ウラじんせーエンジョイ!たまごっちプラス ウラじゅえりー メンテナンス 修理

たまごっち

ウラじんせーエンジョイ!たまごっちプラス ウラじゅえりー メンテナンス 修理

約15年ぶりに遊んでみようとしたところ、1~2分でいきなり再起動してしまう現象が繰り返し起きるという不具合とのことです。

かなりの年月が経っておりますので、電気系の接触不良と推測しつつ早速診察します。

まず、到着後、電池を挿入し様子をみますが、再起動も液晶画面の消灯もせず、無事に動作しました。ついでにいうと、たまごも無事かえりました。

╮(๑•́ ₃•̀)╭

うーん

では、次に本体内部を拝見します。

電極

ボタン電池の電極も錆もなく良好そうですね。その他の不具合らしき箇所も目視上は、見当たりません。

ということで、一式まとめてもろもろメンテナンスしてしまいます。

  • 電極は、アルコール拭きをして接点復活剤でごしごししておきます。
  • 電極の半田付けを再度しなおしておきます。両面にちゃんと半田盛りしておきます。
  • クリスタルの電極の半田もクラックを懸念して再半田しておきます。
  • 押しボタンもアルコール拭きしておきます。
  • 押しボタンの滑りが悪かったので、シリコンゴムにシリコンスプレーを吹いておきます。
負極電極

負極電極も半田盛り状況です。

裏側

負極は、裏側にも半田を盛っておきます。

正極は、液晶モジュールの下にあるので、ボタン電池側のみ半田付けしなおしておきます。

クリスタル

クリスタルの足も再半田しておきます。

で、この作業後に再度動作を確認します。既に届いた時点で、1~2分での再起動や液晶の消灯はしていないので、このメンテナンスを施した状態で、半日程育ててみたいと思います。

正直、たまごっちを育てたことがないので、行き当たりばったりでやってみました。

午後2時頃から起動開始し午後7時までの5時間程、問題なく育っていたと思います。

  • うんちをしたらおトイレを流す
  • お腹が空いたらご飯をあげる
  • ときどきかまってあげる

結構、頻繫に事象が起きるの、テレビを見ながらそばにおいてお世話をしました。猫を飼っていたのですが、まったく同じような感じですね。お昼ねもします。

イベントとしては、幼稚園に入園したり公園に外出したりもしてました。

そうこうしている間に直ぐ半日を経過しましたが、無事育成中、再起動もせず、液晶も消えずで過ごせました。

到着後に故障の症状を再現できていないので、推測できる全ての作業を行い動作確認し問題なきということで返却することとしました。

本たまごっちは、CR2032を使用しているのですが、過去の修理でもツメを折ってしまいました。ホント、電池のサイズぎりぎりの設計なのできっついです。

ツメ

図の矢印の方向に指のツメが剥がれるのではないかという位に押し込んでやっと外せます。凹みをマイナスドライバーでこじったりすると、確実にツメがもげてしまいます。

ですが、もげても残骸を取り除き、蓋をちゃんと閉めてあげれば問題ありません。

最後に錆びたリングを研摩して修理完了です。


修理していただいたたまごっちを先日無事に受け取り、動作確認もさせていただきましたが、今のところ画面が突然消えることも全くなく、今後も安心して遊べそうです。

有償でも修理していただけるところを探すのも難しい状態なのに、この度はボランティアで修理していただけて本当にありがたかったです。

不器用なので自分で分解をして修理するというのはとてもじゃないけど無理で困り果てていたところ、友人から瀧下様の宅配おもちゃ病院を教えてもらいました。

ボランティアなので修理していただけるまで気長に待つつもりでしたが、メールでのやり取りが始まってからがすごく早くて驚きました!

宅急便で送って瀧下様の元に届いた日にすぐに修理していただけるなんて思ってもいませんでした。

お忙しい中、迅速にご対応いただき本当にありがとうございました。

また、丸カンが錆びていた部分に関してはお願いもしていないのに綺麗に錆を取り除いていただきありがとうございます。

実は修理に出す前に丸カンを取り替えようとしたのですが、ペンチを使っても固くて開くことができなくて諦めておりました。 細かいところまでお気遣いいただけて感激しております。

修理していただいて復活したたまごっちで末長く大切に遊びたいと思います。

この度は本当にありがとうございました。 瀧下様のご健勝とご活躍をお祈りしています。

~依頼者様のご感想より~

たまごっちピース 断線 修理

たまごっちピース

たまごっちピース 断線 修理

たまごっちピースの断線修理のご依頼がありました。

中古で購入した物ということで、乾電池が液漏れしたそうです。その影響か本体内部の配線が、半田部分で取れてしまっているとのことでご依頼がありました。

当初は、ご自身で半田付けをしなおそうという計画だったとのことで、以前当医院で修理を行ったたまごっちピースの記事をみつけ、配線のサイズ(太さと長さ)などのご相談でした。通販でいろいろ購入したが、規格を間違ってしまったそうです。

ですが、あいにく当医院でも配線のサイズなどは、記録に残していないため、それでしたら、こちらで修理を承りましょうかということなりました。

断線

以前の記事の修理実績でも同じですが、乾電池を入れたままで保管した場合、電極と配線を伝い腐食が回ってしまい半田部分から折れてしまいます。前回も今回も、電池ボックスの電極部分と圧電スピーカーの半田部分で取れてしまっております。

ただ今回は、電池ボックス横のヒューズは、切れていないので、配線のみの交換となります。

ですが、内部を眺めていると液漏れによる影響は、多方に出ておりました。

赤外線送受信モジュール

本体上部に赤外線通信用のモジュールが付いているのですが、リード端子の半田に腐食が出ておりました。クリーナースプレーで綺麗にしておきます。

腐食除去

幸いに腐食は、表面的であったようでクリーナースプレーで綺麗になりました。

次に、電池ボックスの正極側にも錆があがっております。

正極接触する部分を研磨しておきます。

研摩

後でしまったと、気づいたのですが、できれば電池ボックスから正極を取り出し乾電池のプラスが接触する部分以外も研摩しておけばよかったと後悔しております。

さて、本題の断線の作業に移ります。

ケーブル類は、基板に絶縁シートが被っておりますので、綺麗に剥がします。

ケーブル類は、合計4本で半田を外し同じサイズで交換用のケーブルを用意します。

交換配線

今回は、ご依頼様で購入された導線を同封いただいたので、それを活用します。

電池ボックスの配線と圧電スピーカーの配線を丸ごと交換します。

早速、電池ボックスの配線は、基板の裏側で半田付けされておりますので基板を外します。

基板はずし
電源ケーブル半田付け

因みに、導線の配線は、基板から取れてしまわないように根本がゴム系の接着剤で固定されておりますので、半田付け後G17で固定しておきます。

作業中ですが、たまごっちの液晶モジュールは、フラットケーブルで基板に実装されており、ケーブル以外では基板に固定をされていないので、フラットケーブル剥がれには、くれぐれも注意が必要です。このフラットケーブルの剥がれは、過去に修復の経験があるのですが、一度取れてしまうと正常に再度粘着させることは不可能と思われます。

再配線完了

同じようにスピーカーのケーブルも交換します。

無事起動

無事起動し動作も良好ですね。

長期保管する際は、くれうれも乾電池抜きを忘れないことが肝心です。


中古で買ったたまごっちが液漏れのため腐食しており断線し、自分で修理をしてみようとネット検索をしていたところ同じような症状を修理されていた瀧下様のもとにたどりつきました。

その当時修理の受付をされていなかったため自分で修理をする旨を伝え相談したところ心配していただき、この度のタイミングでの依頼となりました。

メールだけでも誠実なお人柄が伝わり、安心してお任せすることができました。

ボランティアにも関わらず丁寧なお仕事で素晴らしいなと思います。瀧下様にお願いして本当によかったです。

~ご依頼様のご感想より~

初代 たまごっち IC故障 修理不可

初代 たまごっち IC故障 修理不可

初代のたまごっちの修理のご依頼がありました。

新品未開封で譲り受けたとのことですが、開封したところ、ボタン電池がそのままだったので、液漏れしていたので、ご自身で掃除(重曹)をされたとのことです。※重曹でのお掃除は、ダメです。回路を壊してしまうかもしれません。

ご自身でのお掃除は、推奨していないのですが、既にやってしまったとのことなので、仕方ないですね。

他の液漏れの記事でも掲載しておりますが、粉を水で溶かすと水酸化カリウムという強アルカリ性となります。皮膚に付着すると、化学火傷を起こします。

さて、故障はというと、初回の起動は無事起動でき時刻も設定し誕生したとのことです。

しかし、時間をおくとリセットされてしまい、以後、ボタンへの反応も無くなってしまったとのことです。リセットをすると、うんともすんとも反応が無くなったそうです。

掃除の際に侵入した水分が、COB内に基板のスルーホールから侵入し、電源の印加で留めをさしてしまったのかもしれません。

そうは言っても仕方ないので、拝見します。

到着して直ぐ、ボタン電池を入れてみると、起動時のビープ音はなりませんが、時刻設定画面になります。ですが、ボタンを押しても暴走したかのように動作がめちゃくちゃでした。

では、内部を拝見します。

電極

液漏れがあったそうですが、電極は綺麗でした。

液晶が取れている

新品未開封であったようなので、内部は綺麗ですね。

ただ、ご自身で開封されたそうなので、液晶の導電ゴムが基板から取れています。

これ、位置ズレを起こすと厄介なんですよね。また、導電ゴムの押し圧にも影響があると、液晶の部分切れなども発生したちと。

接点掃除

念のため、電極の接点をアルコールで磨いておきます。裏面には、クリスタルと電解コンデンサーが鎮座しております。

先のたまごっちの修理では、4個中、2個でクリスタルの故障があったので、今回も発振を確認します。

張り付き

おや、クリスタルが張り付いていますね。まずクリスタルに原因の一つがありました。

ですが、後々の動作確認で、電源投入時からずーっと張り付いているのではなく、制御ICの動作不安定でクリスタルへの電圧の供給も不安定になっていたようです。

で、早速手持ちのクリスタルに交換します。

交換クリスタル

まずは、クリスタルを交換してみました。また、基板の下方に47uFの電解コンデンサーもありますので、一緒に交換もして効果の程を一緒にみます。

動作確認

液晶は、取り付けておりませんが、この時点で電源投入後に起動時のビープ音も鳴り始めました。クリスタルや電解コンデンサーに何らかの問題であったのは間違いなさそうです。

無事発振

無事、安定して発振しだしました。早速ですが、液晶も取り付け仮組し動作をみます。

取り付け
動作確認

液晶の半分が消えているのは、液晶の導電ゴムとの接触の問題そうなのですが、それでも動画がやはり、おかしいですね。

この点滅、最近どこかで見たような。。。

そうだ、先日修理したこちらのたまごっちにも同じ症状があったので、基板上の素子の半田を溶かしなおししてみます。

ですが、先の事例は、液漏れの腐食が半田にも影響して実際目視でも腐食を確認できたのですが、今回のたまごっちは、半田の状態も非常に綺麗なので、効果は無さそうですが、、、

一式、半田の溶かしなおしをやりましたが、やはり改善はありませんでした。

また、リセットしてみたり、電池を入れ替えてみたりとやっているうちに、当初のご相談時のように、うんともすんとも反応しなくなりました。

時間をおくと反応しなくなります。

部品の交換や半田の溶かしなおしで半田コテを基板にあてると、一時的に基板が熱くなります。COB内のICは金線で基板とシリコンのアルミパットが、ワイボンされているので、もしモールド内で何か断線など、カツカツでふれたり離れたりしていたら、熱による収縮や膨張で動作に変化が生まれます。

LSIのパッケージなどで、金線の断線不良なんかは、初期不良として現れますが、今回のたまごっちは、購入から、未開封のまま長期保管されていたそうなので、制御ICの初期不良という線が濃厚そうですね。

ドラえもんのたまごっちの記事にも書きましたが、ほんと新品未開封は、電池の液漏れはするし、動作未確認で壊れているかもしれないという認識がいいです。

ここまでくると、もう策がございません。動作品から基板丸ごと移殖でもしない限り遊べませんので、修理不可能とさせていただきました。


たまごっち 液漏れ修理 クリスタル交換

たまごっちのいろいろ 4個

たまごっち 液漏れ修理 クリスタル交換

大切に保管していたたまごっちが動かなくなったとのことで修理のご依頼がありました。

保管時にボタン電池を入れたままにしてしまい、電池を変えようとした際に液漏れを起こしていたそうです。液漏れを可能な範囲で拭きとったが、新しい電池を入れても起動してくれないそうです。

この手の液漏れは、残留の粉と黒く変色した腐食部分のせいで導通が取れなくなるんですよね。では、早速順に診ていきましょう。

その1.右上の緑のたまごっち

緑のたまごっち

やはり電極に液漏れの粉を腐食痕があります。電池の導通障害になっているので、綺麗にお掃除します。

腐食
腐食

それと、ボタン電池間を橋渡しする電極も診ます。

腐食

影響は、限定的でしたね。腐食部は、ルーターで研摩しておきます。これで起動まで無事修理はできました。押しボタンの電極もお掃除しておきます。

電極の汚れ

まま汚れていましたね。これで綺麗になりましたが、ボタン側に接触不良が出ておりました。※後述

電極パターン

電極パターンも腐食なく綺麗な状態です。押しボタンの裏面もアルコールで拭いておきます。

押しボタンの裏

この黒い塗料は、導電性の抵抗値を持った塗料となります。劣化によって導通が取れなくなります。

実は、動作確認にて押しボタンの反応が悪いことが分かりました。過去の修理実績では、アルミ箔で補修したことがあるのですが、アルミ箔を接着剤で接着してしまうので、万一失敗した場合は、元に戻せません。なので、全くボタンが効かないくらい接触が取れない場合の策となります。

動画の通り、かなりの押し込みをしないと反応しないのですが、前述のリスクをご依頼者様にご相談した結果、現状のままでということになりました。

因みに、導電塗料で補修するという策もありますが、先の黒塗料への食いつきが悪く塗布しても剥がれてしまいます。また、ボタンのシリコン自体も塗布が厳しいという点もあるかもしれません。

次に、左上の森で発見たまごっちを診ます。


その2.森で発見たまごっち

森で発見たまごっち

森で発見たまごっちも電極に腐食はありましたが、導通を阻害する致命的なレベルではありませんでした。

錆、錆、錆

電極の表面に錆は広がっておりますが、突起部では導通がありました。そこで、直接半田部に単三乾電池2本の外部電池ボックスで電圧を印加します。

ですが、うんともすんともです。やはり、電極の腐食以外にも何かあります。

そこで、たまごっちの故障あるあるの、クリスタルの発振を診ます。

Hiに張り付き

電圧を印加しても発振せず、Hi側に張り付いたままですね。早速交換してみます。

3x8mm シリンダー型

さて、困りました。手持ちの32.768kHzのクリスタルは、シリンダー型の3 x 8mmサイズしかありません。純正のサイズは、2 x 6mmです。

図のような取り付けていますが、これでは筐体の周囲に干渉して収まりませんでした。そこで、電池ボックスの上に横になるように後で取り付けしなおしました。

これで無事起動するようになりました。

と、ここで問題発生です。

無事に直ったと高を括っていたら、次の日、再動作確認をすると、また起動しないうんともすんとも状態になりました。

外部から電圧印加したり、ケースから外して入れなおしてみたりをすると、突発的に起動したりします。

腐食の進行

森で発見たまごっちは、液漏れの腐食が基板の配線にも広く回っており、それはもうどうしようもないのですが、部品の半田部の腐食や目視できないクラックが懸念されるので、実装部品を一式再半田してみます。

  • 電池ボックスの電極の半田
  • 交換したクリスタルの電極パット
  • 電源用電解コンデンサー 47uFのパット
  • 液晶周辺のSMD部品のパット
SMD部品

するまぁ、無事に起動するようにはなりましたが、ここで騙されてはいけません。この点の突発的に動いたり動かなかったりする事例ってよくあります。

おもちゃ病院に、故障したおもちゃを持ってきたが、ドクターに診てもらうと無事動いてしまったり、無事修理してお返ししても、自宅に到着すると、また故障していたりと。

原因は、さまざまなんでしょうが、半田付けなどをしていると、熱での膨張や基板の応力などで直後は無事動くが、熱が冷めると or 時間が経過すると、また故障が再発してしまいます。

そこで、森で発見たまごっちも、翌日まで冷えた部屋に放置しておき、そこで再度動作確認をしました。

再確認の結果、無事に起動もでき、安心してお返しできます。

では、次に左下の銀のてんしっちのたまごっちを診ます。


その3.銀のてんしっちのたまごっち

てんしっちのたまごっち

このてんしっちのたまごっちは、色違いの2つのご依頼があったので、筐体の色で区別するようにします。

こちらのたまごっちも液漏れの残留粉で接触不良が出ておりました。

残留粉

まぁーこれはすごいことになっておりました。導通は、無理でしょう。ということで、粉を取り除き、腐食を研摩しました。

さくっと、起動もできたのですが、いきなり、お墓のシーンです。

お墓のシーン

何度、リセットしてもお墓です。時刻の設定はできます。ですが、お墓にしかなりません。

実は、どのたまごっちもそうなのですが、遊び方を知らないので、このお墓のシーンは、ゲームオーバーと勘違いしておりました。

ご依頼様にお聞きすると、このてんしっちのたまごっちは、あの世で天使を育てるゲームとのことで、電源投入後やリセットで、このお墓のシーンになるのは、“正常”とのことでした。

おばQ?

少しそのまま置いておくと、おばQが現れました。何か進んでいるので、これが正常なのでしょうね。

以上で、銀のてんしっちのたまごっちは修理完了です。次に、金のてんしっちのたまごっちに取り掛かります。


その4.金のてんしっちのたまごっち

金のてんしっちのたまごっち

ご依頼様が一番よく遊んでいたたまごっちとのことですので、気合いを入れて診断しましょう!

電極は、やはりよく遊ばれていたとのことで綺麗でした。

電極は綺麗

では、早速、ボタン電池を挿入しましたが、うんともすんともです。森で発見たまごっちと同じです。開封して中を診ます。

これといった目視できる故障無さそうです。外部から電圧を印加しても、やはりうんともすんともです。

外部電源印加

森で発見たまごっちと同様に、クリスタルを確認します。

張り付き

やはり同じようにHi側に張り付いておりますね。クリスタルを交換してみます。

クリスタル交換
仮止め

クリスタルを仮止めで交換し動作を診てみますが、起動動作が変です。

再起動を繰り返しているようです。

再起動の繰り返し
再起動のループ

電源系の電解コンデンサーかもと思い交換をしてみたのですが、効果はありませんでした。

この金のてんしっちのたまごっちは、ボタン電池の電池ボックスの電極には腐食は無かったのですが、なぜか基板上の配線に酷い腐食が回っております。特に押しボタンのパターン配線です。

こことか
ここらへん

うーん、森で発見たまごっちと同様に実装部品の半田クラックや腐食があるようですね。一式再半田してみます。

SMD部品 上部
SMD部品 左部

刻印が不明なのですが、トランジスタかレギュレータか、何かしらの制御素子らしいので、半田クラックなりがあると、問題起きそうですね。

ということで、再半田を行いますと、無事、お墓が現れました。

お墓のシーン

液晶が切れているのでは、筐体から外しているので、導電ゴムの電極が浮いているせです。

無事起動できるところまできましたので、仮止めのクリスタルを取りつけます。

3 x 8mmのクリスタルは収まりが悪いので、寝かして取り付けます。

寝かして取り付け

先の、押しボタンの接点パターンに腐食があったので、恐らくボタンの反応が悪いかまったくないかもしれないという予想はあったのですが、全く反応しませんでした。

基板上の銅配線パターンが腐食してしまって剥がれて一部パターンが無くなっておりますので、修復は不可能でしょう。案の定、組み上げて動作確認をしましたが、どんなに押し込んでも無反応です。

無反応

やはり、腐食が酷いと基板上のパターンもやられてしまい、修理不可能になってしまいます。

さて、ご依頼様へ、押しボタンが全く使えない旨を報告し、どのようになされるかをご相談した結果、起動のみしてくれればということで、クリスタルのみ交換ということで対応をしました。


さて、今回は、4個のたまごっちのご依頼でしたが、完遂率 3/4という成績に終わりました。プリント基板の配線の腐食は、可能であれば迂回配線などでも対応できたりしますが、押しボタンのパターンとなると、そうはいきません。残念ですが、金のてんしっちのたまごっちは、修理不可能ということでお返ししました。


この度はお忙しい中、修理を引き受けて下さりありがとうございました。

不具合の原因と修理工程の分かりやすい説明と、動作の確認などを写真や動画で随時ご連絡下さり、無事に起動した動画を見た時は感動しました。

修理完了後にまたもう一度動作の確認をして下さったりととても丁寧に診て下さり、本当に感謝しております。

これからも大切にしていきます。 ありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ドラえもんのたまごっち どらえもんっち ドラミっち 液漏れ修理

どらえもんっちとドラミっち

ドラえもんのたまごっち どらえもんっち ドラミっち 液漏れ修理

たまごっちあるあるですが、未使用品を購入したのだが、長期保管のためボタン電池がそのままだったため、液漏れしていたとのことです。

液漏れは、電極や内部基板などの腐食の原因になるので、長期間保管する場合は、ボタン電池を抜いておくのが鉄則です。

どらえもんっちの電池を新品に交換をして少し使ったのだが、数時間でリセットされてしまうとのことでご依頼がありました。ドラミっちも液漏れがしていたとのことなので、一緒に拝見することになりました。

さて、ではどらえもんっちから拝見しましょう。

どらえもんっち

後ろのイラストがいいですねー!早速電極を確認します。

負極電極

負極側の液漏れの粉がすごいですね。これでは、このままボタン電池を入れても辛うじて接触しても何かのはずみで接続断となりリセットされてしまうでしょうね。

正極電極

正極の片側の粉もあり、腐食も出ていますね。中和洗浄し腐食部は研摩します。

この粉ですが、強アルカリ性なので、水溶した場合は、皮膚や目などの付着はくれぐれも気を付けてください。化学火傷や失明の危険性があります。

で、問題が発生しました。2つのボタン電池を接続する電極の一部分が腐食か金属疲労で薄くなっていたらしく折れてしまいました。( ̄▽ ̄;

電極折れ

粉を除去したら折れてしまったので、カツカツで付いていたのかもしれません。代替えの電極もないので、半田付けで補修します。

ですが、ほんと小さい部品なので作業がしづらい。。。

半田付け

格闘すること10分。やり直しやり直しで、まま使えそうなまでに補修できました。盛った半田は、ケースに入るように研摩して薄くしておきます。

良い感じ

良い感じですね。黒く変色した腐食部分は、ルーターで研摩して表面を綺麗にします。この電極のパーツは、ケースの溝にはまっており、半田コテか何かで溝の一部を溶かして固定しているだけなので、今回は弾性の接着剤で固定をしておきます。

接着固定

これにてどらえもんっちの修理は完了です。時刻を設定しボタンの反応も確認します。

時計セット

念のため三日間、適当な持ち上げやボタン押しも行い動作を観察し途中でリセットが起きないこと確認します。


では、次にドラミっちの作業に入ります。

ドラミっち

因みに、どらえもんっちもドラミっちもですが、液晶画面が口になっているのですね。まぁーでかいお口。

さて、ドラミっちは、液漏れの影響も限定的でしたので、さくっと作業します。

液漏れ粉

腐食部分を研摩しておきます。電極の裏側も確認しましたが、まったく影響はありませんでした。

きれい

ボタン電池を入れて動作を確認します。

ドラミちゃん

よさそうですね。ドラミっちも三日間、ボタン押しなども併せて動作を確認します。

以下、余談です。

オークションやフリマなどで新品未使用としてたまごっちが販売されておりますが、厳密な意味合いとしては、『新品購入時から開封も使用もせずにそのまま保管した中古品で一切の動作確認もしていませんので、如何なる保障もしません。』という意味合いと理解しております。

新品未使用 ≠ 新品

なので、今回のようなボタン電池からの液漏れを防ぐため、一部の販売者の方は、『液漏れを防ぐために開封し電池を抜いています。』と注意書きをしていたりします。

こういった方から購入しましょう。


この度はお忙しい中修理を引き受けて下さり、ありがとうございました。

コロナ禍で地元のおもちゃ屋病院の開院も中止となり、どこにお願いしたら良いのか困っていたところで、瀧下様の宅配おもちゃ病院に辿り着きました。

遠方で直接会ってお話出来ない不安があったのですが、写真付きで詳しくどこが原因でどんな修理を行ったのか随時連絡をくださり、終始安心して修理をお任せすることが出来ました。

子ども達も大変喜んで毎日お世話しています。 大切に使わせていただきます。

~ご依頼様のご感想より~

初代たまごっち ネジ外し メンテナンス

たまごっち

たまごっち ネジ外し メンテナンス

初代のたまごっちの裏蓋のネジは、とても弱く、きつく締めてしまうと開封時に溝をつぶしてしまいます。当医院には、お困りのご依頼者様も多く、数多く開封をしてきました。

ですが、この開封は、本体破損のリスクと開封のコツと技術を要するので、事前にご依頼者様には、その旨のお約束をして頂いております。

  • 開封できるかどうかは、やってみないと分からない。
  • 開封作業に際し本体や液晶を割ってしまったり動かなくなってりするリスクがある。

また、作業者も手に大けがを負う危険性も抱えての作業になります。その度ごとに掌に内出血をします。

内出血

前振りはここまでにします。

ご依頼者様は、初代のたまごっち 2台を保管していて、液漏れが心配で裏蓋を開けようとしたところ、溝をつぶしてしまったです。今回のご相談は、まず、つぶれたネジを開封し、動作も確認し問題あれば併せて修理をというご依頼でした。たまに、液晶もうつらないこともあるそうなので、液晶の導電ゴムの接触も確認します。

早速ですが、状態を確認します。

緑のたまごっち
青のたまごっち

画像では、溝が辛うじて残っているように見えますが、ここで騙されてはいけません。この初代たまごっちのネジは、とてもとても脆くきつく締められているとすぐ溝が無くなってしまいます。その大きい要因は、以下の通りです。

  1. 締めた際に、締めすぎてしまった。この裏蓋のネジは、ボタン電池を抑えるだけの蓋なので、きつく締める必要が全くありません。ボタン電池が、内部でぐらぐら動かないようにするだけで十分です。
  2. 開ける際に、適切なサイズのドライバーを使っていない。ネジのサイズに合わない大きなドライバーを使うと、直ぐ溝を削ってしまいます。適切な精密ドライバーを使います。
  3. ネジの回し方を知らない。ネジは、ただ回すだけのものではありません。ただしい開け方で回さないと溝を削ってしまいます。

今回もかなりの難敵でした。特に緑のたまごっちは、前述の画像のとおり、溝が十分残っているように見えますが、きつく締めてあったので、びくとも動きません。

つぶれ

緑のたまごっちのネジは、びくとも動かないので、治具で開封に試みます。治具をもってしても、少しずつ動かします。無事やっと、ちょっとずつですが動き出しました。

格闘すること、30分。すこしずつ回し始めて頭が出てところで、ニッパーで頭を立てに摘まみ静かに回します。ここで、力を入れすぎたり、ニッパーの使い方を間違えると、ネジの頭がもげてしまい、終わりの世界になります。

青のたまごっち無事開封
緑のたまごっち無事開封

ご依頼様のご心配が的中しました。どちらのボタン電池も液漏れを起こしております。

液漏れ

緑のたまごっちの電極は、粉が電極の裏側まで付着しておりました。

端子の腐食も軽度でプリント基板側への影響もなさそうでした。このタイミングでのご依頼は、正解でした。

洗浄清掃

さて、動作確認も行い液晶の映りの欠けもなく動作も問題なさそうですが、念のため押しボタンの接点をアルコールで洗浄しておきました。

押しボタン接点掃除
ネジ交換
ネジ交換

最初のやり取りから丁寧に対応していただき、最後まで安心してお任せすることができました。

お願いしていたネジの開封だけでもとても大変なのに、その他の箇所も見ていただき、本当にこんなお値段でしていただいて良いのだろうかと心配になるほどでした。

子どもたちと懐かしく遊びたいと思います。

この度はありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

STARTWARS gigapets 起動不良 修理不可

Gigapets

STARTWARS gigapets 起動不良 修理不可

購入後しばらく保管され開封したところ、初期設定が進まないという症状でご依頼がありました。

たまごっちのような育成型のおもちゃかとは思いますが、R2D2なので育成ではなさそう…。

早速症状を確認します。

まず、届いてからボタン電池を挿入したところ、ウンスン状態でした。背面のリセットスイッチを押す(このリセットスイッチが硬いんだ。。)と初期設定画面になり、ピッピッと音が鳴り続けます。表面の押しボタンも無反応でピッピッと音が鳴り続けます。

初期設定

この時は、何が起きているのか分からなかったのですが、後々で再起動を繰り返していることが分かりました。

表面の押しボタンに無反応のようなので、分解しボタンの接点を確認します。

接点の清掃

ボタンと液晶のゴム接点の金パットを綿棒とアルコールで洗浄してみると、表面の汚れは取れましたが、目視では接触不良になるとまでの致命的な汚れは確認できませんでした。

因みに、液晶のゴム接点についてですが、こちらでコネクターが紹介されております。商品名としては、『異方導電性ゴムコネクター』と呼ばれているそうです。

話しはそれますが、半導体の設計・開発でSoCの評価・検査治具に取り付けるソケットで大変お世話になったことがあります。接触圧を掛けると埋め込まれた電極が接触し導通が取れます。このすごいところは、AC特性が非常によいので、高速I/Fの選別治具にも使用できる点でした。

話しを戻します。さて、接点をお掃除して組み立て直しても症状は改善しませんでした。次に、回路的な故障を探るため基板上に目をやります。

インダクタとクリスタルと電源用の電解コンデンサーが目に入ります。

実装部品

アンパンマン おしゃべりせいかつずかんでよく逝っているクリスタルを念のため確認します。※起動動作はしているので、動いてはいると思いますが、念のため。

ブレブレ

画面がぶれていますが、32kHzで振幅しております。

と、ここでいろいろ調べながらいじっていると、起動し始めました。

押しボタンも反応し時計や名前などの初期設定もクリアし動き始めました。

動いたー!

その時の動作確認動画です。

実は、この時点で復活しと、糠喜びしていたのですが、復活はしておりませんでした。TT

というのも、原因を突き止めてもいおらず、作業していたら自然に回復した時ってだいたい、直っていないんですよね。この経験から実はかなり怪しく思っており、電池を抜いて数時間おいた時点で再稼働させて改めて確認しました。

電池を抜き、それから半日経過。。。

起動してみると、ピッピッと音が鳴り続ける現象が再発し、ボタンも無反応になっております。やはり、予想は的中しました。

ここで整理します。

  • ボタンに無反応なのは接点の接触問題ではなかった。
  • 何らかの拍子に動作し始めても、ボタンを抜き時間を置くと不具合が再発する。
  • 電池の容量が問題ではない。

次に基板上で目にした電解コンデンサーを疑ってみます。

ピッピッと鳴る症状が、もし再起動を繰り返しているようならば、電源系の故障で、電源の補償用のパスコンである電解コンデンサーを交換してみることにしました。ですが、症状は改善されず、電解コンデンサーの犯人説は否定されました。

交換前
交換後

うーん手づまりです。

ところで、何らかの拍子に動き始める点が気になっていたので、もしかすると、電気の導通をしばらく続けると、COB内部が暖まり不具合が解消されていったのかもしれません。このCOB内部が暖まる点については、半導体IC開発の経験から、ICパッケージのモールド樹脂が、経年か温度変化で膨張か収縮し配線材の接触を妨げる現象は過去の開発業務で経験があります。多いところでは、剥離によってボンディングワイヤーが切れる症状ですが、モールドしてるので、金パットから薄く剥がれるような感じです。そうです、電源を入れ暖気が済むとカツカツで離れていた接触が、しっかり接触するようになったのかもしれません。もしこの端子がクリスタルや電池のの端子だった場合は、初期設定から進まないというのは、再起動を繰り返していたという現象で説明がつきます。

そこで、先の『ピッピッと音が鳴り続ける』状態のまま放置してみます。

すると、、、

約2分ほどでピッピッという音が終息し押しボタンが不安定なりも反応し始めました。

そうです、前述の動いたを勘違いしていたのは、暖気のおかげで正常に動き出したように見えていたようです。一度暖気が済んだ場合は、電池を入れ替えても正常に起動するようになりました。

どうもCOB内部で事が起きているようです。

既に思いつく点は調査しておりますので、COB内部の犯人説が有力として成す術なく修理不可能としてお返ししました。

現状は、暖気によって動き始めますが、剥離が原因だった場合は、症状は進行する懸念もあります。

たまごっち 液晶切れ 修理

液晶切れ

たまごっち 液晶切れ 修理

液晶の右下1/4以外が映らなくとのことです。本体を押してあげると映るそうなので、過去の修理実績にもある電極入りの導電ゴムの劣化かずれかでしょうかね。

届いてすぐ本体を押してあげると、やはり映るようになりますので、ゴム電極に押しの圧をあげるため、コピー用紙を一枚挟みます。やはり、紙というのは経年でへたるので、今後も同じ案件がある場合は、他の素材も検討したいと思います。

液晶モジュール

液晶モジュール部は、基板側に張り付いているので、剥がれないように慎重に作業します。

基板とゴム電極が剥がれた場合は、本体前面に液晶をはめ込み組み上げればいいのですが、液晶モジュールのガラス面とゴムの電極が剥がれた場合は、恐らく復旧は難しいと思われます。

紙挟み

無事液晶全体が映るようになりました。

写り全体

液晶の反応のある縦列の上下に黒ずみが出ています。液晶のドットの制御は、基本ONかOFFなので、うっすら黒ずむというのは、電気的な不具合というより、液晶の偏光フィルターや内部の機構になにかあるのだと思われます。

この黒ずみについては、液晶まるごとの交換しか解消できないと思われ、ご依頼者様には、その旨のご相談をしたところ、映るだけで十分ということでしたので、これにて修理完了としました。



この度はご丁寧な対応をして頂き、ありがとうございました。対応も迅速にして頂き、ご説明も大変わかりやすく、プレゼント品で頂いた物でしたので、修理してまた使用できるのが非常に嬉しく思っております。ありがとうございました。

~ご追依頼者様のご感想より~

たまごっち 液晶抜け修理

液晶抜け

たまごっち 液晶抜け修理

未開封、未使用で購入されたたまごっちとのことで液晶が抜けていたとのことです。その他の動作は問題ないとのことです。

部分抜け

実は、お問い合わせ当初は、一部分が抜けていたとのことで、受け付け待ちの間、ご自身で修理に挑まれた際に抜け範囲が広がってしまったとのことでした。

ふつう、この状況を考えると悪化してしまったと捕える方が多いかと思いますが、私の場合は、おおお!そうですか!修理の可能性が、うーんとアップしましたと喜んでいました。というのも、液晶の抜けの場合で、COB内の描画ドライバーICに問題あった場合は、修理不可能でちょっとやそっとの調整では抜けの状況は変化しません。液晶の描画範囲が、少しの調整でも変化がある場合は、おおよそ液晶と基板間を接続する導電ゴムの電極に問題があります。

なので、その接触の問題を解決できれば何とか元のようにできる可能性があるということです。では、早速開封し確認します。

金パット

基板側のパットはアルコールで綺麗にしておきます。次に液晶側を確認します。

導電ゴム電極

やはり目視レベルでは不具合の有無は分からないですね。因みに、液晶のガラス側に直に張り付いておりますので、扱う際に誤って剥がしてしまうと終わりの世界なので注意しましょう。※なので、この作業をする時は、ご依頼様に作業中のミスで液晶が全損してしまうリスクとあらかじめ許容いただいています。

斜めから

ウーン、何ともなので、一度導電ゴム側もアルコールで綺麗にしてから再度組み上げて状況を確認しますが、やはり改善しておりませんが、導電ゴムの接触を改善すべく強めに抑えると映り始めました。

やっぱり導電ゴムの接触の問題でした。導電ゴムの接触部分が湾曲したか劣化したかで抑え圧が落ちたようです。そこで、電極部分のみ抑え圧が増すようにします。

噛ませるコピー紙

以前は、液晶がガラス側に貼ったことがあったのですが、今回は筐体の前面側にコピー紙に両面テープを貼って画像のように貼ります。

さて、どうでしょうか、、、。

ドキドキですね。

おおお!

無事、消えていた部分も全て綺麗に映るようになりました。

でもしかしですが、やはりコピー紙と両面テープでは、根本の修理とはいきませんので、この状態がどのくらい持続するかは不問とさせていただきました。導電ゴムの劣化も進行するであろうし、、。

根治には、液晶モジュールもろともを移殖するしかありませんが、同じ液晶がお安く入手もできませんので、この処置がいっぱいいっぱいなところでしょう。

ということで修理完了です。


諦めていたものが動くようになってとても嬉しいです。

~ご依頼様のご感想より~

たまごっちピース 断線修理とヒューズ交換

たまごっちピース

たまごっちピース 断線修理とヒューズ交換

何らかの必要があって開封した際にお子様が導線を引きちぎってしまったとのことです。ご依頼時は、3本の内蔵ケーブルの取れてしまい断線の目視もできていたそうで、事前に画像でも確認できていました。

では、早速拝見しましょう。

断線

まぁ、断線というよりは半田付けが取れたという方が正しいですね。電池ボックス負極側と圧電スピーカーの2本の半田付け箇所が取れているようです。

とここで、たまごっちピースは、液晶もカラーの解像度も高くなっており、初期のドットの荒井液晶とは雲泥の差ですね。本体の基板もCOBではなく高密度実装されたチップ部品がひしめきあっています。

さくっと半田付け

取れたところは、さくっと半田付けします。圧電スピーカーは、中央が正極で周辺が負極なのですが、負極側は、接着剤に埋もれているので、ピンセットで綺麗に剥がして半田付けします。

負極側

さて、ここで動作確認をしますが、電池入れてリセットボタンを押してもうんともすんともです。因みに、電池ボックスの蓋を閉めない場合は、リセットボタンを一度押下しないと起動しません。実は、この電池ボックスの裏蓋は、開閉時に裏蓋の突起で強制的にリセットボタンが押下される作りになっておりました。

( ,,`・ω・´)ンンン?参ったな、、、。どうしよう。。。調べるか、、、。

まず電池ボックスから基板へ電源が正常にあがっているか確認すると、あれ!?あがっていませんね。目視確認すると、電池ボックスには、104のパスコンと横に何やら、、あ”!ヒューズが付いている!おもちゃの故障あるあるかもと調べてみると、やはりヒューズが切れていました。

原因の裏取りとして、暫定的にヒューズ箇所を短絡して動作をみると無事起動しました。

起動

ヒューズも切れていたようですね。ヒューズも交換をしますが、保安部品なので、切れた原因を調査しないとまた切れてしまうので、またまた一人ブレストします。まず、ヒアリングした内容からです。

  1. 何らかの必要性でご依頼者様が開封をした。
  2. 目を離した隙にお子様が導線を引っ張り引きちぎってしまった。
  3. 引きちぎってしまう前までは、正常に動作はしていた。

ここで、ヒューズが切れる原因といえば、そもそも何らかの原因でヒューズに規格以上の電流が流れたかヒューズ自体の故障でしょうか。ただ、前述のタイミングで故障したということであれば、お子様が引きちぎった際に何か過電流の要因となる事象が起きたのかもと推測しました。ですが、取れた負極導線は、基板側ではなく、電池ボックス側なので、あやまって正極に触れて正極⇔負極間の短絡が起きることはないです。圧電スピーカーの端子も正極⇔負極間の短絡がおきるような接続も考え難いです。うーん、やはりヒューズの経年劣化による故障なのでしょうかね。

さて、ヒューズの交換ですが、実はこれも困った事態です。というのも、ヒューズの規格が分からないのです。黒線1本のこのヒューズの溶断値はいくらなのか?

500mA

ネットでいろいろ調べても分かりません。同じような故障修理記事を見つけましたが、ヒューズと取っ払い接続している方も居られましたが、保安部品を取り払いのは危険ですね。

決してやってはいけません。

溶断もしくは故障の要因がはっきりしない場合、最悪、制御LSIを破壊してしまいます。

動作電流

たまごっちピースの起動時からの動作電流をモニターしてみました。約15mA流れているので、動作電流値を動作させながら数をサンプリングし、バラツキから4σ位の範囲で電流の上限を決めれば恐らくは大丈夫と思います。本来は、製品の電気特性や信頼性との兼ね合いで取り決めされるはずなのですが、そんな企業秘密を知る由もないわけで、また、そもそも規格上限を決めれても交換できる適切なサイズのヒューズが入手できなかったります。

とここで、ポリスイッチへの交換も検討しました。使ったことのある方は、ご存じですが、ポリスイッチって過電流で切れるエネルギーを熱に変換しているので、切れた際に熱くなります、冷めると再度電流が流れるようになるのですが、この切れた時ですが、指で持てないくらいチンチンではないですが、かなりの熱が出ます。ご依頼者様のたまごっちピースは、とてもお大事ということで、取り付け箇所からも切れた際に筐体が溶けることは避けたいので、入手できる最小容量のリード型ヒューズに交換をします。ここまで書いておいてなんなのですが、無いよりはマシという規格になってしまいました。( ̄▽ ̄;

ご依頼者様には、前述のご説明をし、その旨のご了承をいただき交換をしました。

動作確認を行うと液晶が暗いです。ご依頼者様にもご確認いただくと、色も黄色を帯びているようだとのこと。まずは、明るさは、メニュー設定で調整できました。

ですが、この点の調整でMAXの明るさにしても、劇的に明るくはならず、色も変化ありません。元々の正常な状態を見たことがないので何とも言えませんが、たまごっちでよくある、紫外線により液晶焼けが進行していると思われます。フィルターが紫外線で損傷をうけると、色再現や映りに影響しますね。液晶も改善できないかご相談をうけましたが、この手の液晶は、修理はできないと思った方がいいですよね。

というのも、液晶がモジュール化されており単体での部品は市場で流通しておらず、交換をするにしても同じたまごっちからの移殖しか手がなさそうです。また、基板との接触ズレ等を過去に修理したことがあったのですが、基板から剥がす際に導電ゴムも一緒に剥がしてしまい、液晶を全滅させてしまった暗い過去があります。

一方、中古市場でこのたまごっちピースを調べてみると、なかなかのプレミアがついており、ジャンク品もみつからずで液晶に関しては、今回は現状のままとなりました。

以上で今回の修理完了ですが、今時のたまごっちは、ほんとキラキラしていますよね。自分が学生だった時分のたまごっちは、白黒の大きなドット液晶で通信もできない時から比べると、かなりの進化ですね。


とても大切していたたまごっちだったので諦めかけていたのですが、お願いして本当に良かったです! 本当にありがとうございました!!

~ご依頼様のご感想より~