は、その紹介記事となります。

便利な世の中になり、インターネットでたくさんの情報が入手できます。

今回の東芝製 HDDレコーダー D-BZ510の不具合に関してもネットには、多くの故障症状と修理方法が紹介をされております。

自分もかなりお世話になっておりますので、その一助になればと思います。

まず、2011年製ということもあり、メーカーでの修理受け付けは終了しておりますので、ご自身で修理をするか、家電専門の業者などへご依頼する手しかありません。また、オークションやフリマサイトでも、修理完了品が出品されております。

HDDなしの修理品も格安で出品されておりました。つまり、HDD以外の故障の場合、最悪その修理品を入手してHDDを換装してしまえば、ことは済んでしまうということです。

さて、今回のご相談は、お子様用に録画した番組を救出できないかというご要望とできれば元通りに稼働できればという優先順位でした。もちろんですが、HDDのデータを扱うため、修理作業に伴いデータの救出はもちろんですが、機種も復活できなくなるリスクも全て許容の上で依頼を受け付けました。

実機は、電源ボタンを押してもうんともすんともです。

早速ですが、事前の情報収集です。

・故障の症状・・・電源が入らない

・修理の目標レベル・・・HDDのデータ救出と機種の正常可動

ネットで検索すると、まぁーたくさんの修理事例が出てきます。

本機は、船井製のOEM品ということもあるのか、東芝メーカー以外のメーカー様でも多数に販売されたのでしょう。

電源が入らない症状以外にもWAIT表示から進まないという事例がほとんどです。恐らくは、同じ部品に関連した事象のようでした。

電源が入らない原因ですが、物理的な部品の破損の他にもケーブルやヒューズの断線もあります。

早速開封し目視確認しますが、念のため大事なHDDは、電源とSATAケーブルを外しておきます。

目視上は、特に問題はありませんでした。

電源基板上のレギュレーターなども無事です。ケーブルの断線もなさそうです。

で、ここでネットでの情報を整理します。

どうも電源が入らないという症状とWAITのまま進まない症状の原因は、どちらも電源基板にある3300uFの電解コンデンサの劣化が原因のようです。

恐らく、劣化が進行する程度によってどちらの事象になるか分かれるのでしょう。

電源基板を目視すると、2次側の平滑用の電解コンと分かるような位置にあり、シルクから、+15V, +5Vの2系統の電源をつくっていて、今回の3300uFは、+15V用の電解コンのようです。

タワーマンションのように立ち並ぶ3棟の電解コンデンサーが電源基板にあるのがすぐわかります。

電源系の不具合は、3300uFの電解コンが問題のようです。

明らかに膨らんで破裂でもして液漏れしてくれればはっきりするのですがね。。。

おもちゃの修理であれば、時間の余裕もあり回路を探ってみるのですが、今回は少し急ぐので電解コンで交換し改善の有無を確認します。

因みに、お隣さんの2200uFも交換しておきたいのですが、手持ち2200uFの電解コンの耐圧のある部品を持ち合わせておらず、今回は、3300uFのみとします。

実は、ネットで検索すると、HDDの容量アップ記事もあり、ご依頼者に相談をしたところ、録画番組を見終えたところか、メディアに焼き終わったところで、改めてHDDの容量アップに挑戦します。

基板のベタ面が広く普段の半田作業以上にあたためが必要でした。

無事交換を終えたところで、組みなおし確認します。

無事起動しました。

録画番組もばっちり観えています。

3300uFの電解コンですが、電源の整流時の平滑コンデンサーでしたが、電源回路については、こちらのサイトこちらのサイトこちらのサイトで詳しく回路と動作が紹介されております。

さて、次回は、HDDを1TBに換装します。→ 電源回路には、その他の不安材料が多く換装はお勧めしません。

本記事をご覧になられた別の方からの修理のご依頼記事もありました。

2023.3.9(木) 後日談1

その2年後、別箇所の電源回路の故障で、同機の修理の依頼があったので、回路を調べてみました。

3300uFは、2次側の+15V用平滑コンデンサーで、2200uFは、+5V用の平滑コンデンサーでした。どちらも2次側の電解コンデンサーでした。

因みに、1次側は、470uF 200Vのデカい電解コンデンサーが付いています。

さて、前述の電解コンデンサーを交換し、その後2年程無事ご使用になられておられたとのことでしたが、ある時電源が入らなくなったそうです。

平滑用の電解コンデンサーは、整流後に減圧された電源用のパスコン&平滑機能を担っておりますが、このコンデンサーには問題はありませんでした。

では、今回は、どの回路部分に問題が出ているかを回路を調べながら調査しました。

似た回路は、ネットに沢山ありますので、皆さんも調べてみてください。

参考回路図

流れとしては、ざっくり商用AC電源→ブリッジ整流→1次電解コン→変圧用トランス→2次電解コンで、1次側には、富士電機製の5640で、MOSFETでスイッチング制御されております。 こちらが参考になります。

で、フォトカプラもMOSFETも基板から外し単体で調べましたが大丈夫でした。

1次側にも、DC 150V程給電されております。

ですが、2次側に、誘導された電圧がまったく上がっておりません。

1次側の制御回路を調べます。

電源制御IC 5640のVccは上がっているのですが、Outからのスイッチ制御信号が出ていませんでした。オシロで見てみてもGNDに落ちたままです。

2次側からの変圧後の電圧をモニターしながらスイッチ制御するはずなのですが、1次側が、150V程まで上がったままです。

5640が故障して全く制御できていないため、2次側の過電圧保護が働いている可能性もあります。5640の電源制御IC故障という新たな故障も起きてしまっているようです。

本機は、動作中に突然電源が落ちたりや、ブルーレイディスクにダビング開始したとたん電源が落ちたりと、突入電流に対する電源設計が弱いような感じがします。

頻度の高い、Waitのまま起動できない故障で電解コンデンサーを交換しても、次々と新たな故障が出てくるような懸念も多いように思います。従いまして、3300uFの電解コンデンサーの交換は、一時的なHDDに保存されたデータの救出ためだけと割り切った方がいいです。

依頼者様も一時的に稼働し始めたので、安心しきってしまい、大事な保存データのダビングを後回しにされていたそうです。

その数年後に修理不可能という事態になってしまったので、ご覧の皆様もくれぐれもご注意ください。

因みに、自分は、平滑用電解コンデンサーとは違う、電源が全く入らない同じような故障を2機種で経験しております。どちらもHDDの必要な動画や番組のダビングを行い、本機は修理不可能としました。 以上、後日談1でした。

2023.5.21 後日談2

後日談の第二弾です。

後日談1で電源制御IC故障と結論づけておりましたが、その後、故障原因の解析で原因が判明しました。

5640とは、パワー半導体で有名の富士電機製のFA5640NというICです。

後日談1では、このIC不良と結論づけて代替え用のFa5640Nを入手して交換してみたのですが、まったく改善しません。 調べておりましたら、原因がはっきりし無事修理も完了し稼働しました。詳細は、こちらの修理記事に掲載紹介をしております。 以上、後日談2でした。

[備忘録] アンパンマン わくわく クレーン ゲーム の動作仕様

最近、アガツマ製 『アンパンマン NEWわくわくクレーンゲーム』の修理依頼を数件頂いており、ギアボックス内部の動作仕様について資料にまとめました。 今回は、その中で触れておりませんでした軸移動時のスイッチの機能とクレーンの巻上げ機能について詳細を備忘録として掲載します。掲載する内容は、以下2点となります。

  1. クレーン移動時のHOME位置検出スイッチの役目について
  2. クレーン巻上げ回数について

※HOME位置(ホーム位置)とは、起動時にクレーンが位置すべき位置でカプセルを落下させる最左端、最下端の位置のことです。


クレーン移動時のHOME位置検出スイッチの役目について

X軸 Y軸 HOME位置検出スイッチ

上部のカバーを開けるとギアボックスが現れ、このギアボックスの蓋を開けると上図のようなスイッチを確認できます。

  • X軸 HOME位置検出スイッチ
  • Y軸 HOME位置検出スイッチ

向かって左手に見えるスイッチは、クレーンがX軸で(右や左)に移動する際、クレーンのHOME位置を検出スイッチです。スイッチON時、クレーンが、最左端にあると制御ICは認識します。 向かって右下に見えるスイッチは、クレーンがY軸で(上や下)に移動する際、クレーンのHOME位置を検出スイッチです。スイッチON時、クレーンが、最下端にあると制御ICは認識します。 例えば、電源投入時にクレーンがHOME位置に居なかった場合(移動途中で電源を落としたりした場合)、X軸、Y軸とのスイッチのどちらかがもしくはどちらもOFFの場合、HOME位置に移動するため、X軸、Y軸スイッチがONになるまで移動し続けます。

HOME位置への移動順

上図のようにクレーンがHOME位置に居なかった場合、①のY軸のHOME位置検出スイッチが、ONになるまで下方に移動します。次に、②のX軸のHOME位置検出スイッチが、ONになるまで左方に移動します。※その際、クレーン昇降において途中位置であった場合は、一緒に巻き上げも行います。


クレーン巻上げ回数について

まず、不具合の症状として以下の画像のようにクレーンの巻上げが途中で止まってしまう症状をみたことがあるのではないのでしょうか。

クレーンの途中停止

推測される原因を以下に列挙します。

  • 電池容量不足
  • クレーン昇降用モーターのトルク不足
  • トルクギアの劣化

それぞれのケースが、ANDもしく個別に発生しているのかもしれません。問題の切り分けを行い修理が必要となります。

■電池容量不足について

電池の容量が低下すると、そもそも制御ICが動作しない場合は、すぐ電池の容量ということが判明しそうですが、動作はするが、動作がおかしい事象ではこの電池の容量不足が疑われます。さて、電池の容量が低下すると以下のような流れでクレーンの巻上げが途中で止まってしまいます。 ①電池の容量が低下 → ②モーターの駆動電圧が低下 → ③規定時間の計測で規定回数の巻き上げができなくなる → ④クレーンの巻き上げ回数が足りず途中で止まる さて、③の『規定時間の計測で規定回数の巻き上げができなくなる』について詳細を説明します。 まず、今回のクレーンゲームですが、クレーンの巻き上げについては、どのくらい巻き上げるかは、センサーなどで計測しているのではなく、巻き上げに十分な回数を時間計測で巻き上げていると思われます。※仕様書がないので、推測ですが、大は小を兼ねる的な考えです。では、図で巻き上げにおける仕様(推測)を説明します。

巻き上げ回数 vs 計測時間

縦軸にクレーンの鎖の巻き上げ回数と横軸に制御ICが計測している巻き上げ時間をグラフ化しました。 電圧が正常であった場合、青矢印線のようにパケットが、上端に達するまでの時間t1が必要です。しかし、t1きっちりに時間を設定すると、モーター自体のトルクばらつきやギア系のばらつきなどで、巻き上げ不足や巻き上げ過ぎが生じます。緑の帯の区間のマージンを吸収するため、以下の構造が採用されています。 巻き上げ不足対策:t1が必須な巻き上げ時間であるので、t1よりも十分長い、ばらつきを考慮したt2という時間を制御ICが内部で計測します。各々のばらつきを考慮しても十分であろう時間t2になった時点で巻き上げを停止して巻き上げ不足を補間します。 巻き上げ過ぎ対策:パケットが上端に達した以降の巻き上げは、トルクギア(※後述)が滑り、鎖の巻き上げを空回りさせている。パケットは、落下しないようにギアをロックするツメが、その間ギアをロックしています。※巻き上げ時にガガガと鳴っているのは、ロックのツメガ機能している証拠です。 以上が、乾電池の容量が十分であった場合の青矢印で示すの巻き上げ回数の推移ケースです。乾電池が容量が低下した場合の赤矢印で示すのケースとなり、t2までの時間計測の間、ゆっくりと巻き上げるため、以下の不具合が生じます。 乾電池の電圧が低下しているので、モーターを駆動する電圧も低下し、t2を計測しても規定の巻き上げ回数に達しない。※電圧の低下は、制御ICの時間計測のタイマー性能には影響しない範囲としています。 赤矢印の通り、t2時間が経過しても規定の回数には達せず、パケットが上端に達するには、t3まで回す必要が出てきます。t3の制御は、規定時間がプログラミングされているので、ユーザでは変更不可能。 ■クレーン昇降用モーターのトルク不足 まずは、経年劣化によるピニオンギアの割れでしょうか。完全に割れると滑ってしまいすぐ故障原因として分かるのですが、割れ初めて添加したグリスで滑り始めような場合は、モーター空回りの原因となります。

ピニオンギア割れ

また、前述の乾電池の容量不足に起因して巻き上げ回数が足りない場合に類似しているのですが、印加電圧が十分でもクレーンの巻き上げを行っているモーターのトルクが低下した場合も、赤矢印と同じように巻き上げ回数に過不足が生じます。

劣化グリス

これは、製品設計時は、モーターの製造工程ばらつき(±3σなど)を考慮しt2の時間を決定したと思いますが、経年劣化を考慮には入れていないかもしれません。※そもそも製品保障を行う場合、信頼性試験など劣化要素の検証を行いますますが、流石に玩具を対象に行うと製品価格が高騰してしまって、売り上げに影響しそうですね。 ただ、残念ながら本製品に使用されているモーターは、専用設計となっており、市販のマブチ製130モーターなどでは外形サイズは同じですが、トルクなどの性能規格が合いませんので、そのまま使用できません。同じ印加電圧でも、消費電流も大きく回転速度も速いです。 また、正常なモーターの仕様値が不明なので、何をもってトルク不足かと診断するのも難しいところです。純正モーターが手に入らない場合は、ブラシとコミテータの清掃とブラシ用の接点グリスのメンテナンスで精一杯でしょう。 ■トルクギアの劣化 前述の巻き上げ過ぎ対策で示した『トルクギア』についてですが、以下の図の黄色枠の位置に設置されています。

トルクギア位置

このトルクギアは、モーターからの駆動力を鎖の巻上げまで伝動させる機能を担っています。※トルクギアとは、ギアの前後の力が、物理的がかみ合わせでつながるわけではなく、摩擦力でつながっているギアとなります。無理な力が生じた際、物理的なかみ合わせのギアでは、歯車の欠けや破損、酷い場合は、駆動側のモーターの焼損を生じますが、途中にトルクギアを挿入することにより、トルクギア内部で空回転を故意に生じさせ力を逃がす機能を有しています。 以下の図の通り、トルクギアの前後で伝動の境目を示します。青の範囲から、黄色の範囲へ動力を伝えます。 黄色枠:トルクギア後の巻き上げプーリーまでの範囲 青枠:モーターからトルクギアまでの範囲(※モーターは、取り外しています。)

トルクギア前後の区分け

さて、このトルクギアに問題が生じた場合は、どのような問題が起こるのでしょうか? 前述の通り、『巻き上げ過ぎ対策』での説明の通り、規定量以上の巻上げが生じた場合、パケットは、既に上端に達しているので、鎖の巻き上げは、それ以上できません。黄色枠のギアは、回転できません。従って、青枠のトルクギアまでは、t2時間まで空回転し続けメカ系のばらつきを吸収します。 正常な摩擦が残っているトルクギアであれば、問題ないのですが、グリスがトルクギア内部まで侵入し摩擦の急激な低下を招いた場合や、経年使用のため、界面の摩擦が無くなってしまった場合、本来トルクを逃がす以上にトルクを常時逃がしてしまい、青枠系から黄色枠系への動力の伝播ができなくなります。従って、規定回転まで達しないことになります。乾電池の容量が正常でも、前述グラフの赤矢印線のような状態になります。

グリスまみれのトルクギア

さて、このトルクギアの摩擦を回復させるためには、正常品と交換できればいいのですが、そもそも手に入りませんので、

  1. グリスの進入が酷い場合は、アルコールで洗浄する。
  2. トルクバネを調整しトルクを増す。

トルクバネの調整は、他の医院でも対処されているところもありますが、バネ端に針金を巻きつけスプリングの力を増します。

ばね強化(0.8mmのスズめっき線)
組み込み状況

以上が、巻き上げ回数に関するメカ系の仕様説明となります。 考察できた点を全て対処しても巻き上げ不足が生じるケースもあり、モーターの劣化、トルクギアの磨耗以外にも、印加電圧自体の制御系の不具合も懸念されます。

カードプレーヤー クリーニングのお願い

カードプレーヤー クリーニングのお願い 磁気カードを再生すると、劣化した紙でゴムローラーが目詰まりします。また、磁気テープの劣化で磁気ヘッドも汚れてしまい、再生音が小さくなったり、ノイズが出てきます。 そのような場合は、磁気ヘッドとゴムローラーのクリーニングが必要です。 ソニーも300枚を目途にクリーニングを行って欲しいという説明書を製品に同封しておりますが、発売から30年以上経過した磁気カードは、劣化が激しいため、クリーニングの頻度はもっと小さく(50枚程度)なります。

CP-7000を用いたクリーニング方法です。クリーニング液で湿らせた製品同封のクリーニングシートをカードと同じように挟み、中央で強く握り2秒強制停止させます。

クリーニングを行うと先の目詰まりが綺麗になります。 当医院で交換部品として使用しているゴムローラーは、ソニー純正の部品ではありません。純正に近いだろう素材仕様でゴムメーカー様に製作いただいた完全受注品となります。従って、製造メーカー同様の精度や機能を満たしているわけではありません。 再生するカードの劣化状況にも大きく影響しますが、50枚を再生するたびにクリーニングを実施してください。 クリーニングシートを紛失した場合は、数に限りはありますが、当医院在庫のシートを有料でお分けできます。また、クリーニング液も無水エタノールやIPAを代用ください。IPAであれば、こちらも有料でお分けできます。 参考として、購入から30年程経過したトーキングカードを80枚程度再生すると、ゴムローラーは、以下の状態となります。

ゴムローラーの目詰まりは、カード送りが滑ってしまいますし、接している磁気ヘッドにもカスが付着してしまいます。この状態で使用を続けると、再生音が小さくなりノイズも出ます。

【備忘録】Teraterm Ver.5系 デバッグモード使えない

皆さんは、Teraterm(テラターム)というターミナルソフトをご存じだろうか?

今回は、プログラムの開発環境をWindowsOSを10から11にしたというタイミング起きた備忘録となります。

数あるターミナルソフトのなかでもteratermを使ってします。

マイコンなどのシリアル通信につかったり、Linuxのサーバーなどにリモートログインする際などでも重宝するのですが、特にUART通信する際の動作確認に使っていたります。

アスキーコードはもちろんですが、HEXやバイナリでのデバッグモードも実装されており大変重宝しております。

おなじみのArduino IDEにもシリアルモニタはあるのですが、バイナリやHEXモードがないのと通信のためだけにIDEを立ち上げるまでもない場合は、Teratermにお願いしています。

さてさて、何が備忘なのかというと、2024年5月現在、Teratermは、Ver.5版が最新です。

今まではVer.4系を使っていたのですが、OSを11にしたついでなので、Ver.5系にUpdateしました。厳密なVerは、5.2です。

が!

ここで問題が出ます。

前述のデバッグモードにバグあり、TERATERM.INIを編集しDebug=onにしてもShift+ESCで切り替わらないのです。

原因不明で当初かなり困りましたが、検証のためVer.4系もインストールしたところ、Win11でも問題なくデバッグモードが動作するので、明らかにWin11+Ver.5系の問題と判明しました。

恐らく、早かれ遅かれ重要な機能なのですぐバグFixはされると思いますが、備忘録として載せておきます。

ものしり図鑑 タッチペン 電源スライドスイッチの故障における考察

(過去のスタッフブログ記事からの転記となります。)

故障の多い、アンパンマン おしゃべりものしり図鑑のタッチペンにある、電源用のスライドスイッチの故障原因に関する考察記事となります。

交換した電源スイッチを分解してみると、電極の所々が黒く変色しております。局所的ではなく、3極全てにおいてみられます。実は、分解前に接点復活剤をスプレーしているので、異物や錆などがあれば少し擦れて取れているかもしれません。

黒く黒変

因みに、以前同じスイッチを分解し接点を研磨して復活できるか試したことがあるのですが、このスライド側のバネの間に耐水ペーパーを挟んで擦ったところ、バネが開いてしまい接触ができなくなってしまいました。頑張ってピンセットで戻そうとしたらバネが折れてしまいました。

電源スイッチのオーバホールはやめて交換した方がよさそうですね。

さて、話を電源スライドスイッチの故障に戻します。

このものしり図鑑のタッチペンだけが、なんでこうも接触不良が多いのか?

他のドクター様方々も悩んでおられると思います。

アンパンマンのタッチペンは、他のシリーズもあるのに、なんでこのものしり図鑑シリーズのタッチペンだけにこんなにも故障が多いのか?

回路的には、以下の図のようになっております。電源のON/OFFの制御方式は、どのシリーズのタッチペンも負極側で制御しております。タッチペンの保管時は、電源をOFFにしているだろうから、電子回路の負極は、コンデンサー用のディスチャージ抵抗に常時つながっております。一方、電池の負極は、電源スイッチ内の端子に付いたままです。他のシリーズのタッチペンも負極側で電源を制御しており、大きな仕様の差はありません。

以前の修理時は、スイッチの導通が、ON側だけ接触不良を起こしていた経験があります。その時は、分解していなかったのですが、ON側とOFF側で何か故障の原因となる有意差があったようです。

錆(さび)犯人説を考えてみました。

この電極の金属は、分解した際に少し調べてみたのですが、ネオジム磁石にも引っ付きませんので、恐らく材料は、銅と推測されます。

また、スイッチの製品仕様によると、Ag Platedとあるので、銅に銀メッキされているようです。銀なので、イオン化傾向の低い金属を利用した防食処理ですね。これも磁石には引っ付きません。

保管時は、電池が挿入したままになるので、浮いた電極には、電池の自然放電で電子がよりリッチになっていると予想されます。

こちらの論文では、負極側に腐食が出やすいと示されておりました。おもちゃ修理で負極のバネがやたら腐食する理由のひとつがこれではないでしょうか。

さて、一般論として、金属の腐食の反応式から、金属に錆が出るには、電子と水と空気が必要なのです。ですが、このスイッチには、防食のため銀メッキが施されております。

ご依頼者様にお聞きすると、1年程使っていると、この接触不良が頻発してきたとのことです。従って、機械的な導通用のバネが、スライドを繰り返しているうちに銀メッキが局所的に剥がれてしまい、銅が露出してしまったと思われます。

雰囲気内には、どの端子にも同様に水分と空気が触れるのですが、露出した銅が、より空気や水分に曝露されている電極の方がより腐食が進行しそうですね。

また、それを局所的に加速させそうな理由の一つが、電池ボックスの負極に常時つながっていたので、電子がよりリッチに供給されていたためかもしれません。

しかし、この”ものしり図鑑のペンだけ”に出るというメカニズムを説明するには説得力がありません。

このような使い方は、他のタッチペンも同様に起きて当然です。

例のひとりブレストをやります。

  1. 過去の修理事例では、ON側、つまり電池ボックスの負極側につながっている端子側でのみ導通不良があった。
  2. 別の修理事例では、電源のスライドスイッチのON/OFFの導通には、問題がなかったが、スイッチのノブを噛ませるカバーの滑りが悪くなってON位置まで正常に移動できなくなっていた。
  3. 今回の事例では、銅の錆のような黒変は、3つの電極の全てに広がっているようだ。
  4. スイッチの仕様書によると電極の表面は、防食のため銀メッキされている。
  5. 回路的な電源の制御方式や乾電池の電圧は、他のタッチペンと同じ仕様である。
  6. 電源スイッチも他のタッチペンと同じ形式だ。
  7. スイッチのノブカバーのスライド不良で電源が入らないという不具合は、ネットの他の修理記事でも見たことがあった。

そこで、ものしり図鑑特有のメカニカルな問題の犯人説も踏まえ考えました。

まず、銀メッキは、イオン化傾向から腐食耐性がありますが、ON/OFFの切り替えで容易に削れて取れてしまうように思います。温泉地などでもなければ、Ag自体の変化はしないだろうから、黒変した部分は、メッキが削れて露出した銅が酸化した酸化銅と考えた方が良いだろう。最終的な接触不良の犯人は、この酸化銅として正しいと思われます。。

ですが、ものしり図鑑だけが、故障しやすい理由は、ノブカバーのスライド不良事例からも、恐らくものしり図鑑のタッチペンの構造的な問題が要因である可能性が高そうです。

構造図

図の通り、ノブのカバーの滑りが悪い場合、自ずとスイッチ本体側のノブを回転させるような方向に力が掛かります。スライドする内部の電極が新しいうちは、バネの応力も効いているので、少し位開いても接触は保たれます。

しかし、そのような使い方が、数か月続くとどうでしょう。先の1年くらいで接触不良が発生してきたということからも、次第に電極を挟んでいた内部のバネが、物理的に開いてきたのではないでしょうか?

内部のバネ

ある程度の開きによって、接触不良となる場合が頻発します。これは、研磨するために紙やすりを挟んだ時の接触不良で実証ずみでした。開きが小さいうちは、ON/OFFの繰り返しで何とか電源ONはできるレベルで、さらに開くともうON/OFFの繰り返しでは、改善しません。

さて、ここからが、核心です。

① スライドスイッチのノブカバーのズレから、ON/OFFの接触が悪く、そのままの状態でON/OFFの操作を1年くらい続けていた。

② スイッチ内部のバネが、開き始めてきたが、バネの応力で辛うじて接続していたが、応力をもってしても、接触を保てないようになってきます。

ここから、腐食の発生につなげます。

このようにスライドする内部バネに開きがでると、こちらのスイッチメーカーのご使用の注意にある(5)の③の※印にヒントがありました。

スイッチの接点は、切換が行われることによって接点表面が摺られ新しい面による接触安定が保たれる構造

なるほど、バネが開くと接点表面が擦れなくなり、接触不良の原因になるのですね。その理由は、バネの開きによって、水分、空気と触れ合う面積が大きくなり、腐食を誘発し、かつ接点の移動で擦れ合うことがなくなり腐食も広がるという可能性を考えました。

接点の腐食は、他のタッチペンでも発生するが、ものしり図鑑の電源スライドスイッチのバネのような大きな開きにはならないから、ON/OFFの繰り返してで少々発生した腐食も擦れて接触を保っていたという点です。

③ ON/OFFの繰り返しで、擦れて剥がれた銀メッキの部分に、水分と空気がより触れ合う時間が多くなり、曝露した銅が腐食し始めます。

④ さらに、その状態でしばらく保管するため、さらに腐食が進行して最終的に完全な接触不良を起こしたという流れです。

まだ不良解析数が少ないため、私の考察は予想の範囲を超えませんが、ものしり図鑑のタッチペンの電源スライドスイッチが、特に故障しやすい原因を予想してみました。

メーカー様の故障解析でも、恐らくこのような不良解析を行い、製造に部品選定の見直しなどをしているかもしれませんね。

何かのご参考になれば。

無線機のバッテリー交換

最近、PSVitaの修理の依頼可否の質問がありました。

PCVitaの内蔵バッテリーを自身で交換したく分解したが、バッテリーのコネクタを基板から剥がしてしまったそうです。既に数台過去に同じようなことをしていたそうです。

『工事の変更』のため、技適の再認証を受けていない場合は、電波法違反です。


電波法の規定に基づき、“1年以下の懲役又は100万円以下の罰金”の罪に問われます。 更に、重要な無線局に妨害を与えると、“5年以下の懲役又は250万円以下の罰金”に処せられることになります。 軽い気持ちで始めると、大変なことになります。

電波法抜粋 – 東海総合通信局

ゲーム機に限らず、スマホなどのタブレット端末でも最近の機種は自身でバッテリー交換できなくなっています。

交換に起因する事故が多くなっているような記事をみたことが原因のようですね。

スマートフォンについて総務省の登録修理事業者の業者制度があるので、その業者にお願いすれば電波法違反にならずにバッテリーを交換できます。

ですが、今回のゲーム機についてとなります。

巷には、知ってか知らずにかバッテリーなどの交換や修理で分解する記事やYouTube動画を拝見します。

もちろんですが、分解や修理自体は何ら違法ではありません。

勘違いする方が多いのですが、もう一度書きます。

分解や修理自体は何ら違法ではありません。

その後が問題なのです。

いわゆる技術マークが付いた商品(無線機)を分解など行った場合、その時点時点で『変更の工事』になり技適の除去をしなければ違法になります。

スマホの場合ですが、他の無線機も同様でこちらで詳しく説明がなされています。

私が幼少の時分は、TVのCMでよく違法電波のCMを目にしていました。

高出力の無線機を搭載したトラックや、アマチュア無線の方によって、自宅のTVに映りが悪くなりというやつです。

CM内でもそのような場合は、速やかに通報せよとあったのを覚えています。

相談のされた方も、『たかがゲーム機でそこまで』という返答でしたが、インターネットで聞きかじった浅はかな知識で分解してしまったのでしょうね。


インターネットで『違法電波 取り締まり』で検索してみてください。

空港の周辺や気象レーダーなど生活インフラに関わる施設が多くあります。

電波障害でこれら施設の運用に影響を与えた場合、その責任が科せられます。

違法電波で空港の発着便に影響したという事態になった場合、その設置をした作業者にも当然に捜査の手が及ぶと思います。

インターネットの偽情報

ごらんの皆さん、インターネットの偽情報やそれによって自身が誤った認識をしてしまう危険性をご存じでしょうか?

エコーチェンバー現象とも呼ばれています。

自分の学生時分は、インターネットもまだ黎明期で商用化もされておらず、研究室のワークステーションのUNIX端末からメールやネットニュースやブラウズをしていました。

もちろんですが、インターネットに掲載されていた情報は、まだ黎明期ということもまた一部の政府機関や軍事関係、また大学の研究の一環として利用していることが多く情報の信憑性を問うという事態は多くありませんでした。

ですが、海のものとも山のものとも知れない代物なので、共通認識で『インターネットの情報はちゃんと確認する』です。

ですが、その後90年代後半に商用化され、一気にパソコンの普及や現在に至ってはスマホなどのモバイル端末の普及で、『インターネットの情報は怪しいことが多くなった』と感じています。

当医院もYouTubeチャンネルをもっておりますが、YouTubeの世界は、広告収入を稼ぐために『集客のための偽情報』をTOPがに貼りアクセス数を稼いでいる方を拝見します。

チャンネルオーナーは、すぐ偽情報で報告されてしまい、削除対象になるのですが、その間に閲覧した人々が誤認識してしまいます。

※なんか、何か魔法う使いのような二人のキャラクターが、話題の掛け合いで解析をする動画なんて最悪ですよね。

皆さんは、注意されてはいると思いますが、特に検索で入力したキーワードは、集約されそのキーワードに沿った情報が、その方のおすすめに集まります。

似た現象を『エコーチェンバー現象』と呼ばれており、偽情報が正しいかのように、さらに流布してしまう『偽情報の拡散』に寄与してしまいます。

収益化のために集客化にやっきになっている方は、この傾向が高いです。

閲覧する方は、まさしく『鵜呑み』にはしないと思いますが、他の情報源やご自身の考えと照らし合わせて総合的に判断すべきです。

ワクチン問題や環境エコなど、情報発信している自身の誤った認識を単に述べているだけなのに、正しいかのように話したり掲載したりするもんだから、鵜呑みする民は信じちゃうんですよね。

お昼のTVワイドショーも、嘘じゃないけど、もう信じちゃいかんレベルですし。

一昔前のヤフー知恵袋やヤフコメなんかもその傾向が強く、ヤフコメ民と揶揄もされるしまいです。

あなたのその情報は本当に正しいですか?

一部の意見に過ぎないことをあたかも総意のように流布していませんか?

一部の情報としては認識して、正しい情報なのかどうかは、その他の情報も総合的に判断していきたいですよね。

因みに、デジタルデトックスって知っていますか?

デジタル端末は、便利な一面もありますが、SNSなど精神的な悪影響な一面もあるのでストレス軽減しないといけないね。