CP-33 修理不可能な事例

ソニーリピートカードプレーヤー CP-33

修理不可能な事例について掲載します。

当医院は、ソニー製の磁気カードプレーヤーの修理を得意としております。

ですが、そのカードプレーヤーの修理においても、故障した部品が入手できない場合は、残念ながら修理不可能となります。

ソニー製の磁気カードプレーヤーにもいろいろが機種がございますが、特に修理不可能となる場合が多い機種があります。

それは、CP-33です。

公文様用にOEM開発された機種のようで、特に英会話用のカードがセットで販売され、またリピート再生用に録音できる時間も、CP-33専用のカードの再生時間に合わせて設計されております。

さて、当医院にもCP-33の修理のご依頼を多くいただきますが、およそその1/3は、修理不可能という事態となっております。

これから、CP-33の修理のご依頼をご検討になっておられる方は、当記事を参考にしてみてください。 整理すると大方以下に分類されます。

  • 乾電池の液漏れ
  • ゴムベルトの溶断
  • ゴムローラーの破損
  • 磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着
  • プーリーグリスが固着

特に赤太文字の磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着した場合は、修理不可能となる場合がとても多いです。

というか、ほぼ修理不可能です。

その他の項目は、溶けたゴムや、液漏れした粉を掃除すれば、なんとか復活できますが、粘着したゴムが、磁気ヘッドにこびり付いた場合は、カードに記録された磁気テープの磁気を拾えないか、拾えても高音域が全く読み取れなく音質が非常に悪くなります。

では、それぞれのケースについてみてみましょう。

乾電池の液漏れ

長期間保管した際に乾電池を抜き忘れて数年そのまました場合、乾電池から液漏れを起こします。

特に負極のバネが腐食していれば、強度的にも問題になりますので、電極を取り外し粉を綺麗に除去したのち電極を交換します。強度的に問題なければ錆部分を研磨して落としつけ直します。

乾電池の液漏れ事態については、致命傷になるケースは稀で、過去に1例のみ液漏れした影響が基板にも波及しており、基板交換を行ったことがあります。

ゴムベルトの溶断

CP-1000などでもみられるのですが、プーリー用のゴムベルトが溶けて切れています。

溶けて粘着したゴムは、綺麗に落とし溶けたゴムベルトは新品に交換します。

ゴムベルトの溶断については、致命傷なことはほぼないです。

ゴムローラーの破損

カードに直に接し回転しながらカードをスライドさせる円筒状のゴムローラーが、キャプスタン軸に装着されております。

何故かCP-33特有なのですが、このゴムローラーが経年で固化しボロボロになります。

恐らく、CP-33用に納入されたゴムローラーは、多品種のゴムローラーと材質などが異なるのでしょう。

そのためか、CP-33のみでこのゴムローラーの破損が多いです。

このゴムローラーに関してのみ言えば、ボロボロになったゴムローラーの残骸を綺麗に取り除き、キャプスタン軸にこびり付いたゴムも綺麗に取り除いて新品のゴムローラーを装着してやれば大丈夫です。

従ってゴムローラー事態の破損は、致命傷にはなりませんが、その影響が次の『磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着』として致命傷になります。

磁気ヘッドにゴムローラーのゴムが粘着

先のボロボロになったゴムローラーが、保管の間常にこの磁気ヘッドに密着しておりますので、そのゴムが磁気ヘッドのコアに粘着します。

画像の通り、酷いものです。

この時点で修理不可能と診断をくださないといけません。

中には、粘着が軽微である場合もあり、表面に付着したゴムの残骸を取り除くだけで、無事再生できるようになります。

その場合はかなり運が良かったと思ってください。

粘着、こびり付きが酷い場合は、例え表面的な残骸を剥がせてもコア部への影響が酷く再生品質が最悪となります。

高音域が全く拾えなくなり、カード音声が不明瞭になります。

もちろんですが、交換できる磁気ヘッドのモジュールは入手できないので、非常に残念ですが修理不可能となります。

プーリーグリスが固着

これは、他機種でも多いのですが、プーリー軸に塗布されていたグリスが経年の劣化で固化し粘着します。粘着というよりも接着します。

そうです、ビクともしません。

ペンチでこじってやっと回るぐらいに強固に粘着します。

で、CP-33で厄介なのが、このプーリー軸が取り外せない仕様になっております。

他の機種では、軸が取り外せるので、分解じ綺麗に古いグリスと取り払い洗浄の後に新しいグリスを塗布すればいいのですが、このCP-33は、そうは行きません。

軸がカシメられております。

従って、隙間からパーツクリーナーを吹いてできる限りで古いグリスを洗い流すしかないです。

さらに、洗い流したと思っても実は、軸の内部に古いグリスが残っており、しばらくすると再度粘着することが多いです。

画像では、綺麗に洗浄できたように見えますが、このプーリーもひと月程置くと再度粘着しました。

再稼働させると、固着のため、プーリーが回転できずゴムベルトが外れてしまいました。 と、ここまでCP-33の故障の多い事例を紹介しましたが、長期間保管されたCP-33は、ほぼ修理不可能である場合が多いことを念頭にご検討をください。